デイヴィッド・モーガン
ヨーロッパ屈指の快速馬たちが名勝負を繰り広げてきたG2・キングジョージステークス(芝1000m)。今年の出走馬にはロックソングやバターシュのような絶対王者は不在だが、豪州からの挑戦馬アスフォーラがが実力を証明するため臨む。
アスフォーラは昨年、ロイヤルアスコットのG1・キングチャールズ3世ステークスを制したが、このキングジョージSでは惜しくもハナ差の2着に敗れた。今年のキングチャールズ3世Sでは5着に敗れたものの、ヘンリー・ドワイヤー調教師は雪辱を果たすべく、再びグッドウッド特有の起伏のあるスプリント戦に送り出す。
2012年には同じく豪州牝馬オルテンシアが優勝しており、過去33年間で牝馬が13勝を挙げている舞台だ。
今年は混戦模様で、アスフォーラの前に立ちはだかる筆頭格は、昨年このレースを制したビッグイーヴスと同じ陣営が送り出す快速3歳馬ビッグモジョだ。前走G1・ジュライカップでは1ハロン長い距離で僅差の2着と好走。昨年はこの舞台でG3・モールコームステークスを制している。3歳馬は1993年以降で8勝を挙げているが、それ以前の32年間では18勝を記録していた。
ビッグイーヴスが昨年このレースに挑んだ際のレーティングは113。今回のビッグモジョは、ジュライカップ好走後に108から115へと上昇しており、勢いに乗る。アスフォーラは昨年より1ポンド低い114となったが、今回は5ポンドのG1勝ちペナルティを背負う必要がないのは好材料だ。
他にも、ロイヤルアスコットで大波乱を演出したG1馬タイムフォーサンダルズが出走。水曜のG1・サセックスSではリチャード・キングスコート騎手が150倍の伏兵キラートで勝利を挙げており、勢いに乗っている。ただし、タイムフォーサンダルズはG1勝ちのペナルティを課される。
イチオシ推奨馬:R4・10番ビッグモジョ
アンドリュー・ホーキンス
今年1月、ケンプトンのオールウェザーでデビュー勝ちを飾った時点で、オペラバロはすぐにIdol Horseの注目馬リストに加わった。圧巻の勝ちっぷりから、即座に『Future Idol(未来のスター)』と称された逸材だ。
これまで5戦して4勝を挙げ、直近2戦はいずれも芝1600mのリステッド競走を危なげなく完勝している。
唯一の敗戦は、G3・クレイヴンステークスでフィールドオブゴールドの6着に敗れた時だが、前半で力み過ぎたのが響いた形だ。しかも、そのフィールドオブゴールド自身も今週水曜のG1・サセックスステークスでまさかの敗戦を喫しており、名馬でも不発の日はあることを示した。
このG3・ボナムズサラブレッドステークスは、過去にも将来性豊かな馬が成長の足がかりとしてきたレースであり、1997年のケープクロスや近年のバーイードがその好例だ。オペラバロがG1級へ駆け上がる器かどうかは、この一戦で明らかになるだろう。
対抗馬には、G1・愛2000ギニーで2着となったコズミックイヤーのほか、前走サーヘンリーセシルステークスでオペラバロの後塵を拝した3頭、2着シーガルズイレブン、3着キングオブシティーズ、そして同厩の4着スペクタキュラービューが名を連ねる。
イチオシ推奨馬:R2・4番オペラバロ