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日本のトップジョッキーであるクリストフ・ルメール騎手は、日曜日のG1・スプリンターズステークスで香港のスプリント勢を打ち破るのは容易ではないと語る。しかし、コース実績も重要であり、その点に希望を見いだしている。

ルメール騎手は中山競馬場の芝1200メートルで行われる決戦で、牝馬のナムラクレアに騎乗する。6歳になる同馬にとって、今週末は引退前最後のG1挑戦になるかもしれない。今回、ナムラクレアは国内トップスプリンターのサトノレーヴ、そして香港の元短距離王者・ラッキースワイネスを含む、15頭と対決する。

香港のカーインライジングは今回、G1・ジ・エベレストに出走するため不在だ。それでも、ラッキースワイネスやサトノレーヴ、さらにルガルやトウシンマカオといった実績馬たちが出走する。カーインライジングはこの1年間でこれらすべてを破っており、その戦績がこの馬の実力を裏付けている。

ルメール騎手はIdol Horseに対し、「香港の短距離馬はいつも本当に強いです」と語る。

「それに、日本では香港とほぼ同じ馬場コンディションで走ることができるんです。これはとても大きなポイントです。だから香港馬は日本でも好成績を残せるんです。つまり、香港馬は高く評価すべきで、ラッキースワイネスのチャンスも軽視することはできません」

「しかし、サトノレーヴは間違いなく本命でしょう。すでに高松宮記念でナムラクレアを破っていますし、ロイヤルアスコットでは僅差の2着と素晴らしいパフォーマンスを見せました。あれは素晴らしい走りでした」

ナムラクレアはこれまでスプリンターズSに3回出走しており、2022年に5着、2023年と2024年に3着と好走している。昨年は後方からの追い込み、ルガルやトウシンマカオに次ぐ3着に入った。サトノレーヴは伸びを欠き、7着と本来の力を出し切れなかった。

「ナムラクレアは堅実な牝馬で、素晴らしいキャリアを歩んできました。G1を掴むのは今回が最後のチャンスになるかもしれません」とルメールは語る。

「いつも素晴らしい瞬発力で伸びてくれますが、弱点は最初のスタートダッシュがそれほど速くないことです。そのため、ほとんどの場合、追いつくためにかなりの差を埋めなければなりません。しかし、ペースが速くなれば、非常に良い末脚を発揮できる馬です」

「ベストの距離は1300メートルくらいになってしまうと思いますが、中山競馬場のコースは非常に走りやすいはずです」

3月のG1・高松宮記念でサトノレーヴの2着に入って以来、ナムラクレアは8着に終わったG3・函館スプリントステークスを経由して、このレースに向けて準備を進めてきた。

「函館より中山の方が合っています。あのレースは忘れてください。スタートで出遅れ、さらに内ラチ沿いで前を走っていた馬が下がってきたために進路を塞がれました。直線が短く、巻き返す時間が残されていなかった。私も100%追えず、軽いレースになってしまいました」

「中山は急なコーナーがなく、函館より直線が少し長く、最後の100メートルには少し上り坂があります。ナムラクレアには完璧なコース設定だと思います」

また、ルメール騎手はスプリンターズSの伏兵であるピューロマジックでも、前回新潟で勝利を挙げている。昨年は逃げて失速した同馬が、異なる戦術でより良い走りができると信じている。

「ピューロマジックは以前、前に行き過ぎていました。しかし、ドバイでオイシン・マーフィー騎手が後方から乗って、良い末脚を発揮していました」とルメール騎手。

「(レースで乗る)騎手には、前回私が乗ったのと同じように、スタートから焦らず、じっくりと構えることをお勧めします。そうすれば最後には良い瞬発力を見せてくれるでしょう。まだ改善の余地がありますが、間違いなく注目すべき馬です」

今週日曜日のG1・オイロパ賞に出走するティファニーは、同レース3度目の制覇を目指すサー・マーク・プレスコット調教師の管理馬だ。しかし、その1週間後に行われるG1・凱旋門賞は、現時点では出走する可能性は極めて低い。

プレスコット調教師とティファニーに騎乗するルーク・モリス騎手のコンビと言えば、2021年のオイロパ賞を制したアルピニスタで有名だ。同馬は翌年、2022年の凱旋門賞を制している。ティファニーとアルピニスタ、2頭の共通点はどちらも重馬場を得意とする牝馬だ。

しかし、ティファニーは “いくつかの頓挫” により順調さを欠き、今回のオイロパ賞がクビ差2着に入った昨年11月のG1・バイエルン大賞以来のレースとなる。

モリス騎手はIdol Horseに対し、「彼女は秋の開催に向けてじっくり仕上げられてきました」と語る。「このレースに向けた追い切りは昨年と同等か、それ以上に良い内容です。少し水分を含んだ馬場は彼女の強みを引き出してくれるので、勝つチャンスは十分にあると思います」

「このコースは、直線が3ハロンほどある理想的なコースなので、言い訳のできない舞台です」

モリス騎手は、7頭立てのこのレースで最大の脅威となるのはシバヤンだと見ている。同馬はフランシスアンリ・グラファール厩舎に所属する、G2を連勝中のフランス馬である。

一方、レベルスロマンスは今週末、ニューヨークで行われるG1・ジョーハーシュターフクラシックに出走するため、3度目のオイロパ賞制覇は目指さない。鞍上はフランキー・デットーリ騎手で、同騎手がゴドルフィンのG1馬に騎乗するのは2021年9月に2日間で3勝を挙げて以来となる。

また、アメリカ西海岸では、サンタアニタ競馬場が今週から秋開催をスタートさせる。昨年のG1・BCダートマイル覇者、フルセラーノが土曜日のG1・グッドウッドステークスに出走する。

1776年9月24日、 競馬史上初のクラシックレース、セントレジャーがドンカスターで開催された。舞台は現在とは異なるキャントリーコモンのコース、距離は2マイル。ロッキンガム侯爵所有の牝馬、後にアラバキュリアと名付けられる馬が優勝した。

1894年9月27日、 ニューヨーク州クイーンズにアケダクト競馬場が開場。この名称は、かつてこの地にあったリッジウッド水道橋(水道橋=アケダクト)に由来している。

1996年9月28日、 フランキー・デットーリ騎手がアスコット競馬場で1日に7連勝し、いわゆる『マグニフィセント・セブン』を達成。ブックメーカーに推定4000万ポンドの損害を与えると同時に、英国での確固たる名声を築いた。7連勝の中には、マークオブエスティームでのG1・クイーンエリザベス2世ステークス制覇も含まれていた。

Frankie Dettori and Fujiyama Crest
FRANKIE DETTORI, FUJIYAMA CREST / ‘The Magnificent Seven’ // Ascot /// 1996 //// Photo by Trevor Jones

受賞歴のあるIdol Horseのジャーナリスト、アダム・ペンギリーが、競馬界で最も影響力のある人物の一人、香港ジョッキークラブのCEOで国際競馬統括機関連盟会長も務めるウインフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲス氏と対談。

今週、サンタアニタが次の開催をスタートさせるにあたり、2024年7月に取材が実現したカリフォルニアのトップジョッキー、フアン・ヘルナンデス騎手に関する記事をおすすめしたい。メキシコ出身の同騎手は、この秋サンタアニタでの8回目の騎手リーディング獲得を目指すべく、勢いに乗っている。

阪神競馬場で行われた野路菊ステークス(リステッド・1600m)は、キャロットクラブのアランカールが快勝。7月の福島新馬戦に続く連勝で、来春のG1・桜花賞、G1・優駿牝馬に向けてクラシック候補に名乗りを上げた。

父はG1・ジャパンカップを制し、種牡馬としても成功を収めるエピファネイア。母はオークス勝ち馬で桜花賞2着のシンハライト、祖母はG1・デルマーオークス勝ち馬シンハリーズという超良血牝馬だ。

Alankar wins at Hanshin
ALANKAR, YUICHI KITAMURA / Listed Nojigiku Stakes // Hanshin /// 2025 //// Photo by @dk_horse1412

🇯🇵 スプリンターズステークス
9月28日
G1・スプリンターズステークス(89位タイ)

サトノレーヴは日本最強スプリンターの座を盤石にすべく、ジョアン・モレイラ騎手とのコンビで同レース初制覇を狙う。

モレイラ騎手は2週間の短期免許で来日し、3連休で6勝(G3・チャレンジC含む)と絶好調。サトノレーヴは6月のロイヤルアスコットと4月の香港でともに2着だったが、今年の高松宮記念でG1初制覇。2018年ファインニードル以来となる、同一年のJRA短距離G1二冠へと挑む。

香港のラッキースワイネス、さらにG2・セントウルSでの上位組、カンチェンジュンガ、ママコチャ、トウシンマカオなどがライバルとして立ちはだかる。

🇩🇪 オイロパ賞
9月28日
G1・オイロパ賞(75位タイ)

2連覇中のレベルスロマンスが、同週末にアメリカで行われるG1・ジョーハーシュターフクラシックへ向かったため、このレースはやや華やかさを欠くこととなった。

それでも依然として注目の一戦であり、サー・マーク・プレスコット厩舎が送り出すティファニーはG1初制覇を狙う絶好のチャンスとなるだろう。10か月以上ぶりの実戦復帰となるティファニーの前に立ちはだかるのは、好調なフランス調教馬、G2勝ち馬のシバヤンだ。

🇫🇷 凱旋門賞デー
10月5日
G1・凱旋門賞(5位タイ)、G1・フォレ賞(98位タイ)

今年の凱旋門賞は混戦模様で、依然として全体像が見えてこない。特に、長らく前哨戦前の本命とされてきたカルパナが、前走ケンプトンのG3で敗れたことがその混迷を深めている。また、エイダン・オブライエン厩舎の陣容がどうなるかも焦点だ。3歳牝馬路線のトップを走るミニーホークを送り込むのか、注目が集まる。

一方、日本からの挑戦馬は顔ぶれが固まった。クロワデュノールはG3・プランスドランジュ賞、ビザンチンドリームはG2・フォワ賞、アロヒアリイはG2・ギヨームドルナノ賞を制して、それぞれ欧州での勝利を経て本番に臨む。フランス調教馬のアヴァンチュールは、今年はヨーロッパ勢の大きな希望となる可能性がある。

なお、この日は凱旋門賞だけでなく、7ハロンで行われるフォレ賞を含む、G1競走が合計6レースも組まれている。

🇦🇺 マイトアンドパワーステークスデー
10月11日
G1・マイトアンドパワーS

伝統のG1・コーフィールドギニーは依然として “3歳最強格付け” の一戦だ。今週末のG1・ゴールデンローズステークスでは、コーフィールドギニーの有力候補であるオータムボーイとネポティズムが激突する。また、ムーニーバレーのG2・スタットステークスでは、ユーロンのヴィンロックが注目を集めている。この馬もギニー戦線を揺るがす存在となりそうだ。

この日は他に、G1・マイトアンドパワーステークス、トゥーラックハンデキャップも行われる。

🇬🇧 デューハーストステークスデー
10月11日
G1・デューハーストS

今週末のG1・ミドルパークステークスは、2週間後のデューハーストSに向けた勢力図を占う重要な一戦となる。英2歳トップのザヴァテリ(愛G1・ナショナルS制覇)が対峙するのは、G2・コヴェントリーステークス覇者のグスタードや、G2・シャンペンステークスを制したプエルトリコだ。2頭はどちらもエイダン・オブライエン厩舎の所属馬である。

開催当日はG3が3鞍、1839年創設の名物レース・チェザレウィッチハンデキャップ(ロシア皇太子ハンデキャップ)も行われる。

🇦🇺 ジ・エベレストデー
10月18日
ジ・エベレスト(29位タイ)、キングチャールズ3世ステークス(59位タイ)

世界最高賞金を誇る芝レース、総賞金2,000万豪ドルのジ・エベレストには、世界最強スプリンターの座を証明しようとする最高峰レーティング馬が集結する。

カーインライジングはすでに渡豪しており、シャティン競馬場以外での初レースとなる一戦に向け、カンタベリー競馬場で調整を進めている。今週末のG1・マニカトステークスには、ジ・エベレストへの出走が確定している2頭、レディシェナンドーとスカイバードが登場。最大のライバルと目される2頭の走りは必見だ。

また、バラキエルやアラバマラスといった馬たちが、ジ・エベレストの出走枠を獲得すべく、金曜夜に出走する。

🇦🇺 コーフィールドカップデー
10月18日
G1・コーフィールドカップ

世界最高賞金の2400mハンデ戦、コーフィールドカップ。ハーフユアーズはG3・ナチュラリズムステークスを圧勝して出走権を確定させ、ジェイミー・メルハム騎手とのコンビで本命視されている。G1・アンダーウッドステークスの2着馬、昨年のコーフィールドカップで2着のバッカルーも雪辱を期す。

🇬🇧 ブリティッシュ・チャンピオンズデー
10月18日
チャンピオンステークス(16位タイ)、クイーンエリザベス2世ステークス(29位タイ)

この日のアスコット競馬場では、英チャンピオンSを筆頭に5つのG1レースが行われる。

英チャンピオンSでは、愛チャンピオンステークスとエクリプスステークスを制したドラクロワと、そのドラクロワを英インターナショナルステークスで破ったオンブズマンによる、注目の再戦が期待されている。

また、マイル戦のクイーンエリザベス2世Sでは、前走のG1・サセックスステークスでの敗北を喫したフィールドオブゴールドがリベンジの一戦に挑む。

🇧🇷 ラテンアメリカ大賞デー
10月18日
G1・ラテンアメリカ大賞

南米最高峰レース、 G1・ラテンアメリカ大賞が2016年以来となる、ブラジル・ガベア競馬場での開催を迎える。出走する16頭は確定済みで、アルゼンチン馬2頭、チリ馬3頭、ペルー馬6頭、ウルグアイ馬1頭、ブラジル馬4頭の布陣。ジョアン・モレイラ騎手はサンパウロの英雄・オバタイェとのコンビ継続で臨む見込みだ。

Racing Roundtable, Idol Horse

ワールド・レーシング・ウィークリー、世界の競馬情報を凝縮してお届けする週刊コラム。IHFAの「世界のG1レース・トップ100」を基に、Idol Horseの海外競馬エキスパートたちが世界のビッグレースの動向をお伝えします。

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