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【キーンランド・セプテンバーセール2025】あの日本馬の近親も!注目の良血上場馬を紹介

今年、キーンランド・セプテンバーイヤリングセールには4,600頭を超える上場馬が集まった。そこで、Idol Horseは世界的な注目を集めそうな良血馬をピックアップ。厳選した11頭を紹介する。

【キーンランド・セプテンバーセール2025】あの日本馬の近親も!注目の良血上場馬を紹介

今年、キーンランド・セプテンバーイヤリングセールには4,600頭を超える上場馬が集まった。そこで、Idol Horseは世界的な注目を集めそうな良血馬をピックアップ。厳選した11頭を紹介する。

上場番号 8番
Quality Road x Lady Aurelia 牡馬
Consigned by Indian Creek, Agent for Stonestreet Bred for Brilliance

レディオーレリアの3番仔。母は2歳時にヨーロッパへと遠征し、仏G1・モルニ賞と英G2・クイーンメアリーSを制覇。3歳半ばで再びロイヤルアスコットに遠征し、G1・キングズスタンドSを制した。

母の初仔、カーリン産駒の牡馬・アメリカンラスカルはニューメキシコ州のジアパーク競馬場でステークス勝ちを収め、2023年にはロイヤルアスコットに遠征。2番仔で牝馬、イントゥミスチーフ産駒のオーレリアズミスチーフは、4月にフロリダ州のタンパベイダウンズ競馬場で入着がある。

3番仔となる本馬の父は、レーンズエンドファーム繋養のクオリティロード。代表産駒にエイベルタスマン、ナショナルトレジャーがいる。

LADY AURELIA / G2 Queen Mary Stakes // Ascot /// 2016 //// Photo by Ascot

上場番号 33番
Constitution x Malibu Stacy 牡馬
Consigned by Paramount Sales, Agent LVII

日本のバイヤーが注目すること間違いなしの1歳馬がこの牡馬だ。

母のマリブステイシーはG2で入着歴があり、1歳下の全妹・コーステッドは日本で繁殖として成功。その産駒にはG1でも実績豊富なダノンベルーガや、その妹のボンドガールがいる。

母の既出走産駒は2頭。ナイキスト産駒の牝馬、ルアンはサウジアラビアで入着実績。シティオブライト産駒の牝馬、ブライトステイツジョーはフロリダ、ケンタッキー、インディアナと全米各地で出走歴がある。

父のコンスティチューションは近年評価を高めている種牡馬で、現在はシャトル先のチリでもリーディングサイアーに君臨している。ベルモントSを制したティズザロー、今年の古馬路線をリードするマインドフレームなど、アメリカ国内でもG1馬を複数輩出している。

DANON BELUGA / G1 Japan Cup // Tokyo /// 2024 //// Photo by @Enable2017 (X)

上場番号 109番
Into Mischief x Secret Sigh 牡馬
Consigned by Lane’s End, Agent for Summer Wind Equine LLC

この1歳牡馬も、日本のバイヤーの注目を集めることは間違いない。

本馬は父が全米リーディング6回のイントゥミスチーフ、母のシークレットサイ(タピット産駒・未出走馬)はモズアスコットの半妹という良血馬。なお、モズアスコットは10年前のキーンランド・セプテンバーセールで主取りになった後、プライベート取引で購買されている。

母の直近産駒2頭は、ストップザプレス(父アンクルモー)が150万米ドル、パラディン(父ガンランナー)が190万米ドルの高値でそれぞれ落札。今年2歳を迎えたパラディンはチャド・ブラウン厩舎に入厩しており、本馬のセール前にニューヨークでデビューする可能性がある。

INTO MISCHIEF x SECRET SIGH COLT / Summer Wind Farm // 2024 /// Photo by Michele MacDonald/Summer Wind Farm

上場番号 265番
Flightline x Bubbler 牡馬
Consigned by Hill ‘n’ Dale at Xalapa, Agent

「世界チャンピオンの初年度産駒」であり「2年連続世界チャンピオンの半弟」でもある。これ以上ないほどの良血と言える1頭だ。

栗毛の本馬はフライトラインの初年度産駒の一頭。フライトラインは6戦無敗で引退し、現役時代の最高レーティングは140を記録。この数字はフランケルと並んで、歴代の世界最高評価タイでもある。

母のバブラーはディストーテッドヒューマー産駒、2016年・2017年の世界最強馬であるアロゲートを産んだ名繁殖牝馬として知られている。

なお、今年の本セールにはフライトラインの1歳馬が64頭上場。昨年、同産駒の平均落札額は46.5万米ドルに達し、2025年ここまでの平均落札価格も88.75万米ドルを記録。言うまでもなく、新種牡馬の首位に立っている。

ARROGATE, MIKE SMITH / G1 Breeders’ Cup Classic // Santa Anita /// 2016 //// Photo by Breeders’ Cup

上場番号 303番
Uncle Mo x Day Of Victory 牝馬
Consigned by Hill ‘n’ Dale at Xalapa, Agent

クールモア・アメリカを支えてきた名種牡馬、アンクルモーが亡くなって以来、初の開催を迎えた2025年のキーンランド・セプテンバーセール。同馬の1歳産駒には一段と高い関心が集まっている。

本馬は、2018年のG1・マディソンSを制したフィンレイズラッキーチャームの半妹。フィンレイズラッキーチャームは引退後に日本へ渡り、今年のG2・中山記念(1800m)をレコードで制したシックスペンスを輩出している。

余談だが、中山記念で3着に退けたソウルラッシュは次のレースにて、G1・ドバイターフでロマンチックウォリアーを破っている。シックスペンスは直近2戦のG1挑戦はやや凡走に終わるも、依然として注目を集める有望株の一頭だ。本馬にも日本からの関心が集まることだろう。

上場番号 334番
Flightline x Flawless 牡馬
Consigned by Bridie Harrison, Agent for Peter E. Blum Thoroughbreds

すでにノンストップ(Nonstop)という馬名が与えられている本馬は、フライトラインの初年度産駒の一頭である。

半兄はオーセンティック、コロナ禍で史上初の9月開催となったケンタッキーダービーとBCクラシックを制して2020年の全米年度代表馬に選出された。

また、日本からの関心も見込まれる一頭だ。というのも、オーセンティックの全弟にあたるブシンは2022年のキーンランド・セプテンバーセールにて、森秀行調教師が80万米ドルで落札している。

ブシンの馬主は「ウマ娘」の運営企業を創業し、フォーエバーヤングのオーナーとしても知られる藤田晋氏。日本ではダートのスプリント・マイルを中心に使い、現在新潟と中山で2連勝中だ。

なお、ブシンは本馬が上場される予定日と同じ週に出走を予定している。

上場番号 345番
Medaglia d’Oro x Golden Sister 牡馬
Consigned by Eaton Sales, Agent

後にアイルランドのG2やリステッドを制するガウデアムスが本セールに上場されてから20年、その孫にあたる本馬は世界各国のバイヤーから熱い視線を集めることだろう。

父はメダグリアドーロ、母のゴールデンシスターは香港の名馬・ゴールデンシックスティの半妹にあたる。

ゴールデンシックスティ自身がメダグリアドーロ産駒であることを踏まえると、本馬の血統は3/4同血ということになる。米国生産馬は香港では決して多数派ではないが、ブリッシュラック、グッドババ、カリフォルニアメモリーといった名馬はいずれもケンタッキー産馬だ。今年のキーンランド・セプテンバーセールにおいて、本馬の行き先は早くも大きな話題の一つとなるだろう。

上場番号 408番
Tapit x Maiden America 牝馬
Consigned by Darby Dan Farm, Agent XI

今年亡くなった日本の名馬、グラスワンダー。偉大な名馬の血統を通じて、この芦毛の牝馬にもスポットライトが当たりつつある。

グラスワンダーは1996年にキーンランド・セプテンバーセールを経て、90年代の世界へと羽ばたく日本競馬を創り上げた一頭となった。母のメイデンアメリカは未出走馬、グラスワンダーの半妹にあたる血統だが、年齢は15歳も年下である。

本馬の父は全米リーディングサイアー3回のタピット。日本ではG1馬のテスタマッタ、G2ウィナーのラビットランを輩出するなど、世界各地で安定して一流馬を送り出してきた。また、この牝馬は重賞馬のホープフルグロースと3/4同血であり、さらに同じく重賞馬のテンシティの半妹でもある。

上場番号 656番
Quality Road x Christies Treasure 牝馬
Consigned by Lane’s End, Agent

9年前、ステークス入着歴のあるクリスティーズトレジャーの娘が、12.5万米ドルでキャピタルシステムに落札された。後にモズスーパーフレアと名付けられたキーンランド・セプテンバーセール出身の同馬は、日本のスプリント路線で突如頭角を現し、やがてトップまで上り詰めた。

現役時代のモズスーパーフレアはコロナ禍の2020年、高松宮記念でグランアレグリアの猛追を抑えきってG1初制覇。初仔のモズエムブイピーは2歳を迎え、矢作芳人厩舎に所属して調教を進められている。

クオリティロード産駒でモズスーパーフレアの半妹にあたる本馬は、再び日本からの関心が寄せられるかもしれない。この血統は国際的な活躍馬も数多く、G1・サウスオーストラリアンダービーの勝ち馬であるカフィーラや、香港で3勝を挙げたスパーブボーイも含まれる。

上場番号 731番
Gun Runner x Ginja colt
Consigned by Hill ‘n’ Dale at Xalapa, Agent

北米トップサイアーの一角にすっかり定着したガンランナーの産駒は、今年のキーンランド・セプテンバーセールでも間違いなく争奪戦が繰り広げられるだろう。

本馬はステークス入着歴のあるジンジャの2番仔で、母はG1・2着が複数回あるトップデサイルの半妹にあたる。トップデサイルは日本ダービーとドバイシーマクラシックを制したダノンデサイルの母として、世界的な注目を集めている繁殖牝馬でもある。

なお、ジンジャの初仔であるジャスティファイ産駒の牝馬は現在、フランスで調教中だ。

Danon Decile wins Sheema Classic
DANON DECILE / G1 Dubai Sheema Classic // Meydan /// 2025 //// Photo by Shuhei Okada

上場番号 762番
Ghostzapper x Inchargeofme 牝馬
Consigned by Nursery Place, Agent

英クラシック勝ち馬・ルーリングコートの半妹は、ダートで輝くのか、それとも芝でこそ真価を発揮するのか。

ルーリングコートが今年の英2000ギニー馬となったことを考えれば、芝が “本命” と考えるのが自然だろう。だが、現役時代は米年度代表馬に輝き、多くのダート巧者を送り出したゴーストザッパーの娘である本馬は、ダート適性を秘めている可能性も大いにある。

ゴーストザッパーの代表産駒には、ダート女王のグッドナイトオリーブ、ドバイワールドカップ馬のミスティックガイド、サンタアニタHを制したシャマンズゴーストなど、ダート色の強い名馬が多い。その一方、芝でも結果を残している。カナダ年度代表馬のモイラは昨年、米最優秀芝牝馬に選出され、現在はオーストラリアで現役を続けている。

世界中のバイヤーからの本馬への期待は、 “次のルーリングコート” に留まらない。英G1馬で欧州年度代表馬のロアリングライオンや、2020年の英2000ギニー馬であるカメコといった、キーンランド出身の欧州名馬の後継を求めて、熾烈な入札合戦が展開されることになりそうだ。

Ruling Court and William Buick win the G1 2000 Guineas
RULING COURT, WILLIAM BUICK (white cap) / G1 2,000 Guineas // Newmarket /// 2025 //// Photo by Alan Crowhurst

2025年のキーンランド・セプテンバーセールは来週月曜日、9月8日からスタートする。

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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