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“気質”がチャンピオンを生み出す。卓越した能力、生まれ持った才能、運動能力。そのどれもが不可欠だ。

だが、何度も実戦に臨み、優秀な競走馬たちの中でも一段上の存在だと証明するには、落ち着きと自信、競走に向き合う集中力、そして困難を乗り越えて勝利をつかむ強い意志が求められる。カルパナはそのすべてを発揮し、G1・ヨークシャーオークスを制した。

今季の欧州を代表する牝馬となったジャドモント自家生産馬のカルパナは、新たな大一番での勝利により、昨年7着に敗れたG1・凱旋門賞への2度目の挑戦に向けて、順調に歩みを進めている。

故ハーリド・アブドゥラ殿下の息子、アフマド・ビン・ハーリド殿下は「最大の目標は凱旋門賞です。そこへ向けて調整を進めています」とレース後の取材に述べた。

カルパナは、ジャドモントが幾世代にもわたって積み重ねてきた生産の結晶だ。その血統は、歴代のチャンピオンによって形づくられてきた。

アンドリュー・ボールディング調教師が管理するカルパナは、血統に裏打ちされた能力を発揮し、ネーヴスミア(ヨーク競馬場の別名)の長い直線が残り1ハロンを切った地点で先頭に立ち、大逃げを決行したバリードイル陣営のペースメーカー、シュガーアイランドを捕らえた。

しかし、雨で緩くなった馬場が体力を奪うなかで、真価を発揮したのはカルパナの真価だった。一瞬よれたものの、すぐに立て直して懸命に走り続けた。終盤にスパランヌアが猛追すると、ジャドモントの勝負服をまとったカルパナは持ち前の勝負根性を見せ、勢いに乗るチャレンジャーをアタマ差で抑えた。

スタンドのひさしの下でも、コース沿いを埋めた傘の群れの中でも、観客は思わず一斉に息をのんだ。

その反応は、数秒後、8番スパランヌアより先に1番カルパナの名が読み上げられた際の大歓声と同じくらい、多くを物語っていた。ヨークシャーの競馬ファンは、いつだってひたむきに走る馬を心から愛する。

勝利へ導いたコリン・キーン騎手は「この馬は何よりも前向きです。逃げ馬をしっかり捕まえてくれました」と振り返った。キーンは前日にも、G1・英インターナショナルステークスでアイテムを番狂わせに導いた。これでキーンは、ボールディング厩舎と、専属騎手を務めるジャドモントに、2日連続2度目のG1勝利をもたらした。

「残り2ハロンから1ハロンの間で先頭に立つつもりで、仕掛けるタイミングを計っていました。先頭に立つ頃には、この馬にさほど脚が残っていないと分かっていたからです」

「比較的楽に先頭へ立ちましたが、そこからふらつき、後続を待つような形になりました。今日は馬場に体力を奪われましたが、能力の高さと勝利への意志を見せてくれました」

ロッサ・ライアン騎手は、騎乗した牝馬の果敢な追い込みがわずかに届かず、落胆を隠せなかった。スパランヌアは単勝26倍の伏兵。管理するベテランのジム・ボルジャー調教師は、輝かしいキャリアでヨークシャーオークスを3勝しているが、最後に制したのは2015年だった。

ライアンは「終盤にキーンを捕らえられると思いました。最後の半ハロンで相手の馬がふらつくのが見えたので、内へ切り替えました。少し悔しいですね……勝負どころで進路が狭くなり、一瞬勢いをそがれてしまったので」と話した。

「今日は運にも恵まれなかったと思います。この馬はタフで丈夫ですし、こちらのためならレンガの壁さえ突き破って走るような馬です」

レース前のスパランヌアは目を引いた。栗毛の馬体は明るく輝き、動きには落ち着きがあり、力強く、堂々としていた。それでも、カルパナほどの存在感はなかった。

5歳のカルパナは、その26日前、英国の2400m路線で最高峰に位置する定量戦、G1・キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを制していた。

この日のパドックでは、悠然とした風格を漂わせていた。リラックスしながらも隙はなく、仕上がりは万全でも、気持ちは穏やかだった。毛ヅヤは冴え、馬体は引き締まり、歩様は滑らかで、意識は競馬へ集中していた。

ボールディング調教師の妻で、キングスクレアのパークハウス・ステイブルにおける厩舎運営の要でもあるアンナ・リサ・ボールディング氏は、Idol Horseに次のように話した。

「並外れた馬です。この馬のような牝馬は、世界中探してもほかにいないと思います。リラックスしていて、機嫌がよく、自分の身のこなしにとても自信を持っています。パドックでの姿を見れば、耳をぴんと立てています。チャカつくことも、神経質になることもありません。本当に、驚くほど落ち着いているんです」

「厩舎でも同じです。本当に素晴らしい馬です。調教隊列の先頭でも最後尾でも走れます。毎日この馬に乗っている小柄なタイラー・マクファーレンは、体重が6ストーン半(約41kg)です。タイラーも、この馬を担当するシャノン・ジェームズも、この馬が本当に並外れているとよく知っています。シャノンが言うように、『私には絶対に悪さをしません』。この馬に関われる私たちは皆、本当に幸運です」

キーンもIdol Horseに同じ見方を示した。

「まさにカルパナそのものです。どこまでもプロフェッショナルで、見栄えのする大きな牝馬ですし、いつ見ても素晴らしい姿をしています。厩舎で乗るタイラーは、この馬の背中では小さな豆粒のように見えますが、カルパナが入厩した時からずっと乗っています」

一方、気質はひとたび悪い方向へ傾けば、並外れた才能を台無しにすることもある。2400m戦を前に、9頭の牝馬がヨーク競馬場のパドックを周回した。観客は雨にも負けず、周囲の階段状の観覧スペースに立って見守った。

前年覇者のミニーホークは緊張した様子で何度も頭を振り、愛オークス馬のジョハナウォルシュも、わずかに落ち着きを欠く様子を見せた。タティコラムはエディ・グレートレックス騎手が騎乗した瞬間、我を失ったように激しく暴れた。

カルパナは単勝約1.9倍の1番人気。3歳勢ではジョハナウォルシュが最有力とみられていた。しかし、カルパナの最大の脅威と目されたのはミニーホークだった。エイダン・オブライエン調教師が管理する4歳牝馬は、昨年オークス3競走を制し、凱旋門賞2着に入った頃の輝きを再現できずにいたにもかかわらずだ。

レース前、ミニーホークの気持ちはまだ競馬に向いていると思うかと問われたオブライエン調教師は、「そう思います。そこを疑うことはありません」と答えた。

「理由はそれぞれ違いますが、ここ数戦は好走と凡走が入り交じっています。通常、悪い走りをしたのに理由が見つからないと心配になりますが、これまでの凡走には十分な理由があったと考えています」

この日の敗因が何であれ、ミニーホークは3着だった。決して悪い内容ではない。それでも、バリードイル軍団を率いる名将は、これで4連敗となった背景をあらためて探るに違いない。

Tattycoram momentarily exploding pre-race at York
TATTYCORAM, EDDY GREATREX / G1 York Oaks // York /// 2026 //// Photo by Idol Horse
Colin Keane aboard Kalpana after winning the G1 York Oaks
KALPANA, COLIN KEANE / G1 York Oaks // York /// 2026 //// Photo by Idol Horse

その一方で、ボールディング厩舎はこの日のヨーク開催で4勝を挙げることになる。キングスクレアを拠点とする同厩舎の管理馬は今季を通じて好調で、とりわけ今夏は勢いに乗っている。

ジャドモントでアイルランドおよび欧州競馬のゼネラルマネージャーを務めるバリー・マホン氏は、Idol Horseに「ほかの預託調教師と同様、アンドリュー(ボールディング調教師)も一流です。キングスクレアには素晴らしいチームがあり、とりわけ今は非常に良い仕事をしています」と述べた。

「あそこには家族のような雰囲気があります。アンドリューとアンナ・リサをはじめ、チーム全体が実によく組織され、運営も行き届いています。とても特別な場所です」

前日のアイテムによるG1・英インターナショナルステークス制覇に続き、この勝利は、世界規模で生産と競馬事業を展開するジャドモントにとって新たな勲章となった。同組織は競馬史に残る名馬を送り出してきた。その代表格が、比類なきフランケル、ダンシングブレーヴ、エネイブル、ウォーニング、アロゲートだ。

2021年1月にハーリド・アブドゥラ殿下が死去してからも、ジャドモントの事業は途切れることなく続き、その目標も変わっていない。

マホン氏は「目標は昔から変わりません。トップクラスのG1馬を生産し、レースへ送り出すことです」と説明する。

「それが常にハーリド殿下の目標であり、今の目標でもあります。最高の繁殖牝馬と最高の種牡馬をそろえ、昨日と今日のようにG1を勝てればと願っています。今もまさに、それが目標です」

アフマド殿下は、父が抱いた構想と投資に敬意を表した。その構想と投資の結実として、競走馬の血統を形づくってきたジャドモントは現在、欧州の調教師に約140頭の現役馬を預託し、繁殖牝馬を欧州に約120頭、米国にさらに50頭所有している。

アフマド殿下は「皆さんが目にしているものはすべて、父がジャドモントファームで撒いた種から育ったものです。昨日と今日、両方の勝利に恵まれたことは本当に幸運でした。カルパナのレースは本当にスリリングで、最後まで固唾をのんで見守っていました。勝ってくれて神に感謝しています。素晴らしい牝馬です」と述べた。

非の打ちどころのない気質を備えたその素晴らしい牝馬について、マホン氏は「これで少し休ませてもいいだけの働きをしてくれました」と話す。そしてボールディング厩舎とジャドモントの快進撃が秋まで続けば、ジャドモントは凱旋門賞8勝目を祝い、ボールディング家が営むキングスクレアの厩舎は、伝説の名馬ミルリーフが勝った1971年以来となる同レース制覇を祝うことになるかもしれない。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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