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先週日曜日の5月31日には日本ダービーとジョッケクルブ賞が、火曜日の6月2日にはイタリアダービーが行われた。そして6月6日、今週土曜日にはその中でも最古の一戦であり、エプソムを舞台とする“原点”のダービー、英ダービーが控えている。

この週末には英オークス、コロネーションカップ、南アフリカのゴールドチャレンジ、日本の安田記念、そして米国三冠最終戦のベルモントステークスも開催される予定だ。

まさにG1が並ぶ贅沢な週末だ。その中で、長い空白を埋めようとしている一頭がいる。ノースヨークシャーのチャーリー・ジョンストン厩舎に所属するエンシェントエジプトだ。イングランド北部の調教馬が英ダービーを最後に制したのは、1945年のダンテまで遡るからだ。

エンシェントエジプトは単勝オッズ17倍前後の評価で、クールモアのエイダン・オブライエン厩舎が送り出すベンヴェヌートチェッリーニ、そしてジュドモントが所有するアンドリュー・ボールディング厩舎の無敗馬、アイテムが上位人気を形成する見込みだ。

それでも、アモレーシング所有のエンシェントエジプトはここまで4戦3勝。5月1日には10ハロンのリステッド・ニューマーケットステークスを制している。

フランケル産駒の同馬はこの日、ローワン・スコット騎手を背に先手を取り、そのまま後続を突き放して2馬身差で勝利した。ただし英ダービー本番で手綱を取るのは、アモレーシングの主戦を務めるデヴィッド・イーガン騎手だ。

先週、起伏のあるエプソム競馬場の本馬場コースでエンシェントエジプトが追い切りを行った際にも、イーガン騎手が騎乗していた。

「とてもいい動きでした」とイーガンはIdol Horseに語った。「確認したかった点はすべて問題なくこなしてくれましたし、エプソムに対応できるというチームの自信もさらに深まりました」

「バランスがとてもいい馬です。英ダービーの距離もこなせますし、起伏を含めたエプソムの厳しい条件にも対応できるはずです」

イーガンが過去、実戦でエンシェントエジプトに騎乗したのは一度だけ。2歳時の3戦目であり、同馬にとっても2歳最後の一戦だったG2・ロイヤルロッジステークスで、結果は7着だった。

「あれは、この馬の本来の能力を示すものではありませんでした」とイーガンは話す。

「かなり早い段階で勝負圏外になってしまいましたし、おそらく力を出し切れなかったのだと思います。ですから、あの一戦は度外視していい。クラシックへ向かううえで、残りの3走はいずれも非常に内容の濃い競馬でした」

「ニューマーケットSの走りを見る限り、1マイル半をこなせる馬に見えました。ゴールまでの伸び方、そして見せた素質を考えても、とてもいい勝ち方でした。ゴール前で止まっていなかったことも、ダービートライアルとしては好材料です」

雨が降り、6月6日土曜の馬場は良から稍重あたりになるとの予報も出ている。

「この馬はこれまで、硬めの良馬場でしか実戦を経験していません。ですから、馬場に対応できるかどうかは、まだ何とも言えません」とイーガンは見解を語る。

「ただ、調教を行った朝の馬場はしっかり散水されていましたし、下りも上手にこなしていました。ですから、こちらとしては馬場に対応してくれると信じて乗るだけです。それが私たちにできることです」

昨年の英ダービーでは、ジョンストン厩舎のレイジーグリフが単勝オッズ51倍の低評価を覆して2着に入った。イングランド北部の調教馬が81年にわたって英ダービーを勝てていないことを踏まえれば、イーガンは、勝利が自身や厩舎だけでなく、イングランド北部の競馬界にとっても大きな意味を持つことを理解している。

「世界が見ています。英ダービーは世界的な注目を集めるレースです。このレースは本当に格の高い一戦ですし、長い歴史の中で偉大な馬たちが勝ってきました」

「英ダービーを勝った馬たちは、その後の血統を形づくるうえで重要な存在になってきました。特にヨーロッパでは、サラブレッドの血脈そのものに大きな意味を持つレースです」

「とても権威のあるレースです。私にとっては、日本の若手騎手がジャパンカップを勝つようなものだと思っています。これだけ強いメンバーがそろっているのは素晴らしいことです。混戦だと思いますし、自分には十分に戦えるいい馬がいると感じています」

Jockey David Egan
DAVID EGAN, MAXI KING / Newmarket // 2024 /// Photo by Bradley Collyer

英ダービー前日の6月5日には、牝馬たちが英オークスに臨む。こちらも、イングランド北部の調教馬が最後に勝ってから長い時間が経っている。最後の勝利は1967年のピアだった。そして6月6日土曜には、カランダガンを中心に好メンバーがそろう、古馬12ハロンのG1・コロネーションカップも行われる。

一方、日本では混戦模様の安田記念が行われる。ニューヨークでは、ケンタッキーダービー馬のゴールデンテンポと2着馬のレネゲードがベルモントステークスで再戦する。手綱を取るのは、兄弟であるホセ・オルティス騎手とイラッド・オルティスJr.騎手だ。今回は距離が10ハロンに短縮されており、再び見応えのある一戦になりそうだ。

「ゴールデンテンポは、もう少し距離が延びた方が良さが出ます」とシェリー・ドゥヴォー調教師はIdol Horseにコメント。距離延長は前向きに見ている。「展開が向く必要があります。ある程度流れて、そこから自分の脚を使って差してくるタイプです」

1913年6月4日は、競馬史において最も悪名高く、悲劇的な日のひとつとして記憶されている。

この日、女性参政権運動家のエミリー・デイヴィソン氏が、タッテナムコーナーを全速力で下ってきた英ダービーの馬群の前に出て、国王所有馬のアンマーと衝突した。国王陛下の馬を意図的に狙い、女性参政権運動の旗を掲げようとしたのか、あるいはコースを横切る際に命取りとなる判断を誤ったのかについては、今なお議論が続いている。

デイヴィソン氏はその4日後、負傷がもとで亡くなった。アンマーは転倒し、ハーバート・ジョーンズ騎手は意識を失ったが、2週間後のロイヤルアスコットでは再びアンマーに騎乗できる状態に戻っていた。

一方、ゴール前でもさらなる波乱があった。単勝オッズ2.5倍の本命クラガノーと、単勝オッズ101倍の大穴アボイユールが接戦を演じた。前者にはジョニー・レイフ騎手、後者にはエドウィン・パイパー騎手が騎乗し、両騎手は激しく追いながら、それぞれの馬を相手へ寄せていった。

さらにアボイユールはクラガノーに噛みつこうとさえした。馬体が並ぶ大接戦の末、先頭でゴールを通過したのはクラガノーだった。しかし、英ダービー史上初めて勝ち馬が失格となり、アボイユールが勝利を手にした。

1985年6月5日、スティーブ・コーゼン騎手はケンタッキーダービーと英ダービーを制した史上初の騎手となった。コーゼン騎手は1978年、米三冠馬のアファームドでケンタッキーダービーを勝利。1985年の英国でのダービー制覇は、スリップアンカーによるものだった。

ゴールデンテンポがケンタッキーダービーを制したことで、シェリー・ドゥヴォー調教師の世界は一変した。

歴史的快挙を成し遂げた同師は、全米のゴールデンタイム番組への出演や、ヤンキースタジアムでの始球式のようなメディア対応の嵐、そして苦しい時期と高みを目指し続ける決意について、デイヴィッド・モーガン記者の独占取材に明かした。

今週、マイケル・コックス記者とフランク・チャン記者は、角居勝彦元調教師と岩田康誠騎手に話を聞いた。

こちらの特集では、岩田騎手が角居元調教師のデルタブルースに騎乗してメルボルンカップを制した日の、どこかコメディのような舞台裏が描かれている。岩田騎手にとって初めての海外騎乗であり、この日の騎乗は2鞍。

1鞍目ではオーストラリアの名伯楽に厳しく叱られ、2鞍目も会心の騎乗とは言えない。それでも、まさかの勝利をつかんだ。

エプソム競馬場は、昨年の寂しい開催を受けて、英ダービーデーの体験を再び活気あるものにしようとしてきた。

昨年は雨の午後、観客は約2万人にとどまり、若い来場者の姿も少なく、場内の雰囲気は盛り上がりを欠いていた。デイヴィッド・モーガン記者は現地でその様子を取材しており、当時のリポートは今あらためて読み返す価値がある。

5月31日、シャンティイ競馬場ではG1・ジョッケクルブ賞を前に、将来性豊かな馬たちが才能の片鱗を見せた。

リステッド・ラフレッシュ賞を勝った2歳騸馬、『トウカイドウ』の鋭い切れ味は、さらに上の舞台でも通用することだろう。そして3歳牝馬のベーレイナは、G3・ロワイヨモン賞で強い印象を残す勝利を挙げた。

ここでは後者に注目したい。エイミー・マーフィー厩舎のトウカイドウも今後注視すべき一頭だが、ベーレイナは2400mの一戦を最後は流しながら2馬身差で勝利しており、いずれG1の舞台まで届く可能性を感じさせる。デビューは4月5日とごく最近ながら、これで無傷の3連勝となった。

フランシスアンリ・グラファール厩舎のベーレイナは、能力とスタミナを兼ね備えた馬を送り出してきた良血牝系の出身だ。祖母のベーカラはG2勝ち馬で、G1・パリ大賞典勝ち馬ベーカバドを産んでいる。さらに3代母のベヘラはG1・サンタラリ賞を勝った。

なお、ベーレイナはすでに、10月のG1・凱旋門賞にも登録している。

英オークスデー
エプソム(イギリス)、6月5日

今週の大雨は馬場状態に影響し、出走メンバーの顔ぶれにもかなり影響しそうだ。

エイダン・オブライエン厩舎のプリサイスは、直近でG1・愛1000ギニーを制しているが、馬場が重くなれば出走するかは不透明だ。同厩舎のアメリアイアハートは、前走のリステッド・チェシャーオークス勝利後も牝馬クラシックの前売りで依然として上位人気を維持しており、馬場の影響は受けにくいと見られる。

ジョン&タディ・ゴスデン厩舎のレガシーリンクは、ヨーク競馬場のG3・ミュージドラステークスを制して有力視されている。チャーリー・ジョンストン厩舎のG1・英1000ギニー3着馬ヴェネチアンレースも出走する見込みだ。

英ダービーデー
エプソム(イギリス)、6月6日

G3・チェスターヴァーズを制したベンヴェヌートチェッリーニが英ダービーの前売りで中心となっているが、同馬も道悪気味の馬場を歓迎しない可能性がある。

同馬を管理するエイダン・オブライエン調教師は、5月31日のG1・ジョッケクルブ賞で上位3頭を独占した後、仏英ダービー連勝を狙う。

一方、アンドリュー・ボールディング調教師は、G2・ダンテSを突破したアイテムで伊英ダービー連勝を目指す。火曜にローマで行われたイタリアダービーでは、同厩舎のヴェネチアンプリンスが勝利している。

この日の午後には、G1・コロネーションカップも好メンバーで行われる。昨年の『世界最強』に選ばれたカランダガンが、英ダービー馬のランボーン、昨年のコロネーションカップを制したヤンブリューゲル、そして実力馬のコンヴァージェント、シーザファイアと対戦する。

ゴールドチャレンジデー
グレイヴィル(南アフリカ)、6月6日

G1・ゴールドチャレンジは、G1・ダーバンジュライへ向けた重要な前哨戦だ。デイブザキングはマイル戦で3連覇を狙う。

しかし、今季G1・ケープタウンメットとG1・プレミアズチャンピオンズチャレンジを勝っているシーイットアゲイン、トップクラスのエイトオンエイティーン、好調のクエスチョニング、そして1月にG1・キングズプレートを制したザリアルプリンスと、手ごわい相手がそろっている。

ストラドブロークH & Q22
イーグルファーム(オーストラリア)、6月13日

イーグルファーム競馬場の1400m戦、G1・ストラドブロークハンデキャップは、ブリスベン冬開催のハイライトの一つだ。

昨年はウォーマシーンが勝利を収めた。ニュージーランドのスター、ラフハビットは1991年と1992年に連覇しており、その他の主な勝ち馬にはデーンリッパー、デイブレイクラヴァー、トファネ、アリゲーターブラッドがいる。

同日には、2200mのG2・Q22と、2歳マイルG1のJ.J.アトキンスSも行われる。

ロイヤルアスコット開催
アスコット(イギリス)、6月16~20日

5日間にわたるロイヤルアスコット開催では、質の高いレースが数多く組まれている。

前年覇者のオンブズマンと凱旋門賞馬のダリズが対戦する可能性のあるG1・プリンスオブウェールズSを筆頭に、G1・クイーンアンS、G1・ゴールドカップ、G1・セントジェームズパレスS、G1・コロネーションS、G1・キングチャールズ3世S、G1・クイーンエリザベス2世ジュビリーS、G1・コモンウェルスカップなどは必見だ。

ダービーデー
カラ(アイルランド)、6月28日

愛ダービーは1866年に創設された。英ダービー馬がアイルランドへ向かい、英愛ダービー連勝を狙うことは珍しくない。1907年にオービーが初めてこの偉業を達成し、昨年はランボーンが新たにその仲間入りを果たした。

ランボーンを管理するエイダン・オブライエン調教師は、愛ダービーを17回も制しており、その最初の勝利は1997年のデザートキングだった。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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