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今週末に行われる世界の大レースを巡っては、直前まで不確定要素が少なくなかった。

サンダウン競馬場のG1・エクリプスステークスに、エイダン・オブライエン調教師の陣営がどの有力馬を送り込むのか、あるいは複数頭を出すのかは、最後まで読みにくい状況だった。さらに、オブライエン厩舎の馬たちがG1・独ダービーを見送る流れも。南アフリカのG1・ダーバンジュライでは、前売りで本命視されていたスターメジャーが無念の出走取消となった。

スターメジャーの熱発回避により、フランス人の女性ジョッキー、ミカエル・ミシェル騎手は南アフリカ最大のレースに初騎乗する望みは絶たれたかに見えた。だが水曜日にさらに数頭の取消があり、ミシェルには、マイク&マシュー・デコック厩舎のキュリアスガールという新たな騎乗馬が回ってきた。

その一方で、ザック・ロイド騎手も自身初のダーバンジュライ騎乗へ向けて準備を進めていた。当初騎乗予定だったハッピーヴァースは早い段階で出走予定から外れており、ロイドは南アフリカの有力厩舎、ジャスティン・スネイス厩舎のレギュレーションへの騎乗が実現。同馬は軽斤量を活かしたい一頭だ。

ロイド自身にとっては、これは一種の里帰りでもある。ロイドは人生の最初の3年間を南アフリカで過ごした後、父のジェフ・ロイドが騎手として香港競馬、モーリシャス競馬、オーストラリア競馬へ活動の場を移すなかで、家族とともに海外へ移り住んだ。

ロイド家にとって、ダーバンジュライは長く心に残ってきた一戦だ。父のジェフは現役時代、このレースをついに勝てずに終わった。

「私はこのダーバンジュライに25回騎乗して、3着が11回ありました」と、元騎手のジェフ・ロイド氏はIdol Horseに語る。

「引退の1カ月前にも、最後にもう一度挑戦しようと思って戻ったんです。前哨戦をすべて見て、乗りたいと思ったのがドゥイットアゲインでした」

「それでジャスティン・スネイス調教師に『ぜひこの馬に乗ってみたい』と伝えました。でもその馬にはアントン・マーカス騎手が決まっていたんです。すると彼は、『何頭か出す予定があるし、どの馬にもそれなりにチャンスはある』と言ってくれました」

「その時は2着でした。そして今回、ザック(ロイド騎手)はジャスティン(スネイス厩舎)の馬に乗ります。ジャスティンは『君のお父さんが2着に入れたのは、私の馬に乗った時だけだった。だから、君の力にもなれるはずだ』と言ってくれたんです」

ザック・ロイドは今年、大きな波に乗っている若手騎手だ。オーストラリアではG1・ゴールデンスリッパーを制し、2週間前にはロイヤルアスコットの主要競走も勝利。今度はダーバンジュライで、ロイド家に長く残ってきた思いを晴らしたいと意気込んでいる。

「南アフリカを離れた時は幼すぎて、ダーバンジュライについてあまり覚えているわけではありません。でも成長するにつれて、だんだん分かるようになりました。父がどうしても勝てなかったレースだということも、もちろん理解していました」

ザック・ロイドはIdol Horseの取材に、南アフリカ最大級のレースへの思い入れを明かす。

「私が14歳くらいの時、父はダーバンジュライを勝つために、南アフリカに戻りました。それは私にとっても大きな出来事でしたし、それまでに何があったのか、その背景にある話もすべて分かっていました。父にとってどれほど大きな意味があったのかも、その時に見えたんです」

「家族として、ずっと心のどこかにありました。兄のジェイデンか、あるいは私がこのレースで騎乗機会を得て勝つことができれば、父にとって本当に嬉しい瞬間になるはずです。だから、自分にとっても強く意識しているレースです」

Jeff Lloyd's family at Durban in 2018
JEFF & HIS FAMILY / Durban // 2018 /// Photo supplied

ロイドが勝てば、母のニコラさんの家系に伝わる『ジュライ』の系譜にも連なることになる。ニコラの父、オーブリー・ロバーツ元騎手は1962年に同レースを勝ち、ニコラの祖父チャーリー・バレンズも騎手時代の1938年に勝っている。

ただ、ダーバンジュライで初騎乗初勝利を挙げた騎手は、1983年に牝馬のテクラブラフで勝ったマーク・サザーランド騎手が最後である。

「今朝、レギュレーションに乗りました。サマーヴェルド調教場で感触を確かめましたが、とても気に入りましたし、馬の見た目もすごく良かったです」とロイドは、ダーバンジュライの騎乗馬についてコメント。

「斤量は52キロで乗れますし、過去のレース映像も見ました。勝つ時はとても良い勝ち方をしています。前走については、関係者は大失敗だったと言っていました。少しハミを取って行きたがったんです。この馬は喉の手術を受けているので、そういう馬が引っかかると、すべてが狂ってしまいます。だから、今回はもっとスムーズに運びたいと思っています」

「この馬ならチャンスがあるという自信はとてもあります。あとは、うまく運ぶだけです」

一方、英国のエクリプスステークスでは、オブライエン師が新記録となる同レース4連覇を狙っている。仏ダービーでワンツーを決めた二頭、コンスティテューションリバーとホークマウンテンの両方を出走させると表明し、周囲を驚かせた。

これにより、オブライエン厩舎は独ダービーに出走馬を送り込まない。独ダービーは20頭立てとなり、地元勢ではゴスタムとイングリッシュマンが有力視されている。英国からの遠征馬は、英ダービー4着馬のベイオブブリリアンスのみとなる。

1990年6月30日、名騎手だったビル・シューメーカーは、ハリウッドパーク競馬場で2歳牝馬のテンペストクラウドを勝たせ、調教師としての初勝利を挙げた。そしてちょうど1年後の1991年6月30日、同じ競馬場のビバリーヒルズハンデキャップをアルカンドで制し、調教師として初のG1勝利を手にした。

1989年7月2日、スティーヴ・コーゼン騎手はカラ競馬場でオールドヴィックに騎乗し、G1・愛ダービーを制して新たな歴史を刻んだ。これによりコーゼンは、英ダービー、ケンタッキーダービー、仏ダービーに続き、当時の主要4ダービーをすべて制した初の騎手となった。

凱旋門賞が騸馬に門戸を開く方向へ一歩近づいたという大ニュースは、この1週間で世界中の競馬界を駆け巡った。デイヴィッド・モーガン記者は論説の中で、賛否両論を呼んだ方針転換について見解を示している。

昨年9月、アダム・ペンギリー記者はザック・ロイド騎手に、海外挑戦への意欲と、自信をどう良い方向へ生かすかについて話を聞いた。若き新星が今週末、南アフリカ競馬を代表する一戦、ダーバンジュライに初挑戦する。

ドイツのバウルジャン・ムルザバエフ騎手は、日曜日の独ダービーで有力馬に騎乗する。今年1月の記事では、1年以上の離脱につながった椎骨2カ所の骨折について、Idol Horseの取材に語っている。

G1・愛ダービー当日のオープニングレース、2歳牝馬限定の7ハロン未勝利戦。アルファはここで印象的な勝利を挙げ、来年のクラシック候補に相応しい姿を見せつけた。

エイダン・オブライエン厩舎のこの若駒は、ライアン・ムーア騎手の手綱で好スタートを切り、ほぼ終始馬群をリード。特に好感が持てたのは、残り2ハロン地点でムーアが追い出しに入るまで、耳を立て、周囲に反応しながら、気持ちを切らさず走っていたことだ。そこから勝負どころに入ると、走りが一段と引き締まり、自らしっかり脚を伸ばして、ゴールでは6馬身差をつけた。

ニアルコスファミリーとクールモアの自家生産牝馬にとって、これは成長を示す内容の濃い2戦目だった。デビュー戦では発馬で後手を踏みながら、終盤に鋭く伸びて2着に入っており、そこから明らかに進歩している。

アルファは父シーザスターズ、母はニアルコス家の自家生産牝馬であるアルファセントーリ。母は3歳時にG1を4勝、愛1000ギニー、そして古馬混合のジャックルマロワ賞で勝利を挙げた。4代母はあの名牝、ミエスクという血統背景を持っている。

ダーバンジュライデー
グレイヴィル(南アフリカ)、7月4日

南アフリカ最大のレースであるダーバンジュライは、前売り本命のスターメジャーを欠くことになった。一方で、オーストラリアを拠点とするザック・ロイド騎手、チャド・スコフィールド騎手、マーク・デュプレシス騎手らがこのレースに騎乗する。

ロイドは、当初騎乗予定だったハッピーヴァースが故障で回避したため、レギュレーションに騎乗。また、ベテラン名手のアンドリュー・フォーチュン騎手は今年前半、G1・ケープタウンメットで劇的な復活勝利を挙げており、今回は有力牝馬のウィッシュリストに騎乗してダーバンジュライ初制覇を狙う。

エクリプスステークスデー
サンダウン(英国)、7月4日

エイダン・オブライエン調教師は、エクリプスステークス4連覇を狙い、仏ダービーの1、2着馬コンスティテューションリバーとホークマウンテンに加え、ロイヤルアスコット開催で勝ったばかりのコーズウェイ、ペースメーカー候補のフラッシングメドウズも同レースに登録している。

一方、ワスナンレーシングは、前走では同じサンダウンの同距離戦でオンブズマンの2着だったオーウェン・バロウズ厩舎のゲシンを擁し、自陣営のペースメーカー候補としてキングズギャンビットも登録している。

ドイツダービーデー
ハンブルク(ドイツ)、7月5日

マルセル・ヴァイス厩舎のイングリッシュマンは、6月14日にケルン競馬場で行われた主要前哨戦のG2・ウニオンレネンを制し、独ダービーの有力候補に浮上した。

一方、アンドレアス・ヴェーラー厩舎のゴスタムは昨年のドイツ最優秀2歳牡馬で、5月のG2・バーバリアンクラシックを勝った後、仏ダービーでは8着だった。サリトスは先月のG2・伊ダービーで3着に敗れたが、勝ち馬との差はクビ差だった。 

ジュライカップデー
ニューマーケット(英国)、7月11日

日本のサトノレーヴは、これまであと一歩で届かなかった欧州G1制覇を、今度こそ掴み取りに行く可能性がある。

同馬は過去2年のG1・クイーンエリザベス2世ジュビリーステークスで連続2着に入っており、直近で敗れた相手のアルメラクと再戦する可能性がある。

前走でG1・コモンウェルスカップを勝った3歳牝馬、ヴェネチアンサンも同レースに登録しており、G1・キングチャールズ3世ステークス覇者のミッションセントラルが参戦すれば、英国シーズン有数の注目レースとなり得る。

愛オークスデー
カラ(アイルランド)、7月18日

エイダン・オブライエン師は、愛オークスの登録馬にも例年通り強力な布陣をそろえている。特に目立つのは、G1・ディアヌ賞を制したダイヤモンドネックレス、そして直近でG1・コロネーションステークスを勝ち、すでにG1・愛1000ギニーも制しているプリサイスだ。

ジョセフ・オブライエン厩舎のサンダリングオンはエプソムの英オークスを勝ったが、前走のG1・プリティポリーステークスでは古馬牝馬勢を相手に4着に敗れている。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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