先週日曜日、デザインズオンロームがオーストラリアで亡くなった。15歳だった。現役時代を共に過ごしたジョン・ムーア調教師は、2014年の香港ダービーを制し、G1を4勝した厩舎の大スターに敬意を表し、追悼の言葉を述べた。
「我々にとってのチャンピオンであり、強豪揃いの時代にあっても頭一つ抜けた存在でした。彼との別れは胸が痛む思いです」と、ムーアは彼の死を惜しむ。
ホーリーローマンエンペラーを父に持つアイルランド生まれのこの馬は、2歳時はパット・フリン厩舎に所属。G1・ヴィンセントオブライエンナショナルSで2着に入るなど、早くから潜在能力の高さを示していた。
しかし、その才能が開花したのは香港への移籍後、ムーア厩舎に移ってからだった。香港競馬を代表するタフなチャンピオン、そして世界レベルの競走馬として名を馳せるまでに育った。
2013/14シーズン、デザインズオンロームは香港年度代表馬に選出された。このシーズンでは、同厩馬のエイブルフレンドとの激闘を制して香港ダービー馬の座を勝ち取り、4歳クラシックシリーズの主役に上り詰めた。さらに、G1・クイーンエリザベス2世カップでも強豪を退けている。


ムーア厩舎からは年度代表馬が7頭輩出されているが、この時のタイトルもその中に含まれる。デザインズオンロームは常にエイブルフレンドと比較される立場だったが、重要な局面を振り返ってみると、同厩のライバル相手に先着することが多かった。
デザインズオンロームは道中は後方に控え、息の長い末脚で追い込むタイプだった。しかし、彼を動かすにはしっかりと追える腕を持つ騎手の存在が不可欠だった。
最初の主戦騎手を務めたトミー・ベリー騎手は、この馬の能力を最大限引き出せるパートナーだった。2014年の香港クラシックカップでは巧みな導きを披露し、エイブルフレンドを見事に打ち破った。
ベリーは2014年の香港ダービーとQE2でも鞍上を務め、ジョアン・モレイラ騎手に乗り替わった期間を挟み、コンビ再結成となった2016年のG1・香港ゴールドカップでも勝利に導いている。
「今振り返ってみると、『あれは当たり前じゃないんだな』とか『もっと味わっておけば良かったな』なんて思うこともあります。ですが、当時は終わりが来る気がしなかったのでそんな風には思いませんでした」と、主戦のトミー・ベリー騎手は昨年配信されたIdol Horse Podcastで語った。
「今となって彼のような存在を振り返ると、自宅の裏庭で飼いたいなって思います。手元にいてくれたら、色々と大助かりでしょうからね!デザインズオンロームのような馬がまた現れて、同じことをやってのけるとしても、それはそう滅多に見られるものではないと思います」
エイブルフレンドは大柄ながらも気性は優しい馬として知られていたが、デザインズオンロームは気性が激しく、迂闊に近寄りすぎた厩務員や通りすがりの人に噛みつくこともあったという。
エイブルフレンドとの対決が待ち受けていたダービーを振り返ったベリーは、「他の馬に近づくと、耳を絞って威嚇するような素振りを見せていました」と当時の様子を振り返る。


その憎めない性格はリビングレジェンドでの引退生活でも健在だった。牧場のアンドリュー・クラークCEOはスタッフから愛されていたと話し、その性格については「彼は好きな人と嫌いな人がハッキリしていた」と説明する。
「小柄だけど気が強い子だったんです。イタズラするチャンスがあるとしたら、真っ先に彼が何かしたがります。特別な存在でしたし、来場者からも愛されていました」
デザインズオンロームは日曜日に疝痛の兆候を見せ、近くの獣医クリニックに運び込まれた。当初は重度の疝痛ではないように見えたが、手術をすると予想以上に重度の症状であることが判明し、安楽死の処置が執られた。