現役馬で唯一、世界最強馬イクイノックスを破った競走馬であるジオグリフは、4月にランドウィック競馬場で開催されるG1・ドンカスターマイル(芝1600m)に挑戦する予定だ。
ジオグリフは、シドニーの『ザ・チャンピオンシップス』に日本からエントリーした3頭のうちの1頭である。他の2頭は、G1・クイーンエリザベスステークス(芝2000m)に出走予定のG1・ブリーダーズカップターフで2着に入ったローシャムパーク 、G1・シドニーカップ(芝3200m)に出走予定のG2・ステイヤーズステークス2着馬のシルブロンである。
ジオグリフを管理する木村哲也調教師は、かつてイクイノックスも手掛けた調教師であり、ジオグリフはこの世代を代表する競走馬の一頭だった。2022年のG1・皐月賞(芝2000m)では、イクイノックスとドウデュースら(直近2年のJRA年度代表馬)を破り優勝した。しかし、その後のG1・東京優駿(日本ダービー・芝2400m)ではドウデュースが勝利し、ジオグリフはその雪辱を果たせなかった 。
イクイノックスはその後、無敗のまま4歳シーズンを圧巻のパフォーマンスで駆け抜け、2023年の世界最強馬へと登り詰めた。
一方で、ジオグリフは皐月賞以降、世界各国を転戦し、芝・ダート問わずさまざまな距離で挑戦を続けているものの、勝ち星には恵まれていない。2023年には、ダートのG1・サウジカップ(1800m)で4着となり、世界最高賞金レースで健闘を見せた。また、G1・安田記念(芝1600m)では、優勝馬ロマンチックウォリアーから3馬身差の6着とまずまずの成績を残している。
2024年のシーズン最終戦では、G1・BCマイル(芝1600m)で5着に入り、米国を含めた5カ国での出走を経験した。しかし、2025年の初戦となった前走G3・東京新聞杯(芝1600m)では、11着と精彩を欠いた。
ジオグリフは、同じサンデーレーシング所有のローシャムパークと共にシドニー遠征を検討中だ。ローシャムパークは、2024年のG1・BCターフ(芝2400m)でレベルスロマンスに僅差で敗れたものの、驚異的なレース内容で世界に名を轟かせた。

ローシャムパークは、日本国内でもG1レースで2着の実績を持ち、2023年のG1・大阪杯(芝2000m)ではベラジオオペラにクビ差で敗れた。また、G2・産経賞オールカマー(芝2200m)では、G1馬3頭を抑えて勝利を収めた。
日本馬は、これまでドンカスターマイルやクイーンエリザベスSで勝利を挙げたことはないが、過去にいずれのレースでも2着に入線した実績がある。2015年のドンカスターマイルでは、リアルインパクトがカーマデックに次ぐ2着となり、2019年のクイーンエリザベスSでは、クルーガーがウィンクスのラストランで2着に食い込んだ。
一方で、日本調教馬はこれまでシドニーCに出走したことがない。2018年には、イクイノックスと同じシルクレーシングが所有するステークス馬プレストウィックが有力視されていたが、発走直前に競走除外となっている。
それから7年後、シルクレーシングは再びシドニーC制覇に挑む。シルブロンは、直近のレースとなるG2・ステイヤーズS(芝3600m)で、勝ち馬から僅かハナ差の2着と健闘し、長距離適性を証明している 。
もしこの3頭がオーストラリア遠征を決行する場合、3月の第1週に輸出検疫に入る必要がある。現在の計画では、3月18日に輸送機で出発し、4月1日以降シドニーで出走が可能となる予定だ。『ザ・チャンピオンシップス』の初日である4月5日に向けて、着々と準備は進められている ∎