香港で新記録を樹立したリーディングジョッキー、ザック・パートン騎手が2月15日にフレミントン競馬場で行われるG1・ブラックキャビアライトニングステークスでイスムスに騎乗する。もしこの牝馬が好走すれば、パートンは13年ぶりにロイヤルアスコットの舞台へ戻る可能性がある。
香港でダグラス・ホワイトの最多勝記録を更新したパートンは、その4日後にシャティン競馬場で4勝を挙げるなど勢いに乗っている。今週末には、香港クラシックマイルでパッキングハーモッドを含む香港ダービーの有力候補馬に騎乗する予定だ。
しかし、イスムスとのコンビは彼にとって特別な機会となるかもしれない。2023年4月のG1・ドンカスターマイルでミスターブライトサイドを勝利に導いて以来となるオーストラリアの大舞台で勝利を挙げるチャンスはもちろんのこと、2012年のG1・キングズスタンドステークス勝利(リトルブリッジ)以来となるロイヤルアスコットへの遠征が視野に入る。
「イスムスは成長中の牝馬で、厩舎も高く評価している。彼女に乗るのを楽しみにしているよ」とパートンはIdol Horseに語った。
「もしライトニングSで良い結果を出せれば、ニューマーケットハンデキャップで再び乗ることになるだろうし、さらに先にはロイヤルアスコットで騎乗する可能性もある」
アンソニー&サム・フリードマン厩舎の4歳牝馬イスムスは、ここまで11戦5勝。今シーズンは4戦3勝と好調で、昨年11月2日にフレミントン競馬場で行われたG3・ファーフィースプリント(1100m)では、先行策から2馬身半差で快勝している。
ロイヤルアスコット復帰に意欲を見せるパートンだが、冗談交じりに「ロイヤルアスコットでは無敗だと言えるのが気に入ってるんだ。それって気分がいいからね」と彼は笑い、「まずは彼女がトップクラスの馬たちを相手に戦えるのか様子見です。ここから先はまだ長いし、どうなるか様子を見ていくよ」と話す。

一方、パートンは、金曜日の旧正月開催で香港ダービー候補たちの力を見極める。香港クラシックマイル(1600m)のパッキングハーモッド、クラス3・1400m戦のパッキングエンジェル、そしてG3・センテナリーヴァーズ(1800m)のスタニングピーチと、今後のダービー路線を占う3頭が出走する。
パートンは『パッキング』の2頭に騎乗するが、今回は騎乗しないスタニングピーチの動向からも目を離さない。ジョセフ・オブライエン厩舎時代はG1で入着歴のある移籍馬、スタニングピーチには過去6戦すべてで騎乗しているが、今回のパートンはジョン・サイズ厩舎のエンスードに騎乗するため、スタニングピーチにはマシュー・チャドウィック騎手が騎乗する。
「スタニングピーチがここに出走することが決まる前に、すでにエンスードへの騎乗が決まっていたんです。でも、彼(スタニングピーチ)は軽斤量だからね」とパートンは語る。スタニングピーチの斤量は今回115ポンド(約52.2kg)で、パートンの通常の最低斤量を下回る。
「前走は悪くなかったけど、もう少しレースを使った方が良さそうだった。トニー(クルーズ調教師)と話して、クラシックカップ(1800m)の前にもう1戦使うのは良いアイデアだと思った。だからG3に出走することになったんだ」
「金曜に出走する3頭の中では、ダービーの2000mに最も適性があるのはスタニングピーチだと思う。ただ、順調な調整ができなかったのが痛い。ちょっとしたアクシデントが続いていて、ベストの状態に持っていくのが課題だね。今は少し巻き返しの段階にある」
スタニングピーチは、レース翌日の12月5日に右前脚に跛行の症状が出たものの、12月27日にレース出走可能と診断され、1月19日の2000mクラス2戦では3着に入線している。

香港4歳三冠シリーズの初戦となる香港クラシックマイル(1600m)で、パートンはフランシス・ルイ厩舎のパッキングハーモッドに騎乗する。同シリーズは、次戦のクラシックカップ(1800m)を経て、3月23日の香港ダービー(2000m)で頂点を迎える。
パッキングハーモッドは6戦4勝の戦績を誇り、パートンが手綱を取ったレースでは3戦3勝と無敗を維持している。
「まだ少し細身の馬だから、もう少し成長の余地はあると思う。ただ、マイル以上の距離に対応できるかどうかは分からないね」とパートンは語る。
一方で、同じルイ厩舎のパッキングエンジェルについては、これまで1400m以上の距離を経験していないものの、2000mへの適性に不安はないと考えているようだ。
「パッキングエンジェルは距離をこなせると思うよ」とパートン。「朝の調教では少し扱いにくいところがあってちょっと神経質な面を見せることもある。それが今まで距離延長しなかった理由だけど、レースではしっかり落ち着いて走れているし距離が伸びても問題ないと感じている」
「今は1400m以上の距離で乗れるレースがなかったからこのレースに出るけど、この後はクラシックカップに直行する可能性があるね。レーティング次第ではあるけど、あるいはマイル戦をもう一度使ってクラシックカップやダービーに向かうプランもある。とにかく候補の一頭であることは間違いないよ」
現在、パッキングハーモッドはレーティング93で4歳三冠シリーズ組の中ではトップ評価となっているが、まだ今年のダービー候補の中に決定的な存在は現れていない。そのため、今回のクラシックマイルは、4歳勢の勢力図を占う重要な一戦となる。
「みんな金曜日に走るから、しっかりチェックできるのは嬉しいね。今年の4歳戦線は非常に混戦模様ですよ」