松山弘平は右手の人差し指を高く突き上げて決勝線を通過した。そのジェスチャーに説明は不要だった。1つ目を制覇。残るは2つだ。
2歳女王のスターアニスは、日曜日に阪神で行われたG1・桜花賞において、直線でライバルたちを突き放す圧倒的な能力を見せつけた。この勝利により、牝馬三冠路線の中心にいる存在であることを証明し、鞍上は馬を止める前から、次を見据えるしぐさを見せた。
その突き上げられた指の背景には、的中した一つの賭けがあった。高野友和調教師は、昨年のG1・阪神ジュベナイルフィリーズの勝ち馬にトライアルレースを使わせるのではなく、約4カ月の休養期間を経て桜花賞に直行させるという選択をした。
高野は「日が経ってからも『まだ回復しきっていないな』と感じる部分がありました」とレース後に振り返った。前哨戦を使って仕上げるのではなく、フレッシュでエネルギーに満ちた状態で本番に臨む方が、この馬には良いだろうと判断したのである。
その判断は、日曜日の阪神で正しかったことが証明された。
スターアニスは2着のギャラボーグに2馬身半の差をつける堂々たる走りで桜花賞を制し、2歳女王としての格の違いを力の違いを見せつけた。
松山にとっては、当時無敗であったデアリングタクトを勝利に導いて以来6年ぶりの桜花賞制覇となった 。また高野にとっては、日本競馬の伝統ある八大競走での初勝利となった。
しかし、すべてが完全にスムーズだったわけではない。
松山は向正面で、外側から他馬に被せられる窮屈な場面に直面した。
「少し外から被せられるような難しい場面もありましたが、この馬は人間の指示をしっかり理解してくれます」と松山は語った。
「馬が我慢してくれたことが最後の末脚に繋がったのだと思います」
その展開を見守る高野も緊張を感じていた。
「向正面で騎手が馬を制御するのに、少し進路が狭くなった場面がありました。少し引っ張り上げるシーンがあったので『おっと』と思いました」と彼は話した。
それでもなお、指揮官はスターアニスがいかに早くリズムを取り戻したかに感銘を受けた。
高野は感慨を込めて「自分で管理していながら『本当に強いな』と思いました」と述べた。
各馬が4コーナーを迎える頃には、松山の中で勝負は決していた。
「『これなら大丈夫だ』と思っていました」
直線に向いてもスターアニスの手応えは力強く、松山は追い出しを我慢する余裕すらあった。
「抜けてからは本当に力強い走りで後続を離してくれました」
松山はレース前、2歳女王の主戦騎手として期待の重さを感じていたことを認めた。
「混戦ではあったと思いますが、やはり2歳女王ということで、自分の中では本当に負けられない戦いでした。絶対勝つんだという気持ちで挑みました」
その重圧を和らげたのは、この牝馬の落ち着きだった。
「返し馬からポケット、ゲートに至るまで、終始落ち着きがあったことは本当に良かったです 。厩舎サイドが本当に上手に仕上げてくれました」


高野にとって、初のビッグタイトルには特別な重みがあった。
「私も競馬ファンから始まって、ファン時代からその重みは感じていました 。僕なんかががクラシックを勝つ日が来るとは、という思いもあります」
それでもなお、高野が松山に詳細な指示を出して負担をかけることはなかったという。
「デビュー戦からずっと任せています。実際の競馬についてはプロのライセンスを持っているジョッキーに任せるのが一番だと思っています」
高野はまた、スターアニスが2歳時より肉体的にどれほど強化されたかについても言及した。
「背中やトモの筋肉の盛り上がりが出てきました。脂肪が全くつかないタイプで、あばらはずっと見えているような感じですが、つくべきところに筋肉がついた。まだまだ成長しそうな予感もしています」
今後の予定について、高野は具体的な目標を明言しなかった。
「現時点で次走をどうするかは一切決めておらず、オーナーと相談し、ジョッキーのコメントも踏まえながら考えていきたいと思います」
松山も同様に、オークスでの距離延長について問われると慎重な姿勢を見せた。
「落ち着きや精神面の強さがあるので、その点は大丈夫かなと思っています」としつつ、血統などの他の要素も考慮しなければならないと付け加えた。
しかし、両者ともこの牝馬の能力への確信に迷いはなかった。高野はこの馬の強さについて「リズムを崩しかけたところから突き放す力、そしてその能力を出し切るメンタルの強さ。この2点に尽きると思います」と力を込めた。
日曜日のレースが証明したように、彼女にはその両方が再び必要になるだろう。優駿牝馬まであと4週間、松山の指はすでに宙を指している。
「一冠目という意味も込めて指を立てました。本当に強い馬なので、ますます楽しみです」