最新ニュース
20/11/2025
ロマンチックウォリアーがドバイワールドカップ参戦を視野、調教師が始動戦前に野望を明かす
ロマンチックウォリアーのダニー・シャム調教師が、来年のG1・ドバイワールドカップ参戦構想と今季のローテを明かした。始動戦を前に、ボウマン騎手を調教時の鞍上に起用してきた理由も明かした。
ジャック・ダウリング
19/11/2025
ロマンチックウォリアーの復帰戦、ヴォイッジバブルのパートン騎手は「初戦から全開」を警戒
中東遠征以来のレース、手術明け初戦をG2・ジョッキークラブカップで迎えるロマンチックウォリアー。対戦相手の“香港三冠馬”ヴォイッジバブルにとって、ライバルの状態は気になるところだ。
デイヴィッド・モーガン
11/11/2025
手術明け初戦に挑むロマンチックウォリアー、相棒のマクドナルド騎手も短期免許で香港到着
水曜日のハッピーバレー開催から、香港での短期騎乗を開始するジェームズ・マクドナルド騎手。香港カップ4連覇という偉業に向け、相棒を準備段階から手伝う姿勢だ。
ジャック・ダウリング
14/10/2025
ロマンチックウォリアーは2年連続でサウジカップ遠征へ、フォーエバーヤングに「リベンジ」挑戦状
火曜日の朝、手術明け2回目のバリアトライアルを「最高の感触」で終えたロマンチックウォリアー。“ラウンド2”の実現に向けて、フォーエバーヤングに挑戦状を叩きつけた。
ジャック・ダウリング
11/09/2025
手術明けのロマンチックウォリアーが復帰に目処、香港カップ4連覇に向けて再始動
左前脚球節の手術を受けたロマンチックウォリアーが、9月末のバリアトライアルで再始動へ。すでに調教は再開しており、前人未踏の4連覇に向けた挑戦も視野に入っている。
マイケル・コックス
“映画のような”英雄のカムバックに向けて
ロマンチックウォリアーは、とっくの昔に“驚異”の領域へと踏み込んでいたが、今週末のG2・ジョッキークラブカップでの戦線復帰によって、物語はさらに“幻想的”ともいえる領域に進化しようとしている。
ダニー・シャム調教師は、冷静さと現実主義でチームの足元を固めている。馬に関しては何事も当たり前と思ってはならず、とりわけ7か月前に脚の手術を受けた馬の復帰となればなおさらだ。
それでも、G1・サウジカップでの「やり残した仕事」を果たすべく、サウジアラビアへの再遠征の構想まで立ち上げており、このストーリーは今や映画の脚本のような様相を帯びてきている。
そこには、ほぼすべての要素が揃っている。馬主のロマンチックなビジョン、圧倒的な王者の非の打ち所のない出世街道、海外G1制覇による世界的な名声、高額賞金が懸かった舞台での劇的な敗北、怪我、そして復帰までの道のり。
残るピースは、華々しい復帰と、今年2月にフォーエバーヤングに敗れたサウジのリベンジだけだ。
主役のキャストは明快だ。自らのやり方を貫くダニー・シャム調教師、スポーツマンシップあふれる馬主のピーター・ラウ氏、“世界最高の騎手”と称されるジェームズ・マクドナルド騎手。
そして、物語を彩るキャストとして、名外科医のローレンス・チャン博士、アシスタントトレーナーのベン・ソー助手、ワークライダーのゲイリー・チャウ、ヘンリー・チャン、アンディ・ルク、マーカス・チョン、ゲイリー・プーン、バリアトライアルで鞍上を務めるヒュー・ボウマン騎手、そして何より、馬理学療法士のトム・シンプソン氏がいる。
シンプソンは、ロマンチックウォリアーという物語の背景にいる重要人物だ。オーストラリア出身の彼は共に世界中を飛び回り、シドニーの拠点から香港、リヤド、ドバイへ飛んでは、馬体をケアし、状態をチェックしてきた。G1・10勝の王者を再びレースに送り出すうえで、欠かすことのできない存在となっている。
「復帰後最初のバリアトライアルは本当に大きな試練でした」とシンプソンはIdol Horseに語る。
「9月にハッピーバレーで行われた1700mのトライアルだったのですが、これまで関わってきた中で、ロマンチックウォリアー自身が一番きつそうにしていたトライアルでした。どれほど大変な道程だったのかを物語っています」
ロマンチックウォリアーの活躍、そして目前に迫っている怪我からの復帰は、馬自身の驚異的な運動能力に加え、シャム師の巧みなチームマネジメントに負うところが大きい。
「ダニー(シャム師)は究極のプロフェッショナルで、本当に緻密なんです」とシンプソンは言う。
「まるでF1チームのようなもので、この馬の周りでは誰もが日々、自分の役割を果たしています。装蹄師は毎朝、彼が動く前にまず脚元をチェックします。私が香港にいる時は、馬房から出る前にストレッチをし、歩いた後もストレッチ、鞍をつけた後もストレッチをして、その後の調教が終われば治療をします。誰もが、毎日決まった役割を果たしているんです」
「彼はまさに『よく手入れされた精密機械』のようで、その成果を目の当たりにするのは本当にすごいことです。幸いなことに、ここまでトレーニングへの復帰過程はほとんど非の打ち所がありません」

シンプソンは、その大きな理由の一つに、シャム師がロマンチックウォリアーという馬を“個”として熟知していることを挙げる。
「ダニーは、最大限を引き出すために、その時々でトレーニングを微調整してきました」と明かした上で、手術後、自身がロマンチックウォリアーの治療にあたるうえで「大きな違い」があったと彼は続ける。
「一つ目は、筋肉痛の出方や歩様に変化が出ていないかを常にチェックすること、そして運動量が増えても、乗り役たちが彼の感触に満足しているかどうかを確かめることでした」
「あのタイプの怪我で怖いのは、故障した患部をかばうことで走りのバイオメカニクス(生体力学)が変わってしまうことです。そうなれば、二次的な故障が出てきます」
「ダニーは、とにかく『先手を打つ』ことにこだわりました。それがものすごく大きかったと思います。トライアルの2週間前になるまで待つようなことは一切ありませんでした。怪我に付随して出てくる異変があれば、予防的にすぐに拾い上げて、徹底的に対処していきました」
「もう一つは『時間をかけた』ことです」
「ダニーは十分な時間を与えてくれました。それが素晴らしかったです。そして、この馬自身が本当に扱いやすく『忍耐強い』というプラスもありました。歩様が素晴らしく、バイオメカニクスの面でもレースに非常に適した体をしています。だから、他の馬ならもっと大変だったはずの回復過程を、かなりスムーズにこなせたのだと思います」
怪我の後に懸念されることの一つが筋委縮の影響だが、シンプソンによれば、8歳に差しかかろうとしているにもかかわらず、ロマンチックウォリアーはその点でも驚くべき存在だという。
「筋委縮は、代償動作が起きているか、あるいは痛みがあるかどうかを示す大きな指標なんです」
「例えば、手術が左前肢だった場合、その代償として右側のハムストリングスに筋委縮が出てきたりします。彼にはそうした兆候が一切見られません。本当に驚くべきことです」
「扱う側からすれば本当に理想的な馬で、そういう点では本当に恵まれています」
「ロマンチックウォリアーはもし何か気に入らないことがあると感じれば、ちゃんと知らせてくれます。まず耳を絞って軽く警告してきて、次はそれほど優しくありません。でも幸い、私たちはとても良い関係を築けています」
「馬との信頼関係を持つことは、特に一流馬に対しては本当に重要です。彼らは本当に意志が強いですから。自分のエゴは馬房の外に置いておく必要があります。もしやろうとしていることが、その日にやるべきことではないと感じたら、徹底してやらないんです」
「逆に、彼らが受け入れてくれて、こちらと歩調を合わせてくれている時は本当に素晴らしい。プロフェッショナルな仕事ができます」
シンプソンの香港での仕事は、ロマンチックウォリアーやシャム厩舎だけに限られない。彼はマーク・ニューナム、ジェイミー・リチャーズ、デヴィッド・ヘイズといった各厩舎の馬たちにも直接関わっており、彼らは皆、馬のスポーツ医学の重要性を理解していると話す。
「私は前から、香港がどんな場所なのか、その独特な環境で走る馬たちと何かできることがないか、ずっと興味を持っていました」
「ちょうどロマンチックウォリアーがコックスプレートに遠征したタイミングで、ダニーと仕事をする機会をもらったんです。それが、ある意味で私の“就職活動”のようなものでしたが、うまくいったようですね。職業的にも個人的にも関係を築くことができて、それ以来ずっと順調です」
シンプソンが馬と共に生きる生活を始めたのは、ニューサウスウェールズ州内陸にある故郷の街、バラバだった。子どもの頃はポニークラブに通っていたが、シドニーに移り、人間の理学療法士としての知識を馬の世界に持ち込むまでは、競走馬とはほとんど縁がなかった。
「ランドウィックで厩舎を一つひとつ回って売り込みをして、何とかいくつかの扉を開けることができた、という感じでした」
と彼は振り返る。ただ、最初の頃は決して簡単ではなかった。約20年前は、馬の理学療法がまだ主流の治療法とは言えなかったからだ。
「自分の腕前を示さなければなりませんでしたし、初期の頃は、それまでとは違う形で技術や手法を試していました。幸いなことに良い結果が出て、それが自信になり、そこからは全力で突き進むことができました」
「人間の理学療法とやっていることは全く同じです。必要なトレーニングを受けて馬の理学療法に関する修士課程を修了し、同じ原則、つまり臨床推論をそのまま応用します。結局のところ、彼らもアスリートで、ただ四足歩行であるというだけです」
「解剖学的にも生理学的にも人間と非常によく似ていて、同じように治療します。鍼治療、関節可動域のチェック、触診、歩様の確認、速歩でのチェックなど、そういった要素がすべて臨床像を形作っていきます」
「そして治療も同じ治療法を使います。経皮的電気神経刺激(TENS)療法、温熱、冷却、ストレッチといったものです。馬たちはそれらを非常によく受け入れてくれます。こちらがそれをどう組み立てるかを見つけ出すだけです。結局のところ、これは科学的根拠に基づいたアプローチなんです」
シンプソンは、ロマンチックウォリアーの最終追い切りの後はいったんオーストラリアに戻っているが、復帰戦の翌日である月曜日には再び香港に飛び、状態をチェックして治療を行う予定だ。
チームの他のメンバー同様、彼も地に足の着いた姿勢を崩してはいないが、すべてがうまく運べば、そこに壮大な物語が生まれることを理解している。
「今のところはみな冷静ですが、もしロマンチックウォリアーがいいパフォーマンスを見せてくれたら、きっと少しずつ興奮してくるでしょう」
「そうなれば、本当に映画のような話になりますね」
世界の競馬場から
20世紀を代表する名騎手の一人、エディ・アーキャロ騎手は1961年11月18日に現役を引退した。
米三冠馬のサイテーションとワーラウェイの主戦として輝かしいキャリアを築いた殿堂入りジョッキーは、最後の騎乗となったピムリコフューチュリティで3着に入り、当時としては記録的な30,039,543ドルの獲得賞金を残してレースを去った。
香港のチャンピオンジョッキー、ダグラス・ホワイトは2016年、オーストラリア・パースへ飛び、11月19日に豪アスコット競馬場で行われたG1・レイルウェイステークスに参戦。リンジー・スミス厩舎のスケールズオブジャスティスに騎乗し、見事レースを制した。
1995年11月19日、ラッセル・ベイズ騎手はゴールデンゲートフィールズ競馬場でロイヤルブティックに騎乗してその年の400勝目を挙げ、4年連続で年間400勝を達成した史上初の騎手となった。
今週読みたいIdol Horseの記事
オーストラリア競馬の殿堂入り騎手であり、香港競馬の専門家でもあるシェーン・ダイが、今週からIdol Horseで新連載コラムをスタート。
初回のコラムでは、今回の短期免許期間が未勝利スタートで始まったジェームズ・マクドナルド騎手の現状、マーク・ニューナム調教師の活躍、そして物議を醸した“競走不成立”をどう見たかを語る。
アダム・ペンギリー記者がマーク・ザーラ騎手に取材し、自身が貫く「自分のやり方」について語った。メルボルン拠点のスタージョッキーは今週、G1・マイルCSでドックランズに騎乗するため、日本へと向かう。
ロマンチックウォリアーは、日曜日のG2・ジョッキークラブカップで手術からの復帰戦に臨む。
その裏側で、香港の王者を大舞台へ送り出すために、そして今もなお続けられているチームワークに光を当てたデヴィッド・モーガン記者の特集記事(今年2月のサウジアラビアからのリポート)も読み応え十分だ。
今週のベストショット
エリザベス女王杯を圧勝したレガレイラ。その立ち姿は、“強者のオーラ”を放っていた。
Date
16 11月, 2025
Photographer
@Akauni294
Location
Kyoto
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世界の注目馬リスト
先週末の東京競馬場で3勝目を挙げたダノンセンチュリーは、この3歳馬の成長曲線がまだ続いていることを改めて示すとともに、今後はより高い舞台でも通用し得る実力の持ち主であることを印象づけた。
フィエールマン産駒の同馬は、2月の東京での鮮やかな新馬勝ちに続く2戦目として、中山1800mのG2・スプリングステークスにチャレンジしたが、当時は重賞の壁に跳ね返され、12頭立ての10着に終わっている。
萩原清調教師はいったん間隔を空けることを決断し、5ヶ月後、新潟のマイル戦の五頭連峰特別で復帰して2着。その後は1600m戦で2連勝を飾り、10月13日の東京では後方から鋭く差し切り、前走では先行馬の直後で運び、持ったままで加速して勝利を収めた。

ワールドレーシングカレンダー:今後の注目レース
🇯🇵 マイルチャンピオンシップ
京都競馬場、11月23日
G1・安田記念を制したジャンタルマンタルは、同一年でのマイルチャンピオンシップ制覇という史上9頭目の快挙に挑む。陣営としてはここでの勝利によって、“マイル王”の座を決定づけたいところだ。
ただし、前走のG2・富士ステークスで立ちはだかった芦毛のガイアフォースに加え、昨年のこのレースと4月のG1・ドバイターフを制したソウルラッシュという強敵が待ち構える。
2003年に外国調教馬が初挑戦して以来、マイルチャンピオンシップでの外国調教馬の優勝はまだないが、英国のハリー・ユースタス調教師はこのデータに臆することなく、G1・クイーンアンステークスの勝ち馬で遠征経験豊富なドックランズを送り込み、「外国馬の呪縛」を打ち破ろうとしている。
🇭🇰 バングオブチャイナ(香港)レースデー
シャティン競馬場、11月23日
12月の香港国際競走へ向けた大きな前哨戦として、3つのG2競走が行われ、主役級の馬たちが顔を揃える。
1200mのG2・ジョッキークラブスプリントでは、世界最高のスプリンター、カーインライジングが本命視されており、シドニーでのG1・ジ・エベレスト制覇から香港に戻っても、フレッシュな状態で準備万端と伝えられている。
2000mのG2・ジョッキークラブカップでは、ロマンチックウォリアーが怪我からの復帰戦を迎え、香港三冠馬のヴォイッジバブルと激突する。一方、G2・ジョッキークラブマイルでは、新星と目されるマイウィッシュが、12月の大一番に向けて改めてインパクトを残そうとしている。

🇯🇵 ジャパンカップ
東京競馬場、11月30日
2005年のアルカセット以来、外国調教馬によるジャパンカップ制覇は途絶えているが、カランダガンはその歴史にピリオドを打つに相応しい挑戦者といえる存在だ。
今季、G1・キングジョージとG1・英チャンピオンSを制した同馬を管理するフランシス=アンリ・グラファール調教師は、キャリア最高のシーズンを送っているものの、2400mの大舞台で日本の一線級とぶつかるのは容易ではないことも熟知している。
その相手には、ここ2年のG1・日本ダービー馬であるクロワデュノールとダノンデサイル、そして最近のG1・天皇賞秋を制したマスカレードボールが名を連ねる可能性がある。
🇯🇵 チャンピオンズカップ
中京競馬場、12月7日
かつて、ジャパンカップダートとして創設されたこのレースは、レモンポップが過去2年間支配してきた。ゴドルフィンのダート界のスターが引退した今、新たなヒーロー誕生の舞台となりそうだ。
中京の左回りコースで行われる1800m戦では、同じくゴドルフィンの所属馬で、ジャパンダートクラシック勝ち馬のナルカミが本命視されている。4連勝で通算成績を6戦5勝とし、レモンポップの後継者を目指している一頭だ。
そのナルカミの前に立ちはだかるかもしれないのが、前走のG3・みやこステークスを制し、通算7戦6勝で駒を進めてきた4歳牝馬のダブルハートボンドだ。


