上場番号 12番 – ジャスティファイ × サマレディ(牡馬)
上場者:フォースター・セールス(販売代理)
オーストラリアの一流牝系に連なる馬がキーンランドのセールに姿を見せるのは、それほど多くない。だが、ここにはオーストラリアの最優秀短距離牝馬サマレディを母に持つ、ジャスティファイ産駒の牡馬がいる。
サマレディは2歳時にG1・ブルーダイヤモンドステークスを制し、4歳時にはG1・モイアステークスも制した。2020年、クールモアはスニッツェルを受胎していた同馬を180万豪ドルで購入している。
後に生まれたその時の仔馬、シンゾーは、母に続くG1制覇をゴールデンスリッパーで果たし、オーストラリアの最優秀2歳馬に選出された。現在はハンターバレーにあるクールモア・オーストラリア、4万9500豪ドル(約560万円)の種付け料で供用されている。シンゾーを送り出したサマレディはその後、ジャスティファイとの交配のためケンタッキーへ渡った。
ジャスティファイ自身がキーンランド・セプテンバー1歳馬セールに上場されたのは2016年で、落札額は50万米ドル(約7900万円)だった。無敗の米三冠馬となった同馬は、現在20万米ドル(約3100万円)の種付け料で供用され、幅広い適性を持つ産駒を次々と送り出している。
ダート短距離のG1を制したアラビアンライオン、芝の2歳牝馬チャンピオンとなったオペラシンガー、ダートの2歳牝馬チャンピオンとなったジャストエフワイアイ、英ダービー馬シティオブトロイ、そして今ではアスコットの英ゴールドカップを制したスカンジナビア。これらはいずれもジャスティファイ産駒だ。
ジャスティファイの血が、オーストラリア由来のスピードと早熟性に富むこの牝系とどうかみ合うのか、興味は尽きない。ジャスティファイ×モアザンレディの同じ配合からは、G1・ベルモントオークスを制したアスペングローヴも出ている。
上場番号 42番 – コディーズウィッシュ × スパニッシュスター(牝馬)
上場者:ポープ・マクリーン(クレストウッドファーム、販売代理)
コディーズウィッシュの類まれな物語が競馬界とその枠を越えて人々の心を動かしたのは、つい昨日のことのように思える。だが、その初年度産駒はすでに1歳馬セールに姿を見せ始めている。
良血馬のコディーズウィッシュは7ハロンから1マイルを得意とし、生涯一度も3着以内を外さず、2023年の米年度代表馬に輝いた。今年ここまでのセールでも大きな注目を集めており、先に行われたファシグティプトン社のサラトガセールとニューヨーク産1歳馬セールでは、初年度産駒を送り出した種牡馬の中で、コディーズウィッシュ産駒が価格面で市場をリードした。
セプテンバーセールにはコディーズウィッシュ産駒が84頭上場される。その中でもひときわ光る血統を持つのが、スパニッシュスターを母とするこの牝馬だ。
昨年のG1・テストステークスを制したキルウィンの半妹にあたる。他の兄弟馬には、芝のスプリンターであるワンタイマーと、ダートと芝の双方で活躍したジャストバスキングという2頭の重賞勝ち馬がいる。2代母からはG1・ベルモントステークス馬サーウィンストンも出ている。
上場番号 54番 – イントゥミスチーフ × ストリークオブラック(牡馬)
上場者:テイラーメイド・セールスエージェンシー(アーロン&マリー・ジョーンズ社の代理)
テッドノフィーが2歳シーズンに残した輝かしい戦績により、その全弟であるこの牡馬にも注目が集まっている。
テッドノフィーは無敗のままシーズンを終え、G1・ホープフルステークスを8馬身半差で圧勝。G1・ブリーダーズフューチュリティを2馬身3/4差、G1・ブリーダーズカップ・ジュベナイルを1馬身差で制し、エクリプス賞最優秀2歳牡馬に選ばれた。
その結果、母ストリークオブラックは昨年のファシグティプトン・ケンタッキー・ノベンバーセールで、AMOレーシングに驚異の620万米ドル(約9億8700万円)で落札された。
テッドノフィー自身は2年前のキーンランド・セプテンバーセールで65万米ドル(約1億円)、マニングス産駒の半妹は昨年、マイク・リポール氏に42万5000米ドル(約6700万円)で落札され、現在はアバブオールオッズと名付けられている。
父イントゥミスチーフは7年連続で北米リーディングサイアーに輝き、これまでにG1馬27頭、エクリプス賞受賞馬8頭を送り出した。昨年のキーンランド・セプテンバーセールでは、その産駒6頭が100万米ドル(約1億5900万円)を超えた。この牡馬が今年、同じ大台を突破しても驚きはない。
上場番号 116番 – ガンランナー × アメイズメント(牡馬)
上場者:ダービーダンファーム(販売代理)
日本競馬を追うファンにとって、この牡馬の血統はなじみ深い。2代母ワンダーアゲインは、昨年惜しまれつつ世を去った日本のチャンピオンで、今なお絶大な人気を誇るグラスワンダーの全妹だ。
ワンダーアゲイン自身も米国の芝G1を2勝し、繁殖牝馬としても一族を発展させた。その孫で、このガンランナー産駒の半兄にあたるカーネルリアムも、芝G1を3勝している。
ガンランナーもまた勢いに乗る有力種牡馬で、産駒からはG1馬14頭が出ている。昨年のキーンランド・セプテンバーセールでは産駒12頭が100万米ドル(約1億5900万円)を超え、イントゥミスチーフの産駒と比較すると2倍に上る。
代表産駒には、日本のフォーエバーヤングとのライバル関係で知られ、G1・ブリーダーズカップ・クラシックを制したシエラレオーネがいる。さらに今年、地方競馬のダート三冠で二冠を制したフィンガーも同産駒だ。
この牡馬の半姉アスタウンドメントは、2021年11月のキーンランドセールで多田信尊氏が18万米ドルで購入し、現在は日本で繁殖牝馬となっている。それだけに、日本の関係者からも関心を集めそうだ。

上場番号 202番 – カーリン × ドリーミングオブジュリア(牝馬)
上場者:ゲインズウェイ(ストーンストリート・ブレッド&レイズドの代理)
この牝馬は、競走馬として大きな可能性を秘め、将来の繁殖牝馬としても有望だ。シャドウェルが所有したチャンピオン牝馬、マラサートの全妹である。ドラマに満ちた競走生活を送ったマラサートは、多くのファンに愛された。
3歳時にはG1・ケンタッキーオークスなど、G1を3勝。その年のG1・ブリーダーズカップ・ディスタフでは展開に恵まれながらも道中でスムーズに運べず、日本の伏兵マルシュロレーヌを相手に悔しい敗戦を喫した。
マサラートは4歳時も現役を続け、夏の終わりに本来の走りを取り戻してG1をさらに2勝。そして現役最後の一戦では、前年に逃したG1・BCディスタフを劇的な3頭の大接戦を制し、G1を6勝して引退した。マラサートの全妹ジュリアシャイニングも重賞勝ち馬であり、この牝馬への期待をさらに高めている。
父カーリンは今年初めに種牡馬を引退したが、いまさら説明を要しないほどの名種牡馬だ。代表産駒には、前述のマラサートやコディーズウィッシュがいる。今年はゴールデンテンポが父に初のケンタッキーダービー制覇をもたらし、さらにサラトガでベルモントステークスも勝って米二冠を手にした。
2025年のG1・プリークネスステークスを制したジャーナリズムもまた、カーリン産駒の活躍馬。直近のG2・サンディエゴハンデキャップ勝利がラストランとなり、クールモアで種牡馬入りする予定だ。
上場番号 251番 – ナイキスト × ヘヴンリーラブ(牝馬)
上場者:ゲインズウェイ(販売代理)
2024年のケンタッキーダービーに出走した北米のクラシック世代は、この10年間で最も記憶に残る世代と言えるだろう。
その中心にいたのが、シエラレオーネ、日本のフォーエバーヤング、フィアースネスだ。3頭がそれぞれ優れた実績を残したからというだけではない。2年連続でG1・ブリーダーズカップ・クラシックの1~3着を占め、競馬場の内外で数々の物語を生み出したからだ。
その中でもシエラレオーネは、常に粘り強さを見せた。持ち味とする後方待機からの追い込みで、2024年のケンタッキーダービーでは僅差の2着に入り、同年のG1・BCクラシックを制覇。通算14戦すべてで3着以内に入った。
シエラレオーネとフォーエバーヤングが同じ2代母を持つことも、両馬をめぐる物語とその血統を一層魅力的なものにしている。
そして今年9月には、シエラレオーネの輝かしい戦績と血統を思い起こさせるナイキスト産駒の半妹が、キーンランドに登場する。
ケンタッキーダービー馬の父ナイキストは、種牡馬としてダートと芝の双方で一流馬を送り出してきた。代表産駒には、G1・ブリーダーズカップ・ダートマイルとG1・メトロポリタンハンデキャップを制したナイソス、G1馬でブリーダーズカップ・マイル2着馬のヨハネスがいる。
直近では、ナイツブリッジがG1・パシフィッククラシックを6馬身1/4差で圧勝。ナイキストも同馬の父として改めて脚光を浴びた。

上場番号 327番 – フライトライン × ミラアルタ(牝馬)
上場者:ウォーレンデール・セールス(販売代理)
2022年の世界王者フライトラインの初年度産駒は、フライトコマンドやインシャラーなどが米国のダートで印象的な走りを見せて勝ち上がり、まずまずの滑り出しとなっている。今年のキーンランド・セプテンバーセールには73頭が上場される。
しかし、レーンズエンドのビル・ファリッシュ氏にとっても意外なことに、フライトラインの種牡馬としての初勝利は日本の芝から生まれた。デミアンが東京芝1400mの新馬戦を1馬身1/4差で制したのだ。デミアンは昨年のこのセールで坂口直大氏が170万米ドル(約2億7000万円)で購入し、現在は10月10日に東京芝1600mで行われるG3・サウジアラビアロイヤルカップを目標としている。
上場番号327番は、デミアンの全妹。東京競馬場の速い時計が出る良馬場の芝に適性を示す血統だと分かった今、日本のバイヤーが強い関心を寄せるのは間違いないだろう。
上場番号 569番 – フライトライン × ダシータ(牡馬)
上場者:レーンズエンド(販売代理)
フライトライン産駒は、これまでに日本で2頭が勝ち上がっている。もう1頭はショウナンガレオンで、函館芝1800mの新馬戦を2馬身半差で快勝し、その際、2歳コースレコードも更新した。ショウナンガレオンはフライトラインと南米の血を組み合わせた成功例で、母はアルゼンチンのチャンピオン牝馬タングリトナだ。
今年のキーンランド・セプテンバーセールにも、チリのチャンピオン牝馬ダシータを母に持つ牡馬が上場され、南米牝系のフライトライン産駒が名を連ねる。ダシータは芝で輝かしい戦績を残し、チリの1000ギニーとオークスに相当する競走を含むG1を3勝。米国移籍後にはG1・ダイアナステークスとG1・ビヴァリーD.ステークスも制した。
この牡馬の2代母ダジャは一流馬を数多く送り出した繁殖牝馬で、その産駒にはチリの最優秀2歳牝馬ダフォンダと、G1入着馬でダシータの全妹にあたるダララがいる。ダララの産駒ダスタンは今年6月、G1・アルベルトビアルインファンテ賞を制したばかりだ。
現時点で、勝ち上がったフライトライン産駒5頭のうち3頭が芝で勝利していることを考えれば、この牡馬は芝で大きな可能性を秘めているように映る。日本のバイヤーから注目を集めそうな、もう1頭の有力候補だ。

上場番号 646番 – アップトゥザマーク × インチャージオブミー(牡馬)
上場者:ナーサリープレイス(販売代理)
昨年のG1・英2000ギニー馬ルーリングコートは、現役生活の半ば、若くしてこの世を去った。その半弟にあたるアップトゥザマーク産駒が今回上場され、大きな注目を集めそうだ。
ルーリングコートは、2023年のキーンランド・セプテンバー1歳馬セールで比較的手頃な15万米ドル(約2400万円)で落札されたが、その後、アルカナ2歳ブリーズアップセールでは230万ユーロ(約4億2700万円)まで価格が跳ね上がった。
同じような掘り出し物は、もう現れないだろう。実際、ルーリングコートの半妹にあたるゴーストザッパー産駒は、昨年のこのセールで、ナシュワの馬主として知られるイマド・アルサガー氏のブルーダイヤモンドスタッドに117万5000米ドル(約1億8700万円)で落札された。
今回上場されるルーリングコートの半弟は、米国の芝チャンピオン、アップトゥザマークの初年度産駒で、キーンランドに登場する同馬の産駒の先陣を切る1頭だ。
アップトゥザマークは充実の4歳シーズンにG1を3連勝し、ブリーダーズカップ・ターフではオーギュストロダンに敗れたものの、堂々たる走りを見せた。その活躍により、エクリプス賞最優秀芝牡馬に選出されている。
父は目覚ましい活躍を続ける種牡馬ノットディスタイム。買い手が新種牡馬アップトゥザマークの価値をどう評価するのか、興味深いところだ。
上場番号 1115番 – エピセンター × ピースペドラー(牝馬)
上場者:グリーンフィールドファームズ(販売代理)
今年の日本ダービー馬ロブチェンは、10月のG1・菊花賞で史上9頭目の三冠馬を目指す。種牡馬として高い人気を集めていたとはいえないワールドプレミアの産駒だけに、その活躍は多くの人を驚かせた。
それと同時に、日本の生産界が北米の血統を取り入れた好例でもある。母ソングライティングは2014年のキーンランド・セプテンバーセール出身で、翌年の2歳馬セールで吉田勝己氏に売却された。
ソングライティングの母は、カナダの最優秀古牝馬エンバーズソングだ。エンバーズソングは、このエピセンター産駒の母馬、ピースペドラーも送り出している。
ピースペドラー自身は、2020年のキーンランド・セプテンバー1歳馬セールで20万米ドルで購入された。ロブチェンと同じ2代母を持つこの牝馬は、日本ダービー馬の近親をキーンランドで手に入れられる興味深い機会となる。
父エピセンターは、2022年のG1・トラヴァーズステークスを5馬身1/4差で圧勝したことで最もよく知られている。初年度産駒は今年2歳を迎え、8月下旬時点で計5頭が勝ち上がっている。

その他の注目上場馬
上場番号 47番
ガンランナー産駒で、米三冠馬ジャスティファイの半弟。
上場番号 81番
クールモア所有のトイを母に持つジャスティファイ産駒の牝馬。グレンイーグルス、ジョーンオブアーク、ジャイアンツコーズウェイと同じ牝系。
上場番号 217番
ジャスティファイ産駒の牡馬で、日本の短距離重賞を複数制したジャスパークローネの半弟。
上場番号 227番
英オークス馬フォーエバートゥギャザーを母に持つジャスティファイ産駒の牝馬。シティオブトロイと同じ牝系。
上場番号 238番
米最優秀短距離牝馬のグッドナイトオリーブを母に持つノットディスタイム産駒の牝馬。初仔。
上場番号 254番
フライトライン産駒の牡馬。ラグズトゥリッチズ、カジノドライヴ、ジャジル、アルカンジェロを輩出したベターザンオナー牝系。
上場番号 502番
重賞を複数制したユウギリを母に持つエリートパワー産駒の牡馬で、初仔。ユウギリは、エアグルーヴやエアメサイアなどで知られる吉原毎文氏の勝負服で走った。この牝系からは、日本の重賞勝ち馬エアアルマスも出ている。
上場番号 621番
ガンランナー産駒の牝馬。甥は今年の日本ダービーで5着に入ったマテンロウゲイル。