ロイヤルアスコット勝ち馬のミックリーが香港移籍、ワイピロはリハビリのためイギリス帰国へ
2024年のロイヤルアスコットで勝ったばかりのミックリーが、香港競馬に移籍へ。一方、ワイククの半弟・ワイピロは療養のため帰国へ。香港の名門馬主・シウ一族が所有する、2頭の続報をお届けする。
香港の馬主シウ・パククワン(Siu Pak-kwan)氏が所有するミックリーが、香港に移籍することが明らかになった。この馬は先日のロイヤルアスコットで勝利を挙げており、残りのシーズンはイギリスでは出走しない。
また、同じオーナーの所有馬で屈腱断裂の重傷を負ったワイピロは、リハビリのためイギリスに帰国することになった。
はたして、ダービーを目指すのか?
エド・ベッセル厩舎のミックリーは、先日ロイヤルアスコットで行われた1マイルのヘリテージハンデ・ブリタニアステークスを勝利した。このレースは後の香港移籍馬が多いことから、長年『香港ダービーの登竜門』とされてきた。また、馬主のシウ氏が香港の著名な馬主であることを考慮すると、香港競馬への移籍は時間の問題と見られてきた。
しかし、関係者はスピード能力に優れるこの馬が、中距離の香港ダービー向きだとは考えていない。父のソルジャーズコール(Soldier’s Call)の産駒は6ハロンがベストと見られており、祖母のパドレポンス(Pas De Reponse)は6ハロンの2歳G1・チェヴァリーパークSを勝っている。
シウファミリーのレーシングマネージャーとブラッドストックエージェントを務める、アラステア・ドナルド氏はIdol Horseの取材でこう語った。
「彼はスピード溢れる馬なので、ダービーについては一旦様子見でしょう」
「香港で活躍できる可能性がある、非常に良い馬として購入されました」
赤と黒の勝負服で有名なシウファミリーの一人で、息子のマーティン・シウも同様の見解を持っている。
「ダービー馬になれる可能性はあると思いますが、目標ではありません」
「マイル戦に対応できることは実証済みなので、まずは香港競馬での活躍に期待したいところです。ダービーは出走できるなら出たいレースですが、準備不足や適性外の場合は、来年の香港国際競走に目標を切り替えるかもしれません」
シウファミリーの馬だと、マーティン・シウの妻ジョスリンの勝負服で走っていたワイククが最も香港ダービー馬に近かった馬だろう。2019年の香港ダービーで2着に入っている。
香港ダービーはシャティン競馬場の2000mで行われるレースだ。ワイククも含め、一流クラスのマイラーなら距離延長に対応して勝ったり、接戦に持ち込めるレースと見做されている。

ミックリーの5戦全てに騎乗し、3勝を挙げているカラム・ロドリゲス騎手は、自身の経験から次のように語る。
「2歳馬のころはとても大人しい馬で、素質の片鱗は見えませんでした。スピード血統なので成長するにつれて6ハロン向きになる可能性はありましたが、彼は依然と変わらずおっとりしているので、マイルへの距離延長にも対応できました」
「マイルにも充分対応しているので、急いで6ハロンに戻す必要性はないと思います。マイルを超えた距離で走れるかは未知数です。ですが、アスコットでは良い走りをしていましたし、気性も穏やかな馬なので、さらなる距離延長が上手くいく可能性はあると考えています」
ロドリゲス自身は、ミックリーは引き出しが多い馬だと信じている。
「大人しい性格の馬なので、本気を出した彼の限界点がどこなのかは分かりません。彼は調教でもレースでもあまり素を見せるタイプではありません。レベルの高い馬なので、彼がこの先どんな活躍を見せるのか楽しみです」
ワイピロは故郷へ帰還
香港でのミックリーの預託先は明らかになっていない。しかし、ワイククの半弟で、昨年鳴り物入りで香港に輸入されたワイピロの動向は明らかになった。リハビリのためイギリスに戻っており、元所属先で競走馬復帰を目指すことになる。
「彼は引き続き、エド・ウォーカー厩舎にいます」とシウは明かした。

当時エド・ウォーカー厩舎に所属していたワイピロは、2023年のロイヤルアスコット開催でG3・ハンプトンコートSを勝った。その後は香港のジョン・サイズ厩舎に移籍して香港ダービーの有力候補と見られていたが、調教中に大怪我を負って一度も出走することはなかった。
「屈腱の負傷なので深刻な怪我ですが、時間の経過と共に治るタイプの断裂でした。今は耐える時です。怪我の回復は予想より良く、来年には再びレースに戻れることを期待しています」
シウファミリーの大きな夢は、この2頭が2025年の香港国際競走で揃って活躍することだ。