Aa Aa Aa

香港の人気調教師、ベンノ・ユン調教師が今シーズンを最後に引退することが、香港ジョッキークラブ(HKJC)が今週発表するライセンス更新に先立って明かされた。

ユン師は現在66歳。年齢による定年が迫っていたが、近年の香港競馬では65歳を超えてもライセンスを更新して調教師を続けるケースが数多くあるのもまた事実。その中での引退決断だった。

ユンは今シーズン、難病の急性骨髄性白血病(AML)を克服し、現場復帰。直近の日曜開催で最終レースを制したアエリスノヴァを含む18勝を挙げ、見事なカムバックを果たした。

調教師としての最後の出走は2025年7月16日のハッピーバレー最終開催となる予定。これまでの12シーズンに及ぶキャリアの中で、通算358勝を挙げている。

ユンは長年、ジョン・サイズ厩舎のアシスタントトレーナーを務め、2001年にオーストラリア出身のサイズが香港に渡った当初からその活躍を支えていた。

サイズが香港でリーディングトレーナーに輝いた回数は12回。ユンが2013/14シーズンに調教師として独立した際には、サイズは厩舎の功労者について次のように語っていた。

「彼なしでは私の仕事は成り立たなかったと言っても過言ではありません。香港に来た当初、彼は私に現地のシステムと仕組みを教えてくれました。私たちは親しい友人であり、その関係はこれからも変わりません。私は彼をできる限りサポートしますし、彼が何か質問すればいつでも耳を傾けます。私はいつでも近くにいます」

Hong Kong horse trainer Benno Yung and John Size
BENNO YUNG, JOHN SIZE / Happy Valley // 2013 /// Photo by Kenneth Chan

ユンはIdol Horseへのコメントの中でサイズを『ボス』と呼び、昨年の治療中、厩舎を6か月間離れてリモートで仕事を続けた際にサポートしてくれたHKJC関係者への感謝も述べた。

「まずはボスのジョン・サイズに感謝したいです。また、香港ジョッキークラブ、特にCEOのウインフリード(エンゲルブレヒト=ブレスゲス)、アンドリュー・ハーディング氏、K・L・チェン氏には、治療という困難な時期に全面的な支援をいただいたことを心から感謝します」

チャンピオンジョッキーのザック・パートンはユン厩舎の馬で88勝を挙げており、これは騎手別の勝利数で最多。今年初め、パートンはIdol Horseの取材でユンを称賛するコメントを残している。

「2013年にユン先生の厩舎が開業して以来、私はずっと彼とコンビを組んできました」とパートン。「ユン調教師の特徴は、調子の良い馬を維持できることです。間違いなく腕のある調教師です」

ユンは1978年に見習い騎手としてキャリアをスタートし、1986年まで現役を続けた。最後の4年間は見習い騎手を卒業して減量無しの騎手として活躍した。

調教師としては、体質に難を抱える馬を辛抱強くケアして復活させる手腕で知られ、地元メディアから『ドクター・ユン』の異名で親しまれた。

厩舎の代表馬としては、G2で入着経験のある芦毛の巨漢馬・ピンウースパーク(5勝)が挙げられる。

マイケル・コックス、Idol Horseの編集長。オーストラリアのニューカッスルやハンターバレー地域でハーネスレース(繋駕速歩競走)に携わる一家に生まれ、競馬記者として19年以上の活動経験を持っている。香港競馬の取材に定評があり、これまで寄稿したメディアにはサウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ジ・エイジ、ヘラルド・サン、AAP通信、アジアン・レーシング・レポート、イラワラ・マーキュリーなどが含まれる。

マイケル・コックスの記事をすべて見る

すべてのニュースをお手元に。

Idol Horseのニュースレターに登録