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兄や姉が大きな実績を残していると、その背中を追うのは簡単ではない。ましてや、それが2頭もいればなおさらだ。ラーヒーブは、走るたびに注目を集める中で、その役割を背負っている。そしてここまでは、名門一族の期待を裏切っていない。

日曜のカラ競馬場で行われるG1・愛ダービーに、ラーヒーブは無敗馬として出走する。相手には実戦経験豊富なベンヴェヌートチェッリーニ、そして英ダービー馬のクリスマスデーがいる。シャドウェルの自家生産馬である良血馬のラーヒーブは、名門の系譜の中で、自分自身の存在を示そうとしている。

「疑いようがありません。うちの3歳馬では一番です。楽しみな馬ですね」と、シャドウェルのレーシングマネージャー、アンガス・ゴールド氏は近況を語っている。

その期待の大きな部分は、ラーヒーブがこれまで見せてきた能力だけでなく、この馬の出自と血統背景にも向けられている。むしろ、そこへの期待の方が大きいかもしれない。

ラーヒーブは、G1・キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを勝利したフクムの全弟であり、背負うものは大きい。

だが、それだけではない。もう1頭の全兄は、今世紀を代表する本物の名馬の一頭、バーイードである。ムーランドロンシャン賞、クイーンエリザベス2世ステークス、ロッキンジステークス、クイーンアンステークス、サセックスステークス、インターナショナルステークスを制し、全11戦で敗れたのは一度だけだった。

この一族は、まさにシャドウェルの中核を成す血統だ。ラーヒーブの祖母、ラフドゥードはBCフィリー&メアターフを勝利し、ナシュワン、アンフワイン、ネイエフといった往年の名馬たちも同じ牝系に属する。いずれも名牝ハイトオブファッションの子孫である。ハイトオブファッションは故エリザベス女王の所有馬として走った後、故シェイク・ハムダン殿下が繁殖牝馬として手に入れた。

ラーヒーブは、ここまで順調に歩んできた。昨年9月にアスコット競馬場の未勝利戦を勝ち、今年初戦となったサンダウン競馬場のG3・クラシックトライアルも鮮やかに制し、2戦2勝としている。アスコットでのデビュー戦後、シャドウェルの主戦であるジム・クローリー騎手は、この馬をこう評していた。

「兄たちの良さを受け継いでいるように見えるのはいいですね。どうしても比較されます。バーイードは規格外で、スピードが非常にあり、6ハロンでも勝てたでしょう。本当に特別な馬でした。兄のフクムはとにかくタフでした。あの一族は成長して良くなる傾向がありますし、みんな少しずつスピードも増していきました」

クローリーはその日、オーウェン・バローズ厩舎のこの牡馬について「ぼんやりしていた」とも話していた。若馬は半分寝ているような状態で、馬場へ向かう途中に2度つまずいた、と冗談交じりに振り返っている。

「自分が何をしに来ているのか、まだ分かっていません」

ラーヒーブはまだ成長途上だった。そのことは、クローリーに代わってロッサ・ライアン騎手が手綱を取ったサンダウンでも明らかだった。クローリーはラーヒーブが9月にデビュー勝ちを収めたわずか2日後、激しい落馬事故に遭い、当時も今も復帰へ向けてリハビリの途上にある。

「体はもうできています。ただ、精神面ではまだこれから学んでいく段階です。だから陣営も急いでいないのだと思います」とライアンは、エプソムの英ダービー参戦が選択肢に入っていた時期に語っていた。

しかし、サンダウン後に反動が出たため、英ダービーとロイヤルアスコットはローテから外れた。馬場が極端に硬くならなければ、カラ競馬場での一戦は、偉大な兄のバーイードの高みにどこまで近づけるのかを見極める試金石となるはずだ。

「サンダウンではいい勝ち方をしました。ただ、レース後に少しこたえたところがあり、元に戻るまで数日かかりました。ですから、その後2週間ほど何もできなかったんです。それでエプソムへ向けた準備ができませんでした」と、先述のゴールド氏はテレビインタビューで語った。

「今は戻ってきていますし、最近は3、4本いい調教をこなしています。どのあたりの位置にいるのかを見るのは、とても興味深いですね」

クリスマスデーが道悪のエプソムで英ダービーを制した一戦では、各馬の着差が大きく開いた。その内容を見る限り、今年の3歳12ハロン路線には、まだ序列を見極める余地がある。そして、新たなスターが現れる余地も残されている。

Raaheeb and Rossa Ryan winning the Classic Trial at Sandown
RAAHEEB, ROSSA RYAN / G3 Classic Trial // Sandown /// 2026 //// Photo by Alan Crowhurst (Getty Images)

バローズ師の見解としては、ラーヒーブの態勢は整ったようだ。馬場が乾きすぎなければ、カラ競馬場の広くのびのび走れる芝コースも同馬に合うはずだ。

「ラーヒーブには合うと思います。スタミナが問われるコースですから、楽しみにしています」と同師はコメント。「ここまで順調に準備できていますし、ほどよい良馬場で走らせたいですね」

ラーヒーブが兄たちに肩を並べるまでには、まだ長い道のりがある。それでも、この早い段階において、少なくとも良い方向へ進んでいることは確かだ。

「この馬のことは、まだ見極めている段階です」とゴールド氏は言う。「まだ2戦しかしていませんが、高いレベルまで行ける馬に見えます。週末にはその答えが出るでしょう」


1935年6月22日、ナラガンセットパーク競馬場で、後の伝説的名馬、シービスケットが初勝利を挙げた。同馬はすでに17戦を走っており、2歳時は最終的に35戦5勝というキャリアを送ることになる。3年後の1938年、シービスケットは米年度代表馬となった。

1946年6月26日、モーニー・ウィング騎手はカラ競馬場の愛ダービーを、ブライトニュースで制した。これが同騎手にとって同レース6勝目の記録であり、その後、この記録に並んだ騎手はいない。

もう一人の名手、レスター・ピゴット騎手は愛ダービーを5勝している。その最後の勝利は1981年6月27日で、シャーガーが後続を大きく離して楽勝した。最後の数ハロン、ピゴットはライバルを探すように周囲を見回していた。

Shergar with the late Aga Khan after the Irish Derby in 1980
SHERGAR, THE AGA KHAN IV / G1 Irish Derby // The Curragh /// 1980 //// Photo by Steve Powell

元調教師・角居勝彦氏は、日本を代表する調教師の一人として、日本競馬界の頂点にいた。

メルボルンカップ、ドバイワールドカップ、日本のクラシックを勝った名伯楽だったが、今は厩舎を離れ、故郷である能登半島の町へ戻り、信仰の道へ進んだ。その後、町は壊滅的な被害に見舞われる。マイケル・コックス記者が珠洲を訪れ、角居氏が目指すビジョンを取材した。

ロイヤルアスコットをめぐる報道では、カーインライジングの来年参戦について「前向きな声」が出ているという話題一色だった。

しかし、デイヴィッド・モーガン記者はデヴィッド・ヘイズ調教師とザック・パートン騎手に取材し、世界的スプリンターの陣営から実際にどのような声が出ているのかを探った。その結果、報道で広がっていた筋書きとは少し違う話が見えてきた。

アダム・ペンギリー記者がIdol Horseに寄稿した最新の特集記事では、ジェイソン・コレット騎手に焦点を当てている。競馬一家に育ち、まもなく日本で新たな挑戦に臨む騎手だ。

かつては「G1未勝利の最強騎手」と呼ばれていたが、今ではシドニーのトップクラスとして尊敬を集めている。

6月21日、東京競馬場の新馬戦を逃げ切った、社台レースホース所有の2歳馬、アヴィアトーレは今後さらに上の舞台へ進める可能性を感じさせた。そうした走りを見れば、鞍上のフランシスコ・ゴンサルベス騎手が、この馬を注目すべき一頭として挙げ、週末で終了した2カ月の日本滞在におけるハイライトと位置づけたのも興味深い。

黒鹿毛の同馬は、ゴンサルベスの手綱でレースの主導権を握った。直線に入る時点では楽な手応えで、後続に2馬身ほどの差をつけていた。仕掛けられるとアヴィアトーレは素直に脚を伸ばし、最後までまっすぐ走って1馬身1/4差で勝利した。

デビュー戦としては良い内容だった。シスキン産駒のアヴィアトーレは、レースぶりに完成度を見せながらも、成長すればさらに良くなるはずだ。父シスキンはもちろん早熟性を備えており、アイルランドの無敗2歳王者だった。一方で、3歳時にもマイルのG1・愛2000ギニーを制しており、3歳になっても一線級の力を示した。

母ジェラテリアバールは、日本で2200mの未勝利戦を勝った程度の実績だったが、最終的には1200mまで距離を短縮している。ジェラテリアバールの母はドイツ1000ギニーを制したシャピーラで、同馬はマイルのG1・アスタルテ賞(現ロートシルト賞)で、フランスのチャンピオン牝馬ディヴァインプロポーションズの2着に入っている。

アヴィアトーレが母の父マンハッタンカフェからスタミナを受け継いでいるのか、それとも父系と祖母からマイル向きのスピードを受けているのかは、まだこれから見極めることになる。 

管理する田島俊明調教師は、これまでトップクラスの馬を手がけた経験はない。最も大きな実績はG2馬のホーエリートである。52歳の同師にとって、この素質を感じさせる若駒に大きな期待を寄せることになりそうだ。

エストレジャス大賞デー
サンイシドロ(アルゼンチン)、6月28日

アルゼンチン版ブリーダーズカップは2日間にわたって開催される。その2日目には、ブリーダーズカップクラシックに相当するG1・エストレジャス大賞クラシックが組まれており、昨年勝ち馬のニードユートゥナイトと2024年覇者のヴンドゥーが出走する見込みだ。この開催は、パレルモ競馬場のダートコースとサンイシドロ競馬場の芝コースで、年ごとに交互に行われている。

愛ダービーデー
カラ(アイルランド)、6月28日

今週末のカラ競馬場は、時計の出る馬場になりそうだ。今月初め、クリスマスデーがエプソムの英ダービーを勝った時の道悪とは、かなり異なる条件になるだろう。

クリスマスデーは、1907年のオービーが初めて達成した英愛ダービー連覇に挑む見込みであり、管理するエイダン・オブライエン調教師は、同レースでの通算勝利数を18へ伸ばそうとしている。

ただし、僚馬のベンヴェヌートチェッリーニがそこに立ちはだかる。英ダービーでは1番人気に推されながら後方で入線したものの、最終的には出走取消扱いとなった。今回も再び有力視されそうだ。

そのバリードイル勢の前に立ちはだかろうとしているのが、オーウェン・バローズ厩舎のラーヒーブである。まだ2戦しか走っていない無敗馬で、名王者のバーイード、そして同じくG1馬であるフクムの全弟にあたる。

ダーバンジュライデー
グレイヴィル(南アフリカ)、7月4日

ダーバンジュライは18頭のフルゲートとなる見込みで、オーストラリアを拠点とするザック・ロイド騎手とチャド・スコフィールド騎手も騎乗する。ロイドは、当初騎乗予定だったハッピーバースが負傷で回避したため、レギュレーションに騎乗する。

一方、ベテラン名手のアンドリュー・フォーチュン騎手は今年初め、G1・ケープタウンメットで劇的な勝利を挙げた。今回はスター牝馬のウィッシュリストに騎乗し、ダーバンジュライ初制覇も狙う。ウィッシュリストを管理するジャスティン・スネイス調教師は、トップハンデのリーガルカウンセルも出走させる。

各地を転戦してきたフランス人ジョッキー、ミカエル・ミシェル騎手は、デイリーニュース2000で自身初のG1勝利を挙げた3歳牡馬のスターメジャーに騎乗する。

エクリプスステークスデー
サンダウン(英国)、7月4日

オンブズマンは先週のロイヤルアスコットで、G1・プリンスオブウェールズステークス連覇を見事な内容で達成した。世界首位となるレーティング132に上昇した同馬は、昨年のエクリプスステークス2着の雪辱を狙う可能性がある。

ただし、オンブズマンも、クールモア所有の仏ダービー馬であるコンスティテューションリバーも、出走が確定しているわけではない。エクリプスステークスの出走馬に加わる可能性が高そうな新興勢力の一頭が、オーウェン・バローズ厩舎のゲシンだ。同馬はサンダウンでオンブズマンの2着に入っている。

独ダービーデー
ハンブルク(ドイツ)、7月5日

マルセル・ヴァイス厩舎のイングリッシュマンは、6月14日にケルン競馬場で行われた前哨戦、G2・ウニオンレネンを制し、独ダービー有力候補として浮上した。アンドレアス・スボリッチ厩舎のセグロも、6月6日にバーデンバーデン競馬場のG3・ダービートライアルを勝ち、存在感を示している。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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