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「種牡馬選定レース」という言葉は、少し気軽に使われすぎているところがある。

いくつかのレースには与えられ、多くのレースにはない、うらやましがられる肩書きだ。欲しくても、なかなか手に入れられないものでもある。香港ジョッキークラブ(HKJC)は、G1・香港カップを種牡馬として箔を付けるレースにしたいはずだが、まだそこには至っていない。

種牡馬選定レースとは、その言葉通りのものだ。確立された格式を持つG1競走であり、勝てばその牡馬の競走馬としての評価が高まり、遺伝子を残すために投資する価値のある存在として見られるようになる。まず思い浮かぶのは、英ダービー、ケンタッキーダービー、日本ダービーだろう。

もっとも、その肩書きは公式なものではない。どこかの管理団体が、どのレースを「種牡馬選定レース」と呼べるかを公式に認定しているわけではない。長い時間をかけて競馬界全体に浸透し、自然と定着した認識なのだ。

ユヴェントスがラ・ヴェッキア・シニョーラ、すなわち『イタリアサッカーの老貴婦人』として知られ、世界屈指のフットボールクラブと見なされているのと同じだ。ビアンコネリがここ6年セリエAを制しておらず、過去30年にわたって欧州タイトルから遠ざかっていても、その認識は変わらない。

今週末の大一番、G1・ジュライカップは、欧州で種牡馬選定レースとして知られる一戦だ。土曜の6ハロン戦を前に、ウィリアム・ハガス調教師が今週、Idol Horseの取材に対してアルメラクについて語った際にも、その点を示唆していた。

香港発のスーパースプリンター、カーインライジングとの将来的な対戦の可能性について問われると、ハガス師はこう語った。

「私たちの最初の仕事は、この馬を種牡馬にすることだと思います」

ハガス師はその上で、シャドウェルがこの牡馬を5歳まで現役を続行させるとしても、「来年のことは何とも言えませんが、オーストラリア遠征のような選択肢はまずないでしょう」と続けた。

そして、欧州における「6ハロンのスプリンターにとって非常に良いローテーション」として、ジュライカップ、モーリスドゲスト賞、ヘイドックスプリントカップ、英チャンピオンズスプリントを挙げ、さらに遠方へ転戦する必要はないとの見方を示した。

つまり、賞金2000万豪ドル(約22億円)のジ・エベレストにアルメラクが向かう可能性は低い。少なくとも、故ハムダン殿下によって築かれたシャドウェルスタッドにとって、豪州遠征の優先順位は高くなさそうだ。カーインライジングとの対戦も、おそらく実現しない。

ジ・エベレストは、種牡馬として箔を付けるようなレースではない。2017年に創設されて以来、牡馬の勝ち馬はイエスイエスイエスただ1頭。同馬は名門クールモアで種牡馬生活を始めたが、現在はグーリーパークに移り、種付け料はわずか1万6500豪ドル(約180万円)まで下落している。

オーストラリア競馬で種牡馬選定レースを探すなら、見るべきはジ・エベレストではなく、クールモアスタッドステークスだろう。

海外を含む遠方の大レースにも積極的に挑むハガス師だが、今回はシャドウェルにとって正しい判断をしている。そして本人が言うように、それが調教師としての仕事でもある。シャドウェルは種牡馬価値の高い牡馬を望むだろう。結局のところ、組織を継続させる必要があり、そのためには一定の収益性が求められる。

ジュライカップに話を戻せば、このレースは1876年に始まる歴史ある一戦であり、欧州のチャンピオンスプリンターの座を決定づけることも少なくない。今世紀に入ってからは、ジュライカップ勝ち馬12頭が欧州最優秀短距離馬に選ばれており、そのうち10頭は牡馬だった。

その中には、重要な種牡馬も含まれている。名スプリンターのオアシスドリーム、スタースパングルドバナー、ドリームアヘッド、リーサルフォース、そしてオアシスドリーム産駒でシャドウェル自家生産馬のムハーラー。さらに、欧州の新種牡馬リーディング首位に輝いたスターマンもいる。その産駒であるヴェネチアンサンは、土曜のジュライカップで本命視されている。

実際のところ、種牡馬の地位を確立するには、大抵の場合は一つの勝ち鞍だけでは足りない。望ましい血統の上に、競走成績を積み重ねていくことが必要になる。

たとえばオアシスドリームは2歳時にG1を勝ち、G1・ナンソープステークスも制した。だが同じくらい重要だったのは、父グリーンデザートがスピードを強く伝える種牡馬であり、母系が一貫してトップクラスの競走馬を送り出していたことだ。

一方で、ジュライカップの評判が効いてくる例としては、スターマンが挙げられる。決して流行の血統とは言えず、G1タイトルはジュライカップだけだった。それでも、このレースは確かにスターマンに種牡馬としての道を開いた。

Venetian Sun winning the G3 Albany Stakes
VENETIAN SUN, CLIFFORD LEE / G3 Albany Stakes // Royal Ascot /// 2025 //// Photo by Alan Crowhurst (Getty Images)

だが、スポーツとしても賭けの対象としても競争が激しくなり、競馬が世界的な裾野を広げなければならない時代に、こうした種牡馬作りはそもそもどれほど重要なのだろうか。

もちろん、生産界は巨額の資金が動くビジネスだ。だが競馬というスポーツが目指すべきは、種牡馬を作ることではなく、スターホースを生み出すことではないか。

未去勢の牡馬のまま3歳、4歳、5歳とシーズンを重ねて走り、十分に実力を証明してから種牡馬入りする英雄を作ることだ。日本のトップスプリンターであるサトノレーヴはその良い例だ。この馬は7歳の牡馬としてジュライカップに出走する。

シャドウェルのムハーラーは3歳時に、コモンウェルスカップ、ジュライカップ、モーリスドゲスト賞、英チャンピオンズスプリントを勝った。まさに素晴らしい名馬だった。そして、そのまま競馬場を去った。種牡馬入りのため、あっという間に現役を退いたのだ。

少なくとももう1シーズン走り、より広い層の関心を引きつけていたなら、ムハーラーの遺産はどれほど大きくなっていたことか。競馬というスポーツ全体にとっての価値も、どれほど高まっていただろうか。

問題は、競馬がグローバル化を語り、国際的につながるための進歩を遂げてきたと言われながらも、なお地域的な閉鎖性と自己利益に根差していることだ。それは理解できる。競馬はビジネスであり、馬主も生産者も採算を取らなければならない。

しかし競馬が前へ進むためには、種牡馬を作ることこそが頂点だという考え方から、シーズンを重ねて競馬場で走る馬たちを、ファンの記憶に残る存在へ育てる方向へと転換する必要がある。

種牡馬候補について語られる時、その多くは、競馬場で一流馬としての価値を証明することよりも、種牡馬としての潜在価値を守ることに話が向かう。種牡馬を生むレースは本当に必要なのか。むしろ複数シーズンにわたって王者を育てる現役生活を組み立て、ファンが求める馬との絆を深めるべきではないか。

ジュライカップの第1回は、1876年7月6日にニューマーケット競馬場で行われた。初開催の6ハロン戦を制したのは、ヴィクトリア女王が生産した名馬、スプリングフィールドだった。

スプリングフィールドは3歳時のこのシーズン、出走した9戦すべてに勝利。1877年にはジュライカップを連覇し、4歳となったスプリングフィールドは5戦全勝のシーズンを送った。最後は1マイル2ハロンのチャンピオンステークスを制し、その年のダービー馬を破って、卓越した競走生活を勝利で締めくくった。

1975年7月6日は、競馬界にとって暗い一日となった。名牝ラフィアンは、ケンタッキーダービー馬のフーリッシュプレジャーとのマッチレースに臨んだが、右前脚を2カ所骨折して競走を中止。手術を受けたものの、レース翌日に安楽死の処置が取られた。

ミカエル・ミシェル騎手のキャリアは今年、大きな飛躍を遂げた。先週のダーバンジュライ開催を前にしたこちらの特集記事では、世界を渡り歩いてきた自身のキャリア、そして難関として知られるJRA騎手免許試験に挑んできた経験について、デイヴィッド・モーガン記者の取材に語ってくれた。

来月のシャーガーカップに出場するジェリー・チョウ騎手は、着実に階段を上ってきたジョッキーだ。香港競馬のシーズン表彰で、今季の香港最多勝地元騎手に贈られるトニー・クルーズ賞の受賞が有力視されている。チョウ騎手への取材記事では、その「成長」の日々を深掘りする。

マイケル・コックス記者の過去記事から、ネヴィル・ベッグ元調教師の記事をご紹介。

名伯楽が若い頃を過ごした、戦時下のニューサウスウェールズ州・ニューカッスルの厳しい時代を振り返る。そこから名調教師としてのキャリア、そして94歳となった現在もなお競馬に魅せられ続ける姿までを描いている。

日本の2歳戦が本格的に動き始める季節がやってきた。北海道の函館競馬場、札幌で新馬競馬場がデビューするこの時期は、いつでもメモ帳を手元に置いておく価値がある。

7月5日、フライトラインは日本で出走した産駒がまだ2頭しかいない中、その2頭がいずれも勝ち上がった。2頭目のショウナンガレオンは、5頭立ての一戦だったとはいえ、目を引かれる走りで勝ち上がった。

加藤士津八厩舎の同馬は、1800m戦の向正面でダノンキューブが大きくリードを広げる中、楽な手応えで3番手を追走。3コーナーが近づくと、鮫島克駿騎手は差を詰めるよう促した。そして直線に向いた時には、ショウナンガレオンはすでにダノンキューブの外に並びかけ、余裕の走りを見せていた。

ショウナンガレオンは最終的に、鞍上にほとんど追われることなくゴールを駆け抜けた。耳を立て、ダノンキューブに2馬身半差をつけ、3着にはさらに4馬身差。勝ち時計は1分47秒6、2歳コースレコードを更新する好タイムだった。

ショウナンガレオンは、11年前にG1・ジャパンカップを制したショウナンパンドラなどで知られる国本哲秀氏の所有馬。同氏は2024年のセレクトセールで、この牡馬を2億1000万円で落札した。母は2022年アルゼンチン最優秀2歳牝馬のタングリトナ。牝系をたどると、20世紀初頭に英国で調教された伝説的名牝プリティポリーへと直結する。

ジュライカップデー
ニューマーケット(英国)、7月11日

欧州のチャンピオンスプリンターの座を決定づけることも多い一戦は、見応えある顔ぶれになりそうだ。

日本のサトノレーヴは、いま世界の競馬における重要な指標の一頭であり、カーインライジングとの対戦で示した実力を携えて臨む。G1・クイーンエリザベス2世ジュビリーSで2年連続2着に終わった後、英国G1制覇を目指す。

相手には、先月のアスコットでサトノレーヴを破った上がり馬のアルメラクがいる。さらに、ロイヤルアスコット開催のG1を制した3歳牝馬ヴェネチアンサンと、同世代の騸馬であるミッションセントラルも顔をそろえる。ロイヤルアスコット開催のウォーキンガムハンデキャップを制し、今年3戦無敗のダブルラッシュもいる。

愛オークスデー
カラ(アイルランド)、7月18日

エイダン・オブライエン調教師は、愛オークスの登録馬にも例年通り強力な布陣をそろえている。

特に目立つのは、G1・ディアヌ賞を制したダイヤモンドネックレス、そして直近でG1・コロネーションステークスを勝ち、すでにG1・愛1000ギニーも制しているプリサイスだ。

ジョセフ・オブライエン厩舎のサンダリングオンはエプソムの英オークスを勝ったが、前走のG1・プリティポリーSでは古馬牝馬勢を相手に4着に敗れている。

キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス
アスコット(英国)、7月25日

昨年のG1・天皇賞秋勝ち馬、ジャパンカップ2着馬のマスカレードボールは、欧州夏の中距離大一番となるアスコットの舞台に向かう見通しだ。相手には、ジャパンカップで同馬を破ったカランダガンが候補に挙がる。カランダガンは先週末のサンクルーで復調を示し、昨年のキングジョージを圧巻の内容で制している。

登録馬には、予想される有力どころが一通りそろった。英ダービー馬のクリスマスデー、愛ダービー馬のベンヴェヌートチェッリーニ、仏ダービーとエクリプスステークスを制したコンスティテューションリバー、さらに昨年のG1・凱旋門賞で1、2着だったダリズとミニーホークも含まれている。

チャンピオンズカップデー
グレイヴィル(南アフリカ)、7月26日

スターメジャーは先週、本命視されていたG1・ダーバンジュライハンデキャップを回避した。発熱から回復し、定量戦のチャンピオンズカップに間に合うことが期待されている。この牡馬は5月のG1・デイリーニューズ2000を制し、鞍上のミカエル・ミシェルにキャリア初のG1勝利をもたらした。

バイエルンツホトレネン(ダルマイヤー大賞)
ミュンヘン(ドイツ)、7月26日

ドイツで唯一の2000mのG1競走であるこの一戦は、ミュンヘン競馬場で行われる夏の定量戦のハイライトだ。ゴドルフィンは過去8回のうち4回を制しており、昨年はサイード・ビン・スルール調教師が管理した3歳馬のトルネードアラートで勝利した。同師にとってこのレース3勝の最初は、2001年のクツブによるものだった。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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ワールド・レーシング・ウィークリー、世界の競馬情報を凝縮してお届けする週刊コラム。IHFAの「世界のG1レース・トップ100」を基に、Idol Horseの海外競馬エキスパートたちが世界のビッグレースの動向をお伝えします。

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