レイチェル・キング騎手は2025年初めに日本で再び騎乗する予定を立てている。シーズン最初の2ヶ月間を使った毎年恒例の『ワーキングホリデー』の中で、堀宣行調教師と再びタッグを組むことを心待ちにしているという。
オーストラリアを拠点とするキング騎手は、短期免許を申請して1月上旬から日本で騎乗する予定となっており、秋シーズンが本格化する3月上旬に合わせてシドニーに帰国するスケジュールを立てている。
「今年初めに短期免許を使って1月と2月に来日しましたが、そこでは本当に素晴らしい方々とのコネクションを築くことができました」と、キングはIdol Horseの取材に対して語った。
「日本は本当に素晴らしい場所です。日本の馬産地、競馬産業には畏敬の念を抱いています。本当に素晴らしいです。皆さんは何をするにしても完璧を追い求めますし、それが競馬のレベルにも現れています。その一員となれたのは光栄でしたし、クリスマスを家でゆっくり過ごした後にまた戻れるのが楽しみです」
JRAでの競馬開催は週末に限られている。母国では毎週7日間休みなく騎乗し続ける外国人騎手にとって、このスケジュールは束の間の休息となっている。
「日本に行くのは毎年の休暇のような感じです。もちろん、週末はハードです。1日に12レースが組まれ、レース間は短いので忙しい日々が待っていますが、それ以外は気に入っています。水曜日と木曜日には調教が行われ、オーストラリアほど多くの馬を担当するわけではありませんが、一頭一頭にかける時間が長いので、それだけで半日を費やします」
「それ以外の日は、日本各地を旅行してこの国を見て回る時間があります。私は普段、東京近郊に滞在していますが、ちょっとした観光を通じて日本について学びを得ることができました。次に来日したときに訪れてみたい場所のリストもあります。本当に美しい国だと思っています」
「日本自体が好きなんです。街もクリーンで整っていますし、日本の皆さんは本当に親切です。特に、日本語が話せない私に対してもとても親切でした。挑戦してみましたが、日本語はなかなか難しくて。ですが、日本の皆さんはとても親切に対応してくれて、言葉が通じなくても助けようと頑張ってくれるんです。また戻る日が待ちきれません」
キングは世界を飛び回るグローバルな騎手として、新たな地位を獲得しつつある。2024年の幕開けを日本で迎えると、その後はオーストラリアに戻った。イギリスのシャーガーカップ、香港のIJCといった国際的な騎手招待競走にも出場し、オーストラリア拠点の騎手としては史上初となるブリーダーズカップでの騎乗も果たした。G1・BCジュヴェナイルターフでは堀宣行厩舎のサトノカルナバルとコンビを組んで9着に入ったが、これが自身にとって初めてのアメリカでの騎乗だった。
「本当に信じられないようなチャンスでした。まさかデルマーでブリーダーズカップに騎乗するなんて、夢にも思わなかったです」
「日本へ行ったとき、海外への遠征馬を任されるかもしれないと思ったことはありましたが、アメリカで乗れるとは思いませんでした。オーストラリアへの遠征馬を任されるような展開を想像していたので、アメリカでのチャンスをいただいたのは信じられないことでした」
「思い描いた最高の結果ではありませんでしたが、素晴らしい経験でした。皆さんとても日本人らしい方々で、本当に誠実そのものなんです。堀先生やオーナーさんはとても親切で、私にその機会をくださったことに本当に感謝しています。皆さんは私のことを信頼してくださっていますし、今はその恩返しをしたいです」


堀調教師の馬が初めてオーストラリアに遠征してから、来年で10年が経つ。2015年、リアルインパクトでG1・ジョージライダーステークス(1500m)を勝利、G1・ドンカスターマイル(1600m)で2着に入った。
57歳の堀宣行調教師が率いる厩舎は、2025年にシドニーに挑戦する可能性がある期待馬を多数擁している。G1・ドバイターフ(1800m)で2年連続の入着を誇るダノンベルーガ、G1・香港スプリント(1200m)で3着に入ったサトノレーヴ、オーストラリアでG1を4勝した名牝モシーンの息子であるダノンエアズロック、先日7歳にして去勢されたG3勝ち馬のサクラトゥジュールなどはその一例だ。
堀厩舎からオーストラリアに遠征する馬が現れた場合、キングが鞍上の候補だ。しかし、シドニーのザ・チャンピオンシップス初日をパスして、4月5日のドバイワールドカップデーで堀厩舎の馬とコンビを組む可能性もある。これまで、堀厩舎の馬はドバイで8頭が出走し、そのうち4頭が入着を果たしている。
「堀先生は『几帳面』という言葉が似合う方なんです」とキングは語る。
「厩舎運営の全体、細部への拘り、スタッフの日常的な仕事ぶりは本当に素晴らしい。全てを把握しようと全力を尽くしていますし、そこに一切の妥協はありません。堀厩舎から騎乗依頼を貰った場合、レースの当週か1週間前に調教で乗れるよう手配してくれるんです。馬のことを把握できるように気を配ってくれるので、堀先生のためにレースに乗るのも楽しかったです」
「パドックの作戦会議では必要なことはなんでも教えてくれましたが、後は『任せる』といった感じなんです」
「そこに特別な指示はなく、『私の役目は終わった。後は君の役目だ』という雰囲気で任せてくれます。それが本当に嬉しかったですし、私へのリスペクトも感じられ、まさに信頼の表れだと思いました。そのおかげでレースも上手く行きましたし、少しづつ信頼を得ることもできました。堀先生から学べることは多かったです。まさにそれこそが、彼の厩舎に良い馬が集まり、世界の舞台で戦える理由なんだと思います」