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競馬場: 東京競馬場

距離: 1600m

総賞金: 2億8310万0000円(約182万7000米ドル)

日本の牡馬クラシック第1戦、皐月賞が2000mで行われるため、NHKマイルカップは3歳馬にとって春のマイル王決定戦という位置づけになる。

このレースはかつて、外国産の3歳牡馬・牝馬にとって唯一のG1選択肢だった。しかし、今世紀初めにクラシックが開放されると状況は変わった。過去には日本ダービーやオークスへの足がかりとして使われてきたが、近年は皐月賞を回避したスピード型の牡馬にとって、もう一つの有力な選択肢として定着している。

歴代勝ち馬には、シーキングザパール、エルコンドルパサー、キングカメハメハ、ディープスカイ(日本ダービーとNHKマイルカップを連勝した最後の勝ち馬)、アドマイヤマーズ、ジャンタルマンタルなどがいる。

カヴァレリッツォ、皐月賞から巻き返しへ

カヴァレリッツォは昨年、マイルのG1・朝日杯FSを制した。前走で2000mへ距離を延ばした際は、皐月賞でも有力候補の一頭と見られていた。

しかし、サートゥルナーリア産駒の同馬は好位で運びながら直線で失速し、13着に終わった。今回はマイルに戻り、シーズンを立て直すとともに、この距離での世代トップという評価を取り戻したいところだ。

もっとも、巻き返しを狙うのはカヴァレリッツォだけではない。アドマイヤクワッズも皐月賞ではカヴァレリッツォと長く並ぶ形で運んだが、15着に終わった。

その内容からも、アドマイヤクワッズにとって距離短縮が鍵になり得る。アドマイヤクワッズは昨年、1600mのG2・デイリー杯2歳ステークスを勝ち、その後の朝日杯FSではカヴァレリッツォの3着に入っている。

NHKマイルカップは「世界へのステップレース」

NHKマイルカップはこれまで、何頭ものトップクラスの馬を送り出してきた。その中には、世界の舞台で強い存在感を示した馬もいる。

その代表例が、このレースの先駆者ともいえるシーキングザパールだ。1997年にNHKマイルカップを勝つと、翌年には日本調教馬として初めて海外G1を制し、歴史に名を刻んだ。

翌1998年にはエルコンドルパサーがNHKマイルカップを制し、その後フランスでも勝利。1999年のG1・凱旋門賞では、勝利目前でかわされ、2着に惜敗した。

グランプリボスは、勝利こそなかったものの、矢作芳人師が初めて海外遠征に送り出した馬だった。アドマイヤマーズはNHKマイルカップを勝った同じ年の暮れに、G1・香港マイルを制している。

直近2年の勝ち馬であるジャンタルマンタルとパンジャタワーも、その流れを受け継いでいる。どちらも海外で2戦ずつ走り、まだ国外での勝利はない。しかし、NHKマイルカップで敗れた馬の中には、その後海外の大舞台を制した例もある。

オオバンブルマイは2023年のNHKマイルカップで3着に入り、約半年後の次走で、賞金総額1000万豪ドルのゴールデンイーグルをローズヒルで制した。

2024年の2着馬、アスコリピチェーノも同様にゴールデンイーグルへと出走し、同レースでは着外に終わったものの、次走でG2・1351ターフスプリントを勝っている。

日本の番組では芝マイルG1の選択肢が限られており、古馬(牝馬限定戦を除く)にも開かれたものは2つしかない。そのため、今年のNHKマイルカップからも、将来的に海外遠征を視野に入れるマイラーが出てくる可能性は高い。

Jantar Mantar wins G1 NHK Mile Cup
JANTAR MANTAR, YUGA KAWADA / G1 NHK Mile Cup // Tokyo /// 2024 //// Photo by Shuhei Okada
Kohei Matsumaya celebrates after winning the NHK MIle Cup on Panja Tower
KOHEI MATSUYAMA, PANJA TOWER / G1 NHK Mile Cup // Tokyo Racecourse /// 2025 //// Photo by Shuhei Okada

前哨戦組も強力

前述の通り、NHKマイルカップは皐月賞で崩れた牡馬に巻き返しの機会を与えるレースでもある。

一方で、3歳マイラーには前哨戦の流れもあり、その中心となるのがG2・ニュージーランドトロフィーだ。今年は経験の浅い2頭が同レースの勝負を演じ、レザベーションがロデオドライブをクビ差で退けた。

レザベーションは3月上旬、阪神で5戦目にして未勝利を脱出。その後、ニュージーランドトロフィーでは単勝43.5倍の伏兵として勝利を挙げた。一方のロデオドライブは同レースまで2戦2勝で臨み、単勝1.7倍の1番人気に支持されていた。

シーキングザパールとエルコンドルパサーは、ニュージーランドトロフィーとNHKマイルカップをともに制した。ただし、この2レースを連勝した最後の馬は2012年のカレンブラックヒルまで遡る。

一方、アスクイキゴミは、2022年にG3・アーリントンカップ(現チャーチルダウンズカップ)を勝ってからNHKマイルカップを制したダノンスコーピオンの再現を狙う。

G3・ファルコンステークスを勝った馬がNHKマイルカップを制した例は、2009年のジョーカプチーノまでさかのぼる。それでも、今年のファルコンステークスは注目に値する一戦だった。ダイヤモンドノットは同レースを鮮やかに制し、2歳時から見せていた高い素質をあらためて示した。

昨年はG2・京王杯2歳ステークスを勝ち、朝日杯FSではカヴァレリッツォの2着に入っている。

牝馬勢の中心はギリーズボール?

1997年のシーキングザパールを含め、牝馬はNHKマイルカップを5勝している。2年前にはアスコリピチェーノが、トップクラスの牡馬ジャンタルマンタルの2着に入った。

今回の牝馬勢で中心になりそうなのはギリーズボールだ。昨年9月に新馬戦を勝ち、今年初戦では大敗したものの、G2・フィリーズレビューで巻き返した。後方から馬群を縫うように伸び、1400m戦を1馬身3/4差で快勝。最後は余裕を持って差し切っており、まだ先がありそうな内容だった。

好調騎手の勢い続くか

松山弘平騎手は今年ここまで、3歳G1の最初の2戦を制している。スターアニスで桜花賞を勝ち、ロブチェンでは皐月賞を制した。今回は毎日杯2着のローベルクランツに騎乗し、3歳G1の開幕3連勝を狙う。

一方、津村明秀騎手も2026年はスタートダッシュを決め、すでに24勝を挙げている。先週末にはG2・京王杯スプリングカップも制した。40歳の津村騎手は今回、前走のリステッド・クロッカスステークスを東京で勝った、キャリア3戦のオルネーロとコンビを組む。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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