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カーインライジングを21連勝へと導いてきたザック・パートン騎手だが、この2週間は同馬への不満を口にし続けていた。

香港のスプリント王者は、日曜に行われたシーズン開幕戦のG3・香港特区行政長官盃を前に、2度のバリアトライアルでいずれも手前を替えずにゴールイン。歯に衣着せぬことで知られる鞍上は、そのことを周囲にはっきりと伝えていた。

それだけに、カーインライジングがキャリア最大の着差で圧勝し、自らのコースレコードを1秒近くも更新した後、競馬界きっての辛口な評価者がたった一言しか発せなかったのは、何とも皮肉だった。

圧勝劇を目の当たりにしたパートン騎手は、Idol Horseの取材に「すごい」とだけ口にした。

さらに、これが6歳馬にとって過去最高のパフォーマンスだったかと問われると、こう答えた。「まあ、時計を見ればそうだったということになります。違うとは言えません。ほかの全馬より20ポンド重い斤量を背負いながら、あれほど圧倒し、あの時計で走ったのですから。驚異的です」

数字もその評価を裏付けている。カーインライジングは、いずれも最低斤量の115ポンド(約52.2kg)だった5頭より20ポンド(約9kg)重い斤量を背負いながら、1200mを1:06.11で走破した。

そして、4月のG1・チェアマンズスプリントプライズで自身が樹立したレコードを0.99秒も更新し、カーインライジングが2024年に初めて塗り替えるまでセイクリッドキングダムが17年間保持していた記録を1.39秒も上回った。シャティン1200mのレコードを自ら更新するのは、これが実に5度目だった。

KA YING RISING, ZAC PURTON / G3 HKSAR Chief Executive’s Cup Handicap // Sha Tin /// 2026 //// Video by HKJC

カーインライジングを手掛けるデヴィッド・ヘイズ調教師は、その週を通して記録更新の予感を抱いていた。

月曜にカーインライジングが壁を蹴り、画像検査を受けた末に出走を許可されるという出来事があっても、その感覚は変わらなかった。7馬身3/4差で同馬がゴールすると、ヘイズ師は「1分6秒!」と叫んだ。

「残り200メートルで、近くにいた人に『これはレコードを破るぞ』と言ったんです。ザック(パートン騎手)がしっかり追っていましたからね」

ヘイズ師が注目したのは、前走から29ポンド(約13kg)増え、過去最高のレース当日馬体重となる1172ポンド(532kg)で姿を現したカーインライジングだった。同馬は、かつての粗削りで気負いがちな若馬から、目に見えて成長を遂げている。

「さらに大きくなり、さらに良くなっています」と、ヘイズ師は同馬の成長ぶりを語る。

「最近、厩舎の改修で管理馬を移動させた際、ほとんどの馬は1週間ほど十分な量の飼い葉を食べませんでした。カーインライジングだけは、すぐに飼い葉を平らげました。もう以前とはまるで違います。その変化がはっきり表れています」

この勝利で、カーインライジングの通算成績は24戦22勝となった。最後に敗れたのは2024年1月。10月17日にランドウィック競馬場でジ・エベレストへ出走する時には、最後の敗戦からちょうど1000日が経過する。

Zac Purton signalling Ka Ying Rising's 21 straight wins
KA YING RISING, ZAC PURTON / G3 HKSAR Chief Executive’s Cup Handicap // Sha Tin /// 2026 //// Photo by HKJC

パートン騎手は、昨年のジ・エベレストへ向けた調整は不十分だったと考えており、日曜の圧勝はその反省を踏まえて意図的に負荷をかけた結果だったと明かした。

もっとも、カーインライジングは調整不足だったという昨年も、ジ・エベレストを制している。

パートンは昨年の調整過程について、「昨年はこのレースで終盤に流しました。その後ランドウィックへ行くと、トライアルでは手を抜き、本番でも最高の状態ではありませんでした」と振り返った。

「検疫施設に入ると、休暇に来たと思ってしまったのです。そういうモードになっていました。今回はもっとしっかり仕上げ、ここでもう少し負荷をかけておきたかったのです。豪州へ行って、今日のような走りをしてほしいですから」

パートンはそれと同時に、母国で地元勢が力をつけていく様子にも目を配っている。昨年のジ・エベレストでカーインライジングの2着だったテンプテッドは、その後4連勝を飾り、土曜にランドウィック競馬場で行われた休み明け初戦のG3・コンコルドステークスも制している。

さらに、3歳馬のゲストハウスは、その1週前の復帰戦、G3・サンドメニコステークスを勝利して新たな有力馬として台頭する気配を示した。

「豪州にいるのは世界最高峰のスプリンターたちですし、彼らにとっては地元での競馬です」

「向こうの馬はレース当日に競馬場へ行くだけで済みます。一方、私たちは長距離を移動し、現地で態勢を整え、異なる馬場で力を発揮しなければなりません。現地では馬用プールも使えず、乗り越えるべき障害が多いのです」

「ただ、今年は昨年よりも良い馬になると思います。向こうにも楽しみなスプリンターがそろってきましたから、簡単にはいきません。私たちは最高の状態で臨む必要があります」

カーインライジングはレース後、ひとまずシャティンの検疫施設へ直行した。シドニー行きのフライトまでは2週間を切っている。ようやく批判の材料がなくなった鞍上が代わりに求めるのは、ひとつだけ。今度は休暇気分ではなく、世界に見せつける走りをすることだ。

「すでにジ・エベレストを勝っている馬です。これ以上、望むものはありません。それでも、世界の記憶に残るパフォーマンスを見せてほしいですね」

マイケル・コックス、Idol Horseの編集長。オーストラリアのニューカッスルやハンターバレー地域でハーネスレース(繋駕速歩競走)に携わる一家に生まれ、競馬記者として19年以上の活動経験を持っている。香港競馬の取材に定評があり、これまで寄稿したメディアにはサウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ジ・エイジ、ヘラルド・サン、AAP通信、アジアン・レーシング・レポート、イラワラ・マーキュリーなどが含まれる。

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