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香港ジョッキークラブ(HKJC)は7月、ハッピーバレー競馬場で『スペシャルレース』を実施する。騎手たちは馬主の登録勝負服ではなく、FIFAワールドカップで勝ち残った8カ国のカラーを反映した勝負服を着用して騎乗する。

このレースは7月8日に行われる1650mのクラス4戦で、出走頭数は8頭。ハッピーバレーで開催されている『レーシング・ウィズ・フットボール』シリーズの締めくくりとなる。日程も大会カレンダーに合わせて実施。ベスト16は7月7日に終了し、準々決勝は7月9日から11日にかけて行われるため、両ラウンドの合間にある平日夜を連動企画に充てられる形だ。

このレースは2025/26シーズンの番組表に、すでに『ザ・スペシャル・レース』とだけ記載されている。同じ7月8日の開催には、もう1つの1650mクラス4戦も組まれている。こちらは通常の12頭立てで、関係者によれば、企画レースから漏れた馬にも出走機会を与えるために設定されたものだという。今季はクラス4の競走馬が多く、両方の出走枠を埋めることに支障はなさそうだ。

HKJCの関係者は、この構想が実施されることを認めたうえで、「競走要項については、調教師や関係者と調整を進めている」と説明した。詳細は追って発表されるという。

こうした競馬とサッカーの連動企画の推進には、サッカー界出身であるHKJCのスポーツビジネス担当エグゼクティブディレクター、キャスパー・スティルスヴィグ氏の意向もある。

『レーシング・ウィズ・フットボール』シリーズは、ワールドカップの開催期間中、都市型競馬場であるハッピーバレーを、サッカーをテーマにした空間へと変えてきた。6月10日の開幕日にはデビッド・ベッカム氏が来場し、ビアガーデンに多くの観客を集めたほか、AIを活用したファンゾーンも視察した。同シリーズは6月から7月にかけて、水曜夜に続けられている。

HKJCのCEO、ウィンフリード・エンゲルブレヒト=ブレスゲス氏にも、サッカー界での経歴がある。HKJCのサッカー賭事売上は昨季、前年比7.8%増の1700億香港ドル(約3兆5千億円)を超えた。これは競馬の1384億香港ドル(約2兆8500億円)を大きく上回る数字である。

Casper Stylsvig HKJC  executive director of sports business
CASPER STYLSVIG / Happy Valley // 2026 /// Photo by HKJC

もっとも、誰もがこの企画に乗り気というわけではない。『東方日報』のコラムニストで、ジョッキークラブ契約の専門解説者でもあるカルロス・ウー氏は、この計画について複数の懸念を示している。その1つが出走頭数だ。企画レースを8頭立てに制限すれば、売上に響くという見方である。

ウー氏は同時に、勝負服の変更にも疑問を呈した。馬主にとって、勝負服は誇りであり、自身を象徴するものでもある。勝ち慣れた大厩舎なら気にしないかもしれないが、初めて勝利を味わう馬主が、自分の勝負服ではなく国旗をあしらった勝負服で騎手がゴールする姿を見れば、物足りなさを感じるかもしれない、という指摘だ。

さらに政治的な問題もある。ベスト8に残る国の中には、一部の馬主が友好的とは見なさない国が含まれる可能性もある。自分の馬がそうした国の勝負服で勝利することを、喜んで受け入れる人ばかりではないだろう。

商業的な合理性についても、ウー氏は懐疑的な見解を示す。香港にサッカーファンは多いが、競馬ファンの中にはワールドカップに関心を持たない人も少なくない。そうした層は、同氏が「小手先の話題作り」と見たこの企画には乗ってこないだろうという。

それでも、ハッピーバレーにとって企画性のあるレースは決して珍しいものではない。2000年1月1日の未明、HKJCは午前0時45分、照明に照らされた都市型競馬場でミレニアムカップを実施している。当時は「世界で最初に行われる新世紀のサラブレッド競走」と銘打たれた一戦だった。

それから四半世紀を経て、HKJCは再び、世界的なカレンダー上の節目を、通常とは違う試みに踏み切る十分な理由と見ている。

マイケル・コックス、Idol Horseの編集長。オーストラリアのニューカッスルやハンターバレー地域でハーネスレース(繋駕速歩競走)に携わる一家に生まれ、競馬記者として19年以上の活動経験を持っている。香港競馬の取材に定評があり、これまで寄稿したメディアにはサウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ジ・エイジ、ヘラルド・サン、AAP通信、アジアン・レーシング・レポート、イラワラ・マーキュリーなどが含まれる。

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