長年にわたり、ニュージーランドはオーストラリアの「二番手」の存在だった。北半球の多くの人々はニュージーランド産馬の名前を挙げることすら困難だろう。ファーラップからソーユーシンクまで、最高の「オーストラリア馬」の多くが実際にはニュージーランド産だったにもかかわらずだ。
南半球の馬の中で、凱旋門賞での優勝に最も近づいたのはニュージーランド産のバルメリーノだった。また、イギリスのエイントリー競馬場で開催される世界最高峰の障害競走であるグランドナショナルでは、これまでモイファー、シーグラム、ロードギレーンという3頭のニュージーランド産馬が勝利を収めている。
過去20年間でオーストラリアやアジアの賞金が急上昇する中、ニュージーランドは取り残されてきた。ニュージーランドの最優秀馬の多くが海外で出走し、その中にはビューティージェネレーション、ワーザー、エアロベロシティ、アンビシャスドラゴン、ヴェンジェンスオブレインといった香港のチャンピオンたちも含まれる。
このような馬たちの流出は、ニュージーランドの競馬産業に打撃を与えた。しかし、長年の停滞を経て、最近のニュージーランドは突如として競馬の注目地点として再浮上してきた。
オーストラリアの有力生産者ジョン・メッサーラ氏が提言したガバナンス改革の数々が実施され、また世界的な勢力を持つエンテイン社がニュージーランドTABを買収したことで、賞金も再び上昇傾向にある。
賞金の増額に加え、シンガポールとマカオの競馬場閉鎖により、ニュージーランドの優秀馬を国内に留める動機が高まっている。
そのような動きの中で南半球最高額の3歳馬レースが3月に始まる。ニュージーランドで生産、受胎、または販売された馬に限定される350万NZドル(約3億円)のNZBキーウィ(1500m)が、エラズリー競馬場で実施される。
高額賞金が必ずしも世界クラスの成果を意味するわけではないが、世界のハンディキャッパーたちもニュージーランドの最近の復興に注目している。
2023年には世界のトップ100G1レースで、2つのニュージーランドのレースが初めてリストに入った。レイルウェイステークスとBCDグループスプリント(ワイカトスプリント)が、同国のG1レースとして新記録となる同率78位に達したのだ。
これは主に、トップスプリンターのインペラトリスの活躍による。同馬はこれらの両レースを制した上に、その後18ヶ月の間に素晴らしい成績を収め、2023-24年度オーストラリアのチャンピオンスプリンターに選ばれた。ニュージーランド調教馬がオーストラリアのチャンピオンに選ばれたのは、2001-02年にサンラインが年度代表馬に、エセリアルがステイヤー部門の代表馬に選ばれて以来初めてのことだ。

騎手陣も国際的な強化が図られている。ニュージーランド最高の騎手であるジェームズ・マクドナルド騎手は既に本国を拠点としていないが、その代わりに南アフリカ2度のチャンピオン騎手であるウォーレン・ケネディ騎手、イギリスのG1勝利騎手ケビン・ストット騎手、日本出身の橋詰大央騎手と浅野一哉騎手らが、クレイグ・グリルズ騎手、マイケル・マクナブ騎手、リサ・オールプレス騎手、サム・スプラット騎手といった地元の実力騎手たちと競い合っている。
ニュージーランドは今月後半、カラカミリオンズデーでの初のワールドプールイベント開催により、さらなる国際的認知への一歩を踏み出す。この開催ではエラズリー競馬場からレイルウェイステークスを含む3レース、ドバイから2レース、そして南アフリカのケープタウンメットデーから7レースが提供される。
さらに3月8日、ニュージーランドの新設チャンピオンズデーでは、エラズリー競馬場のレースが世界中に配信される。フレミントンとランドウィック競馬場のG1レースを含むプログラムと並んで、NZBキウイとニュージーランドダービーが実施される。
水曜日には、カリフォルニアのサンタアニタパークとフロリダのガルフストリームパークの両競馬場を所有する1/STレーシングとの新たなパートナーシップが発表された。これは、一流のアメリカ産馬のニュージーランドへの遠征、およびその逆を促進することを目的としている。
もはやオーストラリアの陰に甘んじるのではなく、ニュージーランド競馬は今後数年でかつてない高みに到達しようとしている。