競馬場: 東京競馬場
距離: 1600m
総賞金: 3億2650万0000円(約210万7000米ドル)
ヴィクトリアマイルは、3歳牝馬が世代限定戦から古馬戦線に戦いの舞台を移す上で、古馬牝馬戦線での序列を示す機会となる。4歳以上牝馬だけを対象にした唯一のG1であり、牝馬たちが牡馬の一線級と対戦するG1・安田記念へ向かう足がかりでもある。
今世紀のヴィクトリアマイルは、日本競馬、さらには世界競馬を代表する牝馬たちが勝ってきた。アーモンドアイ、グランアレグリア、ブエナビスタ、アパパネ、ソダシ、ソングライン、ウオッカがその顔ぶれに名を連ねる。
クラシックを分け合った2頭、4度目の対決
エンブロイダリーとカムニャックは、昨年の牝馬クラシックで主役を担った2頭だ。エンブロイダリーはマイルのG1・桜花賞を制し、カムニャックは2400mのG1・オークスを勝った。2頭が初めて対戦したのはオークス、このときエンブロイダリーは距離が持たず9着に敗れた。
だが、牝馬三冠の最終戦である2000mのG1・秋華賞での再戦は違う結果になった。エンブロイダリーが勝利し、カムニャックは16着大敗に終わった。
その後、エンブロイダリーは12月に香港へ遠征したが、G1・香港マイルでは力を出し切れなかった。一方、カムニャックは春まで休養に充てられた。
2頭は4月11日、1600mのG2・阪神牝馬ステークスで今年初めて再び顔を合わせた。エンブロイダリーは2.8倍の1番人気に応えて勝利。7.8倍の4番人気だったカムニャックは、本来の適距離より短いと見られる1600mで、クビ差の2着まで追い上げた。
日曜、2頭は再びマイルで激突する。エンブロイダリーは持ち前のスピードを生かし、再び人気の中心になるだろう。それでもカムニャックにも、ライバルに真っ向から挑むだけの地力と勝負根性がある。
対戦成績はエンブロイダリーの3勝1敗となるのか。それともカムニャックが勝って、2勝2敗の五分に持ち込むのか。


チェルヴィニア、復権を問う一戦
カムニャックとエンブロイダリーの一世代前には、チェルヴィニアがいた。2024年のオークスと秋華賞を制した馬である。同年3歳シーズンの締めくくりとなったG1・ジャパンカップでは、ドウデュースの4着に健闘した。だが、その後は歯車がかみ合っていない。
チェルヴィニアの2025年シーズンは、期待を大きく下回るものだった。G2・京都記念、G1・ドバイシーマクラシックで敗れ、勝っておきたかったG3でも1番人気で2着。秋も好転せず、G2・毎日王冠は7着、G1・マイルチャンピオンシップは10着だった。
今季初戦のG2・中山記念は5着。全体として見れば悪くない内容だったが、今回のヴィクトリアマイルは試金石になる。クラシックシーズンの走りを取り戻せるのか。それとも、復調の兆しがさらに遠のくのかを示す一戦だ。
春G1で続く1番人気の連勝
JRAの春のG1では、ここまで1番人気に支持された馬が結果を出し続けている。平地芝G1の6戦すべてを1番人気が制し、中山グランドジャンプを含めれば7戦連続となる。
3月末のG1・高松宮記念で3.5倍のサトノレーヴが勝ったことに始まり、日曜のG1・NHKマイルカップでも4.6倍の1番人気に推されたロデオドライブが勝利した。
エンブロイダリーは想定1番人気で、当日も厚い支持を集めそうだ。ヴィクトリアマイルでも、この流れは続くのか。
近年の主役はルメール騎手
一頭の話に寄りすぎるのを承知で言えば、近年のヴィクトリアマイルで追うべき騎手は、エンブロイダリーのクリストフ・ルメール騎手だ。ルメール騎手は昨年アスコリピチェーノでこのレースを制し、直近9回で4勝目を挙げた。
それに続くのが、戸崎圭太騎手の3勝。うち2勝は2015年、2016年にストレイトガールで挙げたものだ。今回は、前走で小倉牝馬ステークスを制したジョスランに騎乗する。
川田将雅騎手もまた、日本を代表する名手だが、まだヴィクトリアマイルを勝っていない。今回はカムニャックの手綱を取る。

ゴンサルベス騎手、JRA・G1初騎乗へ
フランシスコ・ゴンサルベス騎手は、昨年9月のワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)で初めて日本競馬に触れた。今春は短期免許で再来日しており、ヴィクトリアマイルが日本のG1初騎乗となる。
ブラジル出身で、アルゼンチンの複数回チャンピオンでもあるゴンサルベス騎手は、今回の短期免許期間中ここまで25鞍に騎乗し3勝。うち2勝は先週土曜の新潟で挙げたものだ。
ヴィクトリアマイルでは人気薄のマピュースとコンビを組む。マピュースは昨年、中京でG3を勝っているが、ここで大番狂わせを演じるには、大きな上積みが求められる。