Aa Aa Aa

競馬場: 京都競馬場

距離: 3200m

賞金: 6億5000万0000円(約420万0000米ドル)

1937年、帝室御賞典は春と秋の年2回開催へと整えられ、現在ではそれぞれ天皇賞春、天皇賞秋として知られている。春の競走は1938年に阪神で始まり、1944年に京都へ移った。戦時中の中断を経た後は、京都競馬場を主な舞台として定着し、競馬場改修などに伴う代替開催を除けば京都で行われてきた。

天皇賞春は日本の平地G1では最長距離のレースで、右回りの京都競馬場・芝外回りコースを舞台に行われる。

4歳以上の古馬による格式高い一戦として知られ、これまでにディープインパクト、キタサンブラック、ゴールドシップ、テイエムオペラオー、スペシャルウィーク、シンボリルドルフ、タマモクロス、スピードシンボリといった名馬が制してきた。

クロワデュノールが「ダービー馬」19年ぶり勝利へ

クラシック三冠馬のディープインパクトは、三冠達成の翌年となる2006年に天皇賞春を制した。その翌年には、メイショウサムソンも日本ダービー制覇に続いて芝3200mの大一番を制し、2008年の天皇賞春でも2着に入った。

今年の天皇賞春でクロワデュノールが勝てば、これらの過去の名馬たちに続くことになる。

だが、メイショウサムソン以降、天皇賞春制覇を狙った日本ダービー馬は6頭いたが、いずれも勝利に届いていない。三冠馬のオルフェーヴルは2012年に11着、エイシンフラッシュは2011年に2着にとどまった。

直近で挑んだ日本ダービー馬は2年前のタスティエーラだったが、3200mで持ち味を発揮しきれず、テーオーロイヤルの7着に終わった。

クロワデュノールは前走、2000mのG1・大阪杯を制し、4歳シーズンの始動戦を勝利で飾った。同じ大阪杯は、父キタサンブラックが2017年、2度目の天皇賞春制覇へ向かう過程で勝ったレースでもある。

Croix du Nord wins the 2026 G1 Osaka Hai
YUICHI KITAMURA, CROIX DU NORD / G1 Osaka Hai // Hanshin /// 2026 //// Photo by Shuhei Okada

吉田照哉氏「提言」に揺れる春天

日本競馬が世界的に評価される理由の一つに、サラブレッドのスタミナ要素を守り、2400m戦に対応できる馬づくりを重視し続けてきたことがある。

一方、世界の他の地域ではスタミナ色が徐々に薄れてきた。スプリンターが主役となっているオーストラリア競馬はその代表例で、米国競馬や英国競馬でも、スピードがあり、早い時期から結果を出せるタイプの方が生産者や購買者にとって魅力的になっている。

近年、エプソムの英ダービーや英オークスでは、3歳馬が2400mを本当に走り切れているように見えるケースが少なくなっていることも目につく。

天皇賞春の格式は、日本の生産界においてスタミナを求める必要性を支えるレースの一つになっている。

だが最近、日本のみならず世界の競馬に大きな影響力を持つ社台ファームの吉田照哉氏が、レースの質を高め、G1・キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスのような欧州の中距離大競走へ向かうステップにするため、天皇賞春を2400mへ短縮してもよいのではないかと提案した。

そうした議論の中でクロワデュノールが勝てば、天皇賞春の価値を改めて示す結果となり、3200mという距離を維持する意義を示す材料にもなり得る。

アドマイヤテラ、本格化の兆し

アドマイヤテラは、時間をかけて大事に育てられ、5歳にして一流ステイヤーとして頭角を現しつつある。芦毛の同馬は3歳時、セントレジャーにあたるG1・菊花賞で3着。昨年はG1・ジャパンカップとG1・有馬記念に挑んだが、結果は芳しくなかった。

しかし前走のG2・阪神大賞典では、武豊騎手を背にレコードタイムで3馬身差の勝利を収め、その内容はまさに圧巻の一言。

日本競馬史上屈指の名手は、レイデオロ産駒のアドマイヤテラを道中は内の中団で運び、4コーナーでは先行2頭の直後まで押し上げると、直線入口で一気に突き放した。同じように好位の後ろから運ぶ競馬ができれば、武豊騎手にとってはこのレース9勝目、そして9年前のキタサンブラック以来となる天皇賞春制覇が見えてくる。

Yutake Take has won a Group race in Japan in each of the 40 years he has been riding
YUTAKE TAKE, ADMIRE TERRA / G2 Hanshin Daishoten /// Hanshin //// Photo @kenta11312

シンエンペラー、距離延長で復権なるか

シンエンペラーは昨年2月、サウジアラビアでG2・ネオムターフカップを勝った後、一流の4歳馬へ成長すると期待された。さらに、前年の3歳時には、G1・東京優駿とG1・愛チャンピオンSで見どころ十分の3着に入っている。

しかし実際は、サウジアラビア遠征での勝利以降、勢いを失っている。

現在は5連敗中で、今年のネオムターフカップでも離された4着に敗れた。矢作芳人調教師は、シンエンペラーの持ち味をもう一度引き出せるかを探るため、距離を延ばして臨む。シンエンペラーにとって、まだ一線級で戦えることを示す最後のチャンスになるかもしれない。

ダイヤモンドステークス組にも注目

阪神大賞典は天皇賞春へ向けた重要な前哨戦だが、東京芝3400mのG3・ダイヤモンドステークスもまた大事なステップになっている。昨年は、ダイヤモンドS(1着)をステップにしたヘデントールが天皇賞春を制した。

今年は、成長著しい5歳馬スティンガーグラスがダイヤモンドSを制して本番へ向かう。

昨年、天皇賞春でヘデントールの手綱を取り勝利に導いたのがダミアン・レーン騎手だった。今年、オーストラリアの名手はスティンガーグラスとコンビを組む。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

デイヴィッド・モーガンの記事をすべて見る

すべてのニュースをお手元に。

Idol Horseのニュースレターに登録