いつも同じ質問をされる。ゴールデンシックスティとロマンチックウォリアー、どちらが上だったのか?
実際に両者がぶつかった時点では、議論の余地はあまりない。その時はゴールデンシックスティのほうが強かった。2023年のスチュワーズカップでは、マイルでロマンチックウォリアーを下し、次走でも2000mの香港ゴールドカップで再び勝った。2000mはロマンチックウォリアーの得意距離だ。言い訳はない。騎乗ミスもない。ゴールデンシックスティが正々堂々と勝っただけだ。
では、もし今走らせたらどうなる? もう私は同じ答えを言い切れる気がしない。
ロマンチックウォリアーはいま8歳で、脚の手術も受けた。7歳を過ぎたら普通は上積みが見込みにくいと言われる世界で、彼はまさにそこから上積みを積んでいる。正直、1年、2年、3年前の彼よりも、いまのほうが上だと私は本気で思う。今季のバリアトライアルは過去最高だった。動きがいい。もしかするとあの脚の問題は以前から彼を悩ませていたのかもしれない。いまの彼は、痛みのない馬のように走っている。
私がロマンチックウォリアーに惚れ込む点、そして『良い』と『真に偉大』を分ける点は、騎手としてレース中にできることが多いところだ。彼は状況への対応力がある。すべてが完璧に運ばなくてもいい。良い馬と真に偉大な馬の差は、往々にして、レースの途中で与えられた状況に合わせて対応できる力にある。
もちろんゴールデンシックスティもチャンピオンだ。ただ、乗り方には型があった。彼は中団から後方で運び、展開が向く必要があった。望めば最初の2、3番手に収める、そういう利点は持っていなかった。ロマンチックウォリアーはそれができる。そして大レースでは、そこがとてつもなく大きい。
日曜のスチュワーズカップは、その完璧な例だった。ヴォイッジバブルはやや出遅れ、ロマンチックウォリアーは3/4馬身分速く出た。これでロマンチックウォリアーの鞍上ジェームズ・マクドナルドにアドバンテージが生まれた。一方のヴォイッジバブルの鞍上ザック・パートンは、相手に主導権を握られ、何もできなかった。ジェームズは展開を見極め、3頭分外を回されていること、しかもペースがそれほど速くないことを見て取ると、ロマンチックウォリアーを楽に前へ進ませ、ラッキースワイネスの外に並びかけた。
ロマンチックウォリアーは、そこで力むことなくそれをやった。多くの馬にはできない。できるのは偉大な馬だけだ。スッと力を抜き、エネルギーを温存する。あの状況で引っ掛かる馬が大半なのに。だからこそ、狙った位置に置ける。不利を受けにくい。それが大きな違いだ。
オーストラリアの名チャンピオンホース、キングストンタウンを思い出す。1980年のシドニーカップ勝利のリプレイを見てほしい。レースの中で2度も3度も別の動きを作って、それでも最後にまとめ上げる。そういうタイプの馬だった。これは稀なことだ。

私の結論に入る前に。なぜ人は、こういう議論をそんなに怖がるのか? 私は以前、カーインライジングがブラックキャビアに勝つと言って叩かれた。ネットの一部は荒れ、とくにオーストラリアで顕著だった。だが私が言ったことは、侮辱ではない。ブラックキャビアはチャンピオンだ。25戦無敗の、歴史的名馬だ。そう認めたうえで、別の馬について意見を持つことは許されるはずだ。どちらかを選んだら、もう一方を貶しているという発想はナンセンスだ。多くの人はただ、SNSのコメント欄で叩かれるのが怖いだけなのだ。
念のため、もう一度言っておく。カーインライジングはブラックキャビアに勝つはずだ。
では、いまのロマンチックウォリアーと、全盛期のゴールデンシックスティが走るなら? 2000mなら、ほとんど疑問の余地はないと思う。私はロマンチックウォリアーに乗りたい。マイルならその差は縮まる。マイルはゴールデンシックスティのベストの条件で、あの距離では絶対的な強さを誇った。もう一つ、以前はゴールデンシックスティが有利だった要素がある。ゴールデンシックスティはロマンチックウォリアーには出せないような、切れる脚を使えた。だが、それでも私は、数年前のようにロマンチックウォリアーを軽視しない。いまは状況が変わった。今季のロマンチックウォリアーは、キャリアのどの時期よりも速いラスト400mの時計を出している。彼はいま、これまでで一番いい走りをしている。
救いはまだ先
日曜、カーインライジングとロマンチックウォリアーの後ろでゴールした馬たちの関係者に、悪い知らせがある。当面、状況は変わらない。
カーインライジングは次走、1400mのクイーンズシルバージュビリーカップへ向かう。そこでサイレントウィットネスの17連勝記録更新を狙える。昨年このレースを勝っているし、あの距離に脆さは見当たらない。1400mなど楽にこなす。
日曜のセンテナリースプリントカップで彼がやったことが、すべてを物語っている。ラスト400mは21秒94。ムチは入らず、最後の150mも本気で追っていない。それでも楽勝だ。そこが、ほかの馬たちにとって一番怖い。彼は完全に別次元にいる。私は彼を、ただのスプリンターとしてではなく、これまで見てきた中でも屈指の名馬だと思っている。

ロマンチックウォリアーは、香港三冠への道を進み続ける。次はG1・香港ゴールドカップ、その後にG1・チャンピオンズ&チャターカップが控える。2400mは前回挑戦時に敗れているが、今年は勝つと私は見ている。
香港の2強は、まだ良くなっている。いま、ほかの誰もが望める最高到達点は2着だ。