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土曜日のジ・エベレストで、カーインライジングとザック・パートン騎手を破ったテンプテッドとチャド・スコフィールド騎手には、心から称賛を送りたい。見事な騎乗であり、見事な勝利だった。ただし、これでテンプテッドの方が上だとは思わない。

先週も述べたように、内枠を引けば、スコフィールドは近走のようにテンプテッドを後方に控えさせるのではなく、先頭に近い位置で運べると私はみていた。実際に1番枠を引き、好位につけて勝った。勝負に出て、それが実ったのだ。

騎手は時として、勝ちに行くよりも負けないように乗ってしまう。だが、スコフィールドは勝ちに行った。その判断が裏目に出ても、何ら不思議ではなかった。

テンプテッドはこの日2番人気で、1.04倍の本命馬を破る現実的な可能性がある唯一の馬とみられていた。前につけた結果、最後に脚を使い果たしていたら、今年最大のレースでなぜ本来の型を変えたのかと、誰もが問いただしていただろう。

勝負どころで迷いのない判断を見せたことも見逃せない。テンプテッドは残り600mから残り400mまでの200mを10.84秒で走った。これは出走馬中最速の区間タイムで、この走りによって4番手から2番手へ浮上し、勝利につなげた。

展開も大いに味方した。まず枠順に恵まれたうえ、得意の道悪となり、進路が開くタイミングも完璧だった。コーナーを回るところで前が開き、一歩も詰まらなかった。

Tempted beating Ka Ying Rising in The Everest
TEMPTED, CHAD SCHOFIELD & KA YING RISING, ZAC PURTON / G1 The Everest // Randwick /// 2026 //// Photo by Grant Courtney

道悪はテンプテッドに大きく味方し、カーインライジングには明らかに不利に働いた。私はレース前から、同馬が雨の影響を受けた馬場をこなせるか確信を持てずにいたが、土曜日の走りを見て、その疑念はさらに強まった。

パートンの騎乗については、誰もが意見を述べているようだ。しかし、その大半は的を射ておらず、状況を理解できていない。

カーインライジングとパートンは、相手にレースを支配されるのではなく、自ら主導権を握ってプレッシャーをかけることで21連勝を築いた。

ところが、土曜日のパートンには、普段のシャティン競馬場で見せるのと同じ意識がなかったように思う。馬場状態を気にし、カーインライジングのスタミナを温存しようとしていたのだろう。道悪で序盤から脚を使わせすぎれば、最後に響くかもしれないと考えていたはずだ。良馬場なら、そのようには考えなかっただろう。

当然ながら、レースはパートンの想定どおりに進まなかった。楽にゲートを出て、ブルードアとともに徐々に内へ寄せられると考えていたはずだ。

だが実際には、内側から5頭が位置を取りに来た。パートンを擁護するなら、これは誰にも予想できなかった。事前の展開予想は、どれも実際のレース展開とは程遠かった。

カーインライジングのスタートは良かった。そこからパートンがもっと積極的に出していれば、内へ寄せて逃げ馬の外につけられたと私は思う。

先行集団は速く行きすぎたと考える人もいる。とりわけサヴィーハリーは、最初の400mを23.37秒で通過して先頭に立ちながら、最下位に沈んだ。

カーインライジングの内側では激しい先行争いがあり、デヴィッド・ヘイズ調教師もパートンも、序盤がそこまで速くなるとは予想していなかったのだろう。

カーインライジングの最初の400mは23.79秒だった。今回はSoft 5(重馬場)で時計のかかる馬場だった一方、香港の競馬場は速い時計が出やすい。

それでも、香港での直近13回の1200m戦のうち9戦では、最初の区間を今回より速く走っている。

馬場条件が異なるため単純には比較できないが、カーインライジングには今回見せた以上の先行力があるということだ。肝心なのは騎乗の意図であり、パートンはスタート直後から普段ほど積極的ではなかった。

もっと積極的に出していれば、内側にいたニンジャ、スパイシーマティーニ、テンプテッドにプレッシャーをかけられ、各馬は先行争いから降りていただろう。早めに押していれば、ブルードアより前へ出られた可能性さえある。

道中で前にいた馬、特に人気薄の馬は飛ばしすぎたため止まったと言われている。しかし、テンプテッドは残り700m地点でラチ沿いの3番手を走っており、最後は勝っている。1200m戦で先行馬が速く行くのは当然だ。

ゲートを出て積極的に運ばなかったことで、パートンはすぐに選択肢を失った。約300mを過ぎた時点で6頭分外を回り、前に壁を作れる馬もいなかった。そこから前へ押し上げるには遅すぎた。

あの時点で下げて前に馬を置こうとした判断は間違いではない。正しい判断だった。

問題はスタート直後に始まっていた。6頭分外を回った時点で、良い選択肢など残っていない。パートンは下げて前に壁を作るしかなく、悪い状況で最善を尽くそうとしたにすぎない。

積極性を欠いたことで、カーインライジングの最大の武器が奪われた。カーインライジングはレースを支配し、ライバルに不得意な形を強いることで勝ってきた。

速い流れから一気に加速する能力にかけては、この馬は最も優れたスプリンターかもしれない。だが今回は、最も得意とする形へ持ち込む機会を得られなかった。

シャティン競馬場ではカーインライジングが流れを作り、パートンが主導権を握る。ところが土曜日は、逆に相手に支配された。

TEMPTED, CHAD SCHOFIELD; KA YING RISING, ZAC PURTON / G1 The Everest // Randwick /// 2026 //// Video by @HKJC_Racing (X)

もう一つの要因は、カーインライジングがランドウィック競馬場では戸惑ってしまうことだ。自分がどこにいるのか分かっていない。バリアトライアルでも、ほかの馬から離れて外を走った時に集中を切らしており、その様子が見て取れた。

序盤から馬を積極的に出していけば、集中せざるを得ない。周囲を見回し、自分がどこにいるのか気にする暇がなくなるからだ。序盤からもっと積極的に乗っていれば、考えたり辺りを見たりする時間が減り、より集中できたかもしれない。

外から騎乗を細かく批判するのは簡単だ。誰もがドローン映像を含むあらゆる角度から、リプレーを何十回も見ている。このコラムでも、ここまでの大半をレース序盤の15秒について論じることに費やしてきた。

だが、レース全体はわずか68秒だ。パートンはリプレーを見て判断できたわけではなく、道悪への懸念を抱えながら、一瞬で決断しなければならなかった。

このレベルの1200m戦では、騎手の力ではどうにもならないことが数多くある。トミー・ベリー騎手がニンジャを序盤からあれほど強く出していなければ、カーインライジングはブルードアの外、3頭分の位置につけられ、楽に勝っていたと私は思う。

ニンジャも、強く促して前につけるより、テンプテッドの後ろで脚をためた方が良かった。そうしていれば、自身も勝ち負けに加われたかもしれない。

レーシングNSWのデータによると、カーインライジングはテンプテッドより7.3m余分に走った。競馬でいえば、3馬身に当たる。苦手な馬場で、すべてが裏目に出ながら、それでもゴール板を1完歩過ぎた時には前に出ていた。

枠順が逆ならカーインライジングが勝っていた。同じ枠順でも、このレースを10回走れば9回は同馬が勝つと思う。

ここまでパートンには批判的な意見を述べてきた。私は騎手全般に対して非常に厳しくなることもある。それでも、レース前にパートンが何を考え、なぜあの作戦で臨んだのかは理解している。

とはいえ、もし可能なら、パートンはもう一度乗り直したいレースだろう。このような大一番で負ければ、いつもそう思うものだ。引き揚げてきてから、「別のやり方もできた」と考える。長く乗ってきた騎手なら、誰もがその思いを経験している。

テンプテッドが今や世界最高のスプリンターだという声も耳にした。その人たちは一体どの星に住んでいるのだろう。もし本当にそうなら、なぜ来年のジ・エベレストでカーインライジングが1倍台の本命に推されているのか。

カーインライジングが、オーストラリアでは香港ほど走れないのは間違いない。それでも、テンプテッドとの「第3ラウンド」を見てみたい。今度こそ良馬場になることを願っている。

その前に、今度はテンプテッドがカーインライジングの本拠地、シャティン競馬場へ再戦に出向くのはどうだろう。それなら最高に面白い。

シェーン・ダイ、Idol Horseのコラムニスト。 オーストラリアとニュージーランドで競馬殿堂入りを果たし、1989年のメルボルンカップ(タウリフィック)、1995年のコックスプレート(オクタゴナル)では名勝負を演じた、G1・通算93勝の元レジェンドジョッキー。また、香港競馬では8年間騎乗し、通算で382勝を挙げている。

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