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日曜の朝、ソヴリンティが馬房から姿を現した。競走馬として最後の撮影を終え、次の目的地へ向かう馬運車に乗り込んだ。行き先は、キーンランド競馬場の厩舎地区から車でわずか8分ほど、レキシントンの空港を挟んで反対側にあるゴドルフィンのジョナベルファームだった。

ソヴリンティは、1年前にこの種牡馬入りしていてもおかしくなかった。ゴドルフィンがもう1年の現役続行を選んだことは、競馬界にとって幸いだった。その決断は評価されていい。

ソヴリンティは、自分がどれほどの名馬なのかを証明する機会を得た。相手を選ばず、今年の米三冠路線を歩んだ馬たちとも戦った。そして多くの真の王者がそうしてきたように、3歳馬より重い斤量を背負いながら勝ち切った。

ビル・モット調教師が手掛けるこのスターホースは、土曜の夜、G1・ブリーダーズカップ・クラシックを制して輝かしい競走生活を締めくくり、王者としての名声を揺るぎないものにした。

それから12時間あまりが過ぎた午前6時30分。まだ暗い中、約30人が集まり、ソヴリンティにカメラを向けていた。記者たちの録音機を前に、モット師が取材に応じていた。厩舎に入ってすぐの場所には、BCの勝ち馬だけに贈られる紫と黄色の花飾りが掛けられていた。

「本当に興奮させてくれました」とモット師は勝利を振り返る。「私たちがずっと思っていたとおり、素晴らしい馬だと証明してくれました」

「この馬は昨年だけ強かったわけではありません。今年も走って、この国で最も重要なレースのうち2つを勝ったんです。本当に、多くのことを成し遂げてくれました」

モット師の言う「多くのこと」とは、昨年3歳時にケンタッキーダービー、ベルモントステークス、トラヴァーズステークスに加え、G2・ファウンテンオブユースステークス、G2・ジムダンディステークスを制し、年度代表馬に輝いたことを指す。

そして4歳となった今年も現役を続け、2度の敗戦で味わった逆境を乗り越えて、G1・ホイットニーステークスを制した。このレースでは、前日のBCディスタフを圧勝したナイトロジェンを一蹴している。最後はBCクラシックを堂々と制し、競走生活を締めくくった。

今回のBCクラシックは、ゴドルフィンのソヴリンティと日本の年度代表馬フォーエバーヤングの対決として注目されていた。フォーエバーヤングは、ソヴリンティが不在だった昨年のBCクラシックを制した馬だ。

こうした対決は、馬が3歳馬、さらには4歳を過ぎても走り続けなければ実現しない。種牡馬入りで得られる収入をもう1年先に延ばし、愛馬が本物の王者であることをレースで証明する。そんな馬主の決断があってこそだ。

5歳馬のフォーエバーヤングが勝っていれば、日本馬が2026年の米年度代表馬も獲得する将来も見えていただろう。しかし実際には、遠征先で本来の走りを見せられず5着に敗れた。

これで、モット師とゴドルフィンはソヴリンティで2年連続の年度代表馬受賞をほぼ確実にしたとみられる。一方、矢作芳人調教師と馬主の藤田晋氏には、フォーエバーヤングの今後をどうするかという問題が残った。

朝の薄明かりの中では、モット師の談話の中では、ソヴリンティの“競馬殿堂入り”の話題さえ上っていた。

「殿堂入りする馬を所有することは、ゴドルフィンにとっておそらく非常に大きな意味があると思います」

「そうなれば素晴らしいですね。簡単なことではありませんが、それだけの力を持った馬です。これまで何度も、素晴らしい瞬間を見せてくれました」

同じことは、フォーエバーヤングにも言える。1年前のデルマー競馬場では、王者の花飾りをまとい、歴史的なBCクラシック制覇を成し遂げた主役として称賛を浴びていた。

だが、午前7時を少し回った日本馬の厩舎では、景色が違った。敗れた王者は歩いて周回した後、草を食んでいたが、その姿を見る人は1人か2人しかいなかった。

G1・ブリーダーズカップスプリントで日本馬として鮮烈な勝利を収めたテーオーエルビスでさえ、人だかりはできていなかった。それほどまでに、BCクラシックの勝ち馬には人を引きつける力がある。

Sovereignty with trainer Bill Mott
SOVEREIGNTY, BILL MOTT / Keeneland // 2026 /// Photo by Idol Horse
FOREVER YOUNG / Keeneland // 2026 /// Video by Idol Horse

フォーエバーヤングの今後は、数日のうちに決まるだろう。今回の走りには、敗れた時でさえ幾度となく見せてきた闘志と粘りがなかった。

今週は、レースへの意欲が以前ほどではないのかもしれないと思わせる様子もあった。パドックで立ち上がり、ある朝の調教では尾を振っていた。朝、付き添いの馬に誘導されて馬場へ向かう姿もあり、レース当日には鞍を着けるのを嫌がった。だが、それでこの馬が積み重ねてきた実績が色あせることはない。

矢作師はレース後、「3着外したことがない馬ですからね。こんな走らなかったのは今までで一回もなかったので」と取材に答えた。

「ああいう形になっても最後こうしぶとく伸びて3着とか、そういうファイトバックするようなところも一つもなかったので。ちょっと何とも言葉が無いっていうのはこういうことですよね。何か明確なことがあればですけど、分からないです」

「今日負けたからといって彼の評価が落ちるわけではないと僕は思ってます。本当に今まですごい頑張ってくれたんで、もう感謝の思いしかないです。なんだろうね。『気が向かなかったのかな』って、聞いてみたいです」

フォーエバーヤングのキャリアにおいて、G1・サウジカップでの2勝、とりわけロマンチックウォリアーとのあの激闘は、長く記憶されるだろう。2年前のケンタッキーダービーでは、あとわずかの3着に泣いた。

そして、G3・サウジダービー、G1・東京大賞典、昨年のBCクラシック、さらには矢作師が内容に「満足していなかった」と話したG1・ジョッキークラブゴールドカップの勝利もある。

これだけの実績を残したフォーエバーヤングは、日本競馬史に残る名馬の1頭だ。日本史上最高のダート馬であることは間違いなく、真の世界的スターでもある。

モット師は、勝利するには本当に良い馬が必要だという話の中で、こう語っていた。

「調教師でも、雄ヤギを調教してBCクラシックに勝たせることはできません」

競走生活の終盤に喫した一度の敗戦が、たとえそれが最後のレースになったとしても、フォーエバーヤングの価値を損なうことはない。

21世紀も四半世紀が過ぎた今、矢作師の名馬は、競馬の国際的な広がりを象徴している。海外へ渡り、どんな挑戦でも受けて立つ王者。BCが一貫して大切にしてきたものの中でも、そうした王者の存在は大きい。競馬が必要としているのも、そんな馬だ。

その意味で、BC開催の土曜日には、胸を躍らせるスターたちの遠征計画も話題になった。

BCターフスプリントを制したバーチョは、オーストラリアへ遠征するため検疫に入った。また、BCターフ勝ち馬のベンヴェヌートチェッリーニと3着馬のダイヤモンドネックレスは、ともに香港競馬遠征へ向かう予定となっている。

そして、テーオーエルビスと鞍上の坂井瑠星騎手は、再びアメリカへ向かう構想だ。

バーチョは圧巻のスピードでBCターフスプリントを制し、カリフォルニアを拠点とする名手フアン・ヘルナンデス騎手にブリーダーズカップ初勝利をもたらした。

同馬を管理するウェスリー・ウォード調教師は、次の目標は2月にフレミントン競馬場で行われるG1・ブラックキャビアライトニングステークスだと明言し、あのカーインライジングにも対戦を呼びかけた。

世界最高レーティングを持つ香港最強馬との対戦の可能性について、ウォード師はIdol Horseの取材に「ぜひ実現してほしいです! 2月13日にオーストラリアで対戦できたらいいですね。素晴らしいことになるでしょう」と話した。

一方、自身の年間G1最多勝記録である28勝に並んだエイダン・オブライエン調教師は、12月のシャティン遠征を見据えている。ベンヴェヌートチェッリーニについては、当初からシーズン後半の大きな目標を、今回のBCとその後の香港国際競走に定めていたという。

エイダン・オブライエン師はIdol Horseの取材に、「ベンヴェヌートチェッリーニは香港ヴァーズへ向かうことになるでしょう。牝馬のダイヤモンドネックレスは、10ハロンの香港カップへ向かうかもしれません」と話した。

日本勢にとって明るい話題となったテーオーエルビスは、BCスプリントで後方から鮮やかな追い込みを決め、G1・2勝目を挙げた。2つのG1勝利はいずれもアメリカ競馬でのものだ。高柳大輔調教師によれば、来年もアメリカへ戻ってくる計画だという。

T O Elvis winning the Breeders' Cup Sprint under Ryusei Sakai
T O ELVIS, RYUSEI SAKAI / G1 Breeders’ Cup Sprint // Keeneland /// 2026 //// Photo by Shuhei Okada

テーオーエルビスの鞍上を務める坂井瑠星もまた、再びアメリカ競馬で騎乗したいと考えている。

29歳の坂井は、フォーエバーヤングの全17戦に騎乗してきた才能ある騎手だ。世界一流へもう一段成長するには、海外の厳しい競争の中で、まとまった期間の騎乗を1度か2度経験することが、間違いなく役立つ。

「来年の夏は、アメリカに短期間滞在したいと思っています。サラトガ競馬場の開催で乗る機会をいただけるなら、アメリカでの騎乗に挑戦してみたいです」

2日間のさまざまな結果の中でも、とりわけ今後の競馬史に大きな足跡を残すかもしれないのが、ビリー・ロックネイン騎手がリベルタンゴで挙げたBCジュベナイルターフスプリントの勝利だ。わずか20歳という若さで、BC初勝利を手にした。

競馬界にはスターが必要だ。巧みな騎乗に加え、喜びを爆発させて勝利を祝う姿を見せたロックネインには、かつての名騎手たちのように、多くの人の心をつかむ魅力があるのかもしれない。

まだその域に達したわけではない。それでも、ここまでの姿からは、スターへ成長する素質があらゆる面でうかがえる。競馬界が切実に求める、競馬の顔となる存在になれるかもしれない。

ソヴリンティが競走馬としてその役割を担うのは、ここまでだ。朝の草を食み終え、モット師が記者たちに別れを告げる頃には、欧州馬はすべて厩舎を出て空港へ向かっていた。

ジョージ・バウヒー調教師やジョセフ・オブライエン調教師らの関心は、すでにオーストラリア競馬へ向かっている。火曜日にはG1・メルボルンカップが待っている。日本馬は火曜日にキーンランドを離れる。

ソヴリンティは、最大の舞台での鮮やかな勝利を最後に、王者としての足跡を残して競馬場を去る。フォーエバーヤングの結末は、それとは違うものになるかもしれない。それでも、競馬に刻んだ足跡の重みは少しも劣らない。2頭はともに王者なのだ。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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