1. 「最優秀グリフィン」は誰に?最有力はホットディライトか
6月13日(土)に行われた、1000mのグリフィン競走(香港デビューの若馬限定戦)をジェダイスパーズが勝った後、現地では、この2歳馬が今季の香港最優秀グリフィン争いに加わるのではないかという声が聞かれた。
現実的に考えてみる。香港最優秀グリフィンにオッズがつくなら、現在最有力のホットディライトは、ジェダイスパーズがデビュー戦でつけた単勝1.60倍よりも、さらに人気を集めるはずだ。サロンエスが明確な2番手評価になるだろう。
ジェダイスパーズの勝ち方は印象的だった。だが、この賞を狙える馬としては時期が遅すぎる。グリフィン競走を勝つことと、香港最優秀グリフィンを受賞するだけの実績を築くことは別物だ。近年の受賞馬は、短期間でレーティングを大きく上げ、グリフィン限定戦を越えたクラスで力を証明してきた。
昨季受賞馬のスカイジュエリーは、デビューシーズンに5戦3勝の成績を残した。レーティングは52から79まで上がり、2010/11年シーズンにレーティング75で受賞したベアヒーロー以来、最も低いレーティングでの受賞となった。
近年の受賞馬を見れば、その基準は一目瞭然だ。カーインライジングは7戦5勝、2着2回。初シーズンの締めくくりにG3・シャティンヴァーズを制し、レーティングは52から111まで急上昇した。ハウディープイズユアラヴは12戦4勝、9度の3着以内、クラス2戦を勝利し、レーティングを52から96へ44ポイント上げた。
ラッキースワイネスは初シーズンに7戦5勝。ファンタスティックトレジャーは5戦無敗で、クラス2も制した。グッドラックフレンドは6戦4勝で、レーティングを52から85まで上げた。言いたいことは伝わっただろうか。
ジェダイスパーズを所有するチェン家は、そのハードルの高さを誰よりもよく知っている。かつての所有馬、エセロは2018/19年シーズン最初のグリフィン競走を4月に勝ち、続く1200mのグリフィン競走も制した。その後、レーティング75でそのままクラス3に上がって再び勝利し、シーズン終了時のレーティングは89だった。
それでも足りなかった。チャンピオンズウェイは7戦6勝、レーティングを54から108まで上げ、さらにG3・ライオンロックトロフィー勝ちでシーズンを締めくくり、香港最優秀グリフィンに選ばれた。
実際、グリフィン限定戦で出走歴がある直近の香港最優秀グリフィン受賞馬は、2013/14年シーズンのブリッシュスマートである。同馬は6戦3勝。クラス3での勝利を含み、勝った3戦以外にも2度3着以内に入った。
今季からは最優秀グリフィンは選考資格が見直され、従来のように「K」のブランド番号を持つ新規輸入馬だけに限らず、対象範囲が広がった。以前は、香港到着前に未出走で、シーズン最初の香港開催日時点で2歳または3歳だった、Kブランドを持つ新規輸入馬が対象だった。
2025/26年シーズンからは、香港到着前に未出走だったこと、当該シーズンに香港競馬で初出走したこと、そして2026年1月1日時点で2歳または3歳だったことが基準となる。輸入日やブランド番号の頭文字は、もはや選考資格を決める要素ではない。
この変更により、ジュノープライドを対象外にした昨季ような、規則上の盲点はなくなる。サイズ厩舎の同馬は3歳でデビューした後、レーティング80まで到達したが、前年3月に香港入りしていたため受賞資格がなかった。
話を今季に戻すと、ホットディライトを捕まえるのは難しい。5戦4勝で、直近ではクラス2戦を制覇。デビュー時のレーティング52から89まで上げている。
サロンエスは同じ5戦4勝の成績で、現時点では2番手につける。レーティングはホットディライトより4ポイント低い85で、唯一のクラス2挑戦では4着だった。
候補がこの2頭から大きく広がるとは考えにくい。次点はマイマーズだろう。香港競馬での最初の3戦で2勝を挙げ、短期間でレーティングを64から80まで上げた。
2023年3月28日生まれのマイマーズは、6月13日のグリフィン競走を勝ったジェダイスパーズより、わずか4か月半ほど年上にすぎない。
2. マイマーズ、心配された故障は「軽度」
マイマーズについては、香港ジョッキークラブ(HKJC)の獣医報告に、同馬が6月3日に左前肢の靭帯を痛めたことが記されている。ただし、デヴィッド・ヘイズ調教師によれば、報告書から受ける印象ほど深刻なものではないという。
「ごく軽いものです」とヘイズ師はIdol Horseに説明した。「大地震ではなく軽い揺れです。ただ、出走させること自体はできたとしても、そうすれば大地震につながるリスクがありました」
「ですから、新シーズン開幕には戻ってきます。今季の役目は果たしてくれました」
「それだけの器の馬ですから、判断は難しくありませんでした。リスクを取りたくなかっただけです」
最近の獣医報告には、香港ダービー4着馬、パッチオブコスモの名前も出ている。同馬は直近の出走後、左前肢の腱損傷が判明した。同馬はかつて同じ箇所の故障により、1月18日の復帰戦まで315日間離脱していた。
記録上、パッチオブコスモは6月10日から従化トレセンに滞在しており、同地で3度のプール調教を行っている。

3. レーティング上昇へ、ミスターインクレディブルにクロフォード師期待大
ブレット・クロフォード調教師は、頭角を現しつつあるミスターインクレディブルが今季もう1走し、来季の4歳クラシックシリーズへ向けてよりスムーズな道筋を作るためのレーティングを確保してくれることを期待している。
3歳馬の同馬はここまで3戦2勝。直近ではクラス4の相手に3馬身3/4差をつけた。次走ではレーティング70でクラス3に上がる予定で、クロフォード師はシーズン終了前にもう一度、レーティングを積み増す機会を与えたい考えだ。
「6月27日に芝1200mのクラス3を走ります」とクロフォード師はIdol Horseに語った。「それが今季最後の出走になります。いい走りをしてくれれば、そこから来季の計画を立てられます」
「もう1走させようと考えました。できれば、しっかり上位で勝負になって、レーティングを上げてほしい。そうすれば来季に向けて、こちらも過度なプレッシャーを背負わずに済みます。きちんと計画を立てられますから」
4. 「無敗馬」はまだまだ伸びる?逸材3歳馬に騎手が期待語る
タイクーンリソーシズはすでに3戦3勝。シーズン終盤に台頭してきた3歳馬として、早くも注目しておきたい1頭になっている。それでもアンガス・チャン騎手は、この若駒がレース前の立ち居振る舞いを改善できれば、まだ大きな上積みがあると見ている。
気持ちが高ぶり、汗をかき、口元には泡を浮かべ、左右に厩務員をつけられている。タイクーンリソーシズは、見栄えの良さを除けば、パドックで高評価をつけやすいタイプではない。
それでもハッピーバレー競馬場のナイター開催で見せてきた走りは、同馬の素質の高さを物語っている。ただ、チャン自身も直近の勝利前には不安を感じていたという。
「あの夜は心配でした」とチャンはIdol Horseに語った。「パドックではかなり汗をかいていました。ただ、ゲート内では前走より落ち着いていて、それは良い兆候でした」
「調教では、小さな調教コースでフードを着けていると落ち着いて見えます。ただ、 フードを外すと話は別です」
チャンによれば、シーズン終了前にタイクーンリソーシズをシャティン競馬場で試す計画があるという。
5. スカイジュエリーに異常なし、ただし今季は続戦せず
ジョン・サイズ師は、6月12日に従化トレセンで予定されていた1200mのバリアトライアルを取り消したスカイジュエリーについて、噂されていた懸念を払拭した。
「問題はありません。ただ、今季はもう走りません」とサイズ師は語った。「すでに夏休みに入りました」
昨季の香港最優秀グリフィンは、11月のバリアトライアル後に鼻出血を発症した影響もあり、今季は3走のみにとどまっている。復帰後の最初の2戦をそれぞれ1馬身1/4差、1馬身3/4差で勝利し、その後はG3・ライオンロックトロフィーで4着だった。

6. ディラン・モー騎手が「免許剥奪危機」突破、アヴドゥラ騎手は期間限定免許で来季へ
ディラン・モー騎手は再び騎手免許の審査を乗り切った。地元人気も高い同騎手は、2026/27年シーズンの通年免許を得た。
1年前、2024/25年シーズンの騎乗成績に関して、モーは「成績不十分」として最終警告を受け取っていた。
モーは今季ここまで6勝。昨季の4勝を上回っており、そのうち3勝はフランシス・ルイ厩舎のステイヤー、ウィニングウィングとのコンビで挙げたものだ。このコンビによって、モーは意外な形でファンから人気を集める存在になった。ウィニングウィングが注目レースに姿を見せると、パドックではしばしば大きな歓声が送られる。
注目すべきは、ブレントン・アヴドゥラ騎手がシーズン途中までの免許にとどまったことだ。オーストラリア出身の同騎手に与えられた免許は、2027年2月17日までの期間限定だった。アヴドゥラは今季20勝で騎手リーディング16位。昨季は47勝で4位に入っており、そこから大きく数字を落としている。
一方、ジェームズ・オーマン騎手は逆に評価を上げた。昨季は13勝で20位に終わったが、今季は31勝を挙げて10位まで浮上している。オーストラリア出身のオーマン騎手には、2026/27年シーズンの通年免許が交付された。