ジャック・ダウリング
ロイヤルアスコット3日目、G1・ゴールドカップではイリノイに熱視線が注がれる。名ステイヤー、キプリオスの不在を埋める存在となれるかどうか、その資質が問われる。
先月の故障により2度のゴールドカップ覇者キプリオスが引退。エイダン・オブライエン調教師は、代役にキャリアの浅いイリノイを送り出す。5月のG3・オーモンドステークスではしぶとく脚を伸ばして勝利しており、スタミナ面での資質を証明してみせた。
父ガリレオ譲りの持続力はこれまで十分に示しているが、今回の舞台はキャリア最長の2マイル半。キャリア最大の試練となる中、安定感抜群のトローラーマンとフランスから遠征のカンドゥラリという強敵とぶつかる。
トローラーマンは昨年の同レースでキプリオスに1馬身差の2着と善戦。前走サンダウン競馬場では見事な勝利を収めており、『やり残した仕事』へ向けて再挑戦となる。ジョン&タディー・ゴスデン厩舎はスウィートウィリアムとの二枚看板で頂点を狙う。
フランスからはフランシスアンリ・グラファール調教師のカンドゥラリが参戦。父はフランケル。新たにG1へ昇格したヴィコンテッスヴィジエ賞を制しており、地力の高さは確かだ。
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デイヴィッド・モーガン
ロイヤル開催の初日、G2・コヴェントリーSをグスタードで制したエイダン・オブライエン厩舎の2歳勢は絶好調。その勢いに乗り、3日目の開幕を飾るG2・ノーフォークステークスでは、チャールズダーウィンが圧倒的な1番人気に推されそうだ。
この5ハロン戦には、アメリカからの刺客サンダルズソングも参戦。調教師のジョージ・ウィーバーは、2年前にクリムゾンアドヴォケートでクイーンメアリーSを制しており、今回も大舞台を熟知している。サンダルズソングは、初日に2勝を挙げたワスナンレーシングが最近購入した馬で、同オーナーはこのレースにカール・バーク厩舎のネイヴァルライトも送り込む。
香港の馬主ボン・ホー氏は、当日のメインであるゴールドカップにハンデ戦で台頭してきたワンダーレジェンドを挑戦させる一方、G3・ハンプトンコートSにはリステッド勝ちのグリッタリングレジェンドを送り込む。
ハンプトンコートSは、来季の香港ダービー候補を探す場として香港の馬主たちにとって重要なレース。加えてブリタニアハンデキャップはさらに注目度が高く、レース後にはオファーの電話が鳴り止まない。中でもパロールドーロは、香港で7勝を挙げたゴールデンエンパイアの半弟という血統背景からも人気を集めそうだ。
イチオシ推奨馬:ノーフォークステークス・3番 チャールズダーウィン
アンドリュー・ホーキンス
ブリタニアハンデキャップは、毎年のように香港移籍馬を輩出してきたが、今年の注目馬ラボッテの未来はむしろオーストラリアにあるかもしれない。同馬の馬主には、オーストラリアの著名なオーナーたちが名を連ねており、ヘイローレーシングの勝負服で出走予定だ。故コル・マッケナ氏の所有馬であり、その青とライムグリーンの勝負服は、コーフィールドカップ馬ジャメカでもおなじみだ。
オーストラリアの馬主たちが特に注目するもう一つのレースが、芝12ハロンのキングジョージ5世ステークス。過去には1999年の勝ち馬ギヴザスリップがメルボルンC2着となったほか、2018年にはこのレースを経たクロスカウンターがメルボルンCを制した。他にもランドレジェンド、ジャストファイン、ホームズマン、シュラオー、スピルウェイといった豪州G1馬を輩出している。
ニュージーランドのゴーレーシングが所有するオムニマンのように、すでに南半球の馬主が参入している馬もいるが、今後この傾向はさらに強まりそうだ。
一方、G2・リブルスデールステークスは、毎年出走馬の顔ぶれやレースの質にばらつきがあり、その実力が評価されるのは、レース後になってからということも多い注目の一戦。今年はアイルランドの牝馬カタリナデルカルピオがその中心となりそうだ。パディ・トゥーミー調教師が送り出す期待馬で、今週の開催に複数の有力馬を送り込んでいる同厩舎の一頭である。
イチオシ推奨馬:リブルスデールステークス・2番 カタリナデルカルピオ
ロイヤルアスコット3日目は、現地時間午後2時30分(日本時間午後11時30分)に第1レース発走予定。∎