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ジェームズ・カミングス調教師が、香港競馬での初勝利を挙げた。その記念すべき1勝の馬主として、これ以上ふさわしい存在はいなかっただろう。

カミングス厩舎の香港初勝利馬として記録に残るグランドイーグルがまとっていたのは、Go Racingシンジケートの白と海老茶の勝負服。香港では、この配色は昔も今も、同シンジケートを率いる伝説的な元調教師、ジョン・ムーア氏の代名詞となっている。

月曜日、シャティン競馬場のクラス3ハンデ戦(芝1200m)でグランドイーグルが香港初勝利を挙げると、カミングス師はレース直後の取材で、香港で7度のチャンピオントレーナーに輝いた元調教師のジョン・ムーア氏と、その息子で競走馬の仲介を手がけるジョージ・ムーア氏に感謝を示した。

「ジョン・ムーア氏とジョージ・ムーア氏は、二人とも馬を見る目が確かです。グランドイーグルもまた素晴らしい馬で、ありがたいことに私に管理を任せてくれました」

「とりわけジョンには感謝を伝えたいです。この馬のことをこれまで取り仕切ってきただけでなく、私がここまでたどり着けるよう、折に触れてたくさんの助言をしてくれました」

これは、ムーア氏が香港にやってきた新調教師へ1頭を預けたというだけの話ではない。グランドイーグルは、昨年の今ごろには期待の若手として注目されていたデヴィッド・ユースタス師の厩舎から転厩してきた馬だ。

同馬はユースタス厩舎で2戦した後に転厩したが、ムーア氏はIdol Horseに対し、ユースタス師は「良い仕事をしてくれた」と高く評価していた。

レース後、シャティン競馬場でグランドイーグルとカミングス師が収まった勝利記念写真に、ムーア氏の姿はなかった。オーストラリアのシドニーで開かれたイングリス・レディ・トゥ・ラン・セール(ブリーズアップセール)に赴き、定評のある相馬眼を生かしていたためだ。

電話で取材に応じたムーア氏は、「以前からジェームズ(カミングス調教師)には、機会が巡ってきたら彼の厩舎に馬を預けると話していました。それが今日、実を結びました。あと1、2勝は期待したいですね」と語った。

「彼の祖父、バート・カミングスは、私が最初に馬を預けた調教師の一人でした。ずっと昔、私が調教師になったばかりのころ、香港ジョッキークラブの会長を歴任したアラン・リー氏のために牝馬を購入し、『バート・カミングスに預けたい』と伝えて実際にそうしたのです」

「それがバート・カミングスとの最初の縁でした。ですから、つながりは1980年代までさかのぼります」

Jerry Chau guiding Grand Eagle to victory for James Cummings
GRAND EAGLE, JERRY CHAU / Sha Tin // 2026 /// Photo by HKJC
Zac Purton and John Moore
ZAC PURTON, JOHN MOORE / G1 Hong Kong Vase // Sha Tin /// 2013 //// Photo by Vince Caligiuri

ジェームズ・カミングス調教師は、確かな実績と存在感を携えて香港競馬へやってきた。

メルボルンカップを複数回制覇し、『カップスキング(カップ競走の王)』と呼ばれた名伯楽バート・カミングス元調教師の孫であり、G1勝利の実績を持つアンソニー・カミングス調教師の息子というだけではない。自身もゴドルフィン・オーストラリアの専属調教師として、最高峰の舞台で実績を積んできた。

カミングス師は、ムーア氏の引退後に生じた空白の少なくとも一部を埋める存在になるかもしれない。ムーア氏は2020年、定年規定によってストップウォッチと双眼鏡を置き、シャティン競馬場の調教スタンドを去ることを余儀なくされた。この規定はその後、変更されている。

「ジョン(ムーア氏)の相馬眼は飛び抜けています。この馬をどう仕上げればよいか話したときは、大きな自信に繋がりました」とカミングス師は話した。

「グランドイーグルについてだけでなく、香港競馬全般や、自分の厩舎をどう運営していくかについても、ジョンとは何度かじっくりと話をしました」

カミングス師が助言を求めた相手は、ムーア氏だけではない。今シーズンに備えて複数の同業者から知識と経験を吸収し、シャティン競馬場の調教師仲間が互いに助け合う雰囲気にも好感を示してきた。それでも、ムーア氏の豊富な経験が貴重な知見をもたらしたことは間違いない。

ムーア氏は、香港へ輸入される前にすでに出走経験のある一流のプライベートパーチェス(PP)で目覚ましい成功を収めた。特に欧州から迎えたヴィヴァパタカ、デザインズオンローム、ミリタリーアタック、ダンエクセル、エクステンションなどが代表格だ。その後、PPの目利きでムーア氏に匹敵する規模の成果を挙げた調教師はいない。

最高のPPを探し求めるなかでムーア氏を際立たせていたものは、潤沢な予算だけではなかった。毎夏、自ら各地へ足を運び、どの馬が通用し、投資に値するのかを自分の目で確かめていたのだ。

「これまでいろいろ話をしてきましたが、ジェームズ(カミングス調教師)は耳を傾けてくれています」とムーア氏は話す。

「この夏にはイギリスへ渡り、滞在中に2頭を購入したと思います。会って昼食をともにした時などには、当時の私が欧州をはじめ各地へ自ら足を運び、自分の目にかなう馬、実績があり、多少なりとも血統的な裏付けもある馬を見極めていたことを、繰り返し伝えてきました。そのやり方は、いつもうまくいったのです」

現在、カミングス厩舎には、イギリスから高額で購入した注目馬が2頭いる。ジェネリックとシャイエムだ。さらに、オーストラリアからはG1・クイーンズランドダービー勝ち馬のプロヴィデンスという、トップ級のPPも管理馬に加わっている。

ムーア氏はさらに、「海外に出向き、現地を回る時間には大きな価値があります。仲介業者に頼るのではなく、自分の予算に収まり、自分の目にかなう馬を買うために欧州まで足を運ぼうとしているのは、私が聞く限りジェームズだけです」と説明する。

GRAND EAGLE, JERRY CHAU / Sha Tin // 2026 /// Video by HKJC

今回、カミングス師とムーア氏が騎乗を託したのは、ジェリー・チャウ騎手だった。香港育ちの有力騎手は、その期待を裏切らなかった。グランドイーグルを中団後方のラチ沿いで折り合わせると、直線では外へ持ち出し、馬群の間に進路を求めた。すぐには追い出さず、終盤まで仕掛けを待って末脚を引き出し、勝利へ導いた。

「私にとって、ジェリー・チャウは香港出身のヒュー・ボウマン騎手のような存在です。手綱さばきがうまく、辛抱強い。昨シーズンのトニー・クルーズ賞受賞者(最優秀地元出身騎手)でもあります」とカミングス師は語った。

「昨シーズンは多くの時間を割き、これまで以上に香港競馬のレースを注意深く見ていました。その中で彼の騎乗スタイルが気に入り、グランドイーグルのような馬とコンビを組むところをぜひ見たいと思っていました。この馬にまさにうってつけの騎手だと考えていたからです」

ムーア氏もチャウ騎手の騎乗を大いに喜び、最近の同騎手について「鬼気迫る勢いで乗っている」と表現した。

「完璧な騎乗でした。ジェームズは、ナッシュ・ローウィラー騎手がオーストラリアで乗った時の映像を見て、同じように乗れるか試してほしいとジェリー(チャウ騎手)に指示しました。ジェリーは完璧にその通りに乗ってくれました」

「前走後、アンドレア・アッゼニ騎手は『この馬は良くなる。もう一度乗りたい』と言っていましたが、先約があり、都合がつきませんでした。そこでジェームズが『ジェリー・チャウはどうでしょう』と言ったので、私は『願ってもない話です。ぜひ乗ってもらいたいです』と答えました」

ムーア氏がカミングス師を全面的に支持していることは明らかだ。グランドイーグルの香港初勝利を受け、かつての名調教師が現在率いるGo Racingシンジケートの白と海老茶の勝負服をまとった馬が、今後さらに1頭、2頭とカミングス厩舎に預けられても不思議ではない。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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