今シーズン、レーティングが急上昇しそうな有望株は?
スティーヴン・ホー: あくまで安定の選択肢となってしまいますが、マーク・ニューナム厩舎のフルクレジットは、2024/25シーズンで輝く馬だと信じています。
オーストラリア出身の彼が香港で開業したのは昨シーズンからですが、この上がり馬で3勝を挙げています。フルクレジットのレーティングは80のため、まだクラス3で戦えますが、さらに成長してクラス2で戦える馬になることを期待しています。
マイケル・コックス: 私の場合はもっと安全策になってしまいますが、パッキングハーモッドを選びます。ここまで2戦2勝、シーズン最終日ではザック・パートン騎手を乗せて3馬身差で勝ちました。
フランシス・ルイ調教師はこの馬で4歳クラシックシリーズに挑戦する可能性が高く、1マイルに対応できるかどうかに関わらず、さらなる勝利が期待できると思います。
デイヴィッド・モーガン: 私もパッキングハーモッドは注目の存在だと思っています。昨シーズンは2戦2勝、スタート時は52だったレーティングは74に伸ばし、フランシス・ルイ厩舎のスターになる可能性を秘めています。
彼の場合、ただ1200mのレースで勝ったわけではありません。ハッピーバレーでのデビュー戦では、残り150mから先頭に立ち、鞍上のザック・パートン騎手が後方を確認するほどの余裕を見せて、2馬身半差で勝ちました。
次のシャティンでは、直線に入る前から先頭に立ち、耳を立てながら楽に加速して、3馬身差の勝利。将来が期待できる走りに見えました。
アンドリュー・ルジューン: 2頭の勝利実績がある馬が注目を集めていますが、私はまだ香港では未勝利の馬を挙げます。プレステージオールウェイズです。ジョセフ・オブライエン厩舎に所属し、ミソロジーという馬名で走っていた移籍前は、G3で入着の実績があります。ピエール・ン調教師の下で、今シーズン台頭する可能性があると思います。
この馬は昨シーズン終盤に3回走ったのみですが、最高着順は2桁オッズで3着に食い込んだシーズン最終日のレースです。直線で力強く伸び、勝利が目前に迫っていましたが、最終日まで競っていたン厩舎のリーディングを後押しすることはできませんでした。
今のクラス3の馬ですが、まだ3歳馬ですし、1400m以上のレースでは現在のレート(69)以上に期待できると思います。
ルーク・ミドルブルック: 香港ジョッキークラブが年度表彰で発表する、歴代の『最優秀成長馬』を参考にすると、ジョン・サイズ厩舎が圧倒的なことに気がつきます。
それを加味して、ジョン・サイズ厩舎の成長著しいザウィナビーを選びました。1200mのクラス4戦で2連勝後、昇級して距離延長の3戦目で初敗北を喫しましたが、2着に入ったため評価は落ちませんでした(出遅れが痛かった!)
今シーズンはレーティング70で復帰しますが、『レート100』の仲間入りを果たすことも見込まれ、目標としては4歳シリーズを目指すことになるでしょう。
G1戦線でのブレイクしそうな、G1未勝利の馬は?
マイケル・コックス: ムゲンがスプリンターズステークスを勝つ、というのは少し踏み込みすぎた予想でしょうか?地元のシャティンでは、中山よりも厳しい戦いを強いられるかもしれません。
ギャラクシーパッチが有力候補なのは明白です。次のナンバーワンマイラーとして期待されていますが、チャンチェングローリーも長年のライバル関係です。ゴールデンシックスティの引退が差し迫る中、マイル路線でサプライズを起こす存在かもしれません。脚質が万能な馬で、昨シーズンは大分使いましたが、まだ上積みを残しているように見えます。
スティーヴン・ホー: 昨シーズンの『最優秀グリフィン』を受賞したカーインライジングは、すでにレーティングが52から111に急上昇していますが、終盤戦で勝ったG3・シャティンヴァーズに加えてG1勝利も手にすることができるのでしょうか?
デヴィッド・ヘイズ調教師は次の目標を12月のG1・香港スプリントとしており、チャンスはあると思います。
アンドリュー・ルジューン: ダークホースとは程遠いですが、ヘリオスエクスプレスです。4歳シリーズでは2冠制覇、香港ダービーでは惨敗でしたが、2000mの距離が合わなかったのかもしれません。
ジョン・サイズ厩舎のこの馬は、まだ底を見せておらず、香港では9戦6勝です。過去にクラシックマイルを勝ったサイズ厩舎のサンジュエリー、ナッシングアイライクモア、エクセレントプロポーザルは翌シーズン伸び悩みましたが、ヘリオスエクスプレスはまだ余裕を残しているように見えます。1600mに戻った今、より大きな舞台でもチャンスがあるように思えます。
デイヴィッド・モーガン: ギャラクシーパッチは今シーズンG1に挑戦するでしょうし、勝ち目もあると思います。昨シーズン、12戦の中で素晴らしい素質と多才さを見せ、1200mから1800mのレースで6勝を挙げました。後半戦のG3・2勝と、2000mの香港ダービー2着も含まれます。レーティングは香港で8番目に高い119まで伸びましたし、G1でも有力候補だと言えます。
ルーク・ミドルブルック: そうですね。ギャラクシーパッチは今シーズン、G1タイトルを狙っています。昨シーズンのG1成績は、カリフォルニアスパングルの2着に入ったクイーンズシルヴァージュビリーカップ(1400m)と、ビューティーエターナルを相手に5着だったチャンピオンズマイルでした。
ピエール・ン調教師にとっては、ギャラクシーパッチの適性距離は嬉しい悩みです。香港デビュー初年度だった昨シーズンでは、1000mから2000mまでの距離で走っていますが、香港トップマイラーとしての地位も視野に入っていると思います。
『早すぎる』香港ダービー予想は?
ルーク・ミドルブルック: トニー・クルーズ厩舎のアイルランドからの移籍馬、スタニングピーチは早くも香港ダービーの本命馬です。移籍前のジョセフ・オブライエン厩舎では2勝と2着3回の成績を残し、香港での3戦もポテンシャルの高さを感じられるものでした。
以前はアイランズインザストリームという馬名だったこの馬は、フランスのG1・クリテリウムドサンクルー(2000m)で2着、アイルランドのG1・ナショナルステークスとG2・フューチュリティステークス(どちらも1400m)で2着に入っています。
レーティング80なので、クラス3では重いハンデを背負う羽目になりました。1600mのデビュー戦では重馬場の中で、8着に終わりました。ですが、2戦目で2着に入ると、距離を伸ばした1800mの3戦目では、半馬身差の勝利を収めています。
スタニングピーチの主戦を務めるチャンピオンジョッキーのザック・パートンも、時が経つにつれてより良くなっていくだろうと、高く評価しているようです。
スティーヴン・ホー: シティオブトロイがもう一つの有名なダービーで勝ったことで、ジャスティファイは世界レベルで爪痕を残しています。息子のロマンティックソーは、香港ダービーでロマンチックウォリアーの勝利を再現できるのでしょうか?
オーナーのラウ夫妻は、エイダン・オブライエン厩舎の元プロスペクトだったこの馬に大きな期待を寄せているはずです。改名前の『キャピュレット』と呼ばれていた時代、ライアン・ムーア騎手を背に、チェスター競馬場のリステッド・ディーステークス(2000m)を快勝しています。
きっと、このレースのためにクールモアから買ってきた馬ですよ!
デイヴィッド・モーガン: まだ時期尚早と言えますが、質問された以上、もう一頭のイギリス発の実績馬であるミックリーだと答えます。シウファミリーは長年の投資にも関わらず、未だに香港ダービーを勝てていませんが、この馬なら勝ってもおかしくありません。
イギリスではポテンシャルの高さを示し、3連勝でロイヤルアスコットのブリタニアステークスを勝ちました。昔から香港ダービーを目指す馬がよく勝つレースです。マイル以上の距離は未経験ですが、ダービーはそれまで厳しい流れにはならないのが一般的ですし、落ち着いた性格と評判のこの馬なら対応が見込めます。
マイケル・コックス: ミックリーの陣営は控えめに期待を語るかもしれませんが、香港ダービーは強いマイラーなら中距離馬が相手でも勝てるレースです。この馬の新しい調教師、ジョン・サイズがその証拠です。2015年はルガーで勝ち、2023年にはビューティーエターナルでアタマ差の3着に入っています。
サイズ調教師は出走枠の確保には、それほど苦労しないのではないでしょうか。ブリタニアステークスを勝った時点で予想レートは80以上、香港ダービーの出走枠には届いている可能性が高いです。シウファミリーの悲願を狙うに値する馬ですし、サイズはそれをやれるはずです。
アンドリュー・ルジューン: キャップフェラットが3月末のダービーに間に合ったら、それだけで実質勝利みたいなものですが、この元クリス・ウォーラー厩舎の4歳馬は明らかにダービーを狙ってトレードされた馬です。
(移籍前の)13戦未勝利では不安材料ですが、春の3歳シーズンではG1・スプリングチャンピオンステークス(2000m)でトムキトゥンの2着、秋のG1・ローズヒルギニー(2000m)でも3着に入っています。ダービーの距離には不安が無く、このレース向きです。
転厩先は昨シーズンのチャンピオントレーナー、ルイ調教師です。このスニッツェル産駒はレーティング80でスタートするわけですが、ダービーを目標とした道筋を描いていることでしょう。
今シーズン、海外で見たい香港馬は誰?そして、どのレースで?
デイヴィッド・モーガン: ロマンチックウォリアーは香港、日本、オーストラリアでG1を制し、すでに稀代の名馬であると証明しているわけですが、今度は西に向かってほしいところですね。
来年で7歳、キャリアの終盤に差し掛かっているので、3月のドバイは絶好のタイミングだと思います。1マイルから1マイル1/4(2000m)で素晴らしい結果を残していることを考えると、1800mのドバイターフがピッタリではないでしょうか。
そこでも東西の強豪たちを蹴散らすのであれば、ヨーロッパの夏シーズンを目指しても良いのではないでしょうか?それは欲張りすぎですかね?
アンドリュー・ルジューン: 欲張りではないでしょう。豪華な世界クラスの馬である彼にとっての『新しい目標』は、ロイヤルアスコットのプリンスオブウェールズステークスになると思います。
ヨークのインターナショナルSも有力ですが、香港馬にとっては開催時期が難点です。昨年の素晴らしい遠征の後、しばらく国内に専念することを非難する人は誰一人としていないでしょう。ですが、ダニー・シャム調教師はすでにリトルブリッジで実績がある(2012年のキングズスタンドS)ので、スポーツマンで情熱溢れる馬主のピーター・ラウ氏を動かすこともできると思います。
ロマンチックウォリアーはすでに実績豊富で、これ以上やるべきことは存在しないかもしれませんが、このような馬との出会いは千載一遇ですからね。
マイケル・コックス: カリフォルニアスパングル、ジ・エベレストでお願いします。オーストラリアの賞金2000万豪ドル(1360万米ドル)のレースに遠征する場合、12月の香港国際競走との兼ね合いは難しいかもしれませんが、無理な話ではありません。
ジ・エベレストの出走枠保有者たちへのお願いです。トニー・クルーズ調教師は一目で分かります。シャティン競馬場にいる、抜群のヘアスタイルの男です。見つけたら連絡してみてください。
ルーク・ミドルブルック: 少し変わった候補だと、香港のステイヤー陣は手薄なわけですが、昨シーズンのダービーを制したマッシヴソブリンにはその穴を埋めてほしいところです。
日程を考えると、6月下旬に阪神競馬場で行われるG1・宝塚記念(2200m)はマッシヴソブリンのターゲットになるかもしれません。ただ、その前に国内でしっかり実績を残す必要がありますね。
スティーヴン・ホー: ギャラクシーパッチとピエール・ン調教師は、昨シーズンともに素晴らしい成績を残しました。この馬の末脚は東京競馬場の長い直線に向いています。2年連続の香港馬による安田記念制覇、どうですかね?ピエールも遠征に前向きだと思いますよ。
今シーズン、見たい記事は?
ルーク・ミドルブルック: 『シャティンが沸いた!ゴールデンシックスティが香港マイルを制覇』 – チャンピオンが良馬場で最終決戦に臨む姿、見たくない人なんていねえよなぁ!?
デイヴィッド・モーガン: 『ラッキースワイネス、香港スプリントで奇跡の復活』 – 昨シーズンは怪我で終わった波乱の一年でしたが、マンフレッド・マン厩舎のこの馬が大舞台で復活する姿を見たいですね。
マイケル・コックス: 『香港ジョッキークラブ、G1級の高齢馬の輸入を許可』 – 香港競馬で5歳以上の実績馬の移籍が許可された場合、誰が嫌がるというのでしょうか?その理由は何故でしょう?
スティーヴン・ホー: 『香港競馬でメイドン(未勝利戦)が復活』 – きっと素晴らしいレースになるはずです。苦戦中の馬にとっては朗報になるはずです!
アンドリュー・ルジューン: 『ハッピーバレーに重賞レースが追加!』 – デルマー、ムーニーバレー、イギリスのチェスターは小回りで直線が短いコースですが、毎年大きなレースを開催する国際的にも評価の高い競馬場です。
ハッピーバレーもまた、コース内外で他と違った競馬体験を提供しています。昼間・ナイター開催のどちらだとしても、これが実現すれば、さらなる盛り上がりに繋がるでしょう。