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5月31日の日曜日、注目すべきダービーが2つある。ひとつは東京の西、もうひとつはパリの北で行われる。府中とシャンティイのダービーは、それぞれのキャリアを大きく形作り、新たな系譜をつなぐ可能性がある。

ロブチェンはG1・日本ダービーでクラシック三冠ロードの第二戦へと挑み、フランスではエイダン・オブライエン調教師がG1・ジョッケクルブ賞(仏ダービー)へ強力な布陣を送り込む。

リステッド・ディーステークスを快勝したコンスティテューションリバー、G1・フューチュリティトロフィーを制したホークマウンテンを中心とするオブライエン勢の有力馬たちだが、仏ダービーで待ち構えるのは地元フランスの有力馬たちだ。

その地元勢の中には、調教師時代に仏ダービーを制したクリケット・ヘッド氏もいる。今度は馬主として、パールドマジェスティとともに仏ダービー制覇を目指している。

1986年、母のジスレーヌ・ヘッド氏が馬主として所有していたベーリングが、クリケット・ヘッド厩舎の管理馬としてこのレースを制した。

祖父のウィリー・ヘッド氏、父のアレック・ヘッド氏も、それぞれ調教師として同レースを勝っており、兄のフレディ・ヘッド氏は騎手としてダービー4勝を挙げている。

しかし、その後40年に渡り、ヘッド家は調教師、騎手、馬主のいずれの立場でも仏ダービーを勝てていない。

パールドマジェスティは、マウリシオ・デルチャ=サンチェス調教師との共同所有馬であり、もともとはヘッド家の生産事業から生まれた馬でもある。その生産事業は4年前にすべて売却されたが、セールで同馬を見出したのは、ヘッド氏の孫、フェルナンド・ラフォン氏だった。

デルチャ=サンチェス調教師もこの牡馬を気に入り、共同所有の形が整った。引退した調教師で、現在は4人のひ孫を持ち、フランス、スイス、バハマを行き来して暮らすヘッド氏は、現場の仕事をいまの調教師に任せることに満足している。

「マウリシオはこの馬のことを完璧に分かっています」とヘッド氏は話す。「この馬を作り上げ、ここまで引き上げたのは彼です。当初は気性的に難しいところがありました。まだ幼さも残っていましたし、マウリシオは本当に素晴らしい仕事をしてくれました」

「彼が調教してくれていることをうれしく思いますし、このようなレースに出られる馬を見つけられたことも、本当にうれしく思っています」

「1歳馬や当歳馬を買う時、その馬がどこまで行けるかは誰にも分かりません。だから、ジョッケクルブ賞(仏ダービー)のスタート地点に立てるだけでも、すでに素晴らしいことなのです」

Trainer Mauricio Delcher Sanchez
MAURICIO DELCHER SANCHEZ / 2026 // Photo by France-Galop

パールドマジェスティはまだ成長途上だが、ここまで5戦を経験し、直近3戦はいずれも勝利している。

仏ダービー初制覇を狙うデルチャ=サンチェス師は「私たちは以前からパールドマジェスティを高く評価していました」と語り、「昨年から朝の調教ではかなり有望なところを見せていましたが、振る舞いの面ではまだとても幼かったのです。いつも集中していたわけではなく、成長を待つ必要がありました」と説明する。

「今年、2歳から3歳になって、この馬は大きく成長しました。心身ともに充実しています。復帰後もずっと良くなり続けています。4月12日のノアイユ賞での直近の勝利は、すでに手ごわい相手を前にして、力を示す確かな裏づけになりました」

「今はピークの状態で臨めます。非常に順調で、出来もよく、十分な経験も積んでいます。不安材料はありません」

パールドマジェスティには行きたがる面があり、控える形になった最初の2勝では、引っ掛かる様子を見せた。しかし前走のG3・ノアイユ賞では、積極的にハナを切ろうとする馬がいなかったこともあり、ペルシアンキング産駒の同馬がほぼ逃げる形で運び、最後は後続を突き放して鮮やかに勝った。

「馬には本来の走りでのびのび走らせるべきだと思っています」とデルチャ=サンチェス師は続ける。

「抑え込むことは好きではありません。この馬は大きなストライドを持っていて、前へ進むことを好みます。その点は尊重しなければなりません。ただし、どうしても先頭に立たなければならない馬ではありません。大事なのは、自由に、自分のリズムで走れることです」

仏ダービーでパールドマジェスティをどう運ぶかは、クリスチャン・デムーロ騎手に委ねられる。先手を取るかどうかは展開次第になる。一方、その頃には東京でのロブチェンのレースはすでに終わっている。皐月賞を逃げ切った同馬は、日本ダービーでも再び先行策を取ると見られている。

杉山晴紀調教師も、デルチャ=サンチェス師と同じく、ダービー初制覇を目指す立場だ。ただし、同師は6年前、デアリングタクトを牝馬三冠へ導いた経験がある。

ロブチェン自身の三冠挑戦は、この2冠目にかかっている。シャンティイと同じように、府中にも同世代の有力馬が集まり、その挑戦はふさわしい試練となる。ロブチェンが自分の形で先手を取れば、後続が差し切るのは簡単ではない。パールドマジェスティにも、同じ展開が待っているかもしれない。

Lovcen and Kohei Matsuyama after winning the G1 Satsuki Sho
LOVCEN, KOHEI MATSUYAMA / G1 Satsuki Sho // Nakayama /// 2026 //// Photo by Shuhei Okada

英国が生んだ史上最高の騎手とも評されるレスター・ピゴット氏は、2022年5月29日に86歳で亡くなった。1948年から1995年にわたるキャリアで英クラシック30勝を挙げ、英ダービーは9勝。プチトエトワール、サーアイヴァー、ニジンスキー、ダーリア、サガロ、アードロスなど、芝の歴史に名を残す名馬たちに騎乗した。

1936年5月30日、前年の米三冠馬であるオマハは、アスコット競馬場のゴールドカップ挑戦へ向け、ケンプトンパーク競馬場に2度目の登場を果たした。

すでに5月9日には同競馬場で英国初戦を勝っており、この日も順当に勝利。2マイルのクイーンズプレートでボブスレイを相手に、手に汗握るゴール前を制した。しかしアスコット競馬場では、前年のオークス馬クワッシュドに2マイル半のゴールドカップで敗れたことが、よく知られている。

QUASHED (right), OMAHA / G1 Gold Cup // 1936 /// Ascot //// Photo by Photo by J. A. Hampton/Topical Press Agency/Getty Images

デイヴィッド・モーガン記者は先週、木曜日にパリで現地取材を行った。

パリロンシャン競馬場では、ほぼZ世代で埋め尽くされたJeuXdi(ジュイクスディ)の観衆の前でダリズがチャンピオンらしい走りを見せた。さらに、フランスギャロ幹部からは、フランス国内の競馬産業が現在「サバイバルモード」にあること、そして業界を救うために変化と適応に前向きであることを聞いた。

クイーンズランドの競馬界で熱狂的な支持を集めるスプリンター、ロスファイアが初G1制覇から6年を経て2つ目のG1を勝った後、アダム・ペンギリー記者はロバート・ヒースコート調教師に話を聞いた。ヒースコート師は、同馬が死の淵から戻ってきたことを思い出させる、骨片の入った小さな瓶を見せた。

今週の週間コラム『Idol Thoughts』では、シェーン・ダイ元騎手が、シャティン競馬場で日曜日に行われたチャンピオンズ&チャターカップで、ロマンチックウォリアーに騎乗したジェームズ・マクドナルド騎手の物議を醸した騎乗について、裁決委員の判断が「なぜ誤っていたのか」を分析する。

以前から、2歳未勝利戦は少し慎重に扱うべきだと述べてきた。それでも、日曜日にカラ競馬場で行われた6ハロンの未勝利戦でサンゴッデスが挙げた5馬身差の圧勝は、期待の高さを裏づける走りであり、今後、より高いレベルへ進む可能性を感じさせる内容だった。

エイダン・オブライエン厩舎のこの牝馬は、今月前半のネース競馬場でデビューし、出遅れて幼さを見せながらも、勝ち馬からアタマ差の同着2着と目を引く走りをしていた。

その日の勝ち馬は僚馬のキャリーザフラッグで、日曜日にサンゴッデスが初勝利を挙げてからわずか30分後、同じくオブライエン厩舎のグレートバリアリーフの2着に入った。舞台はG3・マーブルヒルステークス。このレースは例年、後の一流2歳馬が勝つことで知られる。

今回はライアン・ムーア騎手を背に好スタートを切ったサンゴッデスが、先行勢の一角で楽に運んだ。残り2ハロンで先頭に立つと、さほど苦もなく脚を伸ばした。これらを総合すれば、スーネーション産駒の同馬は、この夏のハイレベルな2歳牝馬短距離戦線で常に名前が挙がる存在になるはずだ。

英オークスデー
エプソム(イギリス)、6月5日

エイダン・オブライエン厩舎のアメリアイアハートは、前走のリステッド・チェシャーオークス制覇を受け、牝馬クラシックの前売り段階では依然として有力候補と見られている。ただし、同厩舎からはプリサイスも出走する可能性がある。

プリサイスは日曜日、カラ競馬場のマイル戦、G1・愛1000ギニーを制した。昨年のG1・フィリーズマイル勝ち馬であるプリサイスは、その前のニューマーケットのG1・英1000ギニーではトゥルーラブの7着にとどまっていたが、カラ競馬場ではそのトゥルーラブを2着に下した。

25年前、愛1000ギニーと英オークスを制したオブライエン厩舎のイマジンに続く快挙を狙う可能性もある。

一方、ジョン&タディ・ゴスデン厩舎のレガシーリンクも、ヨーク競馬場のG3・ミュージドラS制覇で名を挙げ、有力候補の一頭となっている。

ダービーデー
エプソム(イギリス)、6月6日

エイダン・オブライエン調教師は、しばしば英ダービーの鍵を握ってきた。このレースを11勝している名伯楽は、G3・チェスターヴァーズを勝ったベンヴェヌートチェッリーニを今回の筆頭候補に据えてきた。

同じくバリードイル勢のコンスティテューションリバーも、チェスターのリステッド・ディーSを制して好印象を残したが、同馬は今週末、1マイル2ハロンのG1・ジョッケクルブ賞(仏ダービー)に向かう可能性が高い。

G2・ダンテSもまた、英ダービーへ向けた重要な指標になることが多い。今年の勝ち馬であるアイテムは、急速に成長している晩成型の牡馬という印象を与える。アンドリュー・ボールディング厩舎、ジャドモントの自家生産馬で、これが3戦目。昨年9月にケンプトンとバースで一般戦を勝っており、ここまで無傷の3戦3勝としている。

ゴールドチャレンジデー
グレイヴィル(南アフリカ)、6月6日

G1・ゴールドチャレンジは、G1・ダーバンジュライへ向けた重要な前哨戦だ。過去2年はデイブザキングがこのマイル戦を制している。3連覇を狙う同馬は、5月17日にスコッツヴィル競馬場で始動し、4か月ぶりの実戦で1400mを走って3着だった。


ストラドブロークH&Q22
イーグルファーム(オーストラリア)、6月13日

イーグルファーム競馬場の1400m戦、G1・ストラドブロークハンデキャップは、ブリスベン冬開催のハイライトの一つだ。昨年はウォーマシーンが勝利を収めた。

ニュージーランドのスター、ラフハビットは1991年と1992年に連覇を果たしており、その他の主な勝ち馬にはデーンリッパー、デイブレイクラヴァー、トファネ、アリゲーターブラッドがいる。

同日には、2200mのG2・Q22と、2歳馬によるマイルG1・J.J.アトキンスも行われる。

ロイヤルアスコット開催
アスコット(イギリス)、6月16~20日

5日間にわたるロイヤルアスコット開催では、質の高いレースが数多く組まれている。

主な見どころは、前年覇者のオンブズマンと凱旋門賞馬のダリズが対戦する可能性のあるG1・プリンスオブウェールズSをはじめ、G1・クイーンアンS、G1・ゴールドカップ、G1・セントジェームズパレスS、G1・コロネーションS、G1・キングチャールズ3世S、G1・クイーンエリザベス2世ジュビリーS、G1・コモンウェルスカップなどが挙げられる。

愛ダービーデー
カラ(アイルランド)、6月28日

愛ダービーは1866年に創設された。英ダービー馬がアイルランドへ向かい、英愛ダービー連勝を狙うことは珍しくない。

1907年にオービーが初めてこの偉業を達成し、昨年はランボーンが新たにその仲間入りを果たした。ランボーンを管理するエイダン・オブライエン調教師は、 愛ダービーを17回も制しており、その最初の勝利は1997年のデザートキングだった。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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