BMW香港ダービーは香港競馬を形作る重要なレースだ。4歳馬限定でシャティン競馬場の2000mで実施されるこのレースは、香港で最も権威のある競走であり、オーナーたちは一年を通じてふさわしい馬を探し求めている。
伝統的なダービーへの道筋は、香港の4歳クラシックシリーズから始まる。1月31日の香港クラシックマイル(1600m)に始まり、3月2日の香港クラシックカップ(1800m)を経て、3月23日のダービーで締めくくられる。
4歳シリーズを経由せずにダービーの出走資格を得て勝利することも可能だが、14頭に限定される出走枠をめぐる競争は厳しい。
レースが近づくにつれ、有力馬たちは好調を示し、出走に必要なレーティングポイントを獲得する必要がある。
ダービーまで2ヶ月となった今、10名の香港競馬専門家パネルにそれぞれダービー有力馬を1位から14位までランク付けしてもらった。これらのリストを基に上位14頭を順位付けして作成している。専門家たちは3月23日までの重要な時期にリストを更新し続ける予定だ。
1. スタニングピーチ (IRE)
調教師 | トニー・クルーズ |
現在のレーティング | 87 |
改名前 | Islandsinthestream |
前の調教師 | ジョセフ・オブライエン |
香港移籍前、ジョセフ・オブライエン調教師の下でG1・2着を2回記録したアイルランドからの輸入馬。12月初旬のハッピーバレーで1番人気ながら大敗を喫したものの、先週日曜のシャティンでダービーと同距離の2000mで3着と復調の兆しを見せた。クラシックマイルは回避し、現時点ではパートン騎手の騎乗馬と見られている。
So good, Noisy Boy! 👏
— HKJC Racing (@HKJC_Racing) January 19, 2025
Dennis Yip's 4YO bags back-to-back wins and a first in Class 2 with @Atzenijockey… #4YOSeries | #TripleCrown | #HKracing pic.twitter.com/S7YUZ2fS7Q
2. カップフェラ (AUS)
調教師 | フランシス・ルイ |
現在のレーティング | 83 |
前の調教師 | クリス・ウォーラー |
通算14戦未勝利、何故この馬がリストで2位なのか?それは、今年の世代が混戦模様で際立った存在がいないことを示しているのかもしれない。
また、勝利こそないものの、この馬の好走歴が評価されている。オーストラリアでは質の高いレースに出走し、チェオルウルフ、トムキトゥン、リフロケットと互角に戦った。香港初戦でミックリーに次ぐ2着と好発進。その後レースに出走していない間に、他馬が不甲斐ない競馬で評価を下げたことで、むしろランキングを上げた可能性がある。

3. ノイジーボーイ (AUS)
調教師 | デニス・イップ |
現在のレーティング | 84 |
前の調教師 | トッド・ハウレット |
こちらもオーストラリアからの輸入馬で、一見すると13戦で3歳未勝利戦の1勝のみという地味な戦績だが、香港での順応は早く、2000mでは力強い走りを見せている。イップ調教師は昨年のダービーをマッシヴソヴリンで制しており、今年はリアルスティール産駒のノイジーボーイで連覇を目指していることだろう。

4. パッキングハーモッド (AUS)
調教師 | フランシス・ルイ |
現在のレーティング | 93 |
輸入タイプ | PPG(未出走の輸入馬) |
未出走馬から6戦4勝を重ね、ダービー登録馬中最高位のレーティングを得るまでに上り詰めた。ルイ調教師の管理馬における懸念材料は、距離適性と、スピード種牡馬ルービックを父に持つ血統面だ。
1600mのクラシックマイルでより多くの情報が得られるだろう。パートン騎手はクラシックマイルではこの馬を選択したものの、距離適性への疑問も持ち合わせており、ダービーに向けては選択肢を残している。

5. パッキングエンジェル (NZ)
調教師 | フランシス・ルイ |
現在のレーティング | 72 |
輸入タイプ | PPG(未出走の輸入馬) |
昨年のリーディングトレーナーのルイ調教師は、ランキング上位5頭中3頭を管理している。パッキングエンジェルはパートン騎手の下、1400mで連勝し、レーティングを20ポイント上げた。まだ底を見せていない。
Soft win, Packing Angel! Francis Lui's 4YO goes back-to-back at Sha Tin with a smart first Class 3 success under @zpurton… 💥 #LoveRacing | #HKracing pic.twitter.com/qJE6GzO0N1
— HKJC Racing (@HKJC_Racing) January 5, 2025
6. ミックリー (IRE)
調教師 | ジョン・サイズ |
現在のレーティング | 83 |
前の調教師 | エドワード・ベッセル |
シウファミリーが所有し、イギリスでブリタニアハンデキャップを制した馬。一族を象徴する黒と赤の勝負服から、初のダービー馬輩出を目指している。12月中旬の印象的な勝利以降走っていなければ、このリストのトップに位置していたかもしれない。その後短期間で3戦し、時には非常に不運な結果に見舞われている。

7. ルビーロット (AUS)
調教師 | デヴィッド・ヘイズ |
現在のレーティング | 93 |
輸入タイプ | PPG(未出走の輸入馬) |
ヘイズ調教師がスプリンターのカーインライジングでクラシックマイルと4歳シリーズを回避する決断を下した際、もう一頭の有力馬が台頭してきていることを知っていた。
ルビーロットはクラシックマイルの有力候補の一頭となるが、同じくルービックを父に持つため、血統面での懸念は同様に存在する。調子は良く、香港の競馬に適したレーススタイルを持ち、そのレーティングを獲得するだけの実力を示している。しかしヘイズ調教師は、ダービーのコーナー2つの2000mのコースが、この馬の敗因となる可能性を認めている。
8. ヨハネスブラームス (IRE)
調教師 | ピエール・ン |
レーティング | 84 |
前の調教師 | エイダン・オブライエン |
すでに『新鋭』の枠を超えた手腕を見せるン調教師だが、大型の良血馬をG1級へと育て上げることができれば、その評価にさらに厚みが加わることになるだろう。
ヨハネスブラームスは、ケンブリッジ、ネイヴァルフォースと並ぶクールモアからの購入された3頭のうちの一頭だが、その中でも最も早く環境に順応している。将来的にはマイルが主戦場となりそうだが、ン調教師は2000メートルにも対応できるように落ち着いて走れるようになることを期待している。

9. マークウィン (AUS)
調教師 | コディー・モー |
レーティング | 76 |
輸入タイプ | 香港インターナショナルセール取引馬 |
堅実な走りが持ち味で、2年目ながら優れた手腕を見せるモー調教師によって順調にクラスを上げてきた。2022年のダービー馬であるロマンチックウォリアーと同様、香港インターナショナルセールで購入された。前走のマイル戦で僅差の競馬を見せており、クラシックマイルでそのクラスに見合う実力を証明するチャンスを得た。
Monster run, Dragon Joy! 😳
— HKJC Racing (@HKJC_Racing) January 12, 2025
Matthew Poon sweeps home on Ricky Yiu's charge to overhaul Markwin in the Class 3 – restricted to four-year-olds – at Sha Tin this afternoon… #LoveRacing | #HKracing pic.twitter.com/UjSxM7npQq
10. シルヴァリーブリーズ (AUS)
調教師 | デヴィッド・ユースタス |
レーティング | 71 |
改名前 | Binotto |
前の調教師 | アンソニー & サム・フリードマン |
初年度の調教師がダービー出走馬を持つだけでも珍しいが、有力馬であればなおさらだ。もしユースタス調教師がシルバリーブリーズを本番に導けるなら、そのキャリアに大きな弾みがつくことになるだろう。現状は順調な上昇曲線を描いているが、伸びしろに疑問が残る点と、前走の4歳限定クラス3で5着という結果をどう評価するかが鍵となる。

11. バンドルアワード (AUS)
調教師 | ジョン・サイズ |
レーティング | 75 |
改名前 | Prince Prawn |
前の調教師 | アラン & ジェイソン・ ウィリアムズ |
1月中旬にクラス3・1400メートル戦をレーティング68で勝ち上がった。それがダービー制覇への伝統的なステップとは言えないが、ジョン・サイズの手腕を疑うことができるだろうか?
彼の最後のダービー勝ち馬ピンハイスターも、2018年1月7日に1400メートル戦(レーティング77)を勝ち、さらに同距離で2勝を重ねた後に本番へ臨んだ。バンドルアワードが同じ道を辿るにはさらなる上積みが求められるが、そもそも今年のダービーが2018年ほどの層の厚さを誇るかどうかも未知数。波乱の可能性がある年なら、意外な伏兵の台頭も十分に考えられる。

12. ドラゴンジョイ (NZ)
調教師 | リッキー・イウ |
レーティング | 70 |
輸入タイプ | PPG(未出走の輸入馬) |
4歳限定のクラス3を最後方から差し切る強烈な勝ち方で、一気にダービー戦線に名乗りを上げた。軽斤量の恩恵はあったものの、父サクソンウォリアー譲りの成長力を見せている点は好材料。戦術的な柔軟性もあり、流れに応じた立ち回りができるのも強みとなりそうだ。

13. ファストネットワーク (NZ)
調教師 | デニス・イップ |
現在のレーティング | 84 |
輸入タイプ | PPG(未出走の輸入馬) |
12月15日の1000メートル戦で1.3倍の圧倒的1番人気に支持されながら敗れた時点で、クラシックマイルやダービーを意識した者はほとんどいなかった──おそらく、デニス・イップ調教師を除いては。
だが、ブリンカーを外した次走の4歳限定マイル戦では高斤量を背負いながら3着と健闘。マイル戦線では興味深い存在だが、2000メートルへの適性には大きな疑問符がつく。

14. ロマンチックソー (IRE)
調教師 | ダニー・シャム |
現在のレーティング | 82 |
改名前 | Capulet |
前の調教師 | エイダン・オブライエン |
先週日曜の凡走が響き、評価は下がった。次走前にトライアルを課される見込み。シャム調教師はロマンチックソーのローテーションを立て直す必要があるが、ここまでの大敗から短期間で巻き返してダービーに間に合わせるのは容易ではない。

専門家パネル: デイヴィッド・モーガン(Idol Horse)、アンドリュー・ホーキンス(Idol Horse)、マイケル・コックス(Idol Horse)、スティーヴン・ホー(Idol Horse)、ゾヘル・アブドゥルカリム(タイム誌アジア版元編集者・香港競馬専門家)、ピート・トゥーミー(ブラッドストックエージェント)、グラント・コートニー(競馬写真家)、マイク・ドゥルーズ(香港競馬アナリスト)、ルーク・ミドルブルック(香港競馬アナリスト)