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先週末のケンタッキーダービーでゴールデンテンポが勝利した興奮の余韻が残る中、今週はチェスター競馬場の5月開催が行われる。重要な前哨戦が組まれるこの開催は、英ダービーが近づいていることを実感させる。

そして、5月31日の日本ダービーがさらに間近に迫っていることも同時に予感させる季節だ。

名牝クロノジェネシスの息子、ベレシートは、今週土曜のG2・京都新聞杯で日本ダービー出走枠入りを目指す一頭だ。翌日のG1・NHKマイルカップは、よりスピード色の強い3歳馬たちによる一戦だが、過去には日本ダービーへ向かうステップとして使われた例もある。

これでダービーへ向けた前哨戦はひと区切りとなるが、先週日曜のリステッド・プリンシパルステークスも前哨戦の一つ。日本ダービーへの切符を懸けた一戦だった。

そのプリンシパルステークスを制し、日本ダービーへの優先出走権を手にしたのが、メイショウハチコウだ。ロジャーバローズ産駒の同馬を勝利に導いたのは、日本で騎乗してきた中で最高の一日を過ごしたマイケル・ディー騎手だった。

ディーは現在、2度目のJRA短期免許で来日している。すでに昨年の5勝を上回る8勝をすでに挙げており、そのうち3勝を先週日曜の開催でマークした。その3勝の中でも最も大きかったのが、メイショウハチコウでの勝利だった。

ディー騎手は今週前半、Idol Horseの取材に「もし陣営がダービーへ向かうつもりなら、そこへ行くことになると思います。なので、私が引き続き乗れることを願っています」と語った。そして週半ばには、同騎手の続投が正式に決まった。

ディーはメイショウハチコウで2戦2勝。日曜の一戦では鋭い加速をみせ、スタミナも示して2000m戦を半馬身差で制した。ただ、前半は行きたがる面も見せており、それが日本ダービーの2400mに対応するうえで影響するかどうかは、まだ見極めが必要だ。

「少し力みすぎるところがあります。行きっぷりがかなり強い馬です」とディーは言う。

「2走前に勝った時はペースがとても遅く、今回と似たような形になって、かなり強くハミを取っていました。先日も同じような状況でしたが、あの時よりは流れがずっと速かったです」

「距離が延びることを考えると、力みすぎてしまうのではないかという心配は少しあります。ただ、日曜はレースを通してかなり前向きだったにもかかわらず、素晴らしい瞬発力を見せてくれました。能力も切れ味もありますが、まだすべてが噛み合っていないところがあります」

「頭を上げる癖をやめて、もう少しだけ収まりがつけば大丈夫だと思います」

Mick Dee winning the Principal Stakes aboard Meisho Hachiko
MICHAEL DEE, MEISHO HACHIKO / Principal Stakes // Tokyo /// 2026 //// Photo by @Orfe20122013

日本ダービーまで3週間を切った時点で、有力候補の中心にいるのは、牡馬クラシック初戦のG1・皐月賞で1着、2着だったロブチェンとリアライズシリウスだ。2頭は皐月賞でレースの大半を1番手、2番手で進め、ロブチェンがリアライズシリウスを3/4馬身差で退けた。

リアライズシリウスを管理する手塚貴久調教師は、先週、マスカレードボールの香港遠征に帯同。香港でIdol Horseの取材に応じた際、次のように話していた。

「リアライズシリウスはレース後も疲れているようには見えませんでした。2週間ほどリフレッシュさせるため、放牧へ出しました」

「2000mは問題なく走りましたし、あのレースぶりを見る限り、2400mでもいい競馬ができると思っています」

手塚師は日本ダービーへ向けて、もう一頭の有力馬、アウダーシアも抱えている。同馬は3月のG2・スプリングステークスを勝った後、皐月賞を見送り、ダービーに備える選択が取られた。

「精神面でまだ幼いところがありましたし、レースで位置を取るだけのスピードもまだ十分ではありませんでした。なので、ダービーへ向けて準備することにしました」と手塚師は言う。

「2400mの方が合うと思いますし、東京は2頭とも本当に合うと思っています。能力のレベルは同じくらいだと見ています」

メイショウハチコウがこうした有力馬たちに肩を並べるには、もう一段上の内容が求められる。それでも、同馬には良い方向へ成長を続ける競走馬らしい魅力がある。そしてそれは、ディーにも同じことが言える。

「日本では難しい時もあります。どうしても有力馬の次の層にあたる騎乗馬が中心になります」とディーは語った。

「ただ、先週末は運が良かったです。上位の騎手たちが京都の天皇賞春に向かっていたこともあり、日曜は素晴らしい騎乗機会に恵まれました」

「そのおかげで良い騎乗馬が回ってきて、その日3勝することができました。これをきっかけに、これからの数週間でさらに良い騎乗機会につながってほしいです」

*追加取材:フランク・チャン記者

ウィルソンテソーロは、大舞台で何度も惜敗を経験してきた。それでもこのベテランは、毎シーズンのようにどこかで大きなタイトルを手にしている。火曜夜、地方競馬の船橋競馬場に詰めかけた大観衆の前で、同馬はJpn1・かしわ記念を制した。

会場には、俳優・歌手の山下智久さんを目当てに訪れたファンも多かった。それでも、この日最も大きな歓声を浴びたのは、ウィルソンテソーロの勝利だった。

7歳となったウィルソンテソーロにとって、これはG1級レース3勝目だった。一方で、同馬はJRAのG1・チャンピオンズカップで3年連続2着、G1・フェブラリーステークスでも2着があり、G1・東京大賞典、Jpn1・帝王賞、そしてG3・コリアカップでも2着に入ってきた馬としてよく知られている。

その多くで手綱を取ってきたのが川田将雅騎手だ。JRAリーディングの実績を持つ川田にとっては、昨年11月のG1・マイルチャンピオンシップをジャンタルマンタルで制して以来の大きなタイトルを狙う一戦でもあった。先週香港のG1・チャンピオンズマイルでジャンタルマンタルが敗れた失望の後だけに、この勝利は大きな弾みとなった。

川田はウィルソンテソーロを5番手に置いた。内ラチ沿いには入れず、いつでも動き出せる位置を確保すると、4コーナーから一気に加速できる進路を見つけた。単勝オッズ5倍の3番人気だった同馬は、最後までしぶとく伸びて首差の勝利をつかんだ。

「この馬とようやくまたG1級のレースを勝つことができて、本当にうれしいです」と川田騎手は語った。

「いつも一生懸命に走って、懸命に戦ってくれる馬ですが、なぜかいつも前にもう一頭、強い馬がいました。今回はこの馬が勝ち切ってくれて、とても感情がこみ上げていますし、感謝しています」

高木登調教師によると、3月にドバイへ向かわない判断が下されたことで、プランを練り直す必要があったという。これまで2000mを走ることもあったウィルソンテソーロにとって、かしわ記念のマイルはより合っていた。

「最近の大井や船橋でのレースでは、馬場の砂を少し気にしているようなところがありました。なので、2000mだと苦しいと思いましたが、マイルならこなせるかもしれないと考え、ここへ来ました」と高木調教師は話した。

「JRAの競馬場なら1800mもこなせるかもしれませんが、地方競馬のように砂が深い馬場では、1600mがこの馬にはベストです」

ウィルソンテソーロの次走はまだ決まっていない。ただ、高木調教師は夏場に休養を与える可能性もあると話した。

Lemon Pop staves off the challenge of Wilson Tesoro
WILSON TESORO (left), LEMON POP, / G1 Champions Cup // Chukyo /// 2024 //// Photo by Shuhei Okada

ベルモントステークスの舞台として知られるニューヨークのベルモントパーク競馬場は、1905年5月4日に初開催を迎えた。

「悲劇の名馬」シャーガーは、1981年5月5日、チェスター競馬場のチェスターヴァーズを12馬身差で制した。その後、英ダービー、愛ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを勝利。セントレジャーでまさかの敗戦を喫した後に種牡馬入りしたが、1983年2月に身代金目的で誘拐され、その後二度と姿を見せることはなかった。

1937年5月8日、メアリー・ハーシュはケンタッキーダービーに出走馬を送り出した初の女性調教師となった。自身が出走させたノーサーは、後の米三冠馬、ウォーアドミラルの13着に終わった。出走は20頭だった。メアリー・ハーシュの父マックス・ハーシュは、1936年のケンタッキーダービー馬・ボールドベンチャーを管理した調教師だ。

サーバートンは1919年5月10日、ケンタッキーダービーを勝って歴史への第一歩を踏み出した。この年の初戦であり、6戦未勝利の身での勝利だった。そのわずか4日後にはプリークネスステークスを制し、さらに1カ月後にはベルモントステークスも勝利。米国競馬史上初の三冠馬となった。

今週の週刊コラム「Idol Thoughts」では、元騎手のシェーン・ダイ氏が、ホセ・オルティス騎手のケンタッキーダービーでの騎乗を解説し、米国のトップジョッキーたちは世界最高かもしれないと論じている。

マイケル・コックス記者はモーリシャスのプールサイドで、複数の国でチャンピオンとなったマヌエル・ヌネス騎手に話を聞いた。ブラジル出身の名手の世代、各地を渡り歩いてきた人生とキャリア、そして次に向かう場所についてのインタビューである。

今週、船橋で川田将雅騎手を背に、緑に黄色のたすきが入った勝負服でウィルソンテソーロが勝利した。その姿は、同じ勝負服で走ったもう一頭のダートの名馬、ウシュバテソーロの記憶を呼び起こす。

デイヴィッド・モーガン記者は昨年4月、ドバイワールドカップ勝ち馬であり、独特の個性を持った同馬の引退に際して、その歩みを綴っている。

ボウエコーは先週土曜、ローリーマイルで行われたG1・英2000ギニーを見事に制し、欧州3歳世代の最前列へ躍り出た。その前日、同じニューマーケット競馬場の10ハロン戦、リステッド・ニューマーケットステークスでは、ボウエコーとの比較材料を持つ一頭が、低評価を覆して勝利した。

エンシェントエジプトは昨年、チャーリー・ジョンストン調教師のもとで2歳時にデビューから2連勝。その後、9月にニューマーケットのG2・ロイヤルロッジステークスへ向かった。そこでは前々で運んだものの、最後は失速し、ボウエコーから大きく離された7着に終わっていた。

そのため、フランケル産駒でアモレーシング所有の同馬は、タタソールズの1歳セールで110万ギニーの値が付いた馬でありながら、ニューマーケットステークスでの復帰戦では5頭立ての単勝オッズ17倍相当という伏兵扱いだった。

レースでは好位を進み、長い1マイル1/4の直線で終始風を受ける形になった。上り勾配を力強くこなし、最後まで脚を持続させて2馬身差で勝利した。

ニューマーケットステークスは、過去には一流牡馬たちの足がかりとなってきたレースでもある。代表例としては、ダービー馬のシャーリーハイツとスリップアンカー、セントレジャー馬のミンスターサンがいる。ただし、それらはいずれも1970年代から1980年代の話だ。26年前にはビートホロウがこのレースを勝ち、その後ダービー2着となった。

より近年では、フランケルの全弟、ノーブルミッションもここを勝ってG1制覇へ向かった。そのほか、ホークビル、ミシュリフ、ネーションズプライドも同様に、ここを起点にG1の舞台へ進んでいる。

ドゥームベン10000デー
ドゥームベン(オーストラリア)、5月16日

香港のチャンピオンジョッキー、ザック・パートン騎手は、見習い時代にリーディングジョッキーとなったクイーンズランドへ戻る。1200mのメインレースでは、有力視されているグラフターバーナーズに騎乗する予定だ。

このレースは1933年に創設され、クイーンズランド最高峰の馬齢重量スプリントとして位置づけられている。今年は、元パース所属のジョーカーズグリンが出走する可能性もあり、プライベートハリー、レディオブキャメロット、プライベートアイも出走候補に入っている。 

ロッキンジステークスデー
ニューベリー(イギリス)、5月16日

ゴドルフィンのオペラバロは、サンダウンでG2を快勝した後、このレースを回避する可能性がある。そのレースで同馬に敗れて3着だったゼウスオリンピオスは、カール・バーク厩舎の管理馬で、それ以前は4戦4勝。昨年9月のG2・ジョエルステークスでは、オペラバロを破っている。

ゴドルフィンは、G1・ブリーダーズカップマイル勝ち馬ノータブルスピーチに託すことになるかもしれない。同馬は先月キーンランドのG1・メーカーズマークマイルステークスで、見どころ十分の内容ながら不運な4着に終わっており、ここでは有力候補となりそうだ。

この一戦には、昨年のクイーンエリザベス2世ステークスを人気薄で制したキケロズギフト、成長著しい5歳馬のモアサンダー、そして近走でG3・アールオブセフトンステークスを勝ったダミサスも出走する可能性がある。 

愛2000ギニーデー
カラ(アイルランド)、5月23日

ボウエコーはニューマーケットの英2000ギニーで非常に強い勝ち方を見せたが、カラには向かわず、ロイヤルアスコットのG1・セントジェームズパレスステークスへ直行する予定だ。

そのため、マイルのクラシックである愛2000ギニーは、ニューマーケットで敗れた馬たちにクラシック制覇のチャンスを与える一戦となる。

一方で、英2000ギニーを回避した馬たちは、フレッシュな状態でこの挑戦へ向かうことができる。英2000ギニー2着、3着のグスタードとディスタントストームは、有力な候補となりそうだ。

香港チャンピオンズ&チャターカップデー
シャティン(香港)、5月24日

ロマンチックウォリアーは2400mへ距離を延ばし、香港三冠達成を狙う。ただし、この偉業を成し遂げた馬は過去に2頭しかいない。

そのうちの一頭で、昨年香港三冠馬となったヴォイッジバブルは、調教を休んだことから出走が微妙な状況にある。日本調教馬のローシャムパークとディープモンスターも登録している。

タタソールズゴールドカップ
カラ(アイルランド)、5月24日

ミニーホークは今週、復帰戦を楽に勝利した。カラの2000mで行われたG2・ムーアズブリッジステークスで、直線で突き放して快勝している。

昨年、3つのオークスを制した牝馬であり、リステッドのチェシャーオークスも含めれば4つのオークスを勝っている同馬は、G1・凱旋門賞2着馬でもある。今後は同じコース、同じ距離のタタソールズゴールドカップへ向かう見通しだ。

愛1000ギニー
カラ(アイルランド)、5月24日

トゥルーラブは2歳時から素晴らしい才能を見せていた。そして今年初戦となったニューマーケットの英1000ギニーを制し、その力を改めて示した。

エイダン・オブライエン調教師は昨年、愛1000ギニーをレイクヴィクトリアで勝利しており、これまで11勝を挙げている。トゥルーラブは12勝目をもたらす可能性もある。

一方、オブライエン師の息子、ドナカ・オブライエン調教師は、近走でアサシステークスを勝ったケンジントンレーンをこのクラシックへ向かわせる見込みだ。同馬は母アンマリー・オブライエンの勝負服で走る。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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