ジェームズ・マクドナルドの最新ニュース

01/09/2025
開幕直前の香港競馬 “25/26シーズン”、記者4人が選んだ「注目騎手」は?
躍進期待の騎手、トレンド予想、香港に来て欲しい騎手、そして気になるあの騎手。Idol Horseの香港競馬エキスパートたちが、新シーズン注目の騎手を紹介する。
レーシング・ラウンドテーブル

29/08/2025
「自信を失えば…」シドニーNo. 1の新星、ザック・ロイド騎手が見つけた “攻守の境界線”
シドニーの天才ジョッキー、ザック・ロイド騎手はかつて、勝利のたびに裁決室に呼ばれるような荒削りな才能だった。しかし、それを克服して成長した今、チャンピオンへの道を駆け上がろうとしている。
アダム・ペンギリー

25/08/2025
安全な馬場か馬券売上か……ヴィアシスティーナのウォーラー師が警鐘を鳴らす「競馬場問題」
シドニー春競馬の開幕を告げるG1をヴィアシスティーナで制したクリス・ウォーラー調教師。馬場か売上か、彼が批判する「開催競馬場の偏り」という根深い問題とは?
アダム・ペンギリー

19/08/2025
オーストラリア競馬の春シーズンが開幕!地元馬、海外馬、2025年の注目馬を徹底議論
オーストラリア競馬のスプリングシーズンを目前に、Idol Horseのエキスパートが注目馬やブレイク候補を分析。地元の有力馬、そして日本や香港からの遠征馬はどのような評価に?
レーシング・ラウンドテーブル

25/05/2025
ヴォイッジバブル「31年ぶり」三冠制覇、香港競馬の歴史に新たな1ページ
ヴォイッジバブルがスチュワーズC、香港ゴールドC、チャンピオンズ&チャターCを制し、31年ぶり史上2頭目の香港三冠馬に。リッキー・イウ厩舎のエースが香港競馬史にその名を刻んだ。
アンドリュー・ホーキンス
ジェームズ・マクドナルドの生い立ち
ジェームズ・マクドナルド騎手は1992年1月6日、ニュージーランドのカイパキで生まれた。
カイパキはワイカト川沿いに位置し、ケンブリッジとハミルトンの間にある地域。父のブレットは元騎手で、その後は調教師へと転向。母のダイアンはサラブレッドのオーナーブリーダーとして知られていた。
母は時折、マクドナルドと弟のルークを学校から連れ出し、馬に乗って猟犬と共に狩猟をさせ、広大な草原で柵を飛び越える経験をさせていたという。
マクドナルドはポニー乗馬で成功を収め、やがて障害馬術にも取り組んだが、14歳のときに近所の調教師であるアラン・ジョーンズとリンダ・ジョーンズのもとで調教騎乗を始めた。15歳を迎えることには、見習い騎手として初騎乗を果たし、2007年8月18日、テラパ競馬場のマイル戦にてジョニーザサンドに騎乗し初勝利を挙げた。
その後、瞬く間に頭角を現し、翌年4月にはスペシャルミッションでG1・ニュージーランドブリーダーズステークスを制し、自身初のG1勝利を達成。さらに、2007/08年シーズンの終わりには、4年連続でチャンピオン見習い騎手のタイトルを獲得した。
翌年には早くも初のNZリーディングジョッキーの座に就き、2010/11年、2011/12年シーズンもタイトルを防衛。特に2011/12年シーズンでは、シーズン200勝を達成した国内初の騎手となり、その記録を207勝まで伸ばした。
続いてオーストラリアや香港でも活躍を広げ、2011年にはG1・クイーンズランドオークス、2012年4月にはG1・ザ・ギャラクシーを制覇。その直後すぐに香港へ渡り、ジョン・ムーア厩舎のエクステンションでG1・チャンピオンズマイルを制した。
2012年末にはシドニーへと拠点を移し、ジョン・オシェア調教師とタッグを組み、オーストラリアにおけるゴドルフィンの主戦騎手に抜擢された。2013年、ニュージーランドの名馬であるダンディールの鞍上を任されると、G1・ランドウィックギニー、G1・ローズヒルギニー、G1・オーストラリアンダービーを立て続けに制覇。ダンディールとは19戦中18戦でコンビを組み、通算10勝を挙げた。

ジェームズ・マクドナルドの強さの秘訣は?
マクドナルドの類まれな才能は、馬への深い理解に由来する。彼の天性の勇気、直感、バランス感覚、そして運動能力は、幼少期から馬と触れ合う中で培われてきた。自身のポニーを調教しながら、バランス感覚を磨き、馬を正しい脚で走らせる感覚を本能的に習得していった。
彼のキャリア初期における特徴の一つは、鞭を素早く左右の手に持ち替える技術であり、これによりベテラン騎手たちを凌駕することができた。このスキルは、若い頃からのたゆまぬ努力によって身につけられたものであり、狩猟や障害競技の経験、さらには自宅のソファーの上で騎乗フォームを練習することで鍛えられたものであった。
また、マクドナルド騎手は『研究熱心な騎手』としても知られている。彼は自身が騎乗する馬について詳しく調べるだけでなく、対戦相手の馬や他の騎手の特徴を分析し、レースの流れを直感的に読む能力を磨いてきた。
戦略家としても卓越しており、ゴール前の追い比べでの強さ、優れたバランス感覚、そして “馬をリラックスさせつつしっかりと走らせる” 繊細な手綱さばきを兼ね備えている。

1年半の騎乗停止処分
2016年、マクドナルド騎手は、自身の騎乗馬に関する賭けに関与し、4,000オーストラリアドルの利益を得たことが発覚した。この結果、彼は18カ月間の騎乗停止処分を受け、ゴドルフィンとの契約も失うこととなった。
この期間は彼のキャリアにとって大きなブランクとなり、1年半に及ぶ長期間、競馬から遠ざかる事態となった。
ジェームズ・マクドナルドの最大の偉業は?
マクドナルドにとって最大の業績は、18カ月の騎乗停止処分を乗り越え、さらに強くなって復帰したことだ。
2018年5月中旬に復帰すると、すぐに自身の立ち位置を確立し、同じくNZ出身でシドニーのトップトレーナーであるクリス・ウォーラー調教師との信頼関係を築いた。2018/19年シーズンにはG1レースを6勝し、シドニーのリーディングジョッキーを奪還。その後も成績を伸ばし続けた。
騎乗停止処分からの復帰以降、彼は世界トップクラスの騎手としての地位を確立。2022年と2024年には、国際競馬統括機関連盟(IFHA)の『ワールドベストジョッキーアワード』を受賞している。これまでにシドニーのリーディングジョッキーを8回獲得し、2024年にはヴィアシスティーナでG1・コックスプレートを制し、通算G1勝利が100勝に到達した。

ジェームズ・マクドナルドの有名な騎乗馬は?
ベリーエレガントやダンディールも有力な候補だが、最も有名な騎乗馬といえば香港のチャンピオンホース、ロマンチックウォリアーだろう。
ダニー・シャム調教師の管理馬である同馬には、マクドナルドは11回騎乗(執筆時点)し、そのうち10回で勝利している。中にはG1・8勝が含まれ、特にG1・香港カップ3勝、G1・コックスプレート(オーストラリア)、G1・安田記念(日本)での勝利が際立っている。
2025年初頭の中東遠征で好成績を残し、ロマンチックウォリアーはマクドナルドが騎乗した馬の中でも最も世界的な知名度を持つ馬となった。

ジェームズ・マクドナルドの名騎乗は?
マクドナルドはこれまで、数多くの重要な勝利を収めている。例えば、G1・メルボルンカップはベリーエレガントに騎乗して優勝している。しかし、彼にとって最も重要な勝利は、2018年のG1・コーフィールドギニーでの勝利だったと言えるだろう。
このレースは、彼が18カ月の騎乗停止処分を受けた後の復帰戦として、競馬関係者やファンに対して自身の実力を再び証明する場だった。最後のG1勝利は、2016年10月にハートネルで制したターンブルステークス。それから22カ月の間、G1勝利から遠ざかっていた。
コーフィールドギニーでは、当時のトップジョッキーであるケリン・マカヴォイ騎手が、同日に開催されたザ・エベレストでの騎乗を優先したため、マクドナルド騎手にジオータムサンへの騎乗チャンスが巡ってきた。
この勝利によって、マクドナルドは再びG1レースで結果を残せるジョッキーだと証明し、競馬界のトップステージに返り咲いた。そして、これがきっかけとなり、クリス・ウォーラー調教師と信頼関係がより強固なものとなった。
その後、このコンビは39勝以上のG1勝利を挙げ、ベリーエレガント、ネイチャーストリップ、ヴィアシスティーナといった名馬との名コンビを築くこととなる。ジオータムサン以前にウォーラー厩舎の管理馬でG1勝利を挙げたのは、わずか1勝のみであった。

ご存じでしたか?
マクドナルドのパートナーは、元騎手のケイトリン・マリヨン。オフの日にはゴルフやスカッシュを楽しむことが知られている。また、彼は最も尊敬するスポーツ選手として無敗のボクシング世界王者、フロイド・メイウェザー・ジュニアを挙げたことがある。
幼少期のマクドナルドは、将来は酪農家になりたいと考えていた。しかし、元ニュージーランドのチャンピオンジョッキーであるランス・オサリバン元騎手が「騎手になれば酪農を営めるほどの収入が得られる」と話したことがきっかけで、騎手を目指すことになった。