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香港の絶対王者、ザック・パートン騎手が、シーズン開幕日から5勝をマーク。9鞍に騎乗しての5勝は、自身の開幕日最多記録であり、昨季の4勝を上回る圧巻のスタートとなった。シーズンはまだ始まったばかりだが、早くもリーディング争いで後続に差をつけている。

昨季は初日4勝から始まり、開幕2日間でキャリアハイとなる9勝を記録。今年それを超えるには相当な勢いが必要となるが、強力なライバル不在の状況が後押しとなる可能性がある。

パートンはかつて、ダグラス・ホワイト騎手やジョアン・モレイラ騎手といったライバルとの激しい競り合いを繰り広げてきた。しかしモレイラが3年前に香港を離れて以来、環境は一変。現在は「純粋に競馬を楽しんでいる」と語る。

「ダグラスやジョアンがいた頃は、自分の限界まで追い込まれていました。でもここ数年、彼らがいない中で騎乗するのは本当に楽しいです」とパートンはIdol Horseに語った。

「プレッシャーからかなり解放されました。常に真っ向勝負を強いられていた頃に比べれば、気持ちもずっと楽です」

香港競馬データアナリストのソヒル・パテル氏による統計によれば、過去3シーズンのうち2シーズンで、パートンは開幕10開催以内に20勝以上を記録している。ライバル不在の中で上位騎乗依頼を独占してきた結果といえる。

記録的な179勝を達成した2022/23年シーズンは、開幕10開催で最多となる23勝を挙げた年だった。また昨季も同期間に20勝を記録し、最終的に138勝に到達。シーズン中盤に負傷離脱がなければ、自身最高記録に迫っていたと見られる。

それでもパートンに慢心はない。今シーズンはカーインライジングとのコンビに早くも注目が集まるが、本人は気を引き締めている。

「保証されていることなど何一つなく、また当たり前のことなどありません」と述べ、香港で戦う騎手たちは皆、最高レベルで実績のある熟練したジョッキーであることを強調した。

「常に、誰よりも懸命に努力し、これまでと変わらないハングリー精神を持ってシーズンに臨む必要があります。もし良いスタートを切れれば、そこから物事がうまく回り始めるんです」

過去14シーズン連続でトップ2を維持してきた原動力は、この「勝ちたい」という強い意志だという。

「それが私自身の性格です。とにかく全レースで勝ちたいですし、ベストを尽くしたい。ただ、最終的にはオーナーや調教師からどれだけ支持を得られるかがすべてです」

開幕日の内容を見る限り、その支持は万全だ。パートンが9度目のリーディングを狙う戦いで、真のライバルが現れるのか。もし出てくるなら、早く登場しなければ、王者は独走態勢に入ってしまうだろう。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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