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オータムグローの関係者には、今年後半に行われる総賞金2000万豪ドルのスプリント戦でカーインライジングに挑むべく、ジ・エベレストの出走枠保有者から複数の打診が寄せられている。

多くの専門家は、香港のスーパースターが無事にシドニーへ到着し、本来の力を発揮できる状態で走れるなら、ジ・エベレスト連覇はほぼ手中にあると見ている。しかし、対抗馬を探す出走枠保有者たちは、世界最高賞金の芝レースでカーインライジングに対抗し得る存在として、オータムグローに目を向けている。

Idol Horseの取材によると、少なくとも2組の出走枠保有者が、オータムグローの馬主側に対し、自身の枠でジ・エベレストに出走させることへの関心を示している。オータムグローはこれまで1200m以下のレースを2戦しか経験していないが、それでも同馬を有力な候補と見ているという。

デビューから11連勝を飾っていたオータムグローだが、ロイヤルランドウィック競馬場で行われたザ・チャンピオンシップス2日目、初めて2000mに挑んだクイーンエリザベスステークスで初敗北。サーデリウスの3着に敗れ、無敗記録は途切れた。

百戦錬磨のクリス・ウォーラー調教師だが、その翌日にSNSで謝罪し、「単純に適性距離を見誤りました」とオータムグローの敗因を説明した。

オータムグローは当初、豪州の春シーズンでマイル戦を中心に使われると見られていた。しかし関係者は、ジ・エベレストでカーインライジングと真っ向勝負する可能性を真剣に検討しているとみられる。

ウォーラー師とオータムグローの馬主側は、近く協議を行い、春開催の目標を決める予定だ。

ジ・エベレスト当日に組まれるマイル戦、総賞金500万豪ドルが用意されるキングチャールズ3世ステークスも候補の一つだ。

一方で、別の選択肢としては、メルボルンカップカーニバル最終日にフレミントンで行われるG1・チャンピオンズスプリントへと転戦するプランも考えられる。この場合、ジ・エベレストとの短距離2戦のローテーションとなる。

20連勝を重ね、香港競馬史上最も圧倒的な存在として伝説を築いてきたカーインライジングは現在、豪州のブックメーカーで、ジ・エベレスト連覇へ向けて単勝オッズ1.5倍前後に評価されている。

昨年のジ・エベレストでは、ザック・パートン騎手の冷静な手綱さばきに導かれ、カーインライジングで危なげない勝利を収めてた。一方、デヴィッド・ヘイズ調教師は豪州遠征では絶好調ではなかったことも後に明かしている。

オータムグローは前回の始動戦を1400mで迎え、その後マイルのG1を連勝した。ただし、ジ・エベレストの巨額賞金は、陣営にスプリント転向を検討させるだけの魅力になり得る。

カーインライジングは香港ジョッキークラブの出走枠でジ・エベレストに向かう予定であり、同レースにおける圧倒的な存在感は明らかだ。自身の枠から出走させる馬を検討中の出走枠保有者たちは、「誰を選べばカーインライジングに対抗できるのか」という決断に頭を悩ませている。

通常、高額賞金競走が並ぶシドニーの秋開催と、スプリント戦の最高峰であるTJスミスステークスが終わるころには、少なくとも1、2組の出走枠保有者が、ジ・エベレストで出走枠を使わせるための事前交渉をまとめている。

契約の条件は多岐にわたる場合もあり、出走枠保有者は出走馬の馬主側と、賞金の分配、騎手の手配、レースで着用する勝負服などについて合意しなければならない。

また、契約には賞金分配以外にも、将来的な繁殖に関する権利などが盛り込まれることもある。

しかし今年は、5月上旬の時点で、まだ1頭も正式にジ・エベレスト出走が確定していない。

この状況も相まって、複数の出走枠保有者は従来にない発想で、オータムグロー陣営にスプリント転向のローテーションを促せるか探っている模様だ。

モハメド殿下率いるゴドルフィン陣営は現在、豪州調教馬の中では最有力候補といえるテンプテッドを抱えている。テンプテッドは昨年のジ・エベレストでカーインライジングの2着に入り、その後さらにG1勝利を加えた。

ゴドルフィンは自前でジ・エベレストの出走枠を保有しており、レース当週まで待ってからテンプテッドを代表馬として確定させることもできる。

昨年の3着馬、ジミーズスターも前売り市場で上位に名前があり、ゴールデンスリッパー勝ち馬のゲストハウスも同様だ。ただしゲストハウスが古馬の実績あるスプリンターたちと渡り合うには、3歳になってさらに一段階レベルを上げる必要がある。

カーインライジングの影響力がジ・エベレスト全体に及んでいることを示すのが、TJスミスステークスを鮮やかに制したジョリースターの動向だ。同馬はジ・エベレスト3度目の挑戦よりも、ロイヤルアスコット遠征を優先する形で調整されている。

ジョリースターは昨年のジ・エベレストでは不運もあり、カーインライジングの5着に敗れていた。

ロイヤルアスコット開催には、ジョリースターに加え、同じく豪州調教のスプリンターであるオーバーパス、ジェネロシティ、アスフォーラも遠征する見込みだ。これらの馬にとって、帰国後にジ・エベレストへ向けて万全に仕上げるには、輸送と検疫の条件が大きなハードルとなる。

アダム・ペンギリー、ジャーナリスト。競馬を始めとする様々なスポーツで10年以上、速報ニュース、特集記事、コラム、分析、論説を執筆した実績を持つ。シドニー・モーニング・ヘラルドやイラワラ・マーキュリーなどの報道機関で勤務したほか、Sky RacingやSky Sports Radioのオンエアプレゼンターとしても活躍している。

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