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4月末の香港チャンピオンズデーと、日本では4月5日のG1・大阪杯が、中東地域での紛争の余波で追い風を受けるかもしれない。

土曜にメイダンで行われた、大一番のドバイワールドカップ開催の大一番へ向けた前哨戦、スーパーサタデー開催の前後にかけて、UAEの防空システムがドローンやミサイルを迎撃する非常事態が起きたためだ。

スーパーサタデー開催では見どころのある走りが相次いだ。とりわけ、G1・ドバイゴールデンシャヒーンへ向かうエルナシーブ、そしてG1・ドバイワールドカップの有力候補へ一気に名乗りを上げたメイダーンが際立っていた。

だが週末には、UAEに向けて弾道ミサイル186発、巡航ミサイル8発、ドローン800機超が発射され、大半は迎撃されたものの、3月28日のドバイワールドカップ開催へ出走予定だった馬の参戦を見送った陣営も複数出ている。

米国とイスラエルによるイラン国内の標的への攻撃と、イランによる報復攻撃が続くなかで、調教師、馬主、騎手、そして関係者の間には不安と懸念が広がっている。今年で30回目を迎えるこの高額賞金の祭典は、そもそも開催されるのか。仮に開催されるとして、安全は確保されるのか。

出走を検討している陣営は状況を注視している。香港のデニス・イップ調教師もその一人で、管理馬のファストネットワークをG1・アルクオーツスプリントに登録している。

アルクオーツスプリントはこれまで、香港勢のカリフォルニアスパングル、アンバースカイ、ジョイアンドファンで制してきた舞台でもある。

香港のクリス・ソー調教師とカリス・ティータン騎手が、ようやくドバイからの出国が実現し、帰路便のチェックインまでこぎ着けて胸をなで下ろしていた頃、イップ師は水曜夜のハッピーバレー開催でIdol Horseに次のように語った。

「判断を下すのは、1週間先でもまだ間に合います。だからニュースを注意深く見ています」

さらに米国のドナルド・トランプ大統領の動向について触れ、「トランプ大統領が何を言うか、SNSも見ておきます」と話した。

Fast Network winning under Alexis Badel at Sha Tin in 2025
FAST NETWORK, ALEXIS BADEL / G3 National Day Cup Handicap // Sha Tin /// 2025 //// Photo by HKJC

一方、日本のトップホース3頭は、ドバイ行きのリスクを取らない決断を表明。マスカレードボール、ジャンタルマンタル、ウインカーネリアンはドバイ遠征を回避する。

G1・天皇賞秋の勝ち馬で、日本ダービー2着、G1・ジャパンカップ2着の実績を持つマスカレードボールは、G1・ドバイシーマクラシックから阪神競馬場で行われる大阪杯へ回る見通しだ。

大阪杯は顔ぶれが一気に豪華になりそうで、昨年の日本ダービー馬であるクロワデュノール、G1・宝塚記念の勝ち馬メイショウタバルも、すでに参戦が見込まれている。

さらに、サンデーレーシングの4歳馬、ミュージアムマイル(昨年のG1・有馬記念とG1・皐月賞を制覇)も大阪杯参戦が選択肢に入る。

現時点ではG1・ドバイターフの出走予定馬に名を連ねているが、陣営は、もしドバイ遠征が見送られた場合、国内の大阪杯か、シャティンの香港チャンピオンズデーで行われるG1・クイーンエリザベス2世カップに向かうと明言している。

一方、ウインカーネリアンはアルクオーツスプリントではなくG1・高松宮記念へ。香港チャンピオンズデーのG1・チャンピオンズマイルには、実力派マイラーのジャンタルマンタルが新たな目標として浮上している。

今年で5歳を迎えたジャンタルマンタルは、13着に敗れた2024年12月のG1・香港マイルという苦い遠征経験を経て、今やチャンピオン級へと成長。昨年のG1・安田記念、G1・マイルCSの勝利は、世界屈指のマイラーの一頭であることを裏づけている。

社台レースホース所有のこの有力馬は注目度も高く、近年チャンピオン級の海外勢を呼び込みにくかったチャンピオンズマイルにとって、これ以上ない追い風となる。

昨年はレッドライオンが勝ったが、海外からの出走は4頭にとどまり、歴代でも屈指の手薄な年だったと言わざるを得ない。日本から参戦のガイアフォースは9着、ゴエモンは11着、オーストラリア勢はロイヤルパトロネージが12着、ミスターブライトサイドが13着とそれぞれ後方で入線した。

日本の世界的スター、フォーエバーヤングはすでにドバイ入り。世界各地を転戦してきた実績馬、ゴドルフィンのレベルスロマンスも同様に滞在中で、スーパーサタデー開催では快勝を見せている。

報道によれば、市街地の外縁部に位置し、攻撃対象区域から距離があるメイダンに滞在中の馬たちは、今回の一連の出来事による影響は受けていないという。

ただし紛争が続く限りリスクは残る。開催されるとしても、日本勢の遠征メンバーがさらに減る可能性はある。直近のG1・フェブラリーステークスを制したコスタノヴァは、G2・ゴドルフィンマイルへ出走予定だが、陣営は情勢の沈静化を待って判断する構えだ。

大井の荒山勝徳調教師が管理する8歳馬、ディクテオンも、その渦中にいる。

近2走でG3・コリアカップ、Jpn1・東京大賞典を連勝し、まさに充実一途を辿るディクテオンにとって、ドバイワールドカップは生涯一度の大きなチャンスになり得る。

それだけに荒山師は、日本メディアに対し、ディクテオンがドバイへ行けないなら「本当に残念なこと」と話す。その言葉は、この状況全体にもそのまま当てはまる。

アガ・カーン殿下の自家生産馬、シャーガーは1978年3月3日に誕生し、その後は英ダービー、愛ダービー、キングジョージ6世アンドクイーンエリザベスステークスを制した。だが競馬の枠を超えて不名誉な形で知られることにもなる。IRAに誘拐され、以後、行方は分からないままだ。

その翌日、1978年3月4日には、ボールドルーラー産駒のプロスペクトポイントが誕生した。米国で下級条件を中心に7勝を挙げたのち、記録に残る長寿サラブレッドの一頭となり、2016年に38歳203日で亡くなった。

ジュリー・クローンは1988年3月6日、アケダクト競馬場でスクウォーターに騎乗して1205勝目を挙げ、女性騎手の勝利数として当時の新記録を打ち立てた。クローンは2004年に通算3704勝で引退している。

シェーン・ダイ氏のコラム、『Idol Thoughts』は毎回必読だ。今週は、先週日曜の香港クラシックカップを独自の視点で分析。リトルパラダイスの敗戦、そしてそれまで評価されていなかったストーミーグローヴの勝利が、香港ダービー戦線を一段と混沌とさせた。

ドバイ・スーパーサタデーの夜空を、イランから発射されたミサイルとドローンが飛び交った後、中東各地の競馬関係者の多くが、航空便の運休で足止めに。紛争が続くなか、デイヴィッド・モーガン記者がドバイ、バーレーン、カタールの関係者に話を聞いた。

オーストラリア短距離界で「次の大物」と目されるテンティリス。ゴドルフィンの牡馬が今週土曜、フレミントンのニューマーケットハンデキャップへ向かう。

アダム・ペンギリー記者は、ジ・エベレストを見据え、カーインライジングのザック・パートン騎手が「最大の挑戦者になり得る存在」としてテンティリスに強い関心を寄せていることを伝える。

アケダクト競馬場で土曜に行われたリステッドのブッシャーステークス(ダート1マイル、ケンタッキーオークス・チャンピオンシップシリーズ対象競走)を制したパラダイスは、重賞戦線へ向けて前進したことを示した。

ブラッド・コックス調教師が送り出し、マニー・フランコが騎乗したこの牝馬は、好スタートから前の隊列を見ながらスムーズに追走し、コーナー入口で外へ持ち出して3頭分外を回る形に。直線では最後まで脚色を落とさず、2着ナイコンをじりじりと突き放し、3馬身4分の3差で勝ち切った。

ガンランナー産駒の3歳馬で、ファシグティプトン社のイヤリングセールで70万ドルで取引された。母は重賞級で実績のある牝馬ベネチアンハーバー(G2勝ち、G1で2着)。昨年11月にチャーチルダウンズで2着デビューを果たし、その後は2連勝としている。

コックス師は、次走候補として4月4日のG3・ガゼルステークスを挙げた。

ニュージーランドダービーデー
エラズリー(ニュージーランド)、3月7日

ニュージーランドオークスの2着馬・オータムグローリーは、NZオークスで自らを下したオーホープウィンズ(海外移籍)が不在のなか、牡馬相手にダービーへと挑む。

ただしオータムグローリーは穴埋めではない。G2・ワイカトギニー勝ちで、すでに能力を示している。もっとも牡馬勢も手強く、その中心はG2・アボンデールギニーの1着馬のザッツゴールド、そして伸び脚が光った2着馬のロードトゥパリだ。

ニューマーケットハンデキャップデー
フレミントン(オーストラリア)、3月7日

テンティリスは、オーストラリア次世代の偉大なスプリンターであることを証明し、さらに来季のジ・エベレストでカーインライジングに対抗できる存在になれるかを試される。

このゴドルフィンの牡馬は、G1・ブラックキャビアライトニングの勝利に続き、G1・ニューマーケットハンデキャップも制して連勝を狙う。相手にはエンジェルキャピタル、マイグラジオラといったスピード自慢が揃った。

カンタベリーステークスデー
ランドウィック(オーストラリア)、3月7日

ジョリースターは、フレミントンでニューマーケットハンデキャップの連覇を狙うのではなく、土曜はランドウィックへ向かう見通しだ。

1300mのカンタベリーステークスでは事前評価で最有力視され、同厩舎のバイヴァクト、レディーシェナンドーに加え、ジョン・オシェア&トム・チャールトン厩舎のラインバッカー、ヨークシャーらと顔を合わせる。

ホースチェスナットステークスデー
ターフフォンテン(南アフリカ)、3月7日

シーイットアゲインは、前走のG1・ケープタウンメットでの鮮烈な勝利を再現できるか。前走はアンドリュー・フォーチュン騎手、ジャスティン・スナイス調教師のコンビだったが、今回はフォーチュンが肩と鎖骨を骨折しているため、鞍上はリチャード・フーリエに替わる。

ホースチェスナットを管理していたアレック・レアード調教師は、ファイアアタックとアティカスフィンチを送り込む。キングズプレート勝ち馬のザリアルプリンスは、前走ケープタウンメット3着の雪辱を期す。

ゴールデンスリッパーデー
ローズヒル(オーストラリア)、3月21日

今年のオーストラリア最強2歳戦は、まだ「本物のスター」と呼べる若駒が現れていない。事前評価で最有力視されるウォーウーヴンも、決して盤石とは言い難い。

ビョルン・ベイカー厩舎のウォーウーヴンはデビュー2連勝後、前走G2・スカイラインステークスで4着に敗れた。上位人気候補には、同じくベイカー厩舎のパラドキシウムもおり、今週土曜のランドウィックで行われるトッドマンステークスへ登録している。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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