ジョアン・モレイラの最新ニュース

15/09/2025
「電撃帰還」モレイラ騎手が香港復帰へ?ファウンズ調教師が招聘プランを明かす
ファウンズ師によって明かされた、ジョアン・モレイラ騎手の短期免許取得プラン。HKJCの上層部が申請を承認した場合、騎手の勢力図に大きな変化が起きそうだ。
マイケル・コックス

04/08/2025
「かけがえのない一日」モレイラ騎手、サンパウロでG1・2勝 & 最優秀騎手賞
サンパウロでG1・2勝を含む5勝を挙げたジョアン・モレイラ騎手が、『モソロー賞』のブラジル最優秀騎手賞を受賞。「かけがえのない一日」と語ったその凱旋劇とは。
アンドリュー・ホーキンス

03/08/2025
WASJで初来日のゴンサルベス騎手、“兄貴分” モレイラに続いて大会制覇なるか
アルゼンチンで8回のリーディングジョッキーを誇るフランシスコ・ゴンサルベス騎手が、真夏の札幌で初来日。同郷のモレイラ騎手に続き、ブラジル出身騎手のWASJ連覇となるか。
デイヴィッド・モーガン

26/05/2025
香港G1好走で自信を深めたモレイラ騎手、サトノレーヴとのアスコット決戦に期待
カーインライジングに迫った勢いそのまま、ロイヤルアスコットのG1に駒を進めるサトノレーヴ。手綱を託されたモレイラが英国での大一番への期待を語ってくれた。
デイヴィッド・モーガン

30/04/2025
ケンタッキーダービー初参戦、モレイラ騎手がアメリカではなく香港を選んだ『運命の分かれ道』
今週のケンタッキーダービー、ジョアン・モレイラ騎手はルクソールカフェと久々にアメリカでの騎乗に臨む。アメリカ移籍の誘いを断ってシンガポールから香港に渡ったとき以来、長年の時を経てアメリカに戻ってきた。
デイヴィッド・モーガン
ジョアン・モレイラ騎手の特徴
モレイラのダイナミックで特徴的な前傾姿勢のフォームは、レース中でも一目で彼と分かる。そして、その高い勝率が示すように、決して見た目だけのスタイルではない。鐙を長く手綱を短く取って騎乗し、驚異的なバランス感覚で馬の首付近に体重をかける技は、わずかな隙間を突いて馬を操る技術に繋がっている。
その騎乗スタイルは、ライバル騎手から「まるでバイクのライダーを思わせる」と評される。馬群を縫うように進む騎乗を支えているのは、馬の走行バランスをキープする巧みな体重移動技術だ。
モレイラに対する批判として、「ゴール前の力強さに欠ける」や「天才肌だが戦術眼はパートンに劣る」といった指摘があるが、これは的外れに過ぎない。香港での1,237勝・勝率21%を誇る実績こそ、その証左だ。実際、モレイラはレース中の調整能力に長け、意外な展開でこそ真価を発揮する。さらに緻密なラップ判断も武器の一つで、ハッピーバレーでの「中盤の捲り」は香港競馬に革命を起こした。
技術面では鞭を左右に切り替える速さも際立つ。シンガポール時代には、すでに限界を迎えたかに見えた古馬を再び蘇らせる騎乗ぶりから「マジック」と称され、『マジックマン』の異名を得た。

モレイラ騎手の生い立ち
ジョアン・モレイラは、ブラジル南部クリチバ市郊外の貧困地区、ピニャイスで育った。8人兄弟の末っ子であり、本人いわく「やんちゃな馬泥棒」として柵を越えて畑に忍び込み、無警戒の馬車馬に飛び乗ることで騎乗を学んだ。
その後、厳しい指導で知られる名門のサンパウロ騎手学校に入学。伝説的な元騎手で調教師のイヴァン・キンタナとタッグを組んだときから、モレイラの “マジック” は少しずつ磨かれていった。

モレイラ騎手、最大の偉業とは?
2017年3月5日、ジョアン・モレイラは香港競馬の1日最多勝記録を更新する8勝をマーク。それまで同地での1日最多勝記録は6勝だった。実況アナウンサーのブレット・デイヴィス氏は8勝目の勝ち馬がゴールした瞬間に「魔法の杖を一振り、煙が立ち上り、これが8勝目のマジックマンだ」と実況し、この “マジックのような” 歴史的瞬間を彩った。
この歴史的一日は、シーズン170勝という空前の記録の途上で刻まれた。しかし、モレイラが1日8勝を挙げたのはこれが初めてではない。2008年には母国サンパウロのシダーデジャルディン競馬場で、2013年にはシンガポールのクランジ競馬場でも、同じ金字塔を打ち立てている。

モレイラ騎手の代表馬
香港では、モレイラは多くのチャンピオンホースに騎乗し、ラッパードラゴン、デザインズオンローム、ビートザクロック、ホットキングプローンといった名馬で主要レースを数多く制覇した。さらに日本馬のモーリス、グローリーヴェイズ、ネオリアリズムでも香港で勝利し、その手腕を世界に示した。南米では、チャンピオンホースのエウタンベンに騎乗している。
なかでも、モレイラの真骨頂を最も体現したのは、香港競馬史に残る名マイラーのエイブルフレンドだろう。シャティンの直線を切り裂くロケットのような豪脚は圧巻、その追い込みは観衆を魅了し続けた。
モレイラ騎手の名騎乗
数え切れないほどのビッグレースを制してきたモレイラだが、その『名騎乗』として敗れたレースを敢えて取り上げたい。2014年の香港ダービー、チャンピオンマイラーのエイブルフレンドに騎乗した際の手綱さばきは、モレイラのダイナミズム、戦術眼、そして勇気を存分に示したものだった。
ライバルのデザインズオンロームが2000mの距離で優位にあることを承知のうえで、モレイラは馬群を縫って最短距離を通し、残り200mを切ったところで巨躯の栗毛馬を先頭に立たせた。だが、最後はスタミナで勝るデザインズオンロームに屈した形で敗れ去った。

モレイラ騎手、最大のライバル
オーストラリア出身のザック・パートン騎手が、長らく香港競馬を支配していたダグラス・ホワイト騎手の王朝を打ち破った直後の2013年、モレイラは香港に登場した。2013/14年シーズンにパートンが初のリーディングを獲得すると、次の3シーズンはモレイラが圧倒的な勝ち星で覇権を握り、まるで独壇場のような強さを誇示した。
その後の4シーズンは両雄並び立つ時代となったが、とりわけ伝説的だったのは2021/22年シーズン。最終日、パートンが4連勝を挙げてモレイラを逆転し、タイトルを手中に収めたのだった。

モレイラ騎手をスポーツチームに例えるなら?
モレイラはサッカーをこよなく愛しており、例えるなら世界を代表する強豪チームがふさわしいだろう。その独創的なスタイルと世界的な称賛を考えれば、ブラジル代表『セレソン・カナリーニョ』こそ最も的確な比較対象といえる。
もっとも本人が応援しているのは地元クリチバの “第2のクラブ” とされるコリチーバFC(通称コシャ)である。同クラブは現在、ブラジル2部リーグで戦っている。
ご存じでしたか?
モレイラのフルネームは「ジョアン・エンリケ・アルマンサ・モレイラ」である。
モレイラが日本行きを諦めた理由とは?
2017/18年シーズンの終わりに、モレイラが香港を離れ日本での通年免許を目指すと表明したとき、競馬界に衝撃が走った。もし実現していれば、クリストフ・ルメール、ミルコ・デムーロに続く3人目のJRA外国人騎手となるはずだった。
しかし、日本競馬の歴史やルール、一般知識に関する難関試験に不合格となり、夢は叶わなかった。モレイラはその直後に香港へ戻り、2018/19年シーズン開幕後まもなく、ジョン・サイズ厩舎の主戦騎手として再び活動を開始した。

モレイラ騎手の引退説とは?
ジョアン・モレイラは現在も現役で、主に母国ブラジルで騎乗を続けているが、日本や世界各地の大レースにも短期参戦している。
2022年10月、股関節の深刻な怪我のため香港での騎乗を取り止めると発表し、18ヶ月以内に騎手を引退する可能性が高いと語った。その後は騎乗頻度をセーブしつつも騎乗を続け、クリチバに拠点を置きながらサンパウロを中心に騎乗し、母国ブラジルで数々の重賞を制覇。さらに、2024年4月にはステレンボッシュで桜花賞を制し、日本で初めてクラシック勝利を挙げた。
