最新ニュース
15/12/2025
“予想を超える”圧勝劇、カーインライジングが香港スプリントで見せた「異次元」の衝撃
カーインライジング、ヴォイッジバブル、ロマンチックウォリアー。香港国際競走の結果は「順当」の範囲だったのかもしれない。だが、その中身は事前の予想を超えるものだった。
デイヴィッド・モーガン
12/12/2025
「スピードが武器」二冠牝馬のエンブロイダリー、調整万全で香港マイル史上初の“3歳牝馬制覇”へ
今年の桜花賞と秋華賞を制覇、エンブロイダリーは現地入り後もスロー調整を進めているが、それも“香港の達人”に学んだ若手トレーナーの計画通り。狙い通りの調整を進めている。
デイヴィッド・モーガン
11/12/2025
香港のヴォイッジバブルとマイウィッシュ、「地元勢有利」香港マイルで遠征馬撃破へ
過去21年間のうち、実に19回を香港勢が制してきた香港マイル。今年は前年王者のヴォイッジバブルと、新星のマイウィッシュが地元勢を牽引。トロフィーは外国馬には渡さない。
デイヴィッド・モーガン, ワールド・レーシング・ウィークリー
10/12/2025
ロマンチックウォリアーとカーインライジングが最終調整で“圧巻”追い切り、準備万端でいざ連覇へ
香港競馬を代表する2頭の王者が、香港国際競走に向けた最終追い切りで「格の違い」を披露。パートンとマクドナルド、二人の鞍上からは喜びの声が聞こえた。
デイヴィッド・モーガン
27/11/2025
“二冠牝馬”エンブロイダリーの香港マイル挑戦、ルメール騎手は期待大「良い走りを期待」
3歳世代のトップ牝馬、エンブロイダリーが初の海外挑戦、初の古馬との対戦にチャレンジ。「今はマイルがベスト」と、桜花賞以来のマイル戦にルメールは自信を見せる。
デイヴィッド・モーガン, ワールド・レーシング・ウィークリー
ジアヴェロット、連覇に向けて「全盛期」で帰還
来週日曜日、シャティン競馬場のG1・香港ヴァーズで連覇に挑む、イギリスのジアヴェロット。マルコ・ボッティ調教師も、決して簡単な挑戦ではないことを承知の上でのチャレンジだ。
1着を勝ち取った昨年も評価は決して高くはなかった。単勝12倍の5番人気に過ぎなかったが、それでもジアヴェロットは勝利を掴んだ。今年は凱旋門賞で自己ベストの走りを見せたうえで、前年覇者として再び香港に乗り込んでくる。
もっとも、凱旋門賞で見せた17頭立ての4着という走りは、将来への期待も膨らむ一方で、香港ヴァーズ連覇がいかに険しい道かという現実も物語っている。確かに凱旋門賞では、今回再戦が見込まれる最下位のロスアンゼルスには大きく先着した。しかし、ボッティ師が気にかけているのは、3着争いでハナ差の敗北を許したソジーの存在だ。
ボッティ師はIdol Horseの取材に「アンドレ・ファーブル厩舎のソジーは、本物のトップホースです」と話し、ライバルへの警戒を語った。
「凱旋門賞では本当にわずかな差でしたが、先着されました。欧州勢では、ソジーが最大の脅威になると思います。今年は、昨年とはまた違った意味で、相手関係の質が高くなるでしょう。昨年との単純比較は難しいですが、いいメンバーが揃ったと思います」
その他の欧州勢としては、豊富な経験を持つG1馬のゴリアットやアルリファーも名を連ねる。そして日本からは、昨年のG1・菊花賞を制したアーバンシックが参戦してくる。
それでも、ニューマーケットを拠点とするイタリア人トレーナーには心強い材料がある。ジアヴェロットの健康状態とコンディションが昨年同様に良好であること、そして6歳となった今、実績面でも昨年以上に力をつけたことがはっきりしている点だ。
「1歳年を重ねたのは事実ですが、ここ2走、ケンプトンと凱旋門賞での走りには本当に満足しています。あの2戦の内容からすれば、今がまさにキャリアのピークにあると言っていいでしょう」
ジアヴェロットは、長丁場のステイヤーレースから2400m戦へ距離を短縮して以降、才能を開花させた。今年は夏場に軽いアクシデントがあり、結果的に“半ば強制的な”夏休みを取る形に。それもプラスに働いたという。
「7月のプリンセスオブウェールズステークスを回避した時点で、ケンプトンで仕切り直しをしようと考えました」とボッティ師は振り返る。そのレースとは、凱旋門賞の有力馬と目されていたカルパナを撃破したG3・セプテンバーステークスのことだ。
「カルパナとの一戦では、叩き台ということもあって、使って良くなる余地があると分かっていました。実際にこの馬を負かしたことで、『これは凱旋門賞を視野に入れないといけない』と検討するようになりました」
「あとは馬場次第で、良馬場なら凱旋門賞に使おうと決めていました。ところがレースが近づくにつれて雨が降り出して、彼にとってはあまり歓迎できないコンディションになってしまったんです」
「それでも、あの凱旋門賞で得た一番の収穫は、得意とは言えない緩い馬場でも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたことです。本来は速い馬場を好むタイプですからね。カルパナは凱旋門賞では結果を出せませんでしたが、その後は英チャンピオンズデーで牝馬限定戦のG1を勝っています」
今週のプランは、金曜に香港行きのフライトに乗る前日か前々日に強めの追い切りをこなし、土曜の午後4時過ぎにシャティンに到着するというものだ。
「ここまではすべて計画どおりに進んでいます」とボッティ師。「これ以上望めないくらい順調です。調教の動きも申し分なく、体調もいい。毛ヅヤも素晴らしいですよ」
気になる鞍上は、凱旋門賞でオイシン・マーフィー騎手に代わって手綱を取ったアンドレア・アッゼニ騎手が、香港ヴァーズでも続投する見通しだ。
「アンドレア(アッゼニ騎手)には、『もし凱旋門賞で乗ってくれるなら、香港でも続けて依頼するつもりだ』と伝えていました。オイシンもアンドレアもジアヴェロットで素晴らしい仕事をしてくれていますから、どちらに頼むかは本当に難しい決断なんです」

ドックランズ、遠征馬到着で「お一人様」脱却
香港国際競走を前に、シャティン競馬場の検疫厩舎は、今週に入って徐々に熱気を帯び始めている。日本の関西馬は水曜日に到着しており、土曜日の夜までには、ロンドン、パリ、シカゴからの3便のフライトで欧州調教馬が続々と合流し、厩舎エリアが一気ににぎやかになりそうだ。
日曜の午後までには、アイルランド・シャノン発の航空便と、美浦所属馬を乗せた東京発の便も到着し、海外勢はすべて現地入りを完了する予定だ。
その新たな仲間を最も歓迎するのは、ドックランズと担当スタッフのローラ・パイク氏、マイケル・ヴォルキンス氏だろう。先週、京都のG1・マイルチャンピオンシップで中団フィニッシュに終わった後、大阪から香港へ飛び、そのまま検疫厩舎入り。この一週間はほぼ『貸し切り』状態で過ごしてきた。
ドックランズのハリー・ユースタス調教師は「日本から香港までの旅路は、とてもスムーズでした」とIdol Horseの取材に語る。
「ヨーロッパから来るよりもはるかに移動の負担が少ないですし、時間的にも十分な余裕を持って順応させることができます。レース間隔も詰まっていませんし、こちらとしては最終調整を進めるだけです」
「マイケルとローラも、彼の到着時のコンディションにはとても満足してくれています。今のところは静かに過ごしていて、屋内の馬場での運動を中心にしていますが、どこかのタイミングで軽い追い切りを入れるつもりです。あとはそのタイミングをいつにするかだけですね」
ドックランズは昨年のG1・香港マイルでは12着に敗北。しかしその後、ロイヤルアスコットのG1・クイーンアンステークスを制し、今年はより高いレベルでこの舞台に戻ってくる。
「移動の経験を積んだことも、ドックランズにとって大きなアドバンテージになっていると思います」とユースタス師は自信を語る。なお、今回の鞍上はトム・マーカンドが務める。
「昨年よりも明らかに地力をつけて香港に臨めると思っています。香港でもいい枠を引ければ、日本で走ったときよりもチャンスは大きいかもしれません。京都でのレースほどメンバーの層は厚くならない可能性もありますからね」
世界の競馬場から
1982年12月1日は、競馬界とバートン家にとって歴史的な一日となった。
この日、38歳のパティ・バートンと19歳のリア・バートンが、プロのレースで史上初めて“母娘同士”として同じレースに騎乗。舞台はケンタッキー州北部のラトニア競馬場、母のパティが騎乗したタムズエンジェルは5着、娘のリアが騎乗したダイアンズミズロリーは10着に終わった。
2008年12月7日の阪神競馬場では、カネヒキリがG1・ジャパンカップダート(現在のチャンピオンズカップ)で3年ぶりの2勝目を挙げ、このレースを2勝した史上初の馬として新たな歴史を刻んだ。
3年前、前回の勝利は東京競馬場での武豊騎手とのコンビだったカネヒキリは、この年はクリストフ・ルメール騎手を背に勝利。ダート王としての地位を不動のものとした。
今週読みたいIdol Horseの記事
シェーン・ダイ元騎手の独占コラム『Idol Thoughts』の今週のテーマは、「偉大な騎手の条件とは?」。自身の経験とトップジョッキーたちを例に挙げながら、リスクとの向き合い方が一流騎手を形作る上でどれほど重要かを語る。
デヴィッド・ヘイズ調教師のキャリアも、今やいわば“黄昏期”に差し掛かっている。しかし、その終盤にして自身最高の馬に出会った。そう、カーインライジングだ。このスプリンターとできる限り長い旅を歩むことは、今の一つの目標だ。
アーモンドアイは、引退後も『ウマ娘』を通じて、新たなファン層を獲得している。クリストフ・ルメール騎手は取材の中で、先週ついに更新された“あの”東京2400mのレコードタイムを振り返り、名牝との思い出を明かしてくれた。
今週のベストショット
晩秋の陽光を浴び、府中のターフを凱旋するカランダガンとミカエル・バルザローナ騎手。外国馬として20年ぶりのジャパンカップ制覇、そしてジャパンカップのレコードを塗り替える激走。アーモンドアイの『2:20.6』を上回った、史上初の一頭となった。
Date
30 11月, 2025
Photographer
@ReveReve27
Location
Tokyo Racecourse

世界の注目馬リスト
アメリカ・チャーチルダウンズ競馬場のG2・ゴールデンロッドステークスは、この路線を語る上で常に注目しておきたい一戦だ。
レイチェルアレクサンドラ、シルバービュレットデイといった歴代のチャンピオン牝馬たちが、ここを足掛かりにG1レースへと駆け上がっていった。この2頭の名牝は後にケンタッキーオークスを制しており、昨年のレースを制したブラッド・コックス厩舎のグッドチアも、今年のケンタッキーオークス馬に輝いている。
先週末に行われた今年のレースを制したのは、ゴドルフィンの自家生産馬でストリートセンス産駒の2歳牝馬、ベラバレリーナだった。ブレンダン・ウォルシュ調教師とタイラー・ガファリオン騎手の二人にとっては、ここ3年で2度目の優勝となった。
ベラバレリーナは前走、キーンランドのダート6ハロン戦で4馬身1/4差の圧勝を飾り、鮮烈なデビュー勝ちを披露していた。
ゴールデンロッドS(ダート1700m)では、大外枠から好スタートを決めると、序盤は先頭に立ちかけながらもすぐにハナを譲り、折り合いをつけながら2番手で追走。3コーナーから4コーナーにかけて逃げ馬との差をじわじわと詰め、直線入口で先頭に。そのまま末脚を伸ばして、追い込み勢を半馬身差で振り切った。
次なる舞台はG1戦線。G1の大舞台がベラバレリーナを待っている。
ワールドレーシングカレンダー:今後の注目レース
チャンピオンズカップ
中京競馬場、12月7日
日本のダート路線では今、新たなスターが頭角を現す絶好のタイミングを迎えている。フォーエバーヤングは海外遠征を主戦場とし、昨年二連覇を達成したゴドルフィンのレモンポップはすでに引退しているからだ。
そんな好機が到来している今年のチャンピオンズカップは、Jpn1・ジャパンダートクラシックを制したゴドルフィンの3歳馬・ナルカミと、前走でG3・みやこステークスを勝って通算7戦6勝としたシルクレーシングの4歳牝馬・ダブルハートボンドの激突に注目が集まっている。
もっとも、両頭の前に立ちはだかるのは、簡単には崩れない古豪たちだ。ウィルソンテソーロやメイショウハリオといったタフな常連勢に加え、芝で重賞を複数勝利のシックスペンスが、今回2度目のダート挑戦に臨む。

香港国際競走
シャティン競馬場、12月14日
香港が誇る年末の祭典は、今年も“名勝負”の予感が漂っている。4つのG1それぞれに、興味深いストーリーと見逃せない戦いが待っている。
G1・香港スプリントでは、カーインライジングが圧倒的な1番人気で登場する。焦点は、自身の持つシャティン1200mのレコードを再び塗り替えることができるかどうかだろう。G1・香港マイルは、距離短縮で挑むヴォイッジバブルの参戦により、一気に盛り上がりを見せる。巻き返しを狙うマイウィッシュ、そして日本からは実力派牝馬のエンブロイダリーが加わり、ハイレベルなマイル戦になりそうだ。
G1・香港カップでは、ロマンチックウォリアーが史上初となる同一G1・4連覇の偉業に挑む。
そして“この日のベストレース”になるかもしれないのが香港ヴァーズだ。前年王者のジアヴェロットに、欧州からソジーとアルリファー、日本からアーバンシックが挑み、ハイレベルな中長距離決戦が繰り広げられそうだ。
阪神ジュベナイルフィリーズ
阪神競馬場、12月14日
ここに至るまでに重賞ウィナーが複数離脱し、混戦模様となっている今年の阪神ジュベナイルフィリーズだが、一番人気は無敗の2連勝を果たしたアランカールが有力視されている。勝てば母のシンハライトに続くG1制覇となり、親子でのクラシック制覇も現実味を帯びてくる。
また、前走のサフラン賞を良い内容で制したアルバンヌ、G3・中京2歳Sで僅差2着のスターアニスも有力視されているほか、ダノンスコーピオンの全妹・ギャラボーグも抽選を突破して出走が叶えば人気を集めるだろう。なお、ソダシの妹、マルガは回避する見込みだ。
朝日杯フューチュリティステークス
阪神競馬場、12月21日
G3・新潟2歳ステークスを4馬身圧勝、無敗のリアライズシリウスが主役と目される一戦。6月のデビュー戦は7馬身圧勝、ここまで2戦はどちらも圧勝で突破している期待の逸材だ。
一方、G2・デイリー杯2歳ステークスを2歳コースレコードで制したアドマイヤクワッズも負けず劣らずの逸材候補。エコロアルバやダイヤモンドノットといった前評判の高い重賞馬も参戦し、頭数は多くないながらも実力馬揃いのレースとなりそうだ。
有馬記念
中山競馬場、12月28日
国内を代表する女傑、レガレイラは有馬記念の連覇なるか。先月のG1・エリザベス女王杯を制したレガレイラは、実力が疑問視されていた昨年と違い、今年は堂々の一番人気で出走すると見られている。
ジャパンカップ3着のダノンデサイルは前走、ゴール後に放馬するアクシデントがあったが、予定通り有馬記念へと参戦する。凱旋門賞5着のビザンチンドリーム、皐月賞のミュージアムマイルも出走を表明。このレースがラストラン、ジャスティンパレスも出走予定馬に名を連ねている。

