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G1・シティオブヨークステークスで、日本を代表するスプリンター、サトノレーヴはネーヴスミア(ヨーク競馬場の別名)の7ハロン戦で本来の走りを見せられずに終わり、ジョアン・モレイラ騎手が勝利を手にすることはなかった。一方、ヨークの美しい街並みは、モレイラの目にも新鮮に映ったようだ。

ブラジルの名手がヨークシャーを初めて訪れたのは、堀宣行調教師が管理する7歳馬への騎乗を2日後に控えた日のことだった。中世の城壁、石畳の通り、13世紀に建てられたゴシック様式のヨーク大聖堂、そして美しい競馬場。古き良きヨーロッパの趣を残す街並みは、モレイラに強い印象を残した。

しかし残念ながら、サトノレーヴのヨーク競馬場での走りは芳しくなかった。結果は14頭立ての9着。勝ち馬のノータブルスピーチからは大きく離された。ゴドルフィンが所有するG1・ブリーダーズカップマイル覇者は、ウィリアム・ビュイック騎手を背に圧倒的な走りを披露した。

堀師への報告を終えたモレイラは、Idol Horseの取材にこう説明した。

「本来の走りではありませんでした。間違いなく、あれがベストではありません。道中は決してスムーズではなく、残り1300m、あるいは1200m付近で進路を阻まれる場面もありました」

「あの位置取りなら、脚を溜められて最後はいい脚を使えるはずでした。前半は無理をさせずに運んでいましたが、残り1ハロン半では余力がまったくありませんでした」

晩夏に2日ほど雨が続き、馬場にはその影響が残っていた。当日は晴れていたものの、午後の第1競走を終えたトム・マーカンド騎手は、馬場についてIdol Horseに「力が要る」「粘りつくようだ」と表現した。実際、そのレースを走った馬たちは、蹄で芝の表層を大きく削り、ターフを飛ばしていた。

ただし、シティオブヨークSまでにはさらに1時間ほど日差しが照りつけ、表面を乾かしていた。モレイラは、稍重の馬場がサトノレーヴの敗因だったとは考えていない。

「馬場のせいにはしません」

その前、プレパレードリングを引かれていた時点のサトノレーヴに大きな異変はなさそうだった。鞍を着けていない背中に暖かな日差しを浴び、時折頭を振る程度で、この段階では特に異常は見られなかった。

装鞍所の馬房に入り、扉を閉めて鞍を着けた午後2時37分、発走23分前になっても問題はなかった。

競馬通の熱心なファンが三方を囲むパドックでは、少し神経質になっていたのかもしれない。しきりに頭を小刻みに動かし、そのたびに引き手の腕がわずかに揺さぶられていた。それでも、モレイラが騎乗して発馬機へ向かうまでは、目立った変化はなかった。

7ハロンのスタート地点までの返し馬では、満員のスタンドのすぐ前を通る、比較的狭い走路を進む。異変の兆候が明らかになったのは、その時だった。

モレイラは「いつものサトノレーヴではありませんでした」と振り返る。そして、スタート地点に着くと状況はさらに悪化した。

「集中力を欠くような仕草をしたり、チャカついたりして、少し汗もかいていました。やや不安になっていて、ゲートへ入りたがらなかったことで、レース前にエネルギーを少し消耗してしまいました」

Satono Reve slightly revved up in the pre-parade at York
SATONO REVE / G1 City Of York Stakes // York /// 2026 //// Photo by Idol Horse
Noriyuki Hori watching Satono Reve run at York
NORIYUKI HORI / G1 City Of York Stakes // York /// 2026 //// Photo by Idol Horse

この日、現地入りした堀宣行調教師は、サトノレーヴの一挙手一投足を見つめていた。決勝線を少し過ぎた記者室前の階段に立ち、同馬がスタート地点へ着いた時から双眼鏡を目から離さなかった。

レース後、敗れた馬群の中でモレイラが走りを緩めるまで、その姿を追い続けた。

発走前、サトノレーヴはゲート入りを拒む仕草を繰り返した。係員たちが後ろへ回り、押し込もうとする様子を堀師は見ていた。いら立った同馬は、何度も後肢を蹴り上げ、後ずさりしながら跳ねた。係員たちが目隠しを着けてさらに押すと、サトノレーヴはようやくゲートへ入った。

「ゲートへ入る時に気難しいところを見せました。これまで、どの競馬場でもあのようにゲートへ押し込まれたことはなかったと思います。押そうとした途端、係員たちに向かって後肢を蹴り始めました。それでも、気持ちを切り替えて次へ進むしかありません」

レース中盤へ差しかかるころには、モレイラの手がすでに激しく動き始めていた。サトノレーヴが苦戦していることの現れだった。その前では、ノータブルスピーチがギアを上げ加速していた。勝ち馬は、ブリーダーズカップのタイトル防衛を目指してキーンランドへ向かうことになりそうだ。

勝利したチャーリー・アップルビー調教師は、次のように述べた。

「今日ここへ来た大きな収穫は、ブリーダーズカップで通常経験するより少し時計のかかる馬場でも、ある程度の適応力を見せてくれたことです」

「キーンランドへ向かうにあたっては、高速馬場になるのか、それとももっと秋らしい馬場になるのか、不確定要素があります。今日の走りで、ブリーダーズカップへ直行する自信が持てたと思います」

一方、クリチバ出身の『マジックマン』ことモレイラは、いつの日か再びヨークを訪れたいと願っている。700年の歴史を持つ木組みの店舗が並ぶ、ヨークで最も有名な通り「シャンブルズ」を歩いた時のことを話すと、その目は輝いた。

「この場所が大好きです。本当に特別です。こんなところは見たことがありません。感動しました。本当に気に入りました。機会があれば、またここへ来たいです。これまでの人生で、こんな場所は見たことがありません」

さらにモレイラは、ヨーク大聖堂についても感嘆した様子で話した。

G1・高松宮記念を2連覇し、香港では名馬カーインライジングを追って2着、ロイヤルアスコット開催でも僅差の2着に入ったサトノレーヴだが、海外初勝利はまたもお預けとなった。モレイラはこの一日を次のように振り返った。

「残念ですが、こればかりは仕方がありません。気持ちを切り替えて、次へ進むだけです。今日は間違いなく、この馬のベストを見せられませんでした」

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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