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火曜の朝には、すべてが順調だった。ヴィンセント・ホー(チャクイウ・ホー)騎手はこの日、伝統あるグロリアス・グッドウッド開催の初日に向けて、無事に決戦の地、グッドウッドに到着していた。

しかし、月曜はそうではなかった。その一日はまるで、ザ・キュアーの1992年のヒット曲『フライデイ・アイム・イン・ラヴ』の一節そのものだった。「月曜は頭を抱えていればいい」と、フロントマンのロバート・スミスは、週末への高揚感をこの名曲で歌っている。

ホーも月曜の午後から夕方にかけての数時間、南ロンドンで動かなくなったレンタカーのそばに立ち、いら立ちと、どこか滑稽な成り行きへの呆れから頭を抱えていたのかもしれない。新しいタイヤが必要になり、やがて交換用の一本が届いた。

「本来のやつとは違うタイヤを持ってきたんです」

ホーはバタシーのどこかでBMWのそばに立ち、辛抱強く待ちながらIdol Horseの取材に話した。

どうやら代わりの車が必要になりそうな雲行きだった。そうなれば南へ向かい、ガトウィック空港まで行かなければならないだろうとホーは考えた。

空港のすぐ隣には、ザ・キュアーを世界に送り出したウエストサセックス州の町、クローリーがある。そこからグッドウッド競馬場までは州内を約35マイル移動しなければならない。できれば避けたい面倒だった。

しかし、ささやかな喜びをたたえ、何十年にもわたって愛されてきたザ・キュアーの同曲からもう一節を借りるなら、「月曜が憂鬱でも気にしない」という言葉はホーの普段の人生観によく似合う。物事が思い通りに進まないときも、冷静さを失わず、地に足のついた前向きなマインドを崩さない男だ。

最終的に、ホーはグッドウッドへ向けて出発できた。今週土曜のグッドウッド開催では騎乗馬が一頭決まっており、本人はさらに乗り鞍が増えることを願っているという。

そして、その翌週末にはアスコット競馬場のシャーガーカップが控える。新たに結成された“チーム香港”の主将として、ジェリー・チャウ騎手、ルーク・フェラリス騎手を率い、世界屈指の名騎手たちに勝負を挑む。

Jerry Chau will join Vincent Ho and Luke Ferraris as Team Hong Kong for the Shergar Cup
NICK SMITH, ANDREW HARDING, VINCENT HO, JERRY CHAU, LUKE FERRARIS / 2026 // Photo by HKJC

ゴールデンシックスティの相棒として名を知られるホーが、今週グッドウッドを訪れたのは、競馬場の運営陣から招待を受けたためだ。運営側はWorld Poolの発売対象レースをできるだけ幅広い層にアピールしたいと考えている。ホーはいわば、アンバサダーとしてそのPRの一翼も担っている。

現時点で決まっているグッドウッドでの騎乗馬は、土曜の9ハロンのハンデ戦に出走するジョージ・ベイカー厩舎のアルカラスだ。ホーはその騎乗を楽しみにしている。同競馬場で騎乗するのは、一昨年の夏以来。当時はこの開催で9鞍に騎乗し、キンチェムハンデキャップでブリオーニをクビ差の2着に導いたのが最高成績だった。

その後、ホーは大怪我からの厳しいリハビリを乗り越え、レースに復帰した。昨年の今頃は、シャティン競馬場での落馬事故で負った脳損傷からの回復期間も最後の数週間に入り、懸命なリハビリに励んでいた。

今季の香港競馬では38勝を挙げ、騎手はリーディング6位。十分に立派な成績なのは間違いないが、最盛期と比べれば数字は落ちている。

それでも、最高の自分でありたいという向上心も、愛する競馬への情熱も衰えてはいない。ホーはグッドウッド競馬場とアスコット競馬場での騎乗に先んじて、ニューマーケットで数日間を過ごした。

「ロジャー・ヴェリアン厩舎で調教に乗りました。ヴェリアン調教師は、ゴールデンシックスティの馬主であるスタンレー・チャン氏が所有するゴールデンコンカラーと、ユーロンが所有する別の馬に乗せてくれました」

「とても良い経験でした。ニューマーケットの調教場で、いろいろな調教コースや坂を視察して、実際に騎乗することもできました」

これまでの夏はノースヨークシャーを拠点とし、ミドルハムの名門厩舎、チャーリー・ジョンストン厩舎で過ごしてきた。

「ただ、今年の夏は滞在期間が短いんです。グッドウッド競馬場の5日間と、その後のアスコット競馬場でのシャーガーカップには参加することが決まっています。それが終わった後、出発までに数日間、こちらでもう少し乗れるかもしれません」

Vincent Ho at Ascot for the Shergar Cup in 2024
VINCENT HO / Ascot // 2024 /// Photo by Megan Coggin/Ascot Racecourse via HKJC

ホーがグッドウッドに招かれ、今年のシャーガーカップに香港競馬のジョッキーがチーム香港が参加することは、英国の主要競馬場に対するWorld Poolの影響力と、各競馬場の収益源としての重要性を物語っている。

今年、シャーガーカップは初めて香港ジョッキークラブ(HKJC)のWorld Poolを通じた馬券発売の対象となり、それと同時に史上初のチーム香港が誕生したことは、偶然の一致とは考えにくい。World Poolは、世界各地のパリミュチュエル方式による馬券プールを、一つの巨大なプールに統合する仕組みだ。

また、これは香港でこの数年、フェラリスのような海外出身の若手騎手が成長し、存在感を高めてきたこと、とりわけホーやチャウのような地元生え抜きの才能が育ってきたことも物語っている。二人は香港の騎手学校を経て、ザック・パートン騎手、ジョアン・モレイラ騎手、ヒュー・ボウマン騎手といった名手たちと、毎週のように渡り合ってきた。

「初結成のチーム香港で主将を務めることができ、光栄に思います。世界選抜やアジア選抜の一員ではなく、今回は香港競馬を代表します。香港は世界の競馬において大きな存在ではありますが、それでも一つの都市です。それだけに、これは非常に大きなことです」

「この若い騎手たちを率いることができるのは素晴らしいことです。二人とも今季は大きく成長しました。英国競馬で、世界各地から集まる優れた騎手たちを相手に乗る経験ができるのは、二人にとっても良いことです。日本からは武豊騎手とクリストフ・ルメール騎手というレジェンドが参加し、ほかにも世界各地から名手が集まります」

「良い騎乗馬に恵まれ、ポイントを獲得できればと思います。ただ、何より大切なのは、この機会を楽しむことです」

ホーはアスコットを「これまで乗った中でも最高の競馬場の一つ」と評する。しかし、バークシャーにある王室ゆかりの競馬場へ向かう前に、まずは絵のように美しいサウスダウンズ南端の高台に位置する、本人がこれまで目にした中でも特に個性的な競馬場での5日間が待っている。

「グッドウッド競馬場で乗るのは本当に楽しいです。さまざまな特徴がありますから。距離によって、レースがまったく違います。直線競走もあれば、上りや下りもあります。本当にとんでもないコースです。あの起伏は決して侮れません」

「直線に向いてからもゴールまではまだかなり距離があるので、馬の感触を確かめ、いつゴーサインを出すかを判断しなければなりません。それに、ゴールを過ぎた後も馬を止める必要があります。その先に回っていけるコースがないからです。周回コースではありません」

「雰囲気も良いですね。みんなが楽しんでいますし、そこで乗ること自体が楽しいんです」

ホーは、今週末のグッドウッドと翌週末のアスコット、そしてシャーガーカップで担う主将の役割を楽しみにしている。負傷とリハビリの日々を過去のものとし、騎乗を兼ねて欧州で過ごす毎夏恒例の生活に戻れたのは、本人にとっても喜ばしいことだ。

グッドウッドの開催で勝てれば、なお喜ばしい。さらに、主将としてチーム香港をシャーガーカップ優勝へ導ければ、忘れられない週末となり、バタシーで味わった月曜の憂鬱など、はるか後方へ置き去りにすることだろう。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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