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6月10日、水曜夜の大井で開催されたJpn1・東京ダービー。戸崎圭太騎手の騎乗に一切の迷いはなかった。狙いはひとつ。4月のJpn1・羽田盃を制したフィンガーでハナを奪い、この東京ダービーを勝ち切ることだった。

大井の2000m戦で戸崎が見せたのは、攻めの姿勢、直感、そして判断力が見事に噛み合った騎乗だった。その結果、フィンガーには10月に再び大井で行われるJpn1・ジャパンダートクラシックで、ダート三冠への挑戦権を得た。ただし、その選択が確定したわけではない。

「国内や海外であったり、本当に夢のある子だなと思っています。地方のダート三冠への挑戦も、もちろん選択肢に入っています」

6月7日のG1・安田記念をシックスペンスで制したばかりの田中博康調教師は、次のように語った。

「この子には大きな可能性を感じていますので、幅広い選択肢があるのかなと思っています。体は大きな子ですけど、とても物事に動じず、先程の口取りでも一歩も動かないような振る舞いでした。そういった可愛い子ですが、インパクのあるレースもお見せできる子です」

田中師は、フィンガーの今後のローテーションについて、夏場に休養を挟む可能性も含め、レース後の状況が落ち着いてから決めると補足した。一方、戸崎自身が東京ダービーで描いていたレースプランは、ひとつに絞られていた。

戸崎はこの日、レース前にトレーナーと戦術面の選択肢について話していた。両者ともハナを奪う形を第一に考えていたが、不利な外枠からでは、それを実現するのは難しいかもしれないと田中師は見ていた。しかし戸崎の騎乗は、それを現実のものとした。

「もちろん(前に)行けないことも想定していました。絶対にハナを取らなくてもと思っていましたが、正直ハナに行かなくても全然競馬にはなったと思います」と田中博康師は振り返る。

「ただ、戸崎ジョッキーが、思い切って行くという判断をしてくれたのは、今回の勝利に繋がったと思います」

東京ダービーのゲートが開くと、フィンガーは好スタートを切ることに成功。しかし、内の枠から出たロックターミガンも楽に出ていた。1周目のゴール板へ向かう時点では、ロックターミガンが主導権を握るようにも見えた。

だが、戸崎はそれを許さなかった。手綱を長めに構え、フィンガーのストライドを伸ばしたまま、速いペースでライバルの前へ出ていった。

「先生とも話をして、この馬の良さを引き出すにはタフな競馬がいいと思っていました。ハナを取りに行くところは、結構強気に出ようと思っていました」と戸崎はレース後にコメント。

「馬を信じて、この馬のリズムで走らせることを考えていました。前半を出している分、落ち着いてはないだろうなと思っていました」

戸崎は向正面でフィンガーに息を入れ、リズムを整えた。そして4コーナーで再びギアを上げると、直線では懸命に追った。フィンガーは勝負根性を見せ、後方から鋭く追い込んだシルバーレシオをしっかりと退けた。

「予定通りで、この馬のタフさを生かすレースができたかなと思っています」

2013年3月、JRAへ移籍するまでの15年間、戸崎圭太騎手は大井を拠点に地方競馬を牽引していた。今は45歳となった戸崎が、かつて大井で注目を集め、地方競馬を代表するトップジョッキーのひとりとして勝ち星を重ねていた頃を彷彿とさせるような勝利だった。

戸崎はその後、JRAで最多勝利騎手のタイトルを3度獲得し、日本国内の大舞台でも数々の勝利を手にしている。

戸崎自身にとって、今回が東京ダービー5勝目だった。ただし前回の勝利は2011年。JRAへ移籍する2年前までさかのぼる。

「地元というか、自分の出身である大井競馬場で、また東京ダービーを勝つことができて、本当に感慨深く思っています」と戸崎は話した。

「これだけ結果を出していますので、今後も大きなところを目指していけると思います。三冠もあると思います」

フランク・チャン、Idol Horseのジャーナリスト。世界を旅する競馬ファンとして、アメリカ、カナダ、チリ、イギリス、フランス、ドバイ、オーストラリア、香港、そして日本の競馬場を訪れた経験を持っている。

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デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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