水曜夜、地方競馬を代表する大井競馬場で行われたJpn1・帝王賞で、5歳の実力馬ミッキーファイトが2年連続の勝利を飾った。来年初めの高額賞金の舞台を視野に、サウジアラビアとドバイが遠征先として検討されている。
今季好調の田中博康調教師にとって、今年これが4つ目の主要タイトルとなった。大井ではフィンガーがJpn1・羽田盃とJpn1・東京ダービーを制し、先月にはシックスペンスが東京競馬場のG1・安田記念を勝利している。
フィンガーとシックスペンスはすでに海外遠征が決定済み。フィンガーは米西海岸のG1・パシフィッククラシックへ、シックスペンスはフランスのG1・ジャックルマロワ賞へ向かう予定だ。そして今度は、ミッキーファイトが来年初めに海外遠征に出る可能性が出てきた。
「海外もありますし、中東遠征ももちろん意識はしていますから、そこへ向けてのプランニングをしていく形になるかなと思います」
ミッキーファイトが夏のダート頂上決戦で、メイショウハリオに続く史上2頭目の連覇を達成した後、田中師は同馬の海外遠征プランについて言及した。
栗毛のミッキーファイトは単勝1.7倍の1番人気。近2走の敗戦から巻き返しを期す一戦だった。前走は船橋のマイル戦、Jpn1・かしわ記念で厳しい競馬を強いられながら2着に入っていた。今回は期待を裏切らなかったが、田中師は2000mという距離がベストだとは考えていない。
ミッキーファイトは好スタートを切り、序盤は行きたがる面を見せながらも、戸崎圭太騎手の手綱で好位3番手に収まった。大井の名手として知られる戸崎は、かつての本拠地であるこの競馬場で、東京ダービーを勝ったフィンガーの鞍上でもあった。ミッキーファイトは4コーナーで力強く進出し、楽な手応えで先頭へ。直線では追われてからもしっかり脚を伸ばし、余裕を感じさせる勝利を収めた。
「フリオーソ以来の勝利となりますが、また帝王賞を勝つことができてうれしく思います」
戸崎はそう語り、JRAに移籍する前、2010年に挙げた自身2度目の帝王賞制覇を振り返った。今回が同騎手にとって帝王賞3勝目となる。
戸崎と田中師はともに、昨年4月以降の5戦でミッキーファイトに騎乗していたクリストフ・ルメール騎手の手腕を評価する。ルメールは現在、欧州で夏の休暇中。戸崎は、その前の6戦でミッキーファイトとコンビを組んでいた。
「そこまで作ってもらったのも、クリストフ(ルメール騎手)がしっかり4戦、この子の能力を出し切る競馬をして、そこで馬も強くなった部分もあります」と田中師は感謝の言葉を口にする。戸崎も「改めて乗せていただいて成長も感じてますし、先々楽しみだなと思っています」と話した。
一方で、遠征を見据える田中師は、ミッキーファイトの精神面を踏まえて慎重な姿勢も示した。
「まだまだ経験不足のところもあるので、そこ(遠征時期)をはっきりいま言える状況ではないですけど、輸送もクリアしなくてはならないですし、そのあたりも繊細な子なので、簡単にすぐ海外というのも今は断言できないなというのがあります」

田中師は近年、レモンポップ、ローシャムパーク、アロヒアリイといった馬たちを国際舞台に送り込んできた。フランスではG2勝利を挙げている一方で、海外G1制覇にはまだ届いておらず、その事実がむしろ挑戦への意欲を強めているようだ。
来月、田中博康厩舎からは、フィンガーがデルマー競馬場のG1・パシフィッククラシックへ向かう。田中師は、2024年のG1・ブリーダーズカップターフでローシャムパークがデルマーで2着に入った経験を、フィンガーの準備に活かしたいと考えている。フィンガーは同世代相手のG1・トラヴァーズステークスのような米東海岸のレースではなく、古馬と戦う西海岸の一戦へ向かうことになる。
「(西海岸への遠征は)輸送の面もありますし、すべては経験という意味でいっているところも大きいと思います」と田中師は遠征先の狙いを説明。「タイトルを取るというのも一つ、一つ大きなタイトルを取りたいなというのもありますし、それがどこがいいかなという選択肢の中で、パシフィッククラシックを選択しました」
田中師はまた、フィンガーについて「本当にタフな馬」と表現し、アメリカ遠征のプランは以前から決まっていたことも明かした。
「羽田杯からタフな競馬を経験させてましたようにとにかくタフなところと、血統的にもお父さんがガンランナーですし、お母さんもアメリカで活躍したお母さんでしたから。この子の競馬のスタイルもアメリカに合うんではないかなと思っています」
「オーナーにも羽田杯の前から(アメリカ遠征計画の)お伝えはしていて、ここを順調にいったら、ダート二冠をもし取れるようであれば、そういった選択肢も考えられますという話はしていました」
シックスペンスのフランス遠征は8月16日。その6日後、8月22日にはフィンガーがカリフォルニアで出走。「忙しい夏になります」と、田中師は世界進出に意欲を見せる。
「厩舎としての経験というのはやっぱり大きなものだと思いますし、私自身もフランスはジョッキー時代から経験してますけど、ああやって管理馬を連れて行って、勝てたという経験も一つ大きなものでした」
昨夏、同じドーヴィル競馬場でアロヒアリイがG2・ギヨームドルナノ賞を勝った経験にも触れ、田中師は騎手時代の経験を踏まえて海外遠征での“経験と成長”を語る。
「今度の海外遠征では、また違うレースですけど、活かせるといいなとは思っています」