ブリーダーズカップに参戦する日本馬が、アメリカに向けて飛び立った。10月22日、火曜日の現地時間午前に、日本馬19頭を乗せた貨物機が成田空港から出発、ロサンゼルスに向かっている。
火曜日の現地時間午前4時30分(日本時間では火曜日の午後8時30分)にロサンゼルス国際空港に到着する予定となっており、その後サンディエゴ近郊のデルマーまで陸路で輸送される。
通常、香港国際競走のようなレースでは美浦の馬は成田から、栗東の馬は関空から飛行機で輸送される。しかし、今回は19頭の馬が一斉に成田から出発することになった。
「関西馬は月曜日に東京に向けて輸送されました」と、ブリーダーズカップの日本担当を務めるケイト・ハンター氏は説明する。「1週間の検疫を終えて、無事に出発しました。無事に送り出せて良かったです」
「フライトは10時間、ロサンゼルス国際空港まで直行便で向かい、そこからデルマーまで来るまで2時間かかります。空港からは5台の馬運車で輸送しますが、満員になり次第出発するので、次々と送り出すことになります」
「到着したら42時間の検疫が待っています。最後の馬が到着してから42時間ですね」

今回の19頭という参戦頭数はBCの日本馬としては最多の頭数、昨年の9頭を大きく上回る。デルマーで日本馬の到着を心待ちにしているハンターは、すでにカリフォルニアでも日本馬が大きな注目を集めていると話す。
「日本からの遠征馬は過去最多で、昨年の2倍以上です。素晴らしい馬が集まりました。無敗の馬もいれば、将来が有望な馬もいます。2歳馬のラインナップも素晴らしく、全員が無事にゲートに辿り着けば、11レースで日本馬が走ることになります。こんなことは過去にありませんでした」
「アメリカ側も勢揃いでやってきてくれた日本馬を大歓迎しています。日本の競馬ファンは海外遠征の度に盛り上がってるので、今回も楽しんでくれていると思います」
11月1日、2歳戦が行われるフューチャースターズフライデーには6頭が出走する。現地のファンだけでなく、日本の競馬ファンもワイルドカード(挑戦者)的な存在として見ている挑戦だ。
「アメリカンビキニが来てくれたのは嬉しいですね。今年の2歳馬は本当に有望だと思います。ブリーダーズカップに来てほしいのは、まさにこういう馬たちです」
「サトノカルナバルは重賞を勝っているだけあって、やはり素晴らしい馬です。日本では2歳馬が走れる重賞は数少ないので、そのうちの1頭がブリーダーズカップに来てくれたのは嬉しいことです」
残りの13頭は2日目、11月2日に出走する。G1・ブリーダーズカップクラシックには、ドバイワールドカップ馬のウシュバテソーロ、昨年2着のデルマソトガケ、ケンタッキーダービー2着のフォーエバーヤングという、アメリカで出走歴のある3頭が登場する。
「昨年もウシュバテソーロとデルマソトガケが来てくれて嬉しかったですが、今年は3頭も来てくれるなんて本当に嬉しい限りです」
「この3頭は日本を代表するダート馬、どれも素晴らしい馬です。できれば、3頭が同着で優勝してほしいくらいです。それ以外は見たくないですよ。誰かが勝つなら嬉しいですが、他の2頭が負けちゃったら悲しいですから」
「3頭とも大好きなんです。昨年から今年にかけて彼らと旅をして、多くの経験を共に味わってきました。彼らは私にとって特別な存在です」
2021年、デルマーで開催された前回のブリーダーズカップでは、ラヴズオンリーユーがG1・BCフィリー&メアターフ、マルシュロレーヌがG1・BCディスタフを勝利し、日本馬初のブリーダーズカップ制覇という快挙が成し遂げられた。ハンターは、これに続く牝馬が現れることを期待している。
「ここまで7戦無敗、オーサムリザルトはディスタフにピッタリのタイプです。イディオマティックやソーピードアンナのような強豪を打ち負かすには、真の才能が求められます。彼女ならやってくれると思います」
「シャフリヤールはドバイで活躍しましたし、何シーズンにも渡ってトップホースとして走ってきました。彼は年末で引退する予定となっており、今年が最後の年です。だからこそ、悔いのない走りを期待したいです」
「BCスプリントのリメイクとドンフランキーも楽しみです。ダートのスプリンターとしてはトップクラスの存在ですし、チャンスは充分あるはずです」
ブリーダーズカップ全14レースの予備登録馬は、カリフォルニア現地時間の水曜日朝に発表される。出走馬は2段階に分けて登録が行われ、その第一弾が今回の予備登録だ。来週の月曜日に予定されている出馬登録と枠順抽選に先立ち、レースを検討する手掛かりとして公表される。