豪州出身のチャンピオンジョッキー、ヒュー・ボウマン騎手が、股関節の大がかりな手術を受けるかどうか検討している。同騎手は現在、深刻な負傷を抱えており、香港競馬の開幕日から戦列を離れている。
過去2シーズンの騎手リーディングでザック・パートン騎手に次ぐ2位だったボウマンは、故障に対処するため手術を受けるかどうか、1週間以内に決断する予定だ。
ボウマンは医師の診察を受け、一連の検査を受けたとみられる。検査では、30年近くにわたる騎乗で蓄積した「摩耗」により、右股関節に重大な異常が生じていることが確認されたという。
もう一つの選択肢は、痛みを一時的に和らげるコルチゾン注射を受けることだ。この方法なら、早ければ来月半ばにも騎乗へ復帰できる可能性がある。
注射による対処療法を選択した場合、12月の香港国際競走まで騎乗を続けられる可能性もあるが、シーズンが進めばコルチゾン注射による再治療が必要になると見られている。
ボウマンはIdol Horseの取材に、「画像検査で問題があることが分かりました。どう対処するのが最善か、医師の助言を求めているところです」と怪我の容態について説明した。
ボウマンの負傷離脱は、香港ジョッキークラブ(HKJC)の騎手陣にとってシーズン序盤の大きな痛手となっている。46歳のボウマンは、2026/2027年シーズンも香港で圧倒的な成績を残すパートンに次ぐ、リーディング2位の有力候補と当初目されていた。
負傷の影響はすでに香港競馬界にも広がっている。10月1日のセレブレーションカップで復帰する香港ダービー馬、インビンシブルアイビスには、ルーク・フェラリス騎手が代打騎乗することになった。
フェラリスは同馬のデビュー当初に騎乗経験があり、ボウマンの代役として第一候補に挙がっていた。
ボウマンは香港競馬オフシーズンの大部分を母国のシドニーで過ごし、現地のG1開催日にも騎乗している。オーストラリア史上最高のサラブレッドとも評される名牝、ウィンクスの名を冠するG1・ウィンクスステークスでは、リンダーマンの手綱を取った。
ウィンクスはコックスプレート4勝を含む33連勝で現役生活を終え、そのうち31勝でボウマンが騎乗していた。

ボウマンが名騎手として歴史に名を残すことは間違いない。オーストラリア競馬を代表する騎手の一人として、その地位は揺るぎないものとなっている。それでも本人は、まだしばらく騎乗を続けたいという意欲を持っている。
香港競馬の開幕前にIdol Horseが行ったインタビューで、ボウマンは2026/2027年シーズン中に、現在126ポンド(57.1キロ)の最低騎乗重量をさらに引き下げることも視野に入れていると語っていた。また、開幕日の開催では、マーク・ニューナム調教師が管理するジョイフルジョイで勝利を挙げた。
「香港に来てまだ3年半ですが、結局はモチベーション次第です。しっかり準備すれば問題ありません。手を抜けば、それが結果に表れます。どんな仕事でも同じで、大切なのは規律を持って準備に取り組むことです」
「若い頃なら、準備で手を抜いても、その分をあとから頑張って補えます。でも、この年齢になると体がそれを許してくれません。それは香港で学んだことの一つです」
「これからも必要な努力は惜しみませんが、何に取り組むべきかを見極め、やり方も工夫しなければなりません」
2025/2026年シーズンには、インビンシブルアイビスで香港ダービーを鮮やかに制したほか、マイウィッシュでG1・チャンピオンズマイルを勝ってニューナム師に香港でのG1初勝利をもたらすなど、数々の見せ場をつくった。
しかし、ボウマンはそのストイックさから、シーズンを通じて「低調な時期」があったことに満足していなかった。最終的にはアンドレア・アッゼニ騎手を1勝差で上回り、騎手リーディング2位となったが、独走で王者に輝いたパートンとの差は79勝だった。
「1年を通して、何度か成績が振るわない時期がありました。私は常に、どこを改善できるか考えるタイプです」
「香港ダービーを勝ち、マイウィッシュでチャンピオンズマイルを制したことが大きな話題になったので、良かった時期を振り返るのは簡単です」
「ただ、シーズン全体を通じた安定感は、最初の2年ほどではなかったと思います。そこは改善したい点です」
「全体としてサポート体制は非常に充実していましたし、それは成功を収めるうえで重要な要素です。勝てる馬に乗れなければ、勝利を挙げることはできません。今後はその点に、もっと気を配ることになると思います」
「自分の立場に少し安心しすぎていたのかもしれません。それが、シーズン中に何度かスランプを招いた可能性もあります」
「何事にも現実的な期待を持ち、平常心を保たなければなりません。私は一喜一憂するタイプではありません。以前は物事がうまくいかないと、かなり神経をとがらせていましたが、今は違います。ただ、安心しすぎないように、そのバランスも取らなければなりません」