安田記念の概要
- 開催日 6月7日(日曜日)
- 競馬場 東京競馬場(左回り)
- 所在地 府中市(東京都)
- 国際格付け G1
- 国内格付け G1
- 出走条件 3歳以上
- 馬場 芝
- 距離 1600m
- 総賞金(日本円) 3億9060万0000円
- 総賞金(米ドル) 約252万0000米ドル
- 初開催 1951(イツセイ)
安田記念の歴史
安田記念は、春シーズンに東京で行われる3つのマイルG1、NHKマイルカップとヴィクトリアマイルに続く、その頂点に位置するレースである。この時期に行われる同距離の古馬混合の定量G1は2つしかなく、もう一つは11月のマイルチャンピオンシップだ。そして安田記念は、世界屈指のマイル戦の一つでもある。
安田記念は1951年に初めて施行され、JRAの初代理事長である安田伊左衛門を記念して行われている。1993年に正式なG1格付けを受け、1995年にはゴドルフィンがハートレイクを送り込み、同馬が初の海外調教馬による勝利を挙げた。
このレースは香港のマイラーにとってシーズン終盤の目標となることも多いが、これまで日本勢を破ったのは、フェアリーキングプローン、ブリッシュラック、ロマンチックウォリアーのみである。しかし今年は、海外調教馬の遠征がなく、地元勢だけの戦いとなる。

安田記念のデータ
安田記念の有力馬
トロヴァトーレ(5歳牡馬・レイデオロ × シャルマント)
調教師: 鹿戸雄一
騎手: クリストフ・ルメール
主な勝ち鞍: G3・エプソムカップ (2026)
昨年17着に敗れた馬が、今年は本命候補として出走する。それだけ聞けば、まるで過剰人気のように思えるかもしれないが、今年のトロヴァトーレにはそれだけの魅力がある。元々、素質を高く評価する声は多かった馬だが、2月以降にG3レースを2連勝。いずれも僅差ながら強い内容、そして東京競馬場との好相性も見逃せない。
レイデオロの初年度産駒として早くから注目を集めたトロヴァトーレは、クラシック出走こそ逃したものの、順調に一つ一つ勝ち上がり、G3・ダービー卿チャレンジトロフィーで重賞初勝利。G1初出走となった昨年の安田記念は大敗に終わり、その後はダートに挑戦した期間も挟んだ。
今年、芝に戻してからはG3・東京新聞杯とG3・エプソムカップを連勝。シーズン成績は3戦2勝としている。
東京コースとの相性は良く、1800m以下の芝レースに限った場合、出走成績は5戦3勝・2着1回となっている。ただし、トップクラスのマイラーとの対戦経験は、昨年の安田記念のみ。今年のメンバーは強くはないが、その点は注意が必要かもしれない。

ガイアフォース(7歳牡馬・キタサンブラック × ナターレ)
調教師: 杉山晴紀
騎手: 横山武史
主な勝ち鞍: G2・富士ステークス (2025)
ジャンタルマンタルが昨年のG1・安田記念とG1・マイルCSをいずれも制した一方、ともに2着で涙を呑んだのがガイアフォースだった。今年の安田記念にジャンタルマンタルはいない。通算11回目のG1挑戦にして、過去最大級のG1初制覇チャンスが回ってきた。
マイル路線の強豪として安定感を見せてきた同馬だが、2025年は確かな飛躍のシーズンとなった。前述のように、春秋マイルG1で連続して2着に入り、G2・富士Sではジャンタルマンタルを2着に退けている。3月にはG1・ドバイターフに遠征したが、この時はオンブズマンから4馬身差の6着に敗れた。
安田記念はリピーターレースとして知られており、過去10年間では、ロゴタイプ、アエロリット、アーモンドアイ、グランアレグリア、シュネルマイスター(3年連続)、ソングライン(連覇)、そしてソウルラッシュが2年連続で入着。ガイアフォースは安田記念では、昨年の2着に加え、一昨年は4着に入っている。
パンジャタワー(4歳牡馬・タワーオブロンドン × クラークスデール)
調教師: 橋口慎介
騎手: 松山弘平
主な勝ち鞍: G1・NHKマイルカップ (2025)
今年の安田記念、出走馬の中でG1馬は3頭。そのうち、昨年G1を勝った馬はパンジャタワーのみ。G1・NHKマイルカップ制覇以来の出走となる東京競馬場では、2戦2勝と敗北を経験していない。
桜花賞、皐月賞、そして先週の日本ダービーを制し、春のG1シーズンで存在感を見せる松山弘平騎手にとっては、さらなるG1制覇を積み重ねる大チャンスだ。
昨年、8月のG3・キーンランドカップ(1200m)を勝利すると、オーストラリアの高額賞金レース・ゴールデンイーグルに遠征し、オータムグローから2.6馬身差の5着。サウジ遠征のG2・1351ターフスプリントでは5着、久々の国内出走となった3月のG1・高松宮記念(1200m)では4着と、いずれも勝ち馬から数馬身差の上位に入っている。
近走は堅実、逆に言えばもどかしい競馬が続いているが、安田記念は明確に実績上位の一頭として出走する。ジャンタルマンタルのように、NHKマイルカップと安田記念の両方を制した馬となれば、次世代のマイル王者に一歩近付くかもしれない。

レーベンスティール(6歳牡馬・リアルスティール × トウカイライフ)
調教師: 田中博康
騎手: 戸崎圭太
主な勝ち鞍: G2・中山記念 (2026)
1800mでは8戦5勝、2着2回、3着1回。しかし1600mでは2戦ともに大敗。“200mの壁”を克服できるかが、レーベンスティールがG1初制覇を挙げられるかの鍵だ。重賞勝利は実に4回、確かな実力馬として疑いない存在だが、G1レースでは過去4回の出走でいずれも入着果たせず。「今度こそ」はマイルで訪れるのだろうか。
今シーズン初戦のG2・中山記念は、1800mでの強さを見せつけるような快勝で勝利。続けて挑んだ4回目のG1挑戦、大阪杯ではクロワデュノールに及ばず6着に敗れた。
試行錯誤を繰り返す中で、これまで多くの騎手が起用されてきたが、今回の安田記念では戸崎圭太騎手が騎乗。このコンビは先述の勝利した中山記念も含め、過去3度の出走で3着以内を外していない。
Idol Horseの競馬記者の見解は?
タカハシ・マサノブ記者
視点: 隠れた実力馬
ジャンタルマンタル、エンブロイダリー、アドマイヤズームが不在、今年の安田記念は決して強いメンバーとは言い難い。軸となる有力馬は何頭か存在するが、それ以外は混戦模様となっているため、ここは隠れた実力馬にスポットライトを当てたい。
まずは軸から。安田記念は2年連続の好走がほぼ毎年のように発生しており、その点、前年2着のガイアフォースは信頼できる。昨年は7歳馬のソウルラッシュが2年連続の3着以内、ガイアフォースも年齢は問題とならないだろう。もう一頭はパンジャタワー。東京ではいずれも力強い末脚で勝利している。
シックスペンスは近走不振に苦しむ一頭だが、追い切りではブリンカーを着用。前走から田中博康厩舎へと転厩しており、復活に向けて工夫を重ねている最中だ。オフトレイルは好走実績が京都に集中していることから軽視されがちだが、G1・マイルCSでは13番手から追い上げて4着。その実力は上位の一角だ。
推奨馬: 14番・ガイアフォース、16番・パンジャタワー、4番・シックスペンス、3番・オフトレイル
ホーマン記者
視点: ジャンタルマンタル基準
ジャンタルマンタルは今年のレースには出走しないが、同馬の近走成績は、今春のマイル路線を評価する上で有用な基準となる。
ガイアフォースは、ジャンタルマンタルを基準とした比較が好材料となる。安田記念とマイルCSでは先着を許した一方、G2・富士Sではジャンタルマンタルを破って勝利しており、同馬不在のここでは主役候補だ。マイルCS・3着馬のウォーターリヒトは、G3・東京新聞杯での堅実な走りも含め、東京競馬場で安定したパフォーマンスを続けている。
マイルCS・4着馬のオフトレイルも、東京マイルコースでの成績は良くないものの、考慮すべき一頭だ。ただ、私はむしろシャンパンカラーを上位に取りたい。2023年のNHKマイルカップ勝ち馬は、その後まだトップレベルでの入着実績がないが、特に東京の長い直線で見せる上がりの数字は、昨年の安田記念6着も含め、依然としてこのメンバーの中でも屈指のものがある。
コース巧者も軽視すべきではない。レーベンスティールは、まだ東京の1600m戦には出走していないものの、同競馬場の1800mでは優秀な成績(4: 3-1-0)を誇り、その中には重賞2勝も含まれている。今回の条件にも対応できることを示唆している。
推奨馬: 14番・ガイアフォース、9番・ウォーターリヒト、8番・シャンパンカラー、1番・レーベンスティール
上保周平記者
視点: トロヴァトーレに好機あり
トロヴァトーレは最有力候補だ。同馬は東京新聞杯とエプソムカップを連勝して安田記念に臨む。東京との相性と現在の状態を考えれば、このメンバーでは最も強力な選択肢となる。
17番という外枠は一見すると厄介に映るが、近年の安田記念では外枠が特に不利だったわけではない。そして、窮屈にならずに運べる可能性は、むしろ同馬の強みを生かすことにつながるかもしれない。
最大の脅威はガイアフォース。昨年の安田記念2着、富士S勝利、マイルCS・2着という実績は、古馬マイル路線の中でも信頼に値する実績だ。唯一とも言える懸念材料は年齢。「7歳馬」という点は頭に入れておく必要がある。
レーベンスティールにはマイルでの実績が不足しているが、府中では非常に高いパフォーマンスを見せており、レースが向けば上位争いに加わるだけの地力がある。
パンジャタワーは近走ではスプリント戦で良い走りを見せているが、NHKマイルカップ勝利は、同馬のスピードがこのコースと距離でも通用することを示している。ペースのすぐ後ろで折り合えれば、粘り込む力はある。
推奨馬: 17番・トロヴァトーレ、14番・ガイアフォース、1番・レーベンスティール、16番・パンジャタワー
スティーヴン・ホー記者
視点: コース実績
ガイアフォースは、東京マイルコース実績の点で明確な優位性がある。過去にジャンタルマンタルやソウルラッシュといった強豪マイラーを破っており、この距離での能力には疑いの余地がない。
レーベンスティールは、同競馬場で5戦3勝という印象的な成績を誇り、その中には2025年の毎日王冠も含まれている。安田記念は傾向として年長馬が好成績を収めており、5歳馬の同馬はその傾向を維持するのに良い位置にいる。
パンジャタワーは東京で2戦2勝と無敗を維持しており、その実績は2025年のG1・NHKマイル勝利によって際立っている。戦術の自在性が最大の武器であり、手強い候補となる。
ステレンボッシュが以前、東京で入着を外した時の走りは、明らかに本調子を欠いていたため、明らかに度外視できるものだった。近走のエプソムカップでの巻き返しのパフォーマンスは、同馬がしっかりと本来の状態へ戻っていることを示している。
推奨馬: 14番・ガイアフォース、1番・レーベンスティール、16番・パンジャタワー、6番・ステレンボッシュ