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いよいよ土曜日に迫った、G1・サウジカップ。最有力候補として長く注目を集めてきたフォーエバーヤングは水曜朝、リヤドのキングアブドゥルアジーズ競馬場で追い切りを実施。その評価を揺るがす不安材料は見当たらなかった。

矢作芳人厩舎が誇るスターには、坂井瑠星騎手がいつも通り騎乗。同厩馬のアメリカンステージ、シンエンペラーとともに、陽光を浴びるダートコースに姿を見せた。

フォーエバーヤングがこの地を訪れるのはこれが3度目。2024年のサウジダービー制覇、そして昨年のサウジカップでの劇的な勝利を経て、今回も落ち着きと好気配を漂わせていた。

アメリカンステージと共に、まずはコースを1周以上ゆったりと歩き、続いてキャンターへ移る。王者は後輩のスプリンターを先に行かせる形でスタートを切った。

しかし、BCクラシックの覇者は、その差をたやすく詰める。直線では軽快に加速して並びかけ、アメリカンステージの外に並ぶ形でフィニッシュ。普段は表情を崩さない坂井の口元に、かすかな笑みが浮かんだ。

「ブリーダーズカップの時と同じパターンでの追い切りです」と坂井は調教の狙いを説明する。

「ありがたいことに、(フォーエバーヤングは)ブリーダーズカップの時と同じ馬を相手に、同じような形で追い切りができました。直線向いてから(アメリカンステージと)併せる形で、予定していた通りの内容でした」

「去年のサウジカップと同じくらいの状態で行けるかなと思っています」

飛行機に乗る前に、国内最後の調整でもすでに時計の速い追い切りを消化済み。それに続いてこの追い切り、フォーエバーヤングは抜群の状態にあるようだ。

「いつも動きは素晴らしいですし、世界一の馬ですから、あれくらいは動きますね」と坂井。「時計はあまり気にしていません。馬がスムーズに動けていれば、そちらの方が大事かなと思います」

昨年のサウジカップで坂井は、外枠から内へ入れて、ラチ沿いのすぐ外、先行勢の直後でフォーエバーヤングを運んだ。直線入口で先頭に立ちかけた瞬間、ロマンチックウォリアーが外から加速。しかしそこから差し返し、香港王者を頭差で下して勝利を掴み取った。

この日、枠順抽選を控えていたこともあり、坂井は戦略については「まだ枠順が出ていないので、(戦術は)なにも考えていません」と明言を避ける。「みんなが倒しに来るのはいつものことなので、相手は気にしていません」

アメリカンステージはリヤドダートスプリントに出走予定。一方、ビッグレースを控えるもう1頭のシンエンペラーは、前日にダートで追い切りを消化しており、G1に格上げされたネオムターフカップでの連覇を狙う。

フォーエバーヤングとシンエンペラーは共に、Cygamesの親会社会長として知られる藤田晋オーナーの所有馬として知られている。

坂井は「去年と同じパターンで、火曜日に半マイルくらいから追い切りました」とシンエンペラーの追い切りを説明。「去年いい結果も出ていますから、同じように追い切りも運べて、内容自体も良かったと思っています」と手応えを語った。

Shin Emperor taking out the Neom Turf Cup
SHIN EMPEROR, RYUSEI SAKAI / G2 Neom Turf Cup // King Abdulaziz Racecourse /// 2025 //// Photo by Shuhei Okada

一方、吉村圭司調教師も現地入りし、ヴェルミセルのG2・レッドシーターフハンデキャップ(3000m)へ向けた最終調整を見守っていた。

吉村師はこれまでにも海外遠征で大きな成功を収めている。2023年11月、オオバンブルマイがオーストラリア・シドニーのゴールデンイーグルを制し、念願だった海外でのビッグレース制覇を叶えた。

「(オオバンブルマイの前から)もともと海外志向があって、セリに関しても開業前から主要なキーンランドとかタタソールズとかも足延ばしてました」と吉村師はIdol Horseの取材に明かす。

「機会があれば海外にはどんどん使ってみたいなという考えはもっています」

これまで条件戦を中心に4勝を挙げているヴェルミセルは、日本国内でも光る走りを見せてきた。

昨年10月、2400mのG2・京都大賞典では3着に健闘。その後、G1・エリザベス女王杯に転戦するも、ここではレガレイラに力及ばず8着に敗れた。なお、吉村師は2016年にクイーンズリングで同レースを勝っている。

「日本でも重賞、ハンデ戦とか長い距離だと入着も経験あるし、何とか重賞を勝たせたいと思ってレースを選択して使ってきました」と調教師。「今回登録させてもらって、招待していただけるようでしたらぜひ来たいと思っていました」

父は芦毛の個性派、ゴールドシップ。今回、6歳牝馬のヴェルミセルは57kgの斤量を背負っての出走となる。

「日本で走っている斤量とほとんど一緒ですし、(他の馬との)斤量差あるので、特に問題ないと思います」

シービスケットが復帰戦を迎えたのは、1940年2月9日。西海岸のスターで、1938年の年度代表馬だった同馬は、繋靭帯の故障で1年もの間戦列を離れていたが、サンタアニタのラホーヤハンデキャップで3着に入った。

シービスケットは復帰3戦目にサンアントニオハンデキャップを勝ち、同年4月にはサンタアニタハンデキャップでの名勝負を制して現役を引退した。

殿堂入りジョッキーのジョニー・ロングデン騎手が亡くなったのは、2003年の2月14日。96歳だった。ヨークシャー生まれのカナダ人で、ケンタッキーダービーを騎手としても調教師としても制した唯一の人物として知られる。

1943年にはカウントフリートでチャーチルダウンズの栄冠を掴み、1969年には調教師としてマジェスティックプリンスをKYダービー勝利へと導いた。

近代的な競馬開催の最古の記録は、1539年2月9日、イングランドのチェスターにある名高いルーディーで行われたものとされている。この日は告解の火曜日で、伝統的ではあるが荒々しい「告解の火曜日のフットボール」に代わって競馬が行われたと言われている。

シェーン・ダイ氏の連載コラムでは、元騎手で香港競馬評論家の同氏が、ブレット・クロフォード調教師の初年度を高く評価しつつも、多くの新人調教師が陥る「罠」への警鐘を鳴らしている。

フォーエバーヤングがロマンチックウォリアーを差し返したG1・サウジカップから1年。今週の主役が再びリヤドに集うこのタイミングで、デヴィッド・モーガン記者が現地から伝えた、あの夜のレポートを読み返してはいかがだろうか。

先週金曜のサンタアニタ開催では、ミルコ・デムーロ騎手が良血馬のラーマーヤナをアローワンス競走(条件戦)で勝利へ導いた。今後の出世への期待も大きい有望株だ。

リチャード・マンデラ調教師が管理する3歳牝馬の同馬は、立ち上がりに時間がかかり、今回が5戦目。最初の3戦はいずれも2着、4戦目で未勝利を勝ち上がり、今回は晴れて連勝となった。

ラーマーヤナは後方で脚を溜め、3~4コーナーで進出。直線入口で先団に取りつくと、そこからの伸び脚は実に鮮やかだった。加速し、競り合い、最後は耳をピンと立てたまま、ワイルドライクザウエストを半馬身の2着に退けた。

2着馬もリステッド競走での好走歴がある実績馬で、一定の物差しとしても価値がある。

全米2歳王者のアンクルモーに父に持ち、母のミステンプルシティはG1・メイカーズマークマイル、G1・シャドウェルターフマイル、G1・メイトリアークステークスを勝利。恵まれた血統背景を持つ、期待の良血牝馬だ。

ライトニングステークス
フレミントン(オーストラリア)、2月14日

2026年のオーストラリア最初のG1は、いきなり見どころ十分だ。

G1・クールモアスタッドステークス勝ち馬テンティリスは、さらなる評価上昇を狙って1000m戦へ。ニューマーケットハンデキャップへ向けた始動戦であり、ロイヤルアスコット遠征が視野に入ってくる可能性もある。

ゴドルフィン勢では、クリス・ウォーラー厩舎のバイヴァクトが参戦予定。G1・ゴールデンローズの勝ち馬で、3月末のG1・アルクオーツスプリントにも登録している。

ギガキックも有力馬の一角で、前走はG1・チャンピオンズスプリントを制すなど連勝中。さらには、昨年の全欧最優秀スプリンター、アスフォーラも顔を揃える。

サウジカップデー
キングアブドゥルアジーズ(サウジアラビア)、2月14日

11月のブリーダーズカップクラシック勝ち馬フォーエバーヤングが、世界最高賞金レースのG1・サウジカップ連覇に挑む。さらに、史上初となる“サウジカップとドバイワールドカップの両制覇”へ向けた布石にもなりそうだ。

藤田晋オーナーと矢作芳人調教師のコンビは、この開催にシンエンペラーも送り込む。狙うはG1に格上げされた2100mのG1・ネオムターフカップ連覇だ。

G2・1351ターフスプリントではパンジャタワーに要注目。ジョアン・モレイラ騎手は、先週末に第1回が開催された賞金100万米ドルのアブダビゴールドカップを日本馬で制しており、その勢いのままサウジへと向かう。

クイーンズシルバージュビリーカップ
シャティン(香港)、2月22日

カーインライジングが18連勝を達成し、香港競馬史に残るサイレントウィットネスの連勝記録を超えるのではないか。期待は最高潮に達している。

前走のG1・センテナリースプリントカップも危なげなく勝利。今回もこのレース連覇へ向けて、圧倒的な人気での出走が見込まれる。

ヘリオスエクスプレスや、かつての短距離王者・ラッキースワイネスが揃うことでレースの質は担保されるが、デヴィッド・ヘイズ厩舎のスーパースターが敗れるようなら、大波乱と断言しても差し支えないだろう。

ベリーエレガントステークス
(旧:チッピングノートンステークス)
ランドウィック(オーストラリア)、2月28日

近年このマイルG1は牝馬が強く、昨年のヴィアシスティーナ、歴史的名牝のウィンクス、そしてベリーエレガント自身らが勝利を挙げてきた。

今年は無敗の4歳牝馬、オータムグローが中心候補。ゴールデンイーグルの勝ち馬で、今週土曜に1400mのアポロステークスへ向かう予定だ。同厩舎の素質馬で、昨年のオーストラリアダービーを制したアエリアナも、同じ舞台へ名を連ねる可能性がある。

オーストラリアンギニー
フレミントン(オーストラリア)、2月28日

G2・サンダウンギニーの勝ち馬で、オーストラリアンギニーの前売り最有力と見られていたシーザアリバイが、フレミントンの同レースを回避する見通しとなった。

共同調教師のピーター・ムーディー師が、この秋のローテーションを変更すると明かしたためだ。サクソンウォリアー産駒の同馬は、次週土曜にコーフィールドのG2・アンガスアルマナスコステークス(1400m)で始動し、目標はG1・ランドウィックギニー(3月7日)へ切り替わった。

シーザアリバイが2月28日に出走しない公算が高まったことで、前売りオッズはヴィクトリアダービー馬のオブザーヴァーが1番人気に浮上。先週土曜のコーフィールド開催、G2・オータムステークス(1400m)を快勝して復帰戦を飾った内容が、その評価をさらに押し上げている。

ドバイスーパーサタデー
メイダン(UAE)、2月28日

ローレルリバーは、スーパーサタデーのG2・アルマクトゥームクラシックに出走する可能性がある。実現すれば、昨年1月のG3・ファイアブレイクステークス(2着)以来の実戦となる。

昨年のファイアブレイクステークスは同馬にとって、2024年3月のG1・ドバイワールドカップ制覇からの復帰戦でもあった。今回のアルマクトゥームクラシックは、再びドバイワールドカップへ向けて状態を整えるうえで、重要な前哨戦になりそうだ。

なおローレルリバーは、昨年のアルマクトゥームクラシックを制したインペリアルエンペラーと、アルマクトゥームクラシック、そしてドバイワールドカップの両方で顔を合わせる可能性がある。

インペリアルエンペラーは今季ここまでシーマー厩舎の主役を担い、前走でメイダンのG1・アルマクトゥームチャレンジを制している。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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