アドマイヤマーズ産駒の4歳牝馬、エンブロイダリーは日曜日、東京競馬場で行われたG1・ヴィクトリアマイルで勝利を収め、クリストフ・ルメール騎手にキャリア通算・G1レース100勝目をプレゼントした。
エンブロイダリーにとっては昨年の桜花賞、秋華賞に続く3度目のG1勝利であり、日本を代表する牝馬マイラーの一頭であることを改めて示した。しかし、この勝利でより重要だったのは、単に勝ったという事実ではなく、そこに至るまでの過程だった。
同馬を管理する森一誠調教師は、この春の調整には明確な狙いがあったと語った。昨年秋、秋華賞に向けた調整過程では、中間に軽いスクミがあり、さらに2000mという距離もあったため、調整はやや控えめなものになった。12月の香港マイルでは11着に敗戦。だが今年は、重点を変えた。
「今年の春はマイル戦を2つターゲットにしていましたので、しっかりと乗り込んで、古馬と対戦しても負けないスピードというところで、しっかりとした調教を重ねなければならないということで」と森師は狙いを説明する。
「その中で体を減らすことなく、テンションも上がることなくというところで、思い通りの調教ができたというところで、その辺はこの馬の成長を感じた中間でした」

そのレース内容にも、調整と成長が現れていた。ルメールは序盤から無理に主張する必要はなくとも、前向きなポジションを取りたいという考えを持っていた。前走の阪神牝馬ステークスでは逃げ切っていたエンブロイダリーだが、森師もまた今回は違う形になると想定していた。
12番枠から出たエンブロイダリーは好スタートを切り、エリカエクスプレスがペースを作り、外からニシノティアモが続く流れの中で、先行勢の直後に収まった。ルメールは、彼女のストライドを生かせるだけの位置を確保しつつ、ペースと争わせるほど前には行かせなかった。
エンブロイダリーは道中6番手あたりを進み、東京の坂を力強く駆け上がると、残り200m付近で先頭に立った。
ルメールが勝機を感じたのは、本格的に馬に合図を送る前だった。
「直線に入ってから、(馬が)自分でハミを取りました。坂を登ったときは、僕はまだアクションしていなかったです。自分で加速してきてくれました。ギアアップしてくれました。坂を登ってから、勝てると思いました」とルメールは語った。
それは、森が作ろうとしてきたエンブロイダリーの姿を最もよく示す場面だった。彼女がレースに引き込まれる必要はなく、ルメールとともに脚を伸ばした。カムニャックは直線で彼女を追う形になり、しっかりと脚を使ったが、残り200mを通過する頃には1番人気馬がすでにレースを手中に収めていた。
エンブロイダリーは良馬場の芝1600mを1分30秒9で走破し、2着のカムニャックに1馬身1/4差をつけた。さらに1馬身1/2差の3着にはクイーンズウォークが入った。ルメールの勝ち馬への評価は、単に「速い牝馬」という表現よりも具体的だった。彼はスピードだけでなく、スタミナ、力強さ、そして落ち着きを見いだしていた。
「スピードがありますし、2000mのG1も勝ちましたから。長い脚を使いますけど、とてもパワフルな走り方です。背中も強いし、メンタルも強いですね」
森師もまた、エンブロイダリーの心身の成長ぶりを評価した。
「体も昨年より一回り大きくなって、完成の域に近づいてきたと思いますけども、それに加えて精神面の成長というところが非常に大きいなという印象です」
その成長はルメールの目にも明らかだった。Idol Horseの取材に対し、ルメールは「暑さの影響は少しあった」としたうえで、パドックでの毛艶も理想的ではなかったと話した。ただ、ゲート裏に着いた時点で、彼の自信は戻っていた。
「ゲートの裏に到着したときは、完璧に手の中にいるように、とても穏やかで、とても落ち着いていました。だから自信がありました」

この勝利は、ルメールにとっても大きな節目になった。アドマイヤリード、アーモンドアイ、グランアレグリア、アスコリピチェーノに続くヴィクトリアマイル5勝目であり、JRAの競馬場で行われたG1通算60勝目、全世界でのG1競走100勝目でもあった。
しかし、より直接的な問いは、ルメール自身の記録ではなく、エンブロイダリーが今後どこへ向かうのかという点にある。
森師はこの質問に対し、選択肢を限定することを避けた。国内外を含めてさまざまな選択肢があるとし、馬の状態を見ながら考えていきたいと述べた。同時に距離については、さらに延ばしていくというより、2000mぐらいまでが守備範囲になるとの見方を示した。
ルメールの見方も同じ方向だったが、より具体的だった。ヴィクトリアマイルの勝ち馬にはBCフィリー&メアターフへの優先出走権が与えられる。そのブリーダーズカップについて問われると、彼は可能性を否定しなかった。ただし、無条件に適性を認めたわけでもなかった。
「キーンランドはとても小さな競馬場です。彼女はストライドが大きいので、彼女にとって理想的かどうかは本当には分かりません。でも、素質はあるので、どうなるか分かりません」とルメールはIdol Horseに語った。
ルメールにとって、彼女に合う競馬場のタイプについてはより明確だった。東京は彼女に向いた広いコースだ。そして、昨年敗れたシャティン競馬場も可能性が消えたわけではない。
「もし彼女の調子が良ければ、(シャティンも)向かないことはないでしょう。シャティンも広いコースですからね。昨年は、もしかしたらシーズンが長かったかもしれないですし、3歳馬でしたから、香港のチャンピオンマイラーたちを相手にするのは難しかったです」
「でも、あの時の彼女は本来のエネルギーではなかったです」