競馬場: 東京競馬場
距離: 1600m
総賞金: 3億9060万0000円
安田記念は、日本の春を代表するマイル戦であり、JRAが年間で施行する3歳以上・牡牝混合G1マイル戦は、このレースと11月に京都競馬場で行われるマイルチャンピオンシップの2レースに限られる。
1951年の創設以来、数々の名馬がこのレースを制してきた。代表的な勝ち馬には、オグリキャップ、タイキシャトル、ロードカナロア、モーリス、グランアレグリアがいる。香港からの遠征馬では、フェアリーキングプローン、ブリッシュラック、ロマンチックウォリアーも名を刻んだ。
1995年にはゴドルフィンのハートレイクが、外国調教馬として初めて安田記念を制した。ただし、欧州からの遠征馬は今も多くない。今年の安田記念は、日本調教馬だけで争われる。
ガイアフォース、最大級のチャンスが到来
競馬ファンに愛されるのに、必ずしもG1タイトルが必要なわけではない。ガイアフォースは、その好例だ。
芦毛の馬体は、それだけでファンの目を引く。そこに堅実さ、幅広い適性、息の長い活躍、そしてG1ではあと一歩届かない存在という魅力が重なれば、7歳で悲願のG1初制覇をつかんでほしいと多くのファンが願うのも当然だろう。
杉山晴紀調教師が管理する同馬は、3歳時にG2・セントライト記念を勝って以降、さまざまな舞台を経験してきた。中距離にも挑み、ダートにも使われ、2024年のG1・フェブラリーステークスでは2着に入っている。そして安田記念には3年連続で挑み、4着、4着、そして昨年は2着だった。
昨年、ジャンタルマンタルの2着に入った走りは、6歳にして評価をもう一段押し上げる内容だった。その後、G2・富士ステークスでは同じ相手を下して勝利し、G1・マイルチャンピオンシップでは再びジャンタルマンタルの2着に入った。
今回はジャンタルマンタルが不在。ガイアフォースが、ファンの待ち望む大きなタイトルに届く可能性はある。


パンジャタワーは「マイルでこそ」?
パンジャタワーは、昨年のG1・NHKマイルカップを制した時、今後の短距離からマイル路線で中心になり得る存在に見えた。さらに次走では1200mのG2・キーンランドカップも勝利した。しかし、その後は3連敗。今は巻き返しを図る立場にある。
ただし、敗戦はいずれも難しい課題を課されたものだった。キーンランドカップの後はシドニーへ遠征し、1500mのゴールデンイーグルに出走。16頭立ての一戦で、強豪牝馬オータムグローの5着と内容のある走りを見せた。
続いて、サウジアラビア遠征では1400m戦に臨んだが、序盤に行きたがる面を見せながらも、国際級の強豪相手に再び5着とまずまずの内容だった。
そうした経験を経て、パンジャタワーは3月のG1・高松宮記念(1200m)に向かった。橋口慎介調教師はメディアに対し、同馬は本質的にはスプリンター寄りだと見ていると語っていた。パンジャタワーはサトノレーヴの4着。そこから、再びマイルへ戻ることになる。
昨年、NHKマイルカップ勝ち馬として久々に安田記念を制したジャンタルマンタルに続けるかが問われる。
ステレンボッシュに復活の兆し
ステレンボッシュのデビューから8戦は、クラシック級の牝馬がやがて世界の大舞台でトップ牝馬へ成長していくという、日本競馬の王道の系譜を受け継ぐ存在になり得ると思わせるものだった。次のラヴズオンリーユー、あるいはリスグラシューになる可能性すら感じさせた。
2024年には牝馬クラシック初戦のG1・桜花賞を制し、続くオークス、G1・優駿牝馬で2着。3歳シーズンの締めくくりには、2400mのG1・香港ヴァーズで内容のある3着に入った。
しかし、4歳シーズンは収穫に乏しいものになった。5戦して13着、8着、15着、10着、そしてG3・中山牝馬ステークスでも精彩を欠く7着。若い頃の輝きは影を潜め、国際舞台で日本の期待を背負って結果を出した名牝たちと肩を並べる姿は見えなくなっていた。
それでも、直近のG3・エプソムカップ(1800m)では大きく内容を良化させ、ハナ差の2着。G1・安田記念へ向かうステレンボッシュには、かすかな希望が戻ってきた。勝ったトロヴァトーレは5歳馬で、16戦8勝の堅実な実績を持つ。
ただし、これまで唯一のG1挑戦だった昨年の安田記念では17着に敗れている。それでもトロヴァトーレは現在2連勝中で、今回は単勝オッズ一桁台に支持される可能性が高い。
もしステレンボッシュが本当に上昇曲線に戻っているなら、持って生まれた能力だけでも勝負圏に加わってくる可能性はある。安田記念は、2020年代に入って牝馬が3度勝っているレースでもある。