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1年前の今週、ダミュソスは英ダービーで馬券圏内を狙える有力候補らしく映っていた。

ヨーク競馬場の10ハロン戦、G2・ダンテステークスで堅実かつ成長を感じさせる2着に入り、エプソムの12ハロンが視界に入っていたからだ。だがその後、この四白流星が目を引く栗毛馬は、少しずつ姿を変えてきた。

土曜のG1・ロッキンジステークスでは、トップクラスのマイラーとして名乗りを上げるチャンスを迎える。

同馬は昨年6月の英ダービーで18頭立ての最下位に敗れた。これがキャリアで唯一大きく崩れた一戦となっている。その後はドーヴィル競馬場の10ハロンのリステッドを勝ち、3歳シーズンの締めくくりにはニューマーケット競馬場の9ハロンのG3戦を制した。

今季初戦もニューマーケットで9ハロンのG3・アールオブセフトンステークスを勝利。ジョン・ゴスデン、タディ・ゴスデン両調教師に、距離を1マイルへ縮め、より高いレベルへ挑ませるだけの手応えを与えた。

簡単な課題ではない。ニューベリー競馬場のこの一戦は、英国の古馬マイラーにとってシーズン最初の大きな試金石であり、過去にはブリガディアジェラードや、ダミュソスの父フランケルといった名馬も勝ってきた。

これ以上ないほど高い舞台だ。ただし今年のロッキンジステークスは粒ぞろいとはいえ、歴史的名馬と呼ぶべき存在がいるわけではない。

そして前走のニューマーケットで、ダミュソスはゴスデン陣営と馬主のワスナンレーシングに、鋭い加速力を備えていることを示した。タディ・ゴスデン調教師にとって、それは驚きではなかった。

「この馬はもともと、素晴らしい瞬発力を持っていました」とタディ・ゴスデン師はIdol Horseに説明する。

「3歳から4歳にかけて、とてもよく成長しました。昨年はダンテステークスからダービーへ向かい、その後に戻ってきて、何度かいい勝ち方をしてくれました」

「冬の間にしっかり成長して、今は力強い馬になっています。筋肉も十分についてきました。今年はかなりスピードが出てきたように見えます。アールオブセフトンステークスでは鋭く加速しましたし、あれは切れ味が問われるような速い1マイル戦でした」

「レース後の状態も良かったので、1マイルのロッキンジステークスへ向かうのは自然な選択です」

ダミュソスのG1経験は英ダービーだけだが、ロッキンジステークスの前売りで1番人気となっている。相手にはすでにトップレベルで実績を残している馬たちが名を連ねることになりそうだ。

ゴドルフィンのG1・ブリーダーズカップマイル勝ち馬ノータブルスピーチは、その筆頭だ。もう一頭の上昇中のマイラー、ゼウスオリンピオスは、先月のサンダウンマイルで初戦を迎え、鮮やかに勝利したオペラバッロの3着に入るまで4戦無敗だった。

そのオペラバッロもゴドルフィンの出走候補で、1月にドバイのG1・ジェベルハッタを勝ち、今年は2戦2勝としている。

「G1勝ち馬たちとの対戦になります。今年のロッキンジステークスは、かなり良いメンバーがそろいそうです。それでも、ダービー後のダミュソスは、こちらの求めることにすべて応えてきました」とゴスデン師は言う。

「非常に血統の良い牡馬です。ニューマーケットからそれほど遠くないニューセルズパークスタッドで生産され、ワスナンへ売却されました。この舞台で走るのが楽しみな一頭です」

「調教していても本当に扱いやすく、前向きな気性を持っています。調教でもレースでも非常に上手にリラックスし、促されると持っている瞬発力を見せてくれます」

エイダン・オブライエン調教師は先週のチェスター開催で、クラシック前哨戦を総なめにした。そこでは昨年の英ダービー馬、ランボーンもG2・ハクスリーステークスで復帰勝ちを収めている。同馬は昨年、チェスターヴァーズを勝って、エプソムでの英ダービー制覇につなげた。

今年のオブライエン厩舎のダービー候補では、リステッドのディーステークスを勝ったコンスティテューションリバーと、G3・チェスターヴァーズを制したベンヴェヌートチェッリーニが、とりわけ強い印象を残した。

ただし。木曜にヨークで行われるG2・ダンテステークスも、勢力図に影響を与えることになりそうだ。バリードイル勢では、G3・バリーサックスステークス勝ち馬のクリスマスデーが中心を担う。

一方、米国三冠の第2戦であるプリークネスステークスは、今週土曜にローレルパーク競馬場で行われる。ピムリコ競馬場が改修中のためだ。ただし、G1・ケンタッキーダービーの1着馬も2着馬も出走しない。

ホセ・オルティス騎手は、シェリー・デヴォー厩舎のゴールデンテンポでケンタッキーダービーを制した。2着は兄イラッド・オルティスJr.騎手が騎乗したレネゲードだった。今回はホセがチップホンチョに騎乗し、イラッドはトーキンに騎乗する予定だ。

チップホンチョは主催者発表の想定単勝オッズで6倍前後。14頭立ての混戦と見られる中、ホセ・オルティス騎手はIdol Horseに対し、前売り1番人気アイアンオナーを相手にしても「チャンスはあります」と語った。

ゴールデンテンポが6月6日のG1・ベルモントステークスへ向かう中、もしチップホンチョが勝てば、ホセ・オルティス騎手は2頭の異なる馬で米国三冠3競走すべてを制する可能性を手にすることになる。

JOSE ORTIZ, GOLDEN TEMPO / G1 Kentucky Derby // Churchill Downs /// 2026 //// Photo by Rob Carr (Getty Images)

1892年5月11日、アロンゾ・ “ロニー”・クレイトンは15歳でアズラに騎乗してケンタッキーダービーを制し、同レース史上最年少優勝騎手となった。

1939年5月13日、ルイス・シェーファーはプリークネスステークス史上初めて、騎手としても調教師としても勝利を挙げた人物となった。1929年には騎手としてドクターフリーランドに騎乗して同レースを勝ち、調教師としてはシャルドンで勝利した。後にジョニー・ロングデンもこの記録に並んでいる。

ロングデンは1943年にカウントフリートでプリークネスを制し、1969年には調教師としてマジェスティックプリンスを送り出して同レースを勝った。

今週の週刊コラム『Idol Thoughts』では、シェーン・ダイ氏がトラックバイアスの重要性を解説している。どのようなバイアスが起こり得るのか、そして馬券を買う人が注意深く見ておくべきポイントについて掘り下げている。

ミルコ・デムーロ騎手がデイヴィッド・モーガン記者の独占取材に応じ、9か月間にわたる米国滞在を経て日本へ戻ったこと、変化の必要性、直面する課題、そして輝かしいキャリアを再び軌道に乗せるために支えてくれている友人について語っている。

アダム・ペンギリー記者とマイケル・コックス記者は今週、ザック・パートン騎手のクイーンズランド時代を扱った記事を共同で執筆した。見習い時代、わずか3鞍に騎乗しただけで師匠から解雇されたエピソードも紹介されている。

今回注目するのは、クイーンズランド州ゴールドコースト競馬場で先週末に行われたG3・ケンラッセルメモリアルクラシックを鮮やかに制したセントゴッタルドだ。この良血牡馬は鋭く素早い加速で勝負を決め、ジェームズ・マクドナルド騎手を背に4馬身差の圧勝を収めた。

同馬を管理するのは、豪州屈指の大厩舎であるクリス・ウォーラー厩舎。馬主グループにはクールモア関係者も名を連ね、その勝負服で出走している。

2025年のイングリス・イースターイヤリングセールでは、クールモアのトム・マグニア氏が270万豪ドルで購入した。G1を制して種牡馬入りしたスイッツァランドの全弟にあたるスニッツェル産駒だ。

セントゴッタルドは4月15日にワーウィックファーム競馬場の未勝利戦を勝っており、今回の勝利でデビューから2戦2勝とした。

マクドナルド騎手もこの若駒を高く評価しており、「素晴らしい気性、抜群の見た目、信じられない加速力」を挙げたうえで、「すべてが一流です」と評価している。

ウォーラー師は「セントゴッタルドは休養に入ります。春へ向けて準備していきます。来季の大きな3歳戦でも通用するだけの器だと見ています」と将来像を口にした。

ゴールドコースト競馬場のこのレースからは、ここ数年トップクラスの勝ち馬が出ていない。ただ、過去にはゴールドエディション、ホットスニッツェル、その後に香港G1を勝つストロンガー、そしてスピリットオブブームといった一流馬が勝っている。

地元クイーンズランド州の英雄、スピリットオブブームがこのレースを制したのは16年前のことだが、今年のレースのわずか3日前に同馬が亡くなっていたこともあり、その記憶を呼び起こす一戦にもなった。

今回の内容を見る限り、セントゴッタルドにはG1レベルへ上がるだけの資質がそろっている。G1・ゴールデンスリッパーのようなシーズン序盤の2歳大レースを使わず、成長の時間を与えられたことも、今後に向けてプラスに働くはずだ。

ドゥームベン10000デー
ドゥームベン(オーストラリア)、5月16日

香港のチャンピオンジョッキーであるザック・パートン騎手は、グラフターバーナーズへの騎乗でドゥームベン10000に臨む。クイーンズランドの元チャンピオンジョッキーであるパートンにとっては、ゆかりの深い舞台への帰還となるが、このレースはまだ勝っていない。

香港競馬が拠点、今回は遠征での参戦となるイーサン・ブラウン騎手のジミーズスターが有力視されており、好調のマイケル & ジョン & ウェイン・ホークス厩舎はデビルナイトを送り込む。

ロッキンジステークスデー
ニューベリー(イギリス)、5月16日

ダミュソスとゼウスオリンピオスは、ともにG1マイラーとしての評価を確かなものにしたい立場で、人気を分け合うことになりそうだ。

ただし、昨年のG1・BCマイルを制したゴドルフィンのノータブルスピーチという実績十分の強敵が立ちはだかる。ゴドルフィンのもう一頭のG1勝ち馬、オペラバッロは、最近サンダウンでゼウスオリンピオスを3着に退けて快勝しており、ここを回避する可能性もある。

昨年、人気薄でG1・クイーンエリザベス2世Sを制したシセロズギフトも候補に入っており、ザライオンインウィンター、成長著しい5歳馬モアサンダー、そして昨季のG1・ムーランドロンシャン賞勝ち馬サーランもフランスから参戦する見込みだ。

愛2000ギニーデー
カラ(アイルランド)、5月23日

前走の英2000ギニーを圧巻の内容で制したボウエコーは、愛2000ギニーへの出走を見送る。そのためニューマーケットで同馬に敗れた馬たちにチャンスが回ってくる。

G1・BCジュベナイルターフ勝ち馬グスタードは同レースで2着、ゴドルフィンのディスタントストームは3着だった。グスタードを管理するエイダン・オブライエン調教師は、G1を2勝しているプエルトリコも有力候補として抱えており、このレース13勝目を狙う。

チャンピオンズ&チャターカップデー
シャティン(香港)、5月24日

ロマンチックウォリアーは香港三冠達成を目指し、日本からの遠征馬、ローシャムパークとディープモンスターを迎え撃つ。

ただし、香港三冠を達成した馬は過去に2頭しかいない。さらにロマンチックウォリアーは2400mに距離を延ばさなければならない。過去にこの距離を走ったのは一度だけで、3年前の同レースではクビ差の2着だった。

タタソールズゴールドカップ
カラ(アイルランド)、5月24日

昨年の英ダービー馬、ランボーンは先週、チェスターで復帰勝ちを収めた。派手さはなかったものの、勝利という結果を残している。同馬はこのレースに登録しており、同じエイダン・オブライエン厩舎のミニーホークも登録している。

ミニーホークは昨年、オークス3冠を達成し、G1・凱旋門賞で2着に入った牝馬で、今季初戦のG2・ムーアズブリッジSを勝っている。

愛1000ギニー 
カラ(アイルランド)、5月24日 

先週末に仏1000ギニーを勝ったダイヤモンドネックレスはこのレースに登録しているが、G1・仏オークスへ向かう可能性もある。そうなれば、ニューマーケットの英1000ギニーを勝った僚馬トゥルーラブが、オブライエン勢の有力候補となる。

オブライエン調教師はこのレースを11勝しており、昨年はレイクヴィクトリアで制した。一方、カール・バーク厩舎のエヴォリューショニストは、ニューマーケットでトゥルーラヴの2着に敗れており、雪辱を期している。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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